有毒両生類(「毒の博物館」3動物の毒/国立科学博物館特別展「毒」より) 毒蛇に比べてあまり知られていない気がしますが,侮れません.どこにでもいるヒキガエルの毒は,食べたイヌが死んでしまうほどの毒性を持ちます.美しいヤドクガエルたちの展示は目を惹きました.自然界でも最も強い毒の1つを持ちます.イシアタマガエルは全く知らなかった名前.解説を読むとかなり怖そうなカエルです.

先日出かけた国立博物館特別展「毒」.

https://yachikusakusaki.hatenablog.com/entry/2023/02/17/235453

独自に勉強したことをつけ加えながら,内容を少しずつ紹介しています.主催者も「シェアしよう」とすすめていることもあり.

 

今日は「毒の博物館」3 動物の毒のいろいろ

③有毒両生類

毒蛇に代表される有毒爬虫類.しかし,「有毒両生類って??」と,私は思ってしまいましたが---

 

両生類では多くの種が防御のための毒をもっています.

ヒキガエルやイモリの仲間が有名で,アルカロイドなどの神経毒をもつものがほとんどです.

ヤドクガエルの仲間は特に強力な毒(バトラコトキシン)をもち,一匹のカエルの毒が10人分の致死量になる種もいます.

この毒は餌となる無脊椎動物から摂取していると考えられています.

 

 

イモリの毒

知りませんでした.正確には「忘れていました」.手で触ってしまいますよね.ただし,触った手が目や口に入らないように.

「腹面は毒をアピールする赤色になっています」

(この写真は撮影失敗です)

新潟県立自然博物館のサイトによれば:

https://sciencemuseum.jp/cp-bin/wordpress/2020/04/03/イモリのふしぎな能力/

実は,アカハライモリはフグと同じ「テトロドトキシン」という毒をもっています.

赤色と黒色の腹模様は,自分が毒をもっていることを敵に伝えて,身を守るためのものだと考えられています.このような色を「警告色(警戒色)」と言います.

アカハライモリがもつテトロドトキシンの量は多くないといわれていますが,触った手が目や口に入らないよう注意しましょう.

 

ヒキガエルの毒

ヒキガエルに毒があることは知っていました.捕まえたときはお腹をそっと持って運んだ覚えがあります.

どれぐらい強い毒なのでしょうか?調べてみました.

 

ネット上でまず目についたのは,ペットへの注意.ヒキガエルを食べたイヌの死亡例がかなりあるようです.https://univ.yamazaki.ac.jp/univ/news/news.html?itemid=613&dispmid=759

https://hachuarium.com/frog/hikigaeru-doku

 

しかし,日本の記事で,ヒキガエルの毒についてキチンとまとまったものが捜せませんでした.以下,海外の記事から.

ニューズウィーク誌は,コロラド川ヒキガエルの毒について次のように記しています(コロラド川ヒキガエルはその幻覚作用が注目/悪用されているという記事ですが,その部分は割愛します)

https://www.newsweek.com/toad-venom-psychedelic-effects-mike-tyson-1650136

(DeepL翻訳)

ヒキガエルの毒は致死性か?

専門誌「Heart」に掲載された2003年の研究によると,ヒキガエル毒の中毒は「死亡率が高く」,「主に胃腸障害,精神障害,心伝導障害,不整脈として現れる」可能性があるとのことです.

国立毒物センターによれば,Colorado River toad(コロラド川ヒキガエルの分泌物が目や鼻に入った場合,激しい刺激や痛み,組織損傷を引き起こす可能性があります.分泌物を舐めたり飲み込んだりすると,口や喉がしびれるだけでなく,心臓に深刻で生命を脅かすような影響を与える可能性があります.

心臓への影響としては,不整脈,心臓の閉塞,血圧の低下,心停止などがあります.これらの深刻な影響は,皮膚から吸収された後にも起こる可能性があると同センターは述べています.

 

▽ブリタニカ”bufotoxin”(ヒキガエル毒素の名前)

(DeepL翻訳)

ブフォトキシンは,多くの無尾両生類,特に典型的なヒキガエル(Bufo属)の皮膚に分泌される中程度の強さの毒である.乳白色の液体には,ジギタリスに似た心臓への作用を持つブファジン(ブファジエノライド類の1つ),幻覚剤のブフォテニン,血管収縮剤のセロトニンなど,いくつかの識別可能な成分が含まれている.毒の組成はヒキガエルの種類によって異なる.内服すると,多くの肉食動物に重篤な反応を引き起こし,死に至ることもあるが,一部の動物(例えば,hognosed snakes:北米のヘビの名前)には影響がない.毒は通常,人間の皮膚には影響しないが,目や粘膜を刺激する.

 

前回取り上げたように,日本のヤマカガシもヒキガエルの毒に耐性で,主要な餌としているばかりか,なんと,その毒を貯めている!

 

ヤドクガエル

北アメリカ大陸南部、南アメリカ大陸,ハワイに分布するカエルですが.

有毒両生類のコーナーで,最も目を惹いたのは,このヤドクガエル.小さいけれど,美しい!警告色ですね.

非常に強い毒バトラコトキシンをもつ!

 

調べてみると:

ヤドクガエルの毒は,フグの毒と逆の働き:

ヤドクガエル毒=バトラコトキシンの標的タンパク質は、電位に依存して開口するナトリウムチャネルであり、常時活性化する(=ダダ漏れ状態にする)ことで神経毒性を発揮する.https://www.chem-station.com/molecule/naturalmol/2012/12/batrachotoxinin_1.html

ふぐ毒=テトロドトキシンは骨格筋や神経の膜電位依存性ナトリウムイオンチャネルに結合し、チャネル内へのナトリウムイオンの流入を阻害して神経伝達を遮断する神経毒 https://www.mhlw.go.jp/topics/syokuchu/poison/animal_det_01.html

ヤドクガエルの毒は,フグ毒のように餌から摂取して貯められたもの.人工飼育すると毒がなくなる.

昆虫などが疑われてきましたが,現在はダニから摂取されたものと考えられています.初めの発見者は日本の方です.

https://www.jstage.jst.go.jp/article/kagakutoseibutsu/58/2/58_580209/_pdf

https://www.pnas.org/doi/full/10.1073/pnas.0702851104

 

イシアタマガエル

このカエルについては聞いたこともありませんでした.

しかし,解説を読むと---

一番怖いカエルと言っていいでしょう.カエルも侮れませんね.