あまり見かけない野草ソクズ(蒴藋)を線路脇で見つけました.なかなかきれいな花で一部は赤い実に.民間薬として用いられてきたとか. 今日も気になる新型コロナ感染爆発.「新規感染者数が一日に20万人を超える状態があと10日も続くようなら、行動制限の検討が必要となってくる」(東邦大 脇田) しかし,NHKやテレビ各局,朝日・読売・毎日は,死者の急増にほとんど触れていません.なぜ? 「死者は(流行の)『第6波』のピークに近いレベルまで急上昇しており---」10日アドバイザリーボード

台風が近づいているためでしょう.今日は曇,時々雨で,比較的涼しい1日でした.

夕方ではなく三時過ぎに散歩.仕事休みでしたし.

途中,あまり見かけない野草に出逢いました.

PictureThisの判定は,ソクズ.クサナメトコの別名もあるレンプクソウ科,ニワトコ属の植物とのこと.

なかなかきれいな花です.一部は赤い実になっていました.

ソクズ(蒴藋)とは奇妙な名前ですね.

「名は、中国名のサクダク(蒴藋)から転訛(てんか)したものという。」とはニッポニカの解説.

ソクズとは - コトバンク

薬用に用いられ,生薬名は「サクチョウ(蒴藋)」.読み方が違いますが,漢名「蒴藋」から日本名「ソクズ」がつけられたようですね,

【生薬名】サクチョウ(蒴藋)
【薬用部分】全草
【用途】民間薬としてリウマチ・神経痛・むくみの解消等に利用
【成分】トリテルペン(ウルソール酸)、硝酸カリウムなど

ソクズ | 公益社団法人東京生薬協会

 

 

 

今日も気になる新型コロナ感染爆発.

NHKのニュースでは,東邦大の舘田先生が

「病床の使用率が高まり、医療がひっ迫してきている中で、新規感染者数が一日に20万人を超える状態があと10日も続くようなら、行動制限の検討が必要となってくる」

と言っていました.

しかし,私が気にかけている死者の急増には全く触れていません.NHKやテレビ各局,朝日・読売・毎日は,死者の急増に触れることがタブーになっている?

オリンピック時の新型コロナ報道と同じ?

 

10日の厚労省アドバイザリーボードの分析:「死者は(流行の)『第6波』のピークに近いレベルまで急上昇しており、今後さらに増加することが懸念される」

は,共同通信が記事としていて,

コロナ死者、今後さらに増加懸念 厚労省専門家組織(共同通信) - Yahoo!ニュース

東京新聞神戸新聞をはじめ,多くの地方紙が配信しているというのに(多くはベタ記事ですが)

コロナ死者、今後さらに増加懸念 厚労省専門家組織:東京新聞 TOKYO Web

 

 

以下昨日までのデータを,

COVID-19 Data Explorer - Our World in Data から.

 

 

 

 

 

 


夏休みに入り,学校等でのクラスターは減少していますが,高齢者施設でのクラスターはかなり増加しています.
施設で亡くなっている方も多いのでは?

データからわかる-新型コロナウイルス感染症情報-

新学期が始まる9月までにどこまで感染拡大が収まっているのか?

高いレベルでの感染が続くようならば,まずは緩やかな行動制限,そして学校の休校は視野に入ってくるのではないでしょうか?

その間に,高齢者の死は積み上がっているでしょう.政府や主要メディアはいつまで無視し続けるのでしょうか.

サルスベリの花が美しい季節:さるすべりの老い立てる木にくれなゐの散りがてに咲く花を惜しみつつ 斎藤茂吉  今日も気になる新型コロナ感染爆発.感染者数は世界一のまま高止まり.第6波ピークを上回るのは時間の問題といった死者数の増加速度.このまま半月増え続ける? 想像するとぞっとします.ニュースは重症者数/病床の空きを報道していますが,この数が死者の増加を反映していないことは第6波で明らか.死者数の増加とその予測を報道しないテレビ・新聞の罪は大きい.専門家に聞けば分かるはず.

暑い8月は,サルスベリの花が美しい季節.

 

さるすべりの老い立てる木にくれなゐの散りがてに咲く花を惜しみつつ

  斎藤茂吉 (白桃)

 

妙宣寺 豪雨のあとの庭 潔し—。ひろく流るゝ 百日紅のはな  釈迢空 (倭をぐな)

 

 

 

今日も気になる新型コロナ感染爆発.

第6波のピークを越えて三週間あまり.20万人の感染者が続いています.



ただし,ここ二週間あまり,増加はほとんどしていません.

ピークを迎えていると思われます.

とはいえ,世界一の感染者数のまま高止まり.ヨーロッパ全体の感染者数を超えています.

人口あたりの感染者数でも1位をバルバドス(東カリブ海の島国)と争っています.

「G7+豪」の比較では,人口あたりの感染者数でもダントツ1位.ただし,オーストラリア,イタリア,フランスなどは,7月に日本と同程度の人口あたり感染者を出していました.同じような経緯をたどるとすれば,日本もそろそろ感染者数が減少に転じることになる?

 

問題の死者数.

ワクチンと経口抗ウイルス薬で,死者は抑えられるのではとの淡い期待がありました.

しかし,第6波の二倍強の感染者の下,死者数も急速に増加.第6波のピークを上回るのは時間の問題といった速さです.

 

既に感染拡大期を終えたオーストラリア,イタリア,フランスは,感染者の増加に遅れて死者の急激な増加に見舞われましたが,その局面を脱しつつある様子です.

感染者数の顕著な増加は報告されなかったイギリスもオーストラリア,イタリアと同程度の死者を記録.イギリスは感染者数の把握をしていないのでは?

日本は,これらの国と比較すると,まだ,人口あたり死者数は低い値ですが,感染者の急増が半月は遅れていたので,死者の増加も半月は遅れておかしくありません.今の速度で,半月死者が増え続けることを想像するとぞっとします.

 

日本のニュースでは,なぜか死者数の急増をほとんど報じていません.

なぜ???

 

代わりに必ず報じられるのが重症化した人の人数と,重症者用病床の占有率.重症化した人が少なく,病床に余裕があれば死者も抑えられているはず,と考えている?

病院の逼迫の程度を表す指標として何も考えずに報道だけしているようにも感じますが,この重症者数が死亡者の数を反映していないことは,既に第6波で明らかにされていたこと.

軽症⇒中等症⇒重症⇒死亡のコースをたどらない死が沢山ある!

<新型コロナ>第6波「致死率」が「重症化率」上回る 医学的には重症なのに…「軽症」扱いで亡くなる高齢者相次ぐ:東京新聞 TOKYO Web

 

 

下の図を見ても,第5波と第6波では,重症化した人数と死亡者の間の関係は,全く異なっています.

オミクロンが優勢な感染爆発では,重症者数は,死者を予測する数値ではなくなっている.

そのことを知りながら,「重症者用病床には余裕がある」と報道し続け,死者数の増加には目をつぶっているテレビ・新聞の罪は大きいと思います.

https://covid19.mhlw.go.jp

 

なお,別の問題として,病床数は,実際にコロナに使える病床数を反映しておらず,占有率に空きがあるように見えても,実際には満床といった事態が一般的に起こっているという現場からの報は数多くあります.

「占有率」に問題あり:これもまた事実と思います.

病院の逼迫は半端ない.:これも事実.

加えて,病院の見えないところでの死もたくさん起こっている.

悲惨です.

サルスベリが満開です.ただし,鎌倉妙本寺では,4株あるうち,一番若い木はたくさん花がついているのですが,後はやや少なめ. そして,今日も気になる新型コロナ感染爆発.死者は増え続け,第6波を上回るのは時間の問題のようです.昨日の死者は,7日間平均で182人/1日.この一週間で1274人亡くなっている!  第7波では一体何人亡くなるのでしょうか?政府は、このような状況になっても「経済優先,高齢者の死を黙認」. 「何故そのような施策を採るのか」の説明もなしに.

