ツユクサ//月草・鴨頭草(万葉集) 黄色と青のコントラストが鮮やかなツユクサですが,二輪咲きで淡い青色のものに初めて出会いました.ツユクサは,古代,つきくさ(月草・鴨頭草)と呼ばれ,万葉歌人にも好まれた花.多くは「移ろう」という意味で用いられています.月草の うつろひやすく 思へかも 我が思ふ人の 言(こと)も告げ来ぬ  大伴坂上家之大娘 万葉集巻四,五八三

今日は,母親を連れて,配食サービスグループ主催の七夕昼食会.

テーブルには,かわいらしくコップに生けた花たち.

どちらも私は初めて.

 

一つは広葉マウンテンミント.

f:id:yachikusakusaki:20190707234030j:plain

ミントの名前はついていますが,ハッカ(メンサ)属ではなく,近縁のピクナンテムム属Pycnanthemum incanum.ハーブ愛好家の皆さんにはかなりの人気の品種.

マウンテンミント(広葉)(Pycnanthemum incanum) | 植物図鑑 | 御勅使南公園 マウンテンミント(Mountain mint)【かぎけんWEB】 Pycnanthemum incanum - Wikipedia  Lamiaceae - Wikipedia

 

もう一種類は,どう見てもツユクサなのですが----

二つの花がついて,色も薄い.

f:id:yachikusakusaki:20190707234008j:plain

二つの花があるツユクサについては----

「俗に『二輪咲き』と呼ばれているようですが、四つ葉のクローバーに比べるとかなりの確率で見られますので、群生している場所があれば一度、探してみてください」:ブログ “山と自然の雑学ノート”.ツユクサの二輪咲き - 山と自然の雑学ノート

f:id:yachikusakusaki:20190707234139j:plain

 

黄色と青のコントラストが鮮やかなツユクサですが,

 

色が薄いツユクサもあるそうで-----

「よく見るツユクサの花の色は青色ですが、ごくたまに淡い青色と真っ白の花を見かけることがあります」:“天竜川・杣人の会”ホームページ”

出かけよう!北遠へ ふるさと散歩道: 田に咲く花④―シロバナツユクサとウスイロツユクサ

f:id:yachikusakusaki:20190707234159j:plain

どちらも私が知らなかったこと.

色が薄くて二輪なので,別種か?と思ってしまいました.

 

ツユクサ生存戦略は,ハンパない“ とは,山田孝之出演のNHKEテレの番組.

http://yachikusakusaki.hatenablog.com/entry/2018/10/13/010735

yachikusakusaki.hatenablog.com

結構好きな花です.

取りたてて育ててはいませんが,ツユクサを抜くのは最後の最後.我が家の庭に沢山残っています.花はどうなってる?と帰宅後確認.まだ咲いていませんでした.

 

ツユクサ 

単子葉類 Monocots,ツユクサ類 Commelinids,ツユクサ目 Commelinales,ツユクサ科 Commelinaceae,ツユクサ亜科 Commelinoideae,ツユクサ属 Commelina

ツユクサ C. communis

 

理科の実験材料として良く用いられるムラサキツユクサは,別属(ムラサキツユクサ属).

http://www1.iwate-ed.jp/kensyu/siryou/h20/h20_226-02.pdf ムラサキツユクサ

f:id:yachikusakusaki:20190708001213j:plain

ムラサキツユクサ属 - Wikipedia

 

f:id:yachikusakusaki:20190708094121j:plain
ツユクサ目 - Wikipedia Commelinaceae - Wikipedia ツユクサ科 - Wikipedia ツユクサ - Wikipedia

 

ツユクサは,つきくさ(月草・鴨頭草)と呼ばれ,万葉歌人にも好まれた花でした.

 

万葉集には9首読まれているとのこと.たのしい万葉集: 月草(つきくさ)を詠んだ歌

 

山田卓三先生の「万葉植物つれづれ(大悠社)」によると

つきくさ鴨頭草は,ツユクサの古名です.

この花の汁を染料に用い,摺染め(草木の花,または葉をそのまま布面に摺りつけて、自然のままの文様を染める)にしてよくつくので「着きくさ」,また,臼でついてその汁を用いたので「搗き草」の意とも言われています.

つきくさで染めた衣の色が変わりやすいことから多くは「移ろう」という意味で用いられています.これは,心変わりしやすいことにかけています.また,早朝に咲いてしぼんでしまうことから,はかなく消える短い命にもなぞらえられます.

友禅染めの下絵を描く時に用いる青紙は,ツユクサの園芸種であるオオボウシバナの青汁を,濾紙に何回も染みこませて乾かすことを繰り返して仕上げます.これもこの色素の消え易い性質をうまく利用したものです.

f:id:yachikusakusaki:20190708104308j:plain

オオボウシバナ - Wikipedia

f:id:yachikusakusaki:20190708101321j:plain

【青花紙】のご紹介 | 京ごふく 二十八 : 京都の訪問着、付け下げを初めて購入するなら 手描き友禅の工程|羽田工房|京友禅|

 

万葉集/月草・鴨頭草

月草の うつろひやすく 思へかも 我が思ふ人の 言(こと)も告げ来ぬ 

大伴坂上家之大娘(おおとものさかのうへのいへのおほいらつめ)

巻四,五八三

 

▽たのしい万葉集

たのしい万葉集(0583): 月草のうつろひやすく思へかも

露草(つゆくさ)のように変わりやすいからでしょうか,私が想っているあの人がなんにも言って来ないのは.

坂上大嬢(⇒*)が大伴家持(おおとものやかもち)に贈った歌の一つです.露草(つゆくさ)で染めたものは,色が落ちやすいので、こういう言い方をしたようです.

 

⇒* 

大伴坂上郎女(おおとものさかのうえのいらつめ)の娘さんです.大伴家持(おおとものやかもち)の従妹(いとこ)にあたりますが,恭仁京(くにのみやこ)の頃に大伴家持(おおとものやかもち)の正妻になったと考えられています.

たのしい万葉集: 大伴坂上大嬢(おおとものさかのうえのおおいらつめ)