夏の日を詠んだ短歌  夕立の雲もとまらぬ夏の日のかたぶく山にひぐらしの声 式子内親王  夏の日の暑きさかりは吹く風もうすき袂をなほへだてけり 小沢蘆庵  夏の日の直(ひた)さす大野はろばろし黄をふくみたる青き牧草 石榑千亦  真夏日のひかり澄み果てし浅茅原にそよぎの音のきこえけるかも 斎藤茂吉  夏の日は女役者のものごしのなまめかしさに似てさびしけれ 北原白秋  真夏日の磨かれてゆく石一つその中核の闇ぞ恋しき 佐佐木幸綱

関東地方の梅雨明け宣言はまだありませんが---

暑い日が続いて,ほぼ,毎日が「真夏日」.そして所によっては「猛暑日」と報道されています.

https://tenki.jp/forecaster/s_ono/2025/07/03/34424.html



 

よく知られているように,気象用語としての夏日,そして,真夏日猛暑日は,最高気温によって決められています.

▽夏日: 最高気温が25℃以上の日

真夏日: 最高気温が30℃以上の日

猛暑日: 最高気温が35℃以上の日

https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/yougo_hp/kion.html

 

この「夏日」「真夏日」「猛暑日」という気象用語は,遅くとも2007年以降は使われていています.この年には,「猛暑日」が新たに気象用語として加えられました.

https://www.jma.go.jp/jma/press/0703/29b/yougo_kaisei.html

しかし---

「夏日」「真夏日」がいつ使われるようになったかについての情報は,いくら探しても,ネット上からは見つかりません.2007年以前には1996年に気象用語の改正があったと,集英社イミダスは記載していますが,その内容はネット上にはありません.

https://imidas.jp/hotkeyword/detail/K-00-311-07-04-H005.html

 

「グーグルAIによる概容」は以下の通りで,私の調べた内容・推定とほぼ一致していますが---

2007年以前に,夏日,真夏日という言い方は使われていた事は確かで,グーグルAIの「これらの用語(夏日,真夏日)も同時に使われ始めた可能性が高いです.」というまとめ方は明らかにおかしいと思います.

2007年の気象用語改正の記事がみつかりましたが,それ以前の気象用語の改正はいつ行われたのでしょうか?

問い「猛暑日が2007年からという情報はありますが,気象用語として夏日,真夏日が使われるようになったのはいつからですか?」

AI による概要

気象庁が「夏日」「真夏日」を正式な予報用語として使い始めた明確な時期に関する情報は,直接的には見つかりませんでした.しかし,「猛暑日」が2007年4月に気象庁の予報用語に追加された際に,これらの用語も同時に使われ始めた可能性が高いです.

 

そして,気象用語としての「夏日」「真夏日」がいつから使われていたにせよ,「夏日」「真夏日」は,気象用語として以外に使われてきた言葉で,この「気象用語として以外の使われ方」が元々の使われ方です.

現在では,あまりにも気象用語としての使われ方が浸透してしまったので,それ以外の古くからの使い方で,これらの言葉を用いるのは,やや難しくなっているように思いますが.

 

精選版日本国語大辞典

なつ‐び【夏日】

〘名〙

①夏の暑い日.また,夏の強い日ざし.《季・夏》

*月暈(1949)〈八木絵馬〉昭和二三年

「夏日の船白さ増しつつ遠ざかる」

②気象用語で,一日の最高気温が二五度以上になった日.三〇度以上の日は真夏日という.

 

まなつ‐び【真夏日

〘名〙

①真夏の昼間.夏のさかりの日.

*林泉集(1916)〈中村憲吉〉悼左千夫翁

真夏日の墓べの溝にわく泡のふつふつとして静こころなし」

②真夏の太陽.

*赤光(1913)〈斎藤茂吉〉折に触れ

「かがやける真夏日のもとたらちねは戦をおもふ桑の実くろし」

③気象で,一日の最高気温が摂氏三〇度以上の日をいう.

 

 

夏の日を詠んだ短歌

(古今短歌歳時記より)

 

逢ふとみし夢に習ひて夏の日の暮れがたきをもなげきつるかな  藤原安国 後撰集

 

夕立の雲もとまらぬ夏の日のかたぶく山にひぐらしの声  式子内親王 新古今集

 

夏の日の暑きさかりは吹く風もうすき袂をなほへだてけり  小沢蘆庵 六帖詠草

 

夏の日のあつもり塚に涼み居て病気なほさねばいなじとぞ思ふ  正岡子規 子規歌集 

 

夏の日の直(ひた)さす大野はろばろし黄をふくみたる青き牧草  石榑千亦 海

 

夏の日は暮れても暑し肌ぬぎつつもの言ふ友の衰へにける  島木赤彦 太虚集

 

夏の日のくれゆく時に海原と空との色は見飽かざりけり  岡麓 小笹生

 

真夏日のひかり澄み果てし浅茅原にそよぎの音のきこえけるかも  斎藤茂吉 あらたま

 

夏の日は女役者のものごしのなまめかしさに似てさびしけれ  北原白秋 桐の花

 

真夏日の墓べの溝にわく泡のふつふつとして静こころなし  中村憲吉 林泉集

 

夏の日のアンカレージの路傍には風にふかるる赤き萱の穂  佐藤佐太郎 天眼

 

真夏日の磨かれてゆく石一つその中核の闇ぞ恋しき  佐佐木幸綱 夏の鏡