鎌倉妙本寺では,今,サルスベリが満開です.

ただし,4株あるうちの,鐘楼横の一番若い木はたくさん花がついているのですが,1番目2番目に大きな木はやや花が少なめで,例年より見劣りする感じ.

 

もう一本の老木.今年も元気に花をつけていました.安心しました.



 

 

もう終わりにすると言いながら,気になる新型コロナウイルス感染爆発.

死者は増え続け,第6波を上回るのは時間の問題のようです.

立ち上がりの一ヶ月を,比べてみてください.

今回の増加のスピードは,第6波の1.7〜1.8倍.

これだけの死者が出ていて,更に急激に増加しつつあるのに,ニュースでほとんど取りあげないのが不思議です.

7日間平均で182人/1日ということは,この一週間で1274人亡くなっていると言うこと.

第7波では一体何人亡くなるのでしょうか?

 

現在,中等症以上の治療に携わる病院の逼迫具合はかなり酷い!

 

F. Sakamoto,MPH,CIC 坂本史衣
@SakamotoFumie
限界を超えている状態が日常化
 

死者が出ない方がおかしいと思います.

病院にたどりつかないで亡くなる方もたくさんいるでしょう.

高齢者施設の方々は,入院できないで(入院の打診もせずに?),そのまま施設で亡くなるのでは?

そして,少なくない高齢者が,「重症化」せずに亡くなっているのでは?暗黙の(自らすすんでの,または周りの空気を読んでの)トリアージによって.

 

 

1日の死者数は,世界第3位.

 

人口あたりの1日死者数は,ドイツ,アメリカとほぼ同じ.

 

死者の増加のスピードは,G7で飛び抜けて早い.このまま行くと,イタリア,イギリスに追いつくのも夢ではない.いや,悪夢が現実に!


1日の死者の数では,西欧先進国なみになった日本.
そして,病院の治療現場の惨状は,現在,おそらく,先進国第一(世界第一?).他の国では「感染爆発」は起きていないようです(オーストラリア,イタリアは既におわったようです).ニュースとしても他国からはあまり聞こえてきません.
 
マスコミから聞こえてくる国民への呼びかけは,「若い方,軽傷の方は自宅療養してください」のみ.
しかし,中等症以上の方の治療現場の逼迫は,軽傷者が病院に押しかけているためでは決してないでしょう.軽傷者が押しかけても,「中等症以上の治療現場が限界を超える」ことはありえないと思います.普通に考えて.
そして,入院待ちの救急車が,列をなしている所もある!中にいるのは軽傷者ですか?そんなことはあり得ません.
 
政府は、このような状況になっても「経済優先,高齢者の死を黙認」.
「何故そのような施策を採るのか」の説明も,「国民に覚悟」を問うことも無しに.

鎌倉妙法寺へ,雑草以外にも,ひまわり等,夏らしい植栽を見ながらの道行き.妙法寺の真夏の境内.花は多くはないものの,それなりに楽しめます.ムクゲ,キキョウ,ユリ---.苔階段は仁王門の奥.真夏の強い光を木立が遮り,一瞬夏を忘れる苔階段.気分だけで実際にはとても暑いのですが. 今日も気になる新型コロナ感染爆発. 死者は増え続けています.そして1日あたりの新規死亡者数(7日間平均)は,世界第3位になっています.話題になっていないのは何故??高齢者の静かな死を見ないふり?

昨日取りあげた雑草.

散歩で見つけた雑草の花たち.面白い花の代表,ジュズダマ.昔遊んだ記憶がありますが,当時に比べれば見る機会がぐんと減ってしまいました. 不思議な奇妙な花です.他に,オオイヌタデ,ヤナギハナガサ - yachikusakusaki's blog

散歩の途中で見かけたものですが,散歩の到着地は鎌倉妙法寺でした.雑草以外にも夏らしい植栽を見ながらの道行きでした.

ひまわり,アベリア(ツクバネウツギ),マリーゴールド---

 

妙法寺は,日蓮の草庵後に建てられたお寺と言われています.鎌倉市/妙法寺(みょうほうじ)

苔階段で有名なお寺で,このブログでは何回も取りあげてきました.

真夏の境内.花は多くはないものの,それなりに楽しめます.

よく知られた花たち.

 

あまり見かけない,花と実.

花はミソハギ?実はヤブミョウガです.

どこにでもあるミズヒキ.雑草かどうかは見方によりますね.

 

苔階段は,仁王門の奥になります.

 

真夏の強い光を木立が遮り,一瞬夏を忘れる苔階段.気分だけで実際にはとても暑いのですが.

 

 

今日も気になる新型コロナ感染爆発.

死者は増え続けています.

 

COVID-19 Data Explorer - Our World in Data

 

 

そして1日あたりの新規死亡者数(7日間平均)は,世界第3位になっています.

COVID-19 Data Explorer - Our World in Data

 

話題になっていないのは何故??

高齢者の静かな死を見ないふり?いつから日本はこのような国になってしまったのでしょうか?

先日の雨で,雑草たちは息を吹き返しています.昨日の夕方散歩で見つけた雑草の花たちを紹介します.まずは,面白い花の代表,ジュズダマ.昔遊んだ記憶がありますが,当時に比べれば見る機会がぐんと減ってしまいました. 不思議な奇妙な花です.他に,オオイヌタデ,ヤナギハナガサにも出逢いました. 気になる新型コロナの感染爆発.死者は増え続けています. 第6波を超えるのではないでしょうか?

暑い1日でした.暫くこのような猛暑が続くそうです.嫌になりますが,人出が減ってコロナ終息を早めてくれるかもしれないとも---

 

8月は,花が少ない月で,やや寂しい気持ちになります.

でも,先日の雨で,雑草たちは息を吹き返しています.昨日の夕方散歩で見つけた雑草の花たちを紹介しましょう.

雑草はおもしろいし,かわいいものですね.(わが家のものでなければ)

 

まずは,面白い花の代表,ジュズダマ

昔遊んだ記憶がありますが,当時に比べれば見る機会がぐんと減ってしまいました.

不思議な奇妙な花です.

「構造が複雑過ぎて、見る者は呆気にとられる。」との記載もありました:ジュズダマ(数珠玉) - 庭木図鑑 植木ペディア

総状に見えているのが雄花序.雌小穂は,卵球系の包鞘(ほうしょう *⇒)に包まれ,外からは見えない.

ジュズダマとは - コトバンク

http://www2.kobe-c.ed.jp/shimin/shiraiwa/juzudama/juzu7.html

*⇒包鞘(ほうしょう) 

秋にさらに固くなった時にジュズダマ遊びをする部分.

総苞[頭状花の基部にあり全体を包むような構造物]に相当するもので、非常に固くなったもの.

http://www2.kobe-c.ed.jp/shimin/shiraiwa/glossary/index.html#souhou

この包鞘が「濃褐色で、爪(つめ)で割れる堅さのものが変種のハトムギで、穎果は健康食品や漢方薬とする ジュズダマとは - コトバンク

 

ジュズダマは,漢字では数珠玉で,糸を通して数珠玉遊びをするほどですから,語源も「数珠」からと思ってしまいますが,次のような柳田国男の考察もあるそうで,語源としては,こちらが有力なのかと思わされます.

 

ジュズダマ 文化史 :有史以前から利用され、柳田国男(やなぎたくにお)は『人とズズダマ』(1952)で、その語源と由来を論じた。柳田は、ジュズダマの名は仏教の数珠に基づくのではなく、珠(たま)や粒と関連する古語のツスやツシタマから、現代も方言に残るズズダマを経て、ジュズダマになったと推察した。『延喜式(えんぎしき)』(927)には薬物として載る。[湯浅浩史 2019年8月20日

ジュズダマとは - コトバンク

 

その他に出逢った雑草.かわいい花たち.

