今回取り上げる植物と,これらの絵の間にはどんな関係があるのでしょうか?
真珠の耳飾りの少女 - Wikipedia 夜のカフェテラス - Wikipedia
「はい,おそらくですが,フェルメールもゴッホも.今回取り上げる植物をパクってます」
植物をパクってる?どういうことですか?
「はい,え〜実際にその植物をみれば,一目瞭然です」
はい.
「今回取り上げる植物は,こちらです」
「つゆくさです」
つゆくさですか.
「これが実物大ですが,小さいですね.これ小さいので,----
9月27日(木)[Eテレ]後11:00〜11:30 / 10月7日(日)「Eテレ]前0:30〜1:00(再放送)※土曜深夜
NET BUZZ 10月11日(木)NHK総合 23:55〜
(バズる 別表記:Buzzる 短期間で爆発的に話題が広がり、多くの人の耳目や注目を集め、巷を席巻すること、といった意味で用いられる言い回し。主にインターネット上におけるソーシャルメディア等を通じた拡散などについて用いられる バズるとは?語源・意味・使い方。バズっている・バズったWeblio辞書 )
【出演】山田孝之,林田理沙
山田孝之 - Google 検索 林田理沙 - Google 検索
----こちらでよく見ていきましょう」
あ〜こう見ると,この青と黄色.色使いが一緒ですね
「そうですね.なぜ,フェルメールとゴッホは,ツユクサの色使いをパクったのか?実は,この青と黄色の組み合わせに,ツユクサのしたたかな生存戦略が隠されているんです.ということで,今回はツユクサから学びます」
「ツユクサは日本全国の道ばたや空き地などで,ごく普通に見られる一年草です.
https://ww1.fukuoka-edu.ac.jp/~fukuhara/keitai/tsuyukusa.html
咲く時期は夏から秋.早朝に咲き,5〜6時間後のお昼にはしぼんでしまう,文字通り,朝露のようにはかない花.それがツユクサです」
ああ〜.山田さん.早速ですが,このツユクサの青と黄色のコントラストには,どんな生存戦略が隠されているんですか?
「はい,こちらをご覧ください.
これはスクールメイツの前で踊る,ザ・ドリフターズです.なぜ,ザ・ドリフターズのうしろに,スクールメイツがいるか分かりますか?」
やっぱい,華やかに見えるからですかね?
「答えは,ザ・ドリフターズを際立たせるためです.ザ・ドリフターズがおじさんであるのに対し,スクールメイツは若いギャルです.」
ええ.
「際立たせたいものがあるならば,真逆の資質のものを後ろに置けばいいんですね」
ああ,そうなんですね.
「え〜,こちらをご覧ください」
はい.
https://yusukehirao.com/haircolor
「これは,色相環の図です,これによると,青の反対の色は黄色なんですね.つまりツユクサは主役である黄色を際立たせるために,真逆の青を背後に使ってるんですね」
ああ〜.山田さん.では,このツユクサは,なぜ,黄色を際立たせたいんでしょうか?
「それがツユクサのしたたかな生存戦略なんです.この黄色は何か?ずばり.花粉です」
花粉.
「はい,実はツユクサに限らず,花粉は昆虫にとって食べ物なんですね」
あれ,でも山田さん.おかしいですよね.植物にとって,花粉は虫に運んでもらうもので,食べられてしまっては,困りますよね.
「では聞きます.そんなイージーなミスを,ツユクサがすると思いますか?」
いや,しないですよね.
「はい,ではここで,ツユクサの生存戦略,二つ目をご紹介しましょう」
「この虫が飛びついた黄色いところ.実は偽物です.ここに花粉はありません」
えっ,これ偽物なんですか?
「そうなんです.これは,花粉に似せた単なるオブジェ.全ては昆虫をおびき寄せるトラップだったんですね」
本物じゃないんですね.
「つまり,こういうことです.これは繁華街にある夜のお店の看板パネルの写真です」
きれいな方ですよね.
「はい,え〜しかし,大抵,この写真パネルと同じ女性は,このお店にはいません」
いないんですか?
「はい,全ては男性客を店内に呼び寄せるトラップなんです」
トラップ.
「はい,え〜,例えば,看板パネルのこちらの女性が気になって,お店に入ったとします.しかし,実際に出てくるのは,こんな女性です」
あ〜,写真と全く違いますね.
