キャベツの花.
余りお目にかかりませんが---.
ハクサイの花を取りあげたときにも,同じ書き出しでした.
yachikusakusaki.hatenablog.com
キャベツの花は見たことはありませんでしたが---.
ハクサイとほとんど同じ.
キャベツ - Wikipedia Cabbage - Wikipedia
というより,何回もこのブログで取りあげたように
アブラナ属の花は,皆,見分けがつかないぐらい似ています.
キャベツは,
アブラナ目 Brassicales,アブラナ科 Brassicaceae,
アブラナ属 Brassica,
ヤセイカンラン B. oleracea(種の名前)
キャベツ B. oleracea var. capitata (変種としての名前)
種の名前 “ヤセイカンラン”
漢字で書くと「野生甘藍」.野生の甘藍ということですね.甘藍はキャベツのこと.
このヤセイカンランの英語名は----wild cabbage(野生キャベツ).
同じですね.というより,wild cabbage の日本語訳がヤセイカンランということでしょうか.
西ヨーロッパの地中海からイギリスにかけて分布し,海岸付近の石灰岩崖地を好んで自生する、アブラナ科アブラナ属の野草,のこと.ヤセイカンラン - Wikipedia Brassica oleracea - Wikipedia
属の名前 Brassica
ラテン語でキャベツのことのようです.Brassica | Define Brassica at Dictionary.com brassica | Definition of brassica in English by Oxford Dictionaries
ローマの博物学者プリニウスの命名?Brassica - Wikipedia
種を特定する後半部分,種小名 Oleate
“畑に栽培の”の意味. ハボタン| 広島工大について| 広島工業大学 Portulaca oleracea
とのことです.
変種としてのキャベツを表すcapitata
“頭状の”という意味とのこと.ハボタン| 広島工大について| 広島工業大学
そもそもキャベツのもとになったヨーロッパ言語,英語ならばcabbage.その語源はラテン語の “caput” で,これが「頭」の意味らしい.https://www.etymonline.com/word/cabbage キャベツ - 語源由来辞典
キャベツの歴史
英語版ウィキペディアBrassica oleracea - Wikipediaでは,
「農業,そして,野生品種の栽培品種化が行われるようになると,北地中海の人々が野生キャベツの栽培をはじめた.表現型の様々な特質を人為的に選択することを通して,ほんの二三千年の間に,外見上とても大きな違いを持った植物変異体が出現した」
With the advent of agriculture and the domestication of wild crop plants, the peoples of the northern Mediterranean began cultivating wild cabbage. Through artificial selection for various phenotype traits the emergence of variations of the plant with drastic differences in looks took only a few thousand years.
昨日も引用した下記の画像.
https://www.alic.go.jp/content/000138990.pdf http://www.japan-soil.net/report/h22tebiki_03.pdf
このほぼ全て(ハボタンは日本で品種改良が進められたというのが定説になっています)が,恐らく「人為的に」「北地中海の人々」によって行われた!
生物の大きな変異をもたらす年月と考えれば,とても短い二三千年の間に!
ということですね.
(江戸時代に日本に入ってきたB. oleraceaがどのようなものだったのか調べていませんが,日本のハボタンの品種改良もかなり短期間に行われていたことにも注目すべきでしょう)
History of Cabbage - Origins and Domestication of Cabbage では,その前に中国北部での栽培の歴史があった可能性にふれているものの,内容はほぼ同じ.
地中海原産については,日本語版weblioにある植物図鑑にも記載がありました.Brassica oleracea var.capitataとは - 植物図鑑 Weblio辞書
以上の説については,さらに詳しく検討を加えている(らしい)文献として「Domestication of Brassica oleracea L.」
https://pub.epsilon.slu.se/12424/1/maggioni_l_150720.pdfがみつかりましたが----
まだ読んでいません.というより読めそうもない?
なお,
日本語版ウィキペディアキャベツ - Wikipedia ヤセイカンラン - Wikipediaでは,野生キャベツとキャベツの歴史について「古代よりイベリア人が,主に薬草として利用していたとみられ,後にケルト人に伝わり,キャベツをはじめとする様々な野菜の原種となった」 とあり,
日本語の幾つかのサイト(官公庁のものも含め;例えばきゃべつ 甘藍 産地 野菜 栄養 機能性 調理)にも,日本語版ウィキペディアをそのまま写した(?)ような,同様の記述がみられます.
しかし----
・この中の「古代よりイベリア人が,主に薬草として利用していた」に相当する記述は,英語版ウィキペディアはもちろん,新たに英語検索をしてみてもみつかりませんでした.
・そもそも,「イベリア人」も「ケルト人」も,近年見直しがすすんでいるものの,不明な所が多く残る民族とのこと.
・そして,英語版ウィキペディア等の記述は,上記の通り.
以上から,引用文献もない日本語版ウィキペディア:キャベツ - Wikipedia ヤセイカンラン - Wikipedia の記述は,「信頼度がかなり低い内容」と考えておいた方が良いと思われます.
(外国の歴史・文化についての日本語版ウィキペディアの記述は,余り信用できないというのが私の感想.いつもお世話になりながらケチをつけてすみません.
⇨ 最近は,英語版ウィキペディアを日本語訳にしたものもかなり見受けられるようになりました.外国の事象の解説はこちらの方が信頼度が高いので歓迎ではあるものの,どこかに「英語版の翻訳」と書き添えておいて欲しいなと思います)
以上,
キャベツ,ブロッコリーなど “Brassica oleracea” について何とかまとめてみましたが,
アブラナ属 Brassica の中での種相互の関係
これについては,次のような仮説が提出されているとのこと.
U-トライアングルと呼ばれ,混ざり合って,人間にとっての有用植物が出現したというもののようです.
Triangle of U - Wikipedia U-トライアングル | Brassica 科の異質倍数体