オオイヌタデ

ほとんど気にしたことがなかった花ですが,小さな白い花はとてもかわいらしい姿形をしています.イヌタデは花が咲いているのか蕾なのかよく見ないと分からないのですが,こちらはしっかり「咲いている」と確認できますね.

 

ヤナギハナガサ.

サンジャクバーベナ,タチバーベナとも.

園芸種のような姿形です.戦後の「侵入生物」として,データベースに載っています.

ヤナギハナガサ / 国立環境研究所 侵入生物DB

 

 

最後に,やはり気になる新型コロナ.

新規感染者はピークアウトする様相ですが---

死者は増え続けています.

第6波を超えるのではないでしょうか?

 

G7+豪の中で,直近の死亡者の増加は一二位を争っています.アメリカも再び増え始めていますが.

 

オーストラリアの後追いをして,過去のすばらしい結果を食い潰さないでほしい.何より,過去の栄光?に浸ることなく,現在,亡くなっていく人たちの無念に思いをはせてほしい.

素人目で見るかぎり,第7波の死亡者は,第6波の死亡者(1万人強)と同等かそれ以上の数を記録する可能性が高いように思われます.第6波は,日本全体の死亡者を目に見える形で押し上げ,「『超過死亡』の増加」は,それまでの感染拡大によるものを大幅に上回ってしまいました.今年の平均寿命がどれほど下がるのか?アメリカでは新型コロナはエンデミックの状態になったという議論があるようです.第7波の終息時期になれば,日本でもその議論が起こると思われますが----NYTimesの記事のブリーフィングを掲載します.

今日も気温上昇は抑えられ,すごしやすい夏の一日でした.

明け方に雨で植物の水やりもスルー.雑草も同時に元気になっていて頭痛の種.

この一週間,新型コロナの話題を取りあげ続けてきました.「移動制限はしない」一点張りの政府対応に腹が立ったからですが,今日で一区切りにしたいと思っています.

 

「移動制限なし」=「死者の増加は許容」の結果,世界一の感染者に続き,死亡者も予想通り(政府の予定通り??)増加してきています.

第6波の死亡者と同等かそれ以上の数を記録する可能性が高いように思われます.

第6波の死亡者数は,1万人強.

これだけの数の死亡者を出しながら,政府は何事もなかったかのように振る舞い,マスコミもほとんど話題にしていない(ように感じています)

実際には,第6波は,日本全体の死亡者を目に見える形で押し上げ,「『超過死亡』の増加」は,それまでの感染拡大によるものを大幅に上回ってしまいました.

週毎 - 死亡数 | exdeaths-japan.org

新型コロナの感染拡大は,昨年の日本人の平均寿命を下げていましたが,

日本人の平均寿命 10年ぶりに前年下回る コロナ要因の一つか | NHK | 新型コロナウイルス

第6波に加えて第7波が拡大中の今年の平均寿命がどれほど下がるのか?

「高齢者を中心とした直接の死」に加え,「生活困窮」等,経済的/心理的な影響による自死等も『超過死亡』の増加に寄与していると考えられているようです.

しかし,何と言っても「高齢者を中心とした直接の死」の影響が大と素人は考えますし,実際そうなのでは?

(経済学者を中心に経済困窮等による間接的な死を重大視する向きもあります.トランプ大統領がそうであったように.慎重な分析結果を待たねばなりません)

 

多くの高齢者の死を許しながら,日本に先立って,行動制限

(お願いベースの日本と異なり,ロックダウンという過酷な行動制限を何回かくり返していましたが)

撤廃に動いた欧米では,

「新型コロナはエンデミックの状態になった?」という議論があるようです.

第7波の終息時期になれば,日本でもその議論が起こると思われますが,「エンデミック」は,「感染の収束」を意味していないと,専門家は常に警鐘を鳴らし続けています.

本ブログでも,ネイチャーの記事を取りあげましたが,

yachikusakusaki.hatenablog.com

今日はニューヨークタイムズの記事を取りあげます.以下にブリーフィング

https://www.nytimes.com/2022/08/03/briefing/endemicity-covid-monkeypox.html

をDeepL翻訳で紹介します.

本文は,

Opinion | Endemic Covid-19 Looks Pretty Brutal - The New York Times

 

あくまでアメリカの状況をもとにした記事であることをお忘れなく.

また,気になったのは,強い感染力のある新型コロナによる死を,生活習慣病と言われる糖尿病等「現時点での高齢者の死因となる疾病」と比較しているように見える点.実際には死亡原因の数を比較しているだけですが.

 

ニューヨークタイムズ Aug. 3, 2022

Jonathan Wolfe

Is the virus endemic?

Even though people across the world are trying to move on from Covid, it’s still here, all around us.

ウイルスはエンデミック?

世界中の人々がcobidから抜け出そうとしているにもかかわらず,cobidはまだ私たちの周りに存在しているのです.

 

Times Opinionの同僚であるDavid Wallace-Wellsが指摘するように,パンデミックの全感染者の半分が今年に入ってから感染しています.現在のペースを考えると,2022年には最終的に全Covid症例の80%以上が発生する可能性があります.

デイヴィッドは,---

最近,Covidの流行がどのようなものになるか,書きました.

もっと詳しく知るために彼にインタビューしました.

 

私たちはendemicityに到達したのでしょうか?

この問いは,人によって意味が異なることもあり,複雑で議論のあるところです.一つの考え方として,平均的な感染者の感染数が1人未満である場合を「endemicity」と呼んでいます.

しかし,そうではありません.これらの新しい亜種では,平均的な人が1人以上の多くの人に感染しています.ですから,この基準では,私たちはendemicの状態にあるわけではありません.

 

しかし,この病気の基本的なフットプリントは,かなり一定している状態なのです.オミクロンの初期波が終わった冬以降,国内での入院者数と死亡者数はほぼ同じです.これは,私たちの免疫システムが過去に比べてどれだけcobidに対して優れた働きをしているかということと関係があります.ですから,オリジナルのオミクロンのような桁外れの新しい亜種が発生しない限り,こうした動態が劇的に変化するとは考えにくいのです.

 

そして,それはepidemic diseaseとは何かという一般人の認識に合致するものだと思います.流行はしているが,その背景には小さな山や谷があり,国レベルどころか,地域レベルの生活を根底から覆すような劇的な変化はない,ということです.これは,私たちが今置かれている状況をかなり公平に表現しています.

 

つまり,ある定義によれば,私たちはendemicityを達成しているのです.さて,どうでしょう.

 

一世代に一度,あるいは100年に一度のパンデミックを生き抜くとはどういうことなのか,その悲劇的な輪郭が見えてきました.私が話を聞いた疫学者は,年間10万人の死亡率としています.これは,Covidが私たちにとって最も致命的な感染症であることを意味します.まるで糖尿病のような病気と同じようなものです.2019年の秋に糖尿病という言葉を聞いたことがなかったのに,突然糖尿病になってしまったようなものです.ワクチンや治療薬による信じられないような医薬品の介入やイノベーションがあったにもかかわらず,です.それを考えると,かなり厳しいものがありますね.

 

これからの数カ月はどうなるのでしょうか?

多くの変数があります.しかし,もし私がそのすべてを統合しなければならないとしたら,当面の間,私たちは主にオミクロンの亜種とともに生きていくことになるだろうと思います.つまり,ウイルスは私たちの免疫反応を回避する新しい方法を見つけ出しますが,私たちが以前から持っていた免疫保護機能は完全に失われてしまうというわけではありません.

 

秋には,新しい次世代ワクチンが限定的に導入され始めますが,今後の免疫防御の軌道を根本的に変えることはないでしょう.また,学校や交通機関の空気の質を改善するような,社会的・政治的措置の実施も非常に限定的です.

 

では,どうすればよいのでしょうか.

 

もし私がこの物語を語るなら,皮肉なことに,それはおそらく2020年の春に語ったのと同じ物語,つまり,「これはもう本当に高齢者の病気なのだ」,というものになるでしょう.発生当初もそうでしたが,今はさらにそうなりつつあります.高齢者の相対的な脆弱性が増していくことは十分考えられます.つまり,中年の人たちは,まったく普通に生活していればかなり安心できる.しかし,親の世代の人たちはそうはいかないかもしれません.つまり,ワクチンや過去の感染によってもたらされた恩恵が,より早く失われてしまうのです.

