現代のビールを特徴付けているホップ.
英語版ウィキペディア等から,ホップがビールづくりに使われるようになった歴史を簡単にまとめてみます.
Hops - Wikipedia The History of Hops | Dogfish Head Alehouse https://www.britishhops.org.uk/hops/history/
ビールにホップを加えたという記録は822年に遡れます.ただしこれはフランスの修道院の運営記録.野生のホップを使ってビールが作られました.
ホップ自体の栽培は,736年にはドイツで行われるようになっていましたが---,ビール製造に用いるためではなかったようです.
ラガービールの本場を自認するドイツでビールづくりにホップが用いられた記録は1079年のもの.そして,13世紀になるまで,ビールの風味付けの主役は「グルート⇒*」でした.
(⇒*多くの種類の苦みのあるハーブや花,例えばタンポポ,ゴボウ,マリーゴールド,ニガハッカ,グランドアイビー,ヘザーなど,からつくられていました)
ホップを使ったビールは,1400年頃にはオランダからイギリスへ伝わります.当時は,植物としてのホップは,むかつく有害な雑草と嫌われ者でしたが,1471年にはエールビールの製造にも用いられるようになりました.
ドイツでのホップの使用には,宗教上・政治的な理由もあったようです.グルートにはカソリック教会が課税したのに対し,ホップは課税対象でなかったため,プロテスタントはホップで作ったビールを好んだとのこと.
Hops - Wikipedia The History of Hops | Dogfish Head Alehouse https://www.britishhops.org.uk/hops/history/
主な生産国
現在ホップの最大の生産国はアメリカ.第二位がドイツで,この2国が突出した生産国となっています.
3位以下にはヨーロッパの国々が並ぶ中,中国でもかなりの量のホップが生産されていることが分かります.
国別のビール総消費量.中国は世界一なんです!
https://www.ryutsuu.biz/commodity/k122044.html
なお,一人あたりの消費量(2016年)では,中国は92位.
チェコ4位,オーストリア5位,ドイツは10位,アメリカ27位.日本104位.
世界のアルコール消費量 国別ランキング・推移(WHO) – Global Note
トップ3には赤道ギニア,セーシェル,ガボンと赤道直下の小さな国々が並んでいます.
日本でもホップの生産は行われていています.
東北三県が中心で,特に岩手県遠野地方が有名です.
ただ,「NHK新日本風土記ビール」によれば,栽培農家は年年減少しているとのこと.日本でもクラフトビールの生産が盛んになってきた昨今,日本産ホップの安定した供給が望まれています.