オニヒトデ,磯で見られる様々な有毒生物(「毒の博物館」3動物の毒/国立科学博物館特別展「毒」より) 駆除対象となっているオニヒトデは,棘に毒があり「刺されるとたいへん痛み,腫れることもあります.痛みは棘が刺さると即座に生じ,非常に強烈で数時間持続します」.  8種の磯の有毒生物が立体的に並べられていました.ガンガゼ,トックリガンガゼモドキ,ゴンズイ,ハオコゼは刺される危険がある有毒生物.スベスベマンジュウガニ,ウモレオウギガニ,ヒョウモンダコ,クサフグは,食べるととても危険な海洋生物.

先日出かけた国立博物館特別展「毒」.

https://yachikusakusaki.hatenablog.com/entry/2023/02/17/235453

独自に勉強したことをつけ加えながら,内容を少しずつ紹介しています.主催者も「シェアしよう」とすすめていることもあり.

(大阪展がもうすぐ始まります.実際にご覧になることをお薦めします.実物の力は偉大です)

 

今日は「毒の博物館」3 動物の毒のいろいろ

⑧海洋の有毒生物(4)オニヒトデ,磯で見られる様々な有毒生物

前回のクラゲの毒についての記事でも書いたことが,今日の話題にも当てはまります.

私が見逃したのかもしれませんが,オニヒトデや磯の生物の毒についての解説をほとんど思い出せません.

以下は,独自に調べた内容になります.

 

オニヒトデ

サンゴを食べることでよく知られ,その駆除がサンゴ保全に必要と報道されているオニヒトデですが,その棘には毒があることでもよく知られているヒトデです.

「刺されるとたいへん痛み,腫れることもあります.痛みは棘が刺さると即座に生じ,非常に強烈で数時間持続します」

 

沖縄県文化環境部自然保護課「オニヒトデのはなし(第二版)」

https://www.pref.okinawa.jp/site/kankyo/shizen/hogo/documents/onihitodenohanasi.pdf

オニヒトデにはたくさんの棘が生えています.棘は非常に鋭利で,しかもとてももろく出来ているので,刺さった棘が体内で折れてしまい簡単に取れなくなることがあります.また,棘の表面には毒があり,刺されるとたいへん痛み,腫れることもあります.痛みは棘が刺さると即座に生じ,非常に強烈で数時間持続します.ひどいケ ースでは刺されて1時間ほど後に嘔吐することもあります.また, 数日間にわたり2~3時間ごとに痛むこともあります.過敏な人の場合はアレルギー反応を起こすこともあります.

また,オニヒトデの棘に繰り返し刺されると,その後の期間が空いた場合でも,次に刺された時の反応が前回よりひどくなることもあります.

オニヒトデに刺されたときの応急処置は, (1)簡単に取れそうな棘は取り除きます.体内に残っている棘は治療を受けるまでそのままにしておきます. (2)刺された部位を熱めの湯(約 40~45°C)に浸すと痛みがやわらぎます(やけどに注意). (3)刺された部位をきれいにし,医師の治療を受けます.

 

毒成分の分析もすすめられています.

マウスの致死成分として,二種類の糖タンパク質plancitoxinⅠ,Ⅱがみつかっていて,強い肝毒性を持つことが分かっています.

https://www.jstage.jst.go.jp/article/suisan1932/69/5/69_5_831/_pdf/-char/ja

 

 

磯で見られる様々な有毒生物

立体的に構成された展示として8種の生きものが並べられていました.

ゴンズイは既に取り上げました.

https://yachikusakusaki.hatenablog.com/entry/2023/03/06/235206

クサフグヒョウモンダコは名前は聞いたことがあります.その他の5種は全く知りませんでした.



ガンガゼ,トックリガンガゼモドキ,ゴンズイ,ハオコゼは刺される危険がある有毒生物.

スベスベマンジュウガニウモレオウギガニヒョウモンダコクサフグは,食べると危険な猛毒(いわゆるフグ毒や麻痺性貝毒)を持ちます(クサフグは有資格者のみ調理できる).

ヒョウモンダコは咬まれる危険もあってやっかいですね

 

なお,ウモレオウギガニは,その食べ物を分析することから,フグ毒産生菌の発見に至ったとのこと.

フグの毒は食物連鎖の結果としてフグの体内に蓄積することは,現在でこそ広く当たり前に受け入れられていますが,フグ毒研究史上でカニが重要な役割を担ったことになります.