 

また,今年は死者数がかなり増えています.私たちは,多かれ少なかれ,それを常態化させてきました.特に高齢者は,パンデミックの最初の数年間とほぼ同数の死者を出す可能性があり,これは悲劇的なことです.

Opinion | Endemic Covid-19 Looks Pretty Brutal - The New York Times

 

 

 

 

「政府には倫理的価値判断の議論を主導してもらえなかった」(武藤香織さん) 第7波の施策は「経済活動優先.死者の増加は許容する」という内容.その価値判断の議論を政府が主導しなかったと武藤さんは言ったのです.青野由利さんは「決定がブラックボックスでは不十分」としています.しかし,結果として専門家チームが「経済活動を止めない感染対策を提言=死者の増加を許容する価値判断」をしてしまったのでは? 「責任は政府にある」ことは動かしがたいことですが.

再び暑くなると覚悟していたら,本格的な暑さは来週とのこと.

今日は夏としてはかなり過ごしやすい日でした.

 

新型コロナ感染爆発の話題を離れようと毎日思いつつ,今日も取りあげます.

 

「政府には倫理的価値判断の議論を主導してもらえなかった」

新型コロナウイルス感染症対策分科会(本稿では以下「専門家チーム」と略)」有志の記者会見で,社会学や研究・医療倫理が専門の武藤香織さんが語った言葉です.

青野由利さんが今日8月6日の毎日新聞「土記」

土記:ファンタジーにあらず=青野由利 | 毎日新聞

で書き留めています.

 

第7波における政府の施策は,明らかに「経済活動優先.その結果として死者の増加は許容する」というもので,間違いなく大きな「倫理的価値判断」が下されています.

その倫理的価値判断の議論を政府が主導しなかったと武藤さんは言ったのです.

 

青野さんは

「『経済活動優先の結果として死者の増加は許容する』というなら、それは「科学」ではなく「価値判断」だ。

政府はそれを、いつ、どう議論し、どういう判断基準で決めたのか。そこがブラックボックスでは不十分だと思うのだ」

と書いています.

 

その通りだとは思います.

 

ただ,武藤香織さんの言う「政府が議論を主導しなかった」には,何を意味しているかよく分からない部分が残ります.

1.「議論せずに政府が価値判断を押しつけてきた」のか.

2.「政府の主導がなかったから,仕方なしに『新型コロナウイルス感染症対策分科会(専門家チーム)』で価値判断の伴う施策を提言した」のか---

私の妄想かもしれませんが,そのミックス型が,実態に近いように思ってしまいます.

3(私の妄想):政府の暗黙の意思表示「経済活動を止めない」+ 専門家チーム「経済活動を止めない感染対策を提言」

⇒「行動制限なし」「死者の増加は許容」「経緯の説明は一切無し(できない?)」

 

いずれにせよ,結果として,専門家チームが「経済活動を止めない感染対策を提言=死者の増加を許容する価値判断」をしてしまったのでは?

「責任は政府にある」ことは動かしがたいことですが,私も含めた国民から見れば,専門家チームが主導したようにさえ見えてしまいます.

実際,専門家チームの中の経済専門家は行動制限に強く反対したと推測します.行動制限に賛成する経済専門家をほとんど見たことがありませんから.

疫学・公衆衛生の専門家の多くも経済活動を止めない感染対策をずっと模索していたように思います.

 

政府の狡猾さに乗ってしまったのかもしれませんが,「議論を主導してもらえなかった」と後から言うのではなく,政府に価値判断を迫る提言のやり方を工夫すべきでした.

 

青野さんの今回の土記の題名は「ファンタジーにあらず」.医療現場をよく知る阿南英明さんによる専門家有志の記者会見での発言を引用しています.

ファンタジーでないのは「国が社会経済活動の活発化を選ぶなら、高齢者を中心に重症者・死亡者が増加する恐れがある」という現実.

しかし,その現実に対して,政府は「行動制限しない」=「社会経済活動の活発化」=「高齢者の死を黙認する」を選んだのです.

 

施策の責任は政府にあるものの----

政府の意を汲み(多分),「行動制限」はおろか,「接触機会の減少」さえ呼びかけられなかった専門家チーム.

そして政府同様,「説明をしない」=「リスクコミュニケーション」を忘れた専門家チーム.

今まで世界に誇る成果を上げてきただけに,とても残念です.

 

今までの成果を端的に現すのが,パンデミックを通しての新型コロナウイルスによる死者総数でしょう.人口あたりの死者はとても低く抑えられてきました.

ただし,今年に入ってからのオミクロン株による死者数は,「欧米に比し圧倒的に少ない」とは言えなくなっています.

(以下データは COVID-19 Data Explorer - Our World in Data )

 

そして,7月の最終週からの死者の増加率はG7+オーストラリアの中で群を抜いており,1日あたり(7日間平均)の人口あたり死者数では,カナダを抜き去りフランスに迫る勢いです.

 

今までいくら低く抑えてきたとはいえ,個々人の死の痛みはとてつもなく大きいもので,「今までの成果」は死者とその家族・友人に対しては何の慰めにもなりません.

そして,今回の第7波における死亡者は,「(価値判断をしたという)何の説明もないまま」の「行動制限なし」「経済優先」施策の犠牲者なのです.

「高齢者を思って行動制限してください」.これが,つい最近,尾身茂分科会会長が語っていた言葉であることを,国民は覚えています.

 

 

第7波の死者は,少なく見積もっても第6波と同等.一万人を優に上回るのではないでしょうか?

 

感染拡大に遅れてやってくるのが死亡者の増加. 7回の感染拡大の最高の死者数(7日間平均)を比較すると,第4波を超えて,2番目の死亡者数となっています.素人目には,最低,第6波と同じぐらいの死者数は覚悟する必要がありそうに見えます.仮にそうであれば,「一万人強の死者と引き換えの経済優先施策」が実行されたことになります.国からは何の説明もありませんが--- 説明を期待する私が愚か? なお,G7+オーストラリアの8ヵ国で比較すると,日本は僅かにドイツを抜いて第4位の死者数/1日 となっています.

豪雨に見舞われた地域の方々は,大変な思いをしているとニュースが報じています.鎌倉は,雨が上がり,暑さも比較的穏やかな1日.また明日以降,かなりの暑さに見舞われそうですが.

 

今日の話題も,新型コロナの感染爆発.

連日世界一を記録し,

https://yachikusakusaki.hatenablog.com/entry/2022/08/04/234938

増加し続けています.

(以下データは COVID-19 Data Explorer - Our World in Data )

 

しかし,短期間の図として拡大してみると,ピークを打つような様相を見せていることがわかります.

実際のピークと報告されてくる数値とはずれがあり,すでにピークを打っているのかもしれません.

 

NHKの記事によれば,

新型コロナ 第7波 ピークは いつ終わる 専門家分析 わかってきたこと | NHK | 新型コロナウイルス

▽西浦京大教授

「『BA.5』系統の流行はいったんピークを迎えたと考えられる。

しかし、旅行などで人の移動が増えるお盆を控えているため、一過性の増加はありうる。また、高齢者の感染が増えているため、医療は引き続きひっ迫し厳しい状況が続くと思う」

 

▽平田晃正名古屋工業大学教授のAIによるシミュレーションでは

“東京都内の感染者は8月6日に1週間平均で一日当たりおよそ3万9000人となり、その後は減少に転じる”という結果になりました。 

「感染者数が高止まりする可能性が高いと思っている。ピークを越えたとしても安心せず感染対策を取って過ごしてほしい」

 

高止まりの可能性!

感染者増加のペースが落ちているのを見て,喜んでばかりはいられないということですね.

