2019-11-22から1日間の記事一覧

エコー4 美少年ナルキッススとエコ(3) きよらかな水で喉の渇きをうるおそうとすると,それとは別な渇きを胸におぼえた. そこにうつった自分の姿に魅惑され,自分自身に恋をしてしまったのだ.ナルキッススは恋にやつれてしだいに弱っていき,ひと知れぬ胸の火にいつか焼きほろぼされていった.「さようなら!」という叫びに,エコも「さようなら!」と答えた.かれの屍体は,どこにもなかった.屍体のかわりに,白い花弁にかこまれた一輪のサフラン色の花(水仙)があるばかり.

美少年ナルキッススとエコ 田中英央・前田敬作訳/オウィディウス・転身物語(人文書院)より 一作日/昨日の続きです 前回までのあらすじ 美少年ナルキッススとエコ(1)&(2) エコー2 美少年ナルキッススとエコ(1): yachikusakusaki's blog エコー3 …