昨年2月,白菜のあれこれについてまとめたことがあります.
その時は, “おかわり!にっぽん(NHKBS)”に続けて.
http://yachikusakusaki.hatenablog.com/entry/2018/02/20/013011 http://yachikusakusaki.hatenablog.com/entry/2018/02/21/032530
もう一度取り上げようと思いますが----
今回は,”まんぷく農家メシ!”の後,というところが違うだけで,内容は前回とほぼ重なります.
http://yachikusakusaki.hatenablog.com/entry/2019/11/10/222328 http://yachikusakusaki.hatenablog.com/entry/2019/11/11/220357 http://yachikusakusaki.hatenablog.com/entry/2019/11/12/235000
ハクサイ(白菜)とは - 育て方図鑑 | みんなの趣味の園芸 NHK出版
1. 白菜の起源と名前.
白菜は中国生まれ.
古代中国の華北で栽培されていたカブの類が南下し,華中のチンゲンサイの類と交雑して不結球ハクサイが生じたとされています.
現在のような結球したものは清の時代に生まれたという説が有力なよう.
(このサイトは現在削除されているようです.2018.2.20に閲覧済み)
中国語名は白菜.日本でもそのままの名前が使われています.
ちょっと注意したほうがいいのは---
・白菜をシロナと読むことがあり,その場合はツケナの意味.「漬物用の菜.アブラナ,カブ,タイサイなど.また、漬物にした菜」のこと(日本国語大辞典).
・また,中国では大白菜と呼ばれることもあるそうです.
一方,パクチョイ・チンゲンサイ・シャクシナなどを,青菜であるにもかかわらず,小白菜とも呼ぶことが.
白菜を大白菜と呼ぶのは,小白菜に対応した名前,と考えれば納得ですが,実際はどうなのでしょうか?
日本の書物に「白菜」という名前が登場するのは,薬品手引書(1778年)(日本国語大辞典).
この時,白菜がすでに日本にやって来ていたのかは不明ですが,長崎見聞録(1797年)に「唐菜」と書かれたものが白菜で,これから「長崎ハクサイ」が生まれたとのこと.(日本大百科全書 ハクサイとは - コトバンク )
結球した白菜は,1875年(明治8年),東京博覧会に清国が出品したものが日本での初お目見えとされています.(日本大百科全書 ハクサイとは - コトバンク 野菜の種、いまむかし8/ハクサイの話 )
白菜は,世界に広がっていて,私もアメリカのスーパーでよく見かけました(かなり昔のことですが).
その時はchinese cabbageで通じていたのですが---
もう一つの呼び名napa cabbageがよく使われているようです.
ただし,グーグルでは,「"chinese cabbage", recipes」でも「"napa cabbage", recipes」でも,沢山のレシピが検索されてきます.順序はともかく,どちらでも引っかかってくるサイトもかなりありそう.
chinese cabbage recipes - Google 検索
napa cabbage recipes - Google 検索
レシピの説明を一部読んでみると---
napa cabbage(chinese cabbage)と書かれているものや,chinese napa cabbageと呼んでいるサイトもありました.
なお,英語版ウィキペディア,英語版の記述をもとにしたと思われる日本語版ウィキペディアでは:
chinese cabbage と言う英語は,白菜のグループ(変種名B. rapa var. pekinensis)と青梗菜のグループ(変種名B. rapa var. chinensis)を合わせたものを指す言葉,としています.
英語版ウィキペディアの英文は次の通り:
Chinese cabbage (Brassica rapa, subspecies pekinensis and chinensis) can refer to two groups of Chinese leaf vegetables often used in Chinese cuisine: the Pekinensis Group (napa cabbage) and the Chinensis Group (bok choy).
おそらくその通りなのでしょう.しかし,実際「"chinese cabbage", recipes」での検索で,食材として用いられていた野菜は,全て白菜(画像的にですが)で,Chinese cabbage といわれて英語圏の人が,まず思い浮かべるのは白菜であることは間違いのないところと思われます.
2. 白菜はカブの栽培種の一つ??
日本国語大辞典では,白菜(はくさい)を次のように説明しています.
はく‐さい【白菜】
〘名〙 カブ(蕪)の栽培品種.中国北部原産と考えられる重要な蔬菜で,日本には明治時代に導入され,改良された結果,大正時代になって次第に全国に普及するようになった.
「カブ(蕪)の栽培品種」??
かなり引っかかります.専門家ではないので,どういう意味か,正確には分かりません.学名の変遷が関係している可能性があります.
白菜の学名は,Brassica rapa.
そして,Brassica rapaと最初に名づけられたのはカブ( turnip)だったそうです.以後,白菜はもとより,アブラナなど沢山の食用栽培品種が同じ種であることが分かって, Brassica rapaが統一した学名として採用されたとのこと.Brassica rapa - Wikipedia
系統樹的な位置づけはよく分かりませんが,このような学名の歴史からすれば,カブが本家.「カブ(蕪)の栽培品種」とみなすようになっていても不思議ではありません.
それにしても,いつも思うこと,そして,このブログで何回も書いたこと:
Brassica rapaの多様な姿には驚かされます.
カブ,ハクサイの他,
アブラナ,コマツナ,ノザワナ,チンゲンサイ,ターサイ.全て同一種で,学名はBrassica rapa!
アブラナ属 - Wikipedia アブラナ科 - Wikipedia Brassicaceae - Wikipedia
http://yachikusakusaki.hatenablog.com/entry/2017/09/21/012524
Brassica rapaの各種野菜は,ほぼ同じような花をつけます.
菜の花と言えば,アブラナの花を指すのが一般的でしょうが,Brassica rapaの野菜の花の全てを菜の花とする考え方も生まれています.
白菜の花
http://www.hanakotoba.name/archives/2005/09/post_174.html
野菜の花 果樹の花 (2005年3月 カブ) - 神奈川県ホームページ 青梗菜とは - 難読語辞典 Weblio辞書
また, Brassica rapaの各種野菜はとう立ち菜(つぼみをつけた状態の蔬菜)が美味しいという共通点も持ち合わせています.
余り手に入らない,白菜のとう立ち菜.一度食べる機会がありました.美味!
紹介しているサイトがありましたが,注文可能かどうかはよく分かりませんでした.