(感染者の高止まりが続くということは.高齢者中心の死亡者も高止まる可能性が高いということ.暗い気持ちになります)

 

このNHK の記事では,ピークアウトしそうな現状が,どのようにして生まれたのかについては,何も述べられていません.

資料の出所は不明ながら,人出が一時期より減少しているというデータがツイッター上に公開されていました.

https://twitter.com/EARL_COVID19_tw?ref_src=twsrc%5Egoogle%7Ctwcamp%5Eserp%7Ctwgr%5Eauthor

また,ニュースステーションの取材では,「夏休み」児童生徒の接触機会が減り感染拡大が抑制されるとの期待があったとのこと.

「行動制限」なしの夏.国民の恐怖からの人出減+夏休みが「人と人との接触機会」を減らしてくれた結果,感染拡大のースが鈍ったということでしょうか.

 

しかし,感染拡大に遅れてやってくるのが死亡者の増加.

7回の感染拡大の最高の死者数(7日間平均)を比較すると,第4波を超えて,2番目の死亡者数となっています.

最低,第6波と同じぐらいの死者数は覚悟する必要がありそうに見えます.

3回のワクチン接種はかなり広く行き渡っています.重ねて,バイデン大統領にも投与された抗ウイルス薬が的確に使われれば,死の確率はかなり減ってきてもよいはず.感染者あたりの死亡者数は減ってくることが期待でき,感染者数は数倍であっても,第6波と同程度の死者数で済むのかもしれません.

仮にそうであれば,

「一万人強

(もっと少ない数であってほしいと思いますが,更に上積みされる可能性が高いようにも--

の死者と引き換えの経済優先施策」が実行されたことになります.国からは何の説明もありませんが---

説明を期待する私が愚か?

 

 

G7+オーストラリアの8ヵ国で1日あたりの死者数を比較すると,僅かにドイツを抜いて第4位の死者数となっています.

日本の死者数の増加速度は8ヵ国中一番.(ただし,やや遅くなりつつあるようにも見えます.希望的観測でしょうか)

イギリス,イタリアを抜くのは時間の問題かなと思います.

 

人口あたり死者数/1日の比較では,8ヵ国中7位.

ただ,フランス,アメリカ,ドイツを一気に追い抜く可能性も.

オミクロンBA.5の感染拡大が急.死亡者も急速に増加し,第4波を上回りました.政府等は様々な施策・提言をし始めましたが,「現在の感染爆発」の抑制に結びつくメッセージはほぼ皆無.特に,「新型コロナウイルス感染症対策分科会」の有志提言に「感染爆発を止める」必要性がうたわれていないことにガッカリしました.そして,同時に,彼らが政府と意を通じ,「『高齢者の死』に目をつぶり,経済優先に舵を切った」ことを思い知らされました.

日本海では豪雨の報.

鎌倉はとてつもない暑さが一転,昨晩の雷雨,高湿度は変わりませんが,温度は下がってやや過ごしやすいかなという気候.

今夕もかなりの雨が降りました.その雨の中,夏の花ニチニチソウは元気です.

 

今日も話題は新型コロナウイルス感染拡大.どうしても気になります.

第6波のピークの2倍を超えて一週間近くなるのに,まだ感染者が増え続けています.

(以下,データはCOVID-19 Data Explorer - Our World in Data

二週間にわたって感染者世界一.

新型コロナ新規感染者数 日本が2週連続“世界最多” WHO発表 | NHK | 新型コロナウイルス

いまや2位のアメリカを引き離してぶっちぎりのトップに立っています.

世界の感染者の2割が日本.

 

 

なぜ,これだけ感染拡大しても「感染抑制」を意図したメッセージが政府・地方自治体からも,専門家集団からも出されないのか??

死者も増加し始めているのに.

第4波のピークを上回り,残るは第6波の最多死亡者数のみ.

 

政府は,「『BA.5対策強化宣言』を都道府県が出せる仕組み」を設けました.

新型コロナ BA.5対策強化宣言とは?行動制限との違いは? | NHK

具体的には,一定の条件を超えた都道府県は宣言を出した上で、早期のワクチン接種やテレワークの推進、高齢者や基礎疾患のある人の混雑した場所などへの外出自粛といった、感染対策を強く呼びかけるとしています.

昨日今日,多くの府県が宣言を発令したことが報じられていますが----

遅すぎる&内容に新味がない&科学的な背景が不明な項目(=高齢者は主に「施設内等」に持ち込まれたウイルスに感染)がある----

そして最も大事な「人と人との接触機会を減らす(:高齢者だけに求めても効果は望めない)ことの必要性」を呼びかけていない.

「行動制限しないこと」が第一で,「感染爆発を止めなくてはならない」とは思っていない「宣言」なのでは??

 

一方,病院窓口や保健所業務の軽減については,「新型コロナウイルス感染症対策分科会」有志が,

尾身氏ら有志、中長期的なコロナ対策緩和を提言 第7波の収束後 | 毎日新聞

そして,救急を含め来院者を減らすために「軽傷者の受診を控える」ことについては複数の医学会が,

「軽症者は受診控えて」治療必要な人優先に 4つの医学会が声明 | NHK | 新型コロナウイルス

それぞれ提言・呼びかけを行っています.

現場業務の軽減は大事ですが,ここには直接中等症以上の治療に当たる臨床の現場は含まれていない気がします.そしてこの臨床の現場を含めた全体の業務軽減に直接結びつく「『現在の感染爆発』抑制を意図した対策は全く提言されていません.

特に,「新型コロナウイルス感染症対策分科会」の有志提言に「感染爆発を止める」必要性が全く盛り込まれていないことには,ガッカリしました.

同時に,彼らが,政府と意を通じ,「『高齢者の死』に目をつぶり,経済優先に舵を切った」ことを,思い知らされました.

新型コロナウイルス感染症対策分科会」は,かなり好意的に見てきたので,裏切られた思いが強くあります.

 

阪大の忽那医師の言葉を再掲します.

https://news.yahoo.co.jp/byline/kutsunasatoshi/20220731-00307968

https://yachikusakusaki.hatenablog.com/entry/2022/07/31/193032

どのような状況になれば行動制限を取るのか、あるいは行動制限は取らずに医療が逼迫することや高齢者が亡くなっていくことを許容してでも経済や社会活動を優先するのか、国民への十分な説明が必要な時期ではないでしょうか。

 

 

関連資料1

NHKのアンケート調査(7月16〜18日)によれば,

コロナ“第7波”行動制限もう必要ない?新規感染者数は世界最多に | NHK政治マガジン

「行動制限は必要」とした割合は,全体として56%(必要はない36%).

ただし,50代以上は「必要」が上回っているのに対し,40代以下では必要ないが上回っている.

世代の分断が進んでいます.

コロナ“第7波”行動制限もう必要ない?新規感染者数は世界最多に | NHK政治マガジン

 

 

関連資料2

G7+オーストラリアの新規死亡者のグラフを示しておきます.

日本は,新規死亡者総数は,8ヵ国中5位.更に上位を望める位置,そして増加速度です.

 

人口当たりでは,長い間8ヵ国中最下位でしたが,カナダを抜いて最下位脱出です.「西欧なみ」が実現しました.どこまで順位を上げるか?

 

「(オミクロン株は)最初に武漢市で見つかった新型コロナウイルスやアルファ株と同程度の病原性(忽那賢志)」「(第6波では)『目立たない死』がたくさん蓄積した.:『オミクロンは軽症だ』という情報が流れていましたが,感染者がものすごく増えて,ふたを開けてみたら死亡者数は1万人を超えていた.高齢者施設や病院の中等症や軽症を受け入れる病棟で,高齢者が『これ以上の延命治療は望まない』と言って亡くなった結果,出てきた数字です.第7波ももしかしたらそんな形になるのかもしれません.(坂本史衣)」 

とてつもなく暑い日が続きます.

でも,ハマナスの花が似合う日でもあります.

