下のグラフは,人口100人あたりのワクチン接種回数です.
縦軸200が全国民が二回の接種を受けたことを表しています.
先行して接種を開始した,イスラエル,そしてイギリス・アメリカのワクチン接種は,100人あたり100〜120回でその速度が鈍り,さらなる接種率の向上に苦戦しています.
英米に遅れたものの,順調にワクチン接種が行われているのがEU諸国.ドイツは既にアメリカを超えたようです.
日本は接種開始の遅れがひびいて,まだ人口100人あたり50回を超えたところ.これ以上の遅れは許されませんが---
ワクチン,特にmRNAワクチンはとても優れもので,従来型新型コロナウイルスに対して95%の発症もしくは感染予防効果をもっています.また現在感染が拡大しつつあるインド由来のデルタ株に対しても64〜88%の効果(重症化は95%阻止).
https://news.yahoo.co.jp/byline/kutsunasatoshi/20210411-00231933/
https://news.yahoo.co.jp/byline/kutsunasatoshi/20210711-00247279/
接種が進んだ国では,ロックダウン等の規制をどのように進めるかが課題となって来ています.
規制の解除を積極的に進めているのが,ワクチン接種で先行したイスラエル,イギリス,アメリカ.
中でも他国からも注目されている(ハラハラしながら見守られている?)のが完全撤廃を早々宣言したイギリス.
下図は,人口100万にあたりの1日(7日間移動平均)感染者数ですが,最も早くからデルタ株の洗礼を受けたこともあって,イギリスでの感染者の急増はハンパないものです.
そして,イギリスに比べればほとんど感染者は増えていないかに見えるイギリス以外の欧米諸国.
実際の所はジワリと感染者が増えつつあります.
イギリスを除いたグラフにしてみると,各国における感染の広がりがかなりのスピードであることがよく分かります.
アメリカ,フランス,そしてあのイスラエルも!ワクチンを人口100人あたり100〜120回程度接種したからといって,基本的防御の手立てなしには感染拡大は抑えられません.
日本はドイツと共に感染をかなり抑え込んでいる国.
しかし,東京での広がりを見ると押さえ込みも風前の灯火のようにも思いますが..
ワクチンは感染/発症予防に加えて重症化も防ぎます.イギリスは,これを頼みに規制を撤去し,経済活動・市民生活の再開を目指していると言えます.加えてパンデミックの当初に目指した「集団免疫」をより早く進めるという思惑もあるような気配.
しかし,当初伝えられたように,イギリスでは本当に死亡者の数を抑えることができているのでしょうか?
下のグラフは人口100万人あたりの1日死者数を示しています.
7月に入り,イギリスの死亡者は増加に転じています.それを追ってアメリカでも死亡者がじわりと増加の気配.
あのイスラエルも,人口あたりでの死者数は日本を超えています.
これらの国での死亡者のほとんどは,ワクチン未接種と伝えられていますが,ワクチン接種が国民100人あたり100〜120回程度では,感染者が増えれば,死亡者も増加することは避けられません.
ましてや.やっと100人あたり50回を超えた程度の日本では,感染拡大が基礎疾患のある方々を中心とした死亡者の増加につながることは自明.たとえ,ワクチン接種が進んだ高齢者の死者数が抑えられたとしても.