おおぐま座(大熊座、Ursa Major)
この星座の名前は,ほとんどの方がご存じでしょう.
星座の一部,「北斗七星」は,更によく知られているに違いありません.
日本からは,一年中見ることが出来る(周極星と呼ばれる)ため,星座の季節を特定する必要はないように思いますが,春の星座とするのが一般的なようです.
秋には最も見づらい位置にある!
おおぐま座は,ギリシャ神話に由来する名前と言ってよいでしょう.
中でも熊に変えられたカリストーの物語がよく知られています(後述).
この星座を熊に擬する神話は,ギリシャ以外にもあり,中には旧石器時代に既に語られていたという説もあるようです( Ursa Major - Wikipedia ).
しかし,ギリシャ神話にある星座名の多くが生まれた古代メソポタミアでは,熊ではなくWagon(四輪車)と呼ばれていたとのこと.( Star Myths | Theoi Greek Mythology )
アッカド語 : Eriqqu (the Wagon)
シュメール語 : MAR.GÍD.DA (the Wagon)
この星座にまつわるギリシャ神話は四つあり,上記カリストーの物語を含め二つが熊への変身の物語.
残りの二つは熊とは無関係で,一つはWagon( Star Myths | Theoi Greek Mythology ).古代メソポタミアの星座名を受け継いだ物語がギリシャ神話にも.
熊に変えられたカリストーは,古代ギリシャ・ローマの多くの詩人・作家・歴史家が取り上げています.
ヘーシオドス,アイスキュロス,偽アポロドーロス,偽エラトステネス,アンフェイス,オウィディウス---
今日は偽アポロドーロスの記述を転載します.
彼女(カリストー)はアルテミスの猟の伴侶であり,女神と同じ衣を身に纏(まと)い,処女であることを女神に誓った.
しかしゼウスは彼女に恋し,一説によればアルテミスに,一説によればアポローンに,姿を似せ,嫌がる彼女と床をともにした.ヘーラーに気づかれないように女を熊の姿に変えた.
しかしヘーラーは彼女を猛獣として射殺すようにアルテミスを説き伏せた.
一説にはアルテミスが,彼女が処女を護らなかったので射殪(たお)したとも言う.
カリストーが死んだ時に,ゼウスは赤児をひっさらい,アルカスと名づけ,アルカディアーにおいて育てるべくマイアに与えた.そしてカリストーをば星に変え「熊(アルクトス)」と呼んだ.