 

そして,やはり気になるのは新型コロナウイルスオミクロンBA・5の感染爆発.

感染者数は連日20万人越えが続いており,1日の最高を記録したとの報道がありました.

新型コロナ 全国感染者が過去最多 24万9830人 24道府県で最多 | NHK | 新型コロナ 国内感染者数

ただし,7日間平均で見るかぎり,増加はやや緩やかになりつつあるようにみえます(次の図ではよく分かりませんが).しかし,例え増加が緩やかになってもすぐに下がるわけではありません.第6波も立ち上がりは急でしたが,ピークを過ぎた後もだらだらと続き,感染期間は3ヶ月を超えるものでした.

 

そして気になる死亡者の増加.

すでに第3波を超え,第4波をも超えようとしています.

増加のペースは第6波のピークを上回る勢い.

第6波では死亡者が増加し始めてから,終息するまで(終息する前に第7波が始まったとする見方もありますが),少なく見積もって4ヶ月.その間に1万人以上が亡くなってしまいました.

第7波も同じように推移するのではないか,同様かそれ以上の死亡者を記録するのではないか.心配です.


今回の第7波では.「移動制限は行わない」という呪文のような言葉のもと,感染するもしないも国民の自己責任といった施策が採られています.

yachikusakusaki.hatenablog.com

そして,「オミクロンはインフルエンザと同じ」といった言説が,反コロナを信奉する人々だけではなく,神奈川県知事からも飛び出し,規制の撤廃,コロナはなかったことにするような動きが見えます.(このような動きについては,できれば,明日,稿を改めて書いてみたいと思います)

 

しかし,多くの人が忘れているように見えます.オミクロンによる第6波で最多の犠牲者を記録していることを.

忘れていなければ,「オミクロンはインフルエンザと同じ」といった言説が飛び交うはずがないのでは?

第6波の総括がなされる前に第7波が始まり,「第6波で最多の犠牲者を記録した」ことの反省が全くなされていなかった,少なくとも政府・地方自治体の長は,全く反省していなかったといえるでしょう.マスメディア,そして我々国民の多くも,「責任」の追求をほとんど行いませんでした.

 

第6波でなぜ,このようなたくさんの犠牲者を出してしまったのか?

素人の私には全く分かりません.専門家の方々,どうかキチンとした総括を,できるだけ早くしていただきたいと思います.第7波の犠牲者を少しでも減らせるように.

 

第6波の犠牲者を増やした要因として,素人の私が気になっている記事は,次の二つ.

それぞれ,「オミクロンはデルタより病原性は低いものの,オリジナルの数とは同程度の病原性」「第6波の死亡者は,人工呼吸をつけて亡くなった方はそれほど多くなく,『延命治療を望まない』とした高齢者が多かったようである」とする発言です.

 

「(オミクロン株は)最初に武漢市で見つかったオリジナルの新型コロナウイルスやアルファ株と同程度の病原性」(忽那賢志)

https://news.yahoo.co.jp/byline/kutsunasatoshi/20220205-00280734

ワクチン未接種者ではデルタ株と比較してオミクロン株の入院リスクは約25%低くなる程度にすぎない,と南アフリカ,イギリスからそれぞれ報告されており,これは最初に武漢市で見つかったオリジナルの新型コロナウイルスやアルファ株と同程度の病原性と考えられます.

 

 

「(第6波では)『目立たない死』がたくさん蓄積した.」(坂本史衣)

https://www.buzzfeed.com/jp/naokoiwanaga/covid-19-sakamoto-20220720-1

第6波の時はあの3ヶ月間で1万人以上が亡くなりました.「オミクロンは軽症だ」という情報が流れていましたが,感染者がものすごく増えて,ふたを開けてみたら死亡者数は1万人を超えていた.

決して集中治療室で人工呼吸器を着けて亡くなったケースが多いわけではありません.

高齢者施設であったり,病院の中等症や軽症を受け入れる病棟で,高齢者が「これ以上の延命治療は望まない」と言って亡くなった結果,出てきた数字です.

つまり全国各地の「目立たない死」が,たくさん蓄積したという感じです.

 

高齢者の死という現象自体は特段珍しいものではありません.ただ,第6波ではその数が徐々に積みあがって1万人以上になった.第7波では,第6波を上回る規模で感染者が増えると予想されています.

重症度が第6波と同等だとすれば,同じぐらいの割合で死亡者数が出る可能性はあります.全国各地で,よくある高齢者の死という形で,その中に多少基礎疾患のある人も入る形で報告が増えていくのだろうなと思います.

 

我々はその数が積みあがっていく様子を日々実感はしにくいでしょうが,後で振り返ると「こんなに亡くなったのだな」という数になるのでしょう.

 

高齢者の死が増えること,十分に医療を受けられずに亡くなることをどこまで許容するか?

----(中略)

 

しかし,そのなかで,コロナが関与した数は今までよりも多い.それを「高齢者だから仕方ない」「高齢者が亡くなることはあるよね」と言って,増えるに任せていいのか.どこまで増えることを我々は許容するのか.それについてはあまり議論になっていません.

なんとなく「定め」のような雰囲気で,誰も大きな声で文句を言わずに人が亡くなっていったのが第6波です.第7波ももしかしたらそんな形になるのかもしれません.でも,それでいいのかな?と思います.

病院で治療を受けて本人もご家族も納得して亡くなるならまだよいのかもしれません.医療が逼迫した結果,十分な苦痛の緩和ができずに亡くなるとか,まだやりたいことがあったのにやむを得ず亡くなるというのは,本人にとっても,残された方々にとってもつらいことです.

医療者側としては,「我々のキャパシティーが少なかったから,そういうことになってしまった」と思うのはつらい.もちろん自分たちのせいだとは思いませんが,そういう負の部分を医療者側も引き受けていかなければいけないことを考えると,気持ちが暗くなります.

 

 

関連資料

第6波「致死率」が「重症化率」上回る 医学的には重症なのに…「軽症」扱いで亡くなる高齢者相次ぐ 東京新聞 2022年2月27日 06時00分

https://www.tokyo-np.co.jp/article/162536

yachikusakusaki.hatenablog.com

夕方,夕焼け雲を背景に,買い物.おんめ様(鎌倉大巧寺)の小径には,秋明菊が咲き始めていました.しかし,気になるのはやはり新型コロナ第7波.新規感染者数「7日間平均」は20万人を超えて2日目.世界一を一週間以上キープしていますが,救いは,日本の増加のカーブがなだらかになりつつある事.あまりの急増に,行動に慎重になってきた?学校が夏休みなったため?死者の数も世界第6位!ただし,人口当たりの死者数は,欧米よりはまだかなり少ない.今後増えてくることは確実ですが,どこまで増えるのか?

今日もまた暑い日でした.昨日以上かと思います.

 

夕方,夕焼け雲を背景に,買い物.

 

そして,おんめ様(鎌倉大巧寺)の小径を散歩.

秋明菊が,咲き始めていました.

 


気になるのはやはり新型コロナ第7波.

新規感染者数「7日間平均」は20万人を超えて2日目.第6波の二倍強の値が続いています.

 

(以下データは全てCOVID-19 Data Explorer - Our World in Data 

 

恐れていた死亡者の立ち上がりも急です.2週間で4倍.2倍/週の速度で増加中.

 

感染者は世界一を1週間以上キープ.

かなり離れて,2位はアメリカ.3位は韓国.

救いは,日本の増加のカーブがなだらかになりつつある事.

あまりの急増に,行動に慎重になってきた?学校が夏休みなったため?

 

(下図はG7+韓国,オーストラリアの直近一ヶ月の変化)

 

人口当たりの感染者数も,OECD加盟国中のトップをニュージーランド・韓国・オーストラリアと競っています.

 New Zealand 1,629    /百万人                                              

 Japan  1,627   /百万人    

 韓国    1614 /百万人

 オーストラリア 1584人 /百万人         

 

 

死者の数も世界第6位! 1日100人を超えています(7日間平均).

