24節気72候.
現代の都市在住者には実感の少ない表現もあります.とはいえ,日本の季節を十分感じさせてくれます.
(こんなことを書いていますが,私が気にしだしたのはつい最近のこと.3年前にステキな歳時記カレンダーをプレゼントにもらってから)
そして,今日11月17日は,その72候で金盞香(きんせんこうばし):水仙の花が咲き始める頃.
ただ,この72候の57番目(第57候)にはやや不可解な点が.
◎まず,金盞はキンセンカ(金盞花)では?
しかし,ネットでも,「金盞香」を調べるとほぼ全てが「この金盞はスイセンのこと」
例えば,
「『金盞(きんせん)』とは黄金の盃のこと.『金盞銀台(きんせんぎんだい)』とはすなわち水仙のこと.
基本の花びら数は6枚で,その中心に,『副花冠』と呼ばれる花びらが.この副花冠は,大きくラッパ状に伸びたり,盃状に広がったりと、水仙の花の大きな特徴を示しています.
この副花冠を金色の盃を表す『金盞(きんせん)』にたとえた水仙の呼び名が,『金盞銀台(きんせんぎんだい)』,白い花びらの真ん中に黄色い副花冠をいただいた水仙の花
は、このような風雅な名前でも呼ばれ,古くから親しまれてきたのです.(七十二候≪金盞香〜きんせんかさく〜≫ライブドアニュース)」
◎次の不可解な点:スイセンは11月に咲かないような気が---.
私の庭で最も早く咲く水仙たちも次の写真の通り.まだつぼみは見えません.咲くのは早くて12月.
金盞香(きんせんこうばし)はこのように72候で唯一,腑に落ちない点が多い内容・表現です.
当然,ネット上でも少ないながら異論が.はじめに引用したライブドアニュースの別の記事:紅葉の晩秋に咲き香る「金盞」。それって何の花?七十二候「金盞香(きんせんかさく)」 - ライブドアニュースはかなり説得力のある書き方をしています.
「実は日本版『七十二候』の最初期バージョンである貞享暦(1685~1755)には水仙が登場しています。12月下旬にあたる大雪末候を『水仙開(すいせんひらく)』としているのです」
「その後,宝暦暦では『水仙開(すいせんひらく)』が『鮭魚群(けつぎょむらがる)』に置き換えられ,同時に『霎乃降(こさめすなわちふる』)が『金盞香(きんせんこうばし)』に置き換えられました」
12月水仙開 移動⇒ 11月金盞香 水仙と金盞が同じものを指すっておかしくない?
ということですね.かなり鋭い指摘.そして筆者の結論は
「『金盞香(きんせんこうばし)』の金盞は(貞享暦で12月開花とされている)水仙ではない,多分,金盞花(きんせんか)」
可能性は大いにあるのでは.ただ,金盞花(きんせんか)で日本の季節を感じることができるのかが問題です.
「系統によって開花時期が異なり、早いものでは11月中・下旬から、ラッパズイセンなどは3月から4月に開花します」とあります.
「ほとんどみかけない11月咲きの水仙」を見た先人が決めた,と考えましょうか?
水仙は「RHS(英国王立園芸協会)には1万を超す品種が登録されており、その原種および花形、花色、草姿などから12系統に分類されています。なかでも、代表的な種類に、ラッパズイセン、八重咲きスイセン、房咲きスイセン、口紅スイセンなどがあります」とのこと(スイセンとは - 育て方図鑑 | みんなの趣味の園芸).
よく知られているように,水仙(ヒガンバナ科 / スイセン属)の英語での属名ナルキッスス(Narcissus)は、ギリシア神話に登場するナルキッソス:水鏡に映った自分の姿に恋をしてスイセンになってしまった美少年,に由来します.( 水仙の花言葉(色:黄,白)ラッパ水仙、誕生花、英語 | 花言葉-由来 )
花言葉は「うぬぼれ」「自己愛」.でも,自己だけでなく.世界中の人々に愛されてきた花ですね.
わが家にも4-5種類あります.
となるはずですが---.
12〜3月のお楽しみ.
金盞香(きんせんこうばし):水仙の花が咲き始める頃