「そうですね.同一人物なのに,まるで,別人のようですね.これはいわゆるパネルマジック,パネマジと呼ばれるものですが,これは,偽物で客を釣るという点で,完全にツユクサを参考にしています」
でも,ツユクサの花粉が全部偽物だったら,ツユクサは命をつないでいけないですよね.
本物の花粉はどこにあるんですか?
「いい質問ですね」
ありがとうございます.
「VTRをご覧ください」
(VTR:)
「さっきの黄色の偽物の花粉の下の方に,ほら,一つ,虫の目線で見ると,偽物の花粉のすぐ近くに,ほら,つぶつぶが.これが本物の花粉なんです」
ツユクサ - Wikipedia https://ww1.fukuoka-edu.ac.jp/~fukuhara/keitai/tsuyukusa.html
へ〜.
「『やった,花粉だ!』と虫は飛びつきます.そして,このように虫は花粉を食べ始めます」
でも,山田さん.虫に花粉を食べられてしまったら,ダメですよね.
「では,もう一度聞きます.」
はい.
いや,思いません.
「では,ここで,ツユクサの生存戦略.三つ目をご紹介しましょう」
「こちらの,虫目線の映像をご覧ください.実は,この黄色い花粉,ちょっとしかないんですね」
ちょっとしかないんですか?
「はい.ちょっとしかない花粉を食べている虫は,『少ないな〜.足りないな〜.でも,こっち偽物だしな.はあ〜,しょうがない,他の花,行くか』---とこのツユクサを離れて,別のツユクサへと飛んでいくんです」
でも,山田さん.結局花粉を食べられただけで,花粉を運んでもらうという希望は,かなえられていませんよね.
「では,もう一度,聞きます.もう3回目です」
はい.
いや,思いません.
「実は,少ししか花粉がついていないおしべの下の方に,ツブツブがいっぱい」
ツユクサ - Wikipedia https://ww1.fukuoka-edu.ac.jp/~fukuhara/keitai/tsuyukusa.html
ほ〜.
「虫が見つけにくい,地味な色をした花粉がたっぷりあるんです.
え〜,つまり,虫が夢中で真ん中のおしべにある少ししかない花粉を食べているとき,この見えにくい花粉が,虫にたっぷりついてしまう仕掛けになっているんです.虫は花粉がたっぷり自分についた事に気づかないまま,花粉を他の花へ運んでいく」
へ〜.
「実に巧みな生存戦略なんです」
ふ〜ん.ツユクサはすごいですね.
「つまり,パネルマジックでだまされて店に入ってきた客は,想定外の女性の登場にがっかりしたものの,この女性とそれなりに楽しもうと思った瞬間,『もう閉店です』.この女性から,お店がもう店じまいであることが伝えられます.これは男性にとって,つらいことだと分かりますか?」
いや,もう,もやもやしそうですね.
「はい,もっと遊びたかったのにな,って顔をしてると,この女性が更にこんなことをいってきます.『この店の系列店だったら,近くにあるよ』.こう言われて,その店に行かない男性はいません.なぜなら,ちょっとだけその気にさせられちゃってますから.男たちは,次々に系列店へ足を運びます.世の中にある,夜の店の人気店は,ほぼ全て,このツユクサシステムを,採用しているといって,間違いないでしょう」
はあ〜.ツユクサ恐るべし,ですね.
「はい.でも,そんなツユクサにも試練はあります.
ツユクサの花は,早朝に咲いて,昼にはしぼんでしまう.わずか数時間の命.その間に,客である虫が一切来ないまま,しぼんでしまう場合もあるんです」
ふ〜ん.なんだか切ないですね.
「でも,ツユクサは諦めません.花がしぼむ場面です.
ツユクサの受粉のしかた | クリップ | NHK for School
自分のめしべを,自分のおしべの花粉にくっつけました.なんと,これ,一人きりで生殖活動しているんです.自分でおしべとめしべを巻き上げながら行う一人セックス.これは自家受粉といって,ちゃんとタネができて,確実に子孫を残せる,ツユクサ最後の生存戦略なんです」
ふ〜ん,なんだか,すごい執念を感じますね.
「はい,あらゆトラップを仕掛けて客を誘う.それでも客が来ない場合は,自分で落とし前をつける.これがツユクサの生き方です」
はあ〜,なるほど.
山田さん,ありがとうございました.
「ありがとうございました」
“植物に学ぶ生存線戦略” また,次回もお楽しみに.