昨日,安国論寺で出会った花をブログの終わりに載せさせてもらいましたが,その中の一種は,ノハカタカラクサ(野博多唐草).
今までは全く知らなかった花でしたが,今ではどこにでも生育しているようですね.
亀ヶ谷の切通でも群生しているのを見かけました.
かわいらしい花なので,お寺でも残したのだと思います.
元「要注意外来生物」ですが.
ノハカタカラクサ Tradescantia fluminensis ツユクサ科 Commelinaceae ムラサキツユクサ属 三河の植物観察
観賞用に昭和初期に輸入され、野生化した。傾伏する茎に多数の無性芽をつけて栄養繁殖を行う。ヨーロッパ南部、オーストラリア南部・東部、アフリカ南部、アジア、ニュージーランド、U.S.A.南部など世界中で野生化している。日本では外来生物法により要注意外来生物に指定されていた(平成27年3月26日をもって発展的に解消)。愛知県では自然環境の保全及び緑化の推進に関する条例により条例公表種(平成23年3月30日公表)とされ、みだりに野外へ放つ行為が規制されている。
わが家では,ツユクサが繁茂しています.こちらも美しい花,と気を許したら,もう駆逐するのは無理なほどはびこっています.
花はまだかな?と今日見回ってみると,二輪ほど咲いていました.一般的には秋の花とされています.これからですね.
ツユクサとノハカタカラクサは,共にツユクサ科ですが,属が異なります.
ノハカタカラクサは,ムラサキツユクサ属Tradescantia.
ノハカタカラクサやムラサキツユクサが外来種(それぞれ南アフリカ,北アメリカ原産)なのに対し,ツユクサは日本を含め,「アジア東部の温帯から暖帯にかけて広く分布」(ブリタニカ国際大百科事典).ただし,北アメリカにも定着しているそうです.
どの種も繁殖力が旺盛なんですね.
ツユクサは「ツキクサ」として,万葉集で詠まれていることは,このブログでも取り上げました.
ブリタニカによれば
朝早く開花して午後 (露がなくなる頃) には花が閉じるので露草の名があり,またツキクサは往時布を染めるのに用いたことによる名である。本種の変種とされる オオボウシバナは花が特に大きく鮮かで,染料用として使われた。
語源について,ここまで断定的な書き方をしているのはブリタニカのみですが----
以下,以前のブログ記事の繰り返しになります.
https://yachikusakusaki.hatenablog.com/entry/2019/07/07/234946
山田卓三先生の「万葉植物つれづれ(大悠社)」によると
つきくさ鴨頭草は,ツユクサの古名です.
この花の汁を染料に用い,摺染め(草木の花,または葉をそのまま布面に摺りつけて、自然のままの文様を染める)にしてよくつくので「着きくさ」,また,臼でついてその汁を用いたので「搗き草」の意とも言われています.
つきくさで染めた衣の色が変わりやすいことから多くは「移ろう」という意味で用いられています.これは,心変わりしやすいことにかけています.また,早朝に咲いてしぼんでしまうことから,はかなく消える短い命にもなぞらえられます.
友禅染の下絵を描く時に用いる青紙は, ツユクサの園芸種であるオオボウシバナの青汁を,濾紙に何回も染みこませて乾かすことを繰り返して仕上げます.これもこの色素の消え易い性質をうまく利用したものです.
万葉集/月草・鴨頭草
月草の うつろひやすく 思へかも 我が思ふ人の 言(こと)も告げ来ぬ
大伴坂上家之大娘(おおとものさかのうへのいへのおほいらつめ)
巻四,五八三
▽たのしい万葉集
露草(つゆくさ)のように変わりやすいからでしょうか,私が想っているあの人がなんにも言って来ないのは.
・坂上大嬢が大伴家持(おおとものやかもち)に贈った歌の一つです.露草(つゆくさ)で染めたものは,色が落ちやすいので、こういう言い方をしたようです.
参考
yachikusakusaki.hatenablog.com
今日は曇っていたのに,夕方だけ晴れ間が.夕焼けがきれいでした.