やまゆり園 私も祈る 殺傷事件 3年
都内の障害者 月命日に献花
読売新聞 7月26日 夕刊
知的障害者19人の命が奪われた「津久井やまゆり園」(神奈川県相模原市)の殺傷事件から26日で3年.
脳性マヒで生まれつき歩行が困難な東京都中野区の和田拓也さん(26)は,障害者が狙われた事件が人ごととは思えず,この3年,月命日の献花を続けている.
「障害者はいなくなればいい」.逮捕後,植松聖容疑者(29)(殺人罪などで起訴)の言葉が頭から離れなくなった.
通勤時にはすれ違う人たちから,冷たい視線を向けられているような感覚になり,居てもたってもいられず,その週末,初めて献花に訪れた.
車椅子で電車とバスを乗り継ぎ,往復4時間以上の道のり.最近は事件の報道が減り,世間の関心も薄れてきたと感じるが,「せめて自分だけは事件のことを忘れないようにしたい」と語る.
この日も午前6時半に自宅を出た.献花台にユリの花を手向け,手を合わせて30秒ほどじっと目をつぶった.「安らかに眠ってください」.これからも献花に通い続けるつもりだ.
3年たっても植松被告の主張は変わらない.
和田さんは「言葉の話せない障害者にも好きな人や食べ物があり,意思がある」と憤る.
事件後は,障害者が積極的に街へ出ることが理解につながると考えるようになった.
好きなアイドルのコンサートにも通う.会場で初対面のファンが車椅子を抱え,階段の上り下りを介助してくれたことがうれしかった.
和田さんは「小さなことでも訴え,行動に移すことで,変化が生まれる」と話した.