 

ただし,人口当たりの死者数は,欧米よりはまだかなり少ない.今後増えてくることは確実ですが,どこまで増えるのか?

 

暑い1日.8月に入ったという実感があります.8月は,別名葉月.新緑/紅葉の月でもないのに--- と奇妙に思ったことがありますが---.新暦・旧暦の違いを知ればよいことでした.そして「木々の葉落ち月(はおちづき)」というのが有力な説だそうです.各月の異名(和風月名)の由来候補を,国立国会図書館のサイト+日本国語大辞典から抜き書きしておきます. そして,今日,新型コロナによる新規死亡者7日間平均で,第三波のピークを越えました.世界第6位です.「西欧なみ」になりました.

とてつもなく暑い1日でした.明日はもっと暑くなるとの予想.

8月に入ったという実感があります.

 

8月は,別名葉月.

(睦月如月----等の昔の月も呼び方には「和風月名」という言葉もあるようですが,一般的かどうか? 辞書には載っていません.例えば「葉月」は辞書で引くと「陰暦八月の異称。《季・秋》」日本国語大辞典

 

8月で葉の月?新緑/紅葉の月でもないのに---

と奇妙に思ったことがありますが--- 新暦・旧暦の違いを知ればよいことでした.そして「木々の葉落ち月(はおちづき)」というのが有力な説だそうです.

 

現在の暦(太陽暦)では,今日は2022年8月1日ですが,旧暦(太陰太陽暦)では2022年7月4日.文月4日なんですね.

葉月は厳密には「旧暦」の8月.2022年葉月1日は,正確には今年の2022年8月27日.

そろそろ,落葉樹の葉が色を失いはじめる頃になります.

何故葉月と呼ばれるようになったかは,はっきりと分かっているわけではないようですが---

「木々の葉落ち月(はおちづき)」というのが有力な説だそうです.

他に,稲の穂を張る月,すなわち「穂張り月(ほはりづき)」が略されたという説,初めてガン渡ってくる月であることから「初来月(はつきづき)」を略して「葉月」と呼んだ説などがあるそうです.8月の異名「葉月」 語源からは早くも秋の気配 - ウェザーニュース

 

「葉月」は現在の新暦8月にはそぐわない名前ですが,旧暦8月の別名「木々の葉落ち月(はおちづき)」とすれば,それほど違和感はなくなります.

 

各月の異名(和風月名)の由来候補を,国立国会図書館のサイト( https://www.ndl.go.jp/koyomi/chapter3/s8.html )日本国語大辞典から,以下に抜き書きしておきます.

(由来は確定しているわけではなく,

例えば,下記の卯月の由来は「循環しています」:卯月:卯の花が咲く月,卯の花:卯月に咲く花)

なお,

これらの呼び名は,全て初出は古事記and/or万葉集.(日本国語大辞典

古代からの呼び名になります.

 

例えば,1月や7月の初出は万葉集

 

1月

万葉集〔8C後〕五・八一五

武都紀(ムツキ)たち春の来たらばかくしこそ梅を招(を)きつつたのしき終へめ  大弐紀卿(だいにきのまえつきみ)

[大弐紀卿: これは名前ではなく、このとき太宰府の大弐(位のひとつです)だった紀氏の人、という意味です。]

正月になって春(はる)がやってきたら、こうやって梅(うめ)を見ながら楽しみましょうよ。(楽しい万葉集

 

7月

万葉(8C後)一〇・二〇八九

「----あらたまの 年の緒長く 思ひ来し 恋を尽さむ 七月(ふみづき)の 七日の夕よひは 吾れも悲しも」長歌の一部)

 

8月は古事記

8月

神武即位前(北野本訓)

「秋八月(ハツキ)の甲午の朔乙未のひに」

 

 

名称の由来候補

1月  睦月(むつき)

むつびづき.むつましづき.むつみづき.  

正月に親類一同が集まる,睦び(親しくする)の月.

 

2月        如月(きさらぎ)

じょげつ

きぬさらぎ【衣更着】 藻塩草(1513頃) 

衣更着(きさらぎ)とも言う.まだ寒さが残っていて,衣を重ね着する(更に着る)月.

 

3月        弥生(やよい)  

木草弥生い茂る(きくさいやおいしげる,草木が生い茂る)月.

日本国語大辞典 「いやおい(彌生):草木がいよいよ生え茂るさま.」の変化したものか)

 

4月        卯月(うづき)  

卯の花の月.(?⇔「卯の花」卯月に咲く花)

 

5月        皐月(さつき)

こうげつ             

早月(さつき)とも言う.

早苗(さなえ)を植える月.

 

6月        水無月(みなづき)

みなつき             

水の月(「無」は「の」を意味する)で,田に水を引く月の意と言われる.

日本国語大辞典 「な」は「ない」の意に意識されて「無」の字があてられるが,本来は「の」の意で,「水の月」 「田に水を引く必要のある月」の意であろうという)

 

7月        文月(ふみづき,ふづき)

ふんづき             

稲の穂が実る月(穂含月:ほふみづき)

 

8月        葉月(はづき,はつき)  

木々の葉落ち月(はおちづき).

 

9月        長月(ながつき,ながづき)         

夜長月(よながづき)

日本国語大辞典  語源は明らかでない.「拾遺−雑下」に,「夜昼の数はみそぢにあまらぬをなど長月といひはじめけむ」 「秋深み恋する人のあかしかね夜を長月といふにやあるらん」とした,伊衡と躬恒との問答の歌があり,また,夜がだんだん長くなるから「夜長月」というのを誤ったものだと,「奥義抄」にあるので,このような語源解が中古以来広く信じられていたことがわかる.

ほかに,稲熟月いなあがりつき,稲刈月いなかりづき,穂長月ほながづきなどの変化したものとする説もある.折口信夫によれば,五月と九月とは長雨の時季で,「ながめ」と称する物忌ものいみの月だという.ちなみに,中古には,九月は婚姻や洗髪を忌む月とされていた)

 

10月      神無月(かんなづき)

かみなづき,かみなしづき.かみなかりづき.         

神の月(「無」は「の」を意味する)の意味.全国の神々が出雲大社に集まり,各地の神々が留守になる月という説などもある.

日本国語大辞典 「な」は「の」の意で,「神の月」すなわち,神祭りの月の意か.俗説には,全国の神々が出雲大社に集まって,諸国が「神無しになる月」だからという)

 

11月      霜月(しもつき)

そうげつ

霜降月しもふりづき.霜見月         

霜の降る月.

 

12月      師走(しわす)

極月ごくげつ      

師匠といえども趨走(すうそう,走り回る)する月.

 

 

そして,今日,新型コロナによる新規死亡者7日間平均で,第三波のピークを越えました.

 

堂々の世界第6位です.「西欧なみ」になりました.

人口当たりでは,まだまだ及びませんが----この勢いならいずれ追いつくでしょう.追い抜くかもしれません.

 

「今後どのような状況になれば行動制限を取るのか、あるいは行動制限は取らずに医療が逼迫することや高齢者が亡くなっていくことを許容してでも経済や社会活動を優先するのか、国民への十分な説明が必要な時期ではないでしょうか。」(忽那賢志) 「今は社会全体で感染を抑える時」(青野由利 )  「欧米に倣って『行動制限はしない』と魔法の呪文を唱えれば、何もしなくても社会経済活動は回り、重症者や死者も増えない? まさかそんな根拠のない楽観に従ったはずはないと思うが」(青野由利 )

「今後どのような状況になれば行動制限を取るのか、あるいは行動制限は取らずに医療が逼迫することや高齢者が亡くなっていくことを許容してでも経済や社会活動を優先するのか、国民への十分な説明が必要な時期ではないでしょうか。」

「残念ながら今の流行状況を考慮すると、人と会う機会を減らすことを積極的に考慮すべき時期と考えます」

(忽那賢志 「新型コロナ重症化リスクが高い高齢者に行動自粛を求めることで重症者・死亡者を減らすことが期待できるのか」 YAHOO! NEWS 2022/7/31 ⇒下欄に抜粋 https://news.yahoo.co.jp/byline/kutsunasatoshi/20220731-00307968

 

「今は社会全体で感染を抑える時」

(青野由利 「第7波の政治判断」毎日新聞2022/7/30 ⇒下欄に抜粋 

https://mainichi.jp/articles/20220730/ddm/002/070/039000c

 

「専門家会議も指摘したように、個人個人ができる『行動抑制』によって、感染リスクを高める人と人との接触機会を減らしてほしい、とのメッセージがいるはずだ。」

(青野由利「『行動抑制』はなくても」 毎日新聞2022/7/23 https://mainichi.jp/articles/20220723/ddm/002/070/158000c

 

忽那医師は次のようにも書いています.

