昨日
yachikusakusaki.hatenablog.com
に続く「白菜基本情報2」です.
今日も以前のブログ
と重なる内容になります.
1. 現在の白菜は白くない.
白菜と名づけられたように,白菜の外観は白.
もともとは,芯の部分も白に近かったのですが----
現在日本で流通している白菜は,切ってみると黄色.
最近ではオレンジ色に近いものもあります.
第四章 消費者のニーズに合わせて更なる品種改良を | 作りやすくおいしい 黄芯品種の礎! 「黄ごころ」シリーズとタキイの黄芯系ハクサイ | 品種ピックアップ | 最前線WEB - タキイ種苗
このように黄芯白菜が主流になったのは,1980年代になってからのことだそうです.
野口 勲「野菜の種、いまむかし 第八回ハクサイの話野菜の種、いまむかし8/ハクサイの話 野菜の種、いまむかし8/ハクサイの話 」
はその経緯を次のように記しています.
「黄芯白菜」の誕生
第二次大戦前に開発された白菜は,柔らかく味がよかったのですが,戦後,耐病性の強い(従ってあまりおいしくない)ハクサイへと育種の方向が変わり,様々な耐病性固定種が生み出されます.
そんな中,白菜も,異なる形質を持つ親をかけ合わせるF1(両親の形質のうち、優性だけが現れ、劣性は陰に隠れる傾向が強い)が主流になり,沢山のF1白菜が作られるようになります.
そして,ハクサイの形状を大きく変えたのが,昭和36(1961)年に販売開始された,中央部の葉が白くなく黄色の,黄芯=おうしん=ハクサイ「新理想」でした.
日本では,「白菜」の名にふさわしい「白い芯」にこだわってきましたが,新理想は,味の良さが認められて大産地茨城の一部に定着しました.しかし,「白いからハクサイだ」と思い込んでいる全国には,なかなか広まりません.
突然ブレイクしたのは,発表から二十年以上たった1980年代になってからのこと.当時,ハクサイは二個単位で売られていました.家庭でたくさんの白菜漬けを漬けていた時代の名残りです.ところがその年,ハクサイが不作で高値となり,半分に切って売られるようになりました.すると中の黄色い新理想が目を引き,口コミで広がって,「黄色いハクサイはおいしい」という評判が一挙に広まったのです.
2000年代に入ると,F1ハクサイの新品種は,黄芯ハクサイ以外発表されなくなってしまいました.「ハクサイは白いから白菜なんだ」と言っていた種苗会社も,こぞって黄色いハクサイを育成しはじめていたのです(⇒*).
おかげで,どんなにおいしくても,中の白いF1ハクサイの種は,つぎつぎ廃盤となり,入手できなくなっていきました.茨城などの大産地では漬物屋さん等の業務用大量需要に支えられた黄芯ハクサイしか作らなくなり,自家用品種は量がさばけないため,見捨てられていったのです.
⇒*タキイ種苗を例にとると:
https://www.takii.co.jp/tsk/saizensen_web/playback_hakusai/chapter1.html
”普通”の白い芯の白菜としては,「無双」「王将」がありますが,主力の黄芯系白菜としては,「黄ごころ」「きらぼし」「清黄」などを開発しています.「きらぼし」「清黄」を耐病性を付加した品種で,それぞれ根こぶ病,ベト病に対応したとのこと.
また,白菜は,秋冬どり,冬どりなど,収穫時期を変えて一年中流通するよう工夫されていますが,上記の三つの品種は,さらに品種改良が進められ,収穫時期に対応したシリーズとなっています.
例えば,「黄ごころ」シリーズは,始め厳寒期に収穫する品種でしたが,現在は,秋冬どり(「黄ごころ65」「黄ごころ75」「黄ごころ80」),暖地の冬どり(「黄ごころ85」 ),冬どり中晩性種(黄ごころ90)と5種類の品種があります.
2.白菜の栄養
「白菜には目立った栄養素はない」と言われています(ハクサイ - Wikipedia)が---
「野菜に期待される栄養素は,まんべんなくもっている」
「大量に食べることが出来る」
この二つの利点を忘れてはいけないように思います.
前回
http://yachikusakusaki.hatenablog.com/entry/2018/02/21/032530
にも掲載した他の野菜との比較の表をもう一度見ていきましょう.見にくい表で申し訳ありませんが
近縁のキャベツ,食べる回数としてはトップクラスと思われるレタス,栄養豊富な野菜として知られるほうれんそう等と比較しながら.
はくさい,レタスを含め,ほとんどの野菜は,生の場合,90%以上が水.三大栄養素は余り含まれないのが一般的.
ミネラルは豊富で,特に共通して多いのがカリウム.
はくさい・キャベツではカルシウムもかなり含まれ,牛乳の40%近い値です.一方,レタスはカルシウムが少ない.
マグネシウム,鉄,亜鉛などは,はくさいもレタスも同程度.はくさいで鉄をほうれんそうと同程度とろうとすると,ほうれんそうの7倍は食べなくてはいけませんね.(言い換えれば,7倍食べればホウレンソウ並みの鉄の摂取が可能).
野菜類はビタミン豊富と思われていますが,野菜によってかなり偏りがあります.
よく知られているように,ほうれんそう等緑黄色野菜にはカロテンが多いのに対し,はくさい・キャベツにはビタミンC.ビタミンCは,ほうれんそうにも多いのですが,多く持っていそうなレタスには,あまりありません.
ビタミンB1など,ビタミンB群は,野菜には余り含まれていないのが一般的.
沢山必要としないけれど重要なビタミンであるビタミンKや葉酸は,はくさい・キャベツ類にもレタスにも,かなり含まれていることが分かります.
食物繊維は,根菜類に比べると寂しい値ですが,相応の量は持っていると言えるでしょう.
結論として,「はくさいは野菜に期待される栄養素は,まんべんなくもっている」といえますね.
そして,大量に食べることができることを考慮すれば,とても優秀な野菜といっても過言ではありません.
十分なカルシウムを摂れる.ふだん飲んでいる牛乳の三倍食べれば.
かなりの鉄をとることも夢ではない.ほうれんそうの7倍食べれば.
ビタミンKや葉酸は,はくさいだけで必要量摂ることが可能.
もちろんビタミンCも.
カロテンだけは,ややものたりないのですが----
キャベツよりは多い.これは黄芯白菜が主流になったためかもしれません.
オレンジ色をしたはくさいならもっと多量のカロテンを持っているように思います.
豚バラ肉と白菜の重ね鍋(ミルフィーユ鍋)
一人前の白菜の量:250グラム!
豚バラと白菜の重ね鍋のレシピ・作り方 | 豚バラ薄切り肉 【AJINOMOTO PARK】
味の素のサイトのレシピは次の通り.
豚バラと白菜の重ね鍋の作り方
材料(4人分)
豚バラ薄切り肉 300g
白菜 1/2株(1000g)
「ほんだし」 大さじ2
A 水 6カップ
A しょうゆ 大さじ2
A 「瀬戸のほんじお」 小さじ1/2
白髪ねぎ 1本分(100g)
小ねぎの小口切り 3本分(30g)
しょうがのせん切り 1/4かけ分