 

以下,ネット上にあった解説を掲載しておきます.いろいろな記事から取り出したので,内容に統一感はあまりありません.信頼性はある記事かと思いますが---

画像も改めて付けさせてもらいます.こちらは1枚を除いて全てウィキペディアから.

 

ガンガゼ

https://www.pref.okinawa.jp/site/hoken/seikatsueisei/yakumu/gangaze.html

浅いサンゴ礁や岩場などに生息している.

20~30cmの長い棘をもち,刺さると激痛が続く.ガンガゼの棘は鋭く,皮膚に突き刺さりやすい.さらに,もろく折れやすい構造になっているため,刺さると除去は難しく,体内に残りやすくなっている.

・刺されてしまったら 1.目に見える棘は取り除く.棘を取り除く際には,必ずまっすぐに抜く.曲げたりゆすったりすると,棘が折れて体内に残ってしまう.

2.痛みを和らげるため,患部を40~50度のお湯につける.やけどしないよう,お湯の温度に気をつける.

3.医療機関で治療を受ける.

 

スベスベマンジュウガニ

https://churaumi.okinawa/sp/fishbook/1519280533/

日本では,千葉県以南で観察される有毒ガニ.筋肉や殻・内臓などに,フグと同じテトロドトキシンや,プランクトンがつくり二枚貝類に蓄積される麻痺性貝毒を持つ.沖縄周辺では潮間帯などで普通に観察でき,人に対して致死量となる毒を持つため,取り扱いには注意が必要である.

 

ウモレオウギガニ

https://ryukyushimpo.jp/style/article/entry-637019.html

 サンゴ礁の一番沖,白波が立っている波当りの強い場所には,岩の隙間にウモレオウギガニが隠れています.甲羅の幅が10センチ以上にもなる大型で,荒波に流されないように脚の力が強く,岩にしっかりしがみついています.もちろんハサミの力も強力で,挟まれたら大変.色は,茶色い地色に,青白いインクを流したようなまだら模様.このカニも,スベマンと同じ毒「サキシトキシン」を持ちます.明治時代,奄美大島ではこのカニを知らずに鍋にして食べてしまい,吐き戻したものをニワトリやブタが食べて,家畜共々一家全滅したという痛ましい記録が残っています.

 

https://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/2010781959.pdf

フグ毒として知られるテトロドトキシンが毒性の大部分を占め,サキシトキシン等の麻痺性貝毒をほとんど含まないウモレオウギガニがみつかっている.

 

https://brh.co.jp/s_library/interview/86/

(安元健東北大名誉教授)ウモレオウギガニが食べる石灰藻ヒメモサズキからTTX(テトロドトキシン=フグ毒)が検出されたので,最初はこの石灰藻がTTXの起源なのだろうと考えました.しかしヒメモサズキに含まれるTTX濃度は夏季を境に大きく増減するので,海藻に付着している見えないバクテリアが真犯人なのではないかと考え直しました.そしてTTXを生産するバクテリアShewanella algaを発見したのです.

                                                                                                          

④トックリガンガゼモドキ

https://fish-exp.pref.shizuoka.jp/izu/creature/danger33.html

特徴:殻の大きさで10cmで,棘が白色と緑褐色の縞模様なものが多い.肛門が膨張しています.

分布・生息場所:伊豆半島以南に分布し,岩礁や転石場に生息しています.

危険性:棘が刺さると炎症を起こします.

 

ゴンズイ

https://www.env.go.jp/water/heisa/heisa_net/setouchiNet/seto/setonaikai/clm5-7.html

特徴・習性:ナマズのような体型で黒色の体に黄色の縞があり,口にひげがあります.ユーモラスな顔をしていますが,背びれと胸びれの棘(とげ)に毒腺があり油断は禁物です.夜行性で夜釣りなどで釣れるため,よく確認せずに触って刺されることが多いようです.魚の死後もしばらくの間毒腺は生きているため,注意が必要です.

対処法:夜釣りなどで釣れた場合には素手で触らず,糸を切って捨てるのが無難でしょう.

刺されると火傷に似た痛みが数時間続き,水脹れになることもあります.刺された場合は傷口を洗浄し,火傷しない程度のお湯に浸けます.痛みが引かない場合は棘が残っていることがあるため,病院でレントゲン検査を受ける必要があります.

https://yachikusakusaki.hatenablog.com/entry/2023/03/06/235206

毒性物質はToxin-PCという名前が付けられたタンパク質(分子量75kDa).高血圧と呼吸不全,心停止,神経筋の障害を引き起こす.

