よもぎ(1) 若芽は食用.端午の節句には邪気払い.秋の葉の裏の綿毛は,お灸の材料もぐさ(艾).古来より親しまれ,枕草子でもとりあげられ,万葉集にも歌われています.

もうすぐ,よもぎもちの季節.

待ち遠しい.

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よもぎもち - Google 検索

 

わが家の庭にはヨモギは今のところ出てきていませんが---

かっての職場の庭は,ヨモギだらけでした.

一度,一定区画内に,どのような草が生えてくるのか,春から秋まで放っておいたところ---.春先は可愛い花たちで楽しめましたが,秋には結局,ヨモギだけに!

とても強い.

他の植物の発芽を抑制する物質を出す!

セイタカアワダチソウと同じとのこと(他感作用、allelopathy と言うらしい).納得!

ヨモギ - Wikipedia

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ヨモギ  https://matsue-hana.com/hana/yomogi.html http://www.geocities.jp/greensv88/yasou-zz-yomogi.htm

花壇にとっては最強の雑草の一つですが---

ご存じの通り,いろいろな目的で使われてきました.

「役に立つ雑草(野草)」という点では,かなり上位にランクされるでしょう.

 

若芽は食用.よもぎ餅だけではありません.

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よもぎ レシピ - Google 検索

端午の節句には邪気払い.

芳香が邪気をはらうと考えられていました.(山田卓三「万葉つれづれ」)

枕草子』にも次のように:

「節(せち)は五月にしく月はなし。菖蒲(しょうぶ)、蓬(よもぎ)などのかをりあひたる、いみじうをかし」

江戸の歳時記|5月 端午の節句 | Noren

 

秋の葉の裏の綿毛は,お灸の材料もぐさ(艾)に.

乾燥させるために燃えやすいのですが,炎が上がらないために燃焼温度が高くなりません.昔は火打ち石から火をとる火口(ほくち)にも使用されていたとか.

もぐさの話 - 灸法臨床研究会

 

古来より親しまれ,万葉集にも歌われています.

一首だけ.しかも長歌ではありますが---

楽しい万葉集 

たのしい万葉集(4116): 大君の任きのまにまに取り持ちて

万葉集 巻十八 4140(4116)

大君の,任(ま)きのまにまに,取り持ちて,仕ふる国の,年の内の,事かたね持ち,玉桙(たまほこ)の道に出で立ち,岩根(いわね)踏み,山越え,野行き,都辺(みやこへ)に参ゐし我が背を,あらたまの年行き返り,月重ね,見ぬ日さまねみ,恋ふるそら,安くしあらねば,

霍公鳥(ほととぎす),来鳴く五月のあやめぐさ,蓬(よもぎ)かづらき,酒みづき,遊びなぐれど,射水川(いみづかは),雪消(げ)溢(はふ)りて,行く水の,いや増しにのみ,-----

大伴家持

 

楽しい万葉集 たのしい万葉集(4116): 大君の任きのまにまに取り持ちて

天皇の命令通りにお仕えしているこの国の一年の政(まつりごと)の結果を報告書にして,岩を踏み・・・山を越え・・・野を行き・・・,都へ上って行ったあなたに,年が変わり月日が過ぎても会えないので,恋しくて落ち着きませんでした.

だから,ほととぎすが来て鳴く五月の菖蒲草(あやめぐさ)や蓬(よもぎ)を縵(かずら)にして,酒宴をして心を慰めようとしたけれど,射水川(いみづかは)の雪解け水が流れて行くように恋しさは増すばかりです.----

 

米朝臣廣縄(くめのあそんひろのり)が,天平二十年(748)に都に越中の国の年次報告をしに行きました.報告も終わって,翌年の天平感宝元年(749)の5月27日に無事帰ってきたことを祝って,大伴家持(おおとものやかもち)が酒宴をし,この歌を詠んだということです.