食用としてのタンポポ
日本
タンポポが食用になることはよく知られていて,クックパッドにも200近いレシピが投稿されています.
お好み焼き,天ぷら,ジャム,ソース,和え物,酢の物----
葉,茎,花,根---使用する部位は様々.
在来種タンポポは,太古の昔から日本で生育していました.
固有種と言えないまでも,朝鮮半島と日本にしか見られない種とのこと.日本列島が大陸と分離する前から?http://ousar.lib.okayama-u.ac.jp/files/public/5/50391/20160528101309363941/bbr_47_1-2_123_140.pdf
当然,食べられ続けてきたに違いないのですが---
タンポポの名前は江戸時代にまで文献には現れず,それ以前から食べられていたことを断定できないのはもどかしいところ.
日本百科大全書によれば,
倭名類従抄(わみょうるいじゅしょう)』(931~938ころ)では,”「蒲公英」にタナ(多奈、太奈)とフチナ(布知奈)の和名をあてる”.
タナはハハコグサかタビラコとの説もあることから,タンポポが食べられていたと言い切ることはできませんが---.
日本人の野草への愛着から考えても,当時食べられていたと考えるべきでしょう.
江戸時代になると,本朝食鑑(1697年)の菜部(野菜類)に“多牟保保草(たんぽぽ)”の記載が見られるとのこと.
江戸時代には確実に野菜として食べられていました. https://www.jstage.jst.go.jp/article/jhej/70/4/70_214/_pdf/-char/ja
なお,タンポポの根は苦味健胃薬(蒲公英根ホウコウエイコン)に,全草が利尿薬等(蒲公英ホウコウエイ)に用いられてきました.
健胃薬としての使用は洋の東西を問わないようです.
|東邦大学薬学部|薬用植物園|ハーブ園|カントウタンポポ| 東北大学大学院薬学研究科・薬学部 附属薬用植物園 タンポポ,たんぽぽ,蝦夷蒲公英,蒲公英(ぼこうえい),蒲公英根(ぼこうえいこん),Taraxacum hondoense,キク科タンポポ属
漢方薬「蒲公英根」(ほこうえいこん)を自 | たんぽぽ普及協会
国外
“cooking of dandelion”で検索すると,沢山の料理が並びます.
タンポポコーヒー,クッキー,サラダ,ゼリー,----
cooking of dandelion - Google 検索
しかし,英語検索でみつかるタンポポ料理は,日本同様,米英でも一般的とは言い難いようです.
例えば,あるサイトでは「アメリカの“超越主義”思想家ラルフ・ワルド・エマーソンの雑草に対する考え方に心から同意する」と記してから,レシピの紹介に移っていました.
16 Dandelion Recipes | The Prairie Homestead
アメリカでは,環境指向の強い方々の間でのみ食べられている?
一方,「フランス料理ではタンポポを用いる」としている日本語のサイトをよく見かけます.しかし,タンポポを販売している店はほとんど見かけないとするブログがありました.https://aplusfleur.exblog.jp/19635898/
現代では,余り食べられていないのかもしれません.
ただ,白アスパラガスのように遮光して育てた白色ダンディライオンがあり,ピサンリ・ブラン(pissenlit blanc)と呼ばれて,かなり広く調理に用いられているようです.
緑色の葉は苦いのに対し,こちらはマイルドとのこと.
https://www.lejsl.com/edition-de-montceau-les-mines/2012/04/28/vert-ou-blanc-le-pissenlit
Recette pissenlit blanc - Google 検索
なお,イタリア料理では,西洋タンポポの葉をジラソーリ(girasoli)と呼び,サラダなどに用いているとのことです.
Insalata di girasoli - Google 検索
Asteraceae - Wikipedia キク科 - Wikipedia Cichorioideae - Wikipedia Cichorieae - Wikipedia