Auddy B, Muhuri DC, Alam MI, Gomes A. A lethal protein toxin (toxin-PC) from the Indian catfish (Plotosus canius, Hamilton) venom. Nat Toxins 1995;3:363-8.

International Journal of Pharmacy and Pharmaceutical Sciences Vol 12, Issue 11, 2020

 

 

ヒョウモンダコ

https://www.pref.oita.jp/uploaded/attachment/163857.pdf

頭の大きさ3cm,体の大きさ10cmほどの小型のタコである.周囲の岩や海藻にカモフラージュしますが,刺激を受けると「青い輪や線の模様のある明るい黄色」に変化する.日本からオーストラリアにかけての西太平洋熱帯域・亜熱帯域に分布し,浅い海の岩礁サンゴ礁,砂と小石混じりの海底に主に生息する.

ヒョウモンダコの唾液にはフグと同じ強力な神経毒のテトロドトキシンが含まれ,人間でも噛まれると大変危険で,けいれん,呼吸困難などの症状を引き起こす(海外では死亡事例有り).

死んでも毒は残りますので,決して食べないで下さい.

 

クサフグ

https://www.knsk-osaka.jp/zukan/zukan_database/tansui/2150b2c26b1c855/2750b6e474e7be0.html

クサフグ Takifugu niphobles はフグ科トラフグ属に属し,国内では北海道南部から琉球列島までの沿岸に広く分布している. 海産魚であるが,河川にもしばしば侵入して河川下流部まで遡上する.府内では淀川や泉州の河川で生息記録がある. 淀川では城北ワンドでヘラブナ釣りの竿にかかっているのを確認したことがある.甲殻類,貝類,ゴカイ類,魚類など 動物質のものは何でも食べる.産卵期は5-8月.太平洋と瀬戸内海では新月の数日前から,淡水のしみだす波打ち際に群れをなして産卵する.食用にもするが,有毒.

https://kotobank.jp/word/クサフグ-55140

卵巣,肝臓,腸に猛毒があり,皮膚に強毒,肉と精巣に弱毒がある.

https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/itiba/suisanbutu/fugu1.html

可食部位は筋肉.

 

⑧ハオコゼ

https://www.pref.kyoto.jp/kaiyo/haokoze.html

  ハオコゼはカサゴ目に属する全長10センチ以下の小さな魚で,本州中部以南の沿岸に分布しています.主に波の穏やかな岩礁域や藻場に棲息し,警戒心が少なく泳ぎも緩慢なことから,磯遊びなどで簡単に捕まえることができます.大きく派手な胸鰭を動かしてのんびりと泳ぐ様子がかわいらしいことから,最近ではペットショップでも見かけます.ハオコゼの名前の由来は,枯れ葉の様なオコゼ(葉虎魚)と言われています.

しかし,小さくても背鰭等に強い毒を持っていますので,取り扱いには細心の注意が必要です.ハオコゼに刺されると,刺された部位にもよりますが,大人でも数時間から数日間,強い痛みが続くことがあります.ハオコゼの毒の主成分はタンパク質であることから,火傷をしない程度の熱めのお湯に患部を入れ,毒の成分を変成させれば痛みが早く取れるようです.

  丹後地方では,早春に定置網で大量のハオコゼが混獲されることがありますが,可食部が少ないことから食材として利用されることはありません.(京都府立海洋センター主任 田中雅幸)

https://www.jstage.jst.go.jp/article/suisan/88/4/88_WA2950/_pdf/-char/ja

ハオコゼはカサゴ目に属する刺毒魚であり,カサゴ類,アイゴ類に見られる刺毒は相同性の高いタンパク質で,マウス致死活性,ウサギ赤血球に対する溶血活性,毛細血管透過性更新活性を持つ.

 

画像:

https://ja.wikipedia.org/wiki/ガンガゼ

https://ja.wikipedia.org/wiki/スベスベマンジュウガニ

https://ja.wikipedia.org/wiki/ウモレオウギガニ

https://churaumi.okinawa/fishbook/1646558853/

https://ja.wikipedia.org/wiki/ゴンズイ

https://ja.wikipedia.org/wiki/ヒョウモンダコ

https://ja.wikipedia.org/wiki/クサフグ

https://ja.wikipedia.org/wiki/ハオコゼ

 

参考

厚生労働省 自然毒のリスクプロファイル

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/syokuchu/poison/index.html