 

「新型コロナ新規感染者数はいまだ増加を続けています。」(下欄データ参照)

「新規感染者数に遅れて、いよいよ死亡者数も増加してきました。」(下欄データ参照)

「このまま増加が続けば、過去最悪の死亡者数となった第6波を超えてしまう可能性もあるでしょう。

また、医療の逼迫も深刻になってきました。

新型コロナが蔓延し、医療従事者が感染者・濃厚接触者になる事例も増え、病院機能の維持が困難になってきています。」

 

遅ればせながら

このような現状に対し,政府は,7月29日に「BA.5対策強化宣言」を可能とするという追加の対策を発表しました。(下欄別表)

しかし,「行動制限」は高齢者のみに要請するという内容.

忽那医師の指摘です:

「高齢者は感染リスクの高い行動をして感染しているわけではありません(もちろん中にはそういう方もいるとは思いますが)」

「政府としては全ての世代を対象に行動制限はしたくないので、とりあえず重症化リスクの高い高齢者や基礎疾患のある人を対象として選んだのだと思いますが、特定の世代だけに負担を求めるからにはそれなりの科学的根拠が必要なのではないでしょうか。」

 

 

また,青野由利さんの昨日の記事https://news.yahoo.co.jp/byline/kutsunasatoshi/20220731-00307968 )の書き出しは,次のようになっています.

 

「 欧米に倣って『行動制限はしない』と魔法の呪文を唱えれば、何もしなくても社会経済活動は回り、重症者や死者も増えない?

 まさかそんな根拠のない楽観に従ったはずはないと思うが、このところの政府の新型コロナ対応を見ると疑いたくもなる。」

 

政府,そして多くの都道府県知事は,「根拠のない楽観論に立って魔法の呪文を唱えているだけ」と言い切っても良いと,私は思います.

 

 

https://news.yahoo.co.jp/byline/kutsunasatoshi/20220731-00307968

新型コロナ重症化リスクが高い高齢者に行動自粛を求めることで重症者・死亡者を減らすことが期待できるのか

忽那賢志 感染症専門医

7/31(日) 11:26  YAHOO! NEWS

(抜粋)

第7波の流行により医療体制が逼迫する中、政府は7月29日に追加の対策を発表しました。(別表)

この中で、重症化リスクの高い高齢者や基礎疾患のある人、その家族に行動の自粛を求めています。果たしてこの対策は妥当なのでしょうか?

 

新型コロナ新規感染者数はいまだ増加を続けています。

---

東京都や大阪府など都市部の検査陽性率は50%を超えており、もはや完全にコントロール不能といった状況です。

 

新規感染者数に遅れて、いよいよ死亡者数も増加してきました。

---

このまま増加が続けば、過去最悪の死亡者数となった第6波を超えてしまう可能性もあるでしょう。

 

また、医療の逼迫も深刻になってきました。

新型コロナが蔓延し、医療従事者が感染者・濃厚接触者になる事例も増え、病院機能の維持が困難になってきています。

----

このように医療体制が逼迫する中、政府は7月29日に追加の対策を発表しました。(別表)

医療の負荷の増大が認められる場合、地域の実情に応じて各都道府県が「BA.5対策強化宣言」を行い、以下のような対策(別表)を実施することができるようになります。

----

私が気になったのは、3の高齢者や基礎疾患のある人への行動自粛についてです。

----

確かに重症化したり亡くなっているのは高齢者や基礎疾患のある方であり、こうした方々が感染しないようにすることを優先するというのは一見正しそうな判断に見えます。

しかし、彼らは感染リスクの高い行動をして感染しているわけではありません(もちろん中にはそういう方もいるとは思いますが)。

例えば大阪府で第6波で亡くなったのは、大半が70代以上の高齢者ですが、医療機関や高齢者施設で感染したと考えられ事例が7割以上を占めています。

こうした事例は、外から施設にウイルスが持ち込まれたことによって感染しています。

つまり、施設のスタッフや面会者が発端となっていることがほとんどです。

----

政府としては全ての世代を対象に行動制限はしたくないので、とりあえず重症化リスクの高い高齢者や基礎疾患のある人を対象として選んだのだと思いますが、特定の世代だけに負担を求めるからにはそれなりの科学的根拠が必要なのではないでしょうか。

----

今後どのような状況になれば行動制限を取るのか、あるいは行動制限は取らずに医療が逼迫することや高齢者が亡くなっていくことを許容してでも経済や社会活動を優先するのか、国民への十分な説明が必要な時期ではないでしょうか。

----

現状を改善するためには私たち一人一人が自主的に感染対策を徹底することで感染者数を減らすしかありません。

残念ながら今の流行状況を考慮すると、人と会う機会を減らすことを積極的に考慮すべき時期と考えます。

----

帰省をされる場合には、ご自身のご家族と帰省先の方々、お互いの感染リスクを下げるために、会う前には検査を活用しましょう。

また、できる限りワクチン接種を

60歳以上または基礎疾患のある人:4回

12歳以上で上記以外の人:3回

5歳〜11歳の人:2回

の状態にアップデートしておきましょう。

 

 

 

土記 第7波の政治判断

青野由利

朝刊2面  毎日新聞 2022/7/30 東京朝刊 有料記事

(抜粋)

 欧米に倣って「行動制限はしない」と魔法の呪文を唱えれば、何もしなくても社会経済活動は回り、重症者や死者も増えない?

 まさかそんな根拠のない楽観に従ったはずはないと思うが、このところの政府の新型コロナ対応を見ると疑いたくもなる。

 もちろん、政治的判断が科学的判断と異なることはありうる。

 その場合には、「科学的判断はこうだが、政治的にはこれをめざしてこうする」と説明する必要がある。その際、メリットとデメリットをどうてんびんにかけたのかも明確に語ってもらいたい。

 さんざん指摘されてきたことだが、第7波の感染爆発に直面し、政府がどういう戦略で臨んでいるのか、さっぱりわからない。

 BA・5はこれまでで最も感染力が強く、免疫もすり抜ける。従来通りの対策なら感染者が急増することに何の不思議もない。

----中略

 ここへきて、政府は都道府県の「対策強化宣言」支援を打ち出したが、遅きに失した感がある。高齢者などに的を絞った行動抑制という根拠の薄い内容も含まれる。

 日本は欧米とは既感染者の割合も医療体制も文化も違う。いずれウイルスと共生する時はくるとしても、今は社会全体で感染を抑える時だと思う。客員編集委員

 

 

別表

https://news.yahoo.co.jp/byline/kutsunasatoshi/20220731-00307968

政府は7月29日に追加の対策を発表しました。

医療の負荷の増大が認められる場合、地域の実情に応じて各都道府県が「BA.5対策強化宣言」を行い、以下のような対策を実施することができるようになります。

基本的感染対策の再徹底(「三つの密」の回避、手洗い等の手指衛生、効果的な換気等)

早期にワクチンの3回目までの接種を受けること、高齢者や基礎疾患を有する者、重症化リスクが高い者は早期にワクチン4回目接種を受けること

高齢者や基礎疾患を有する者、同居する家族等について、混雑した場所や感染リスクが高い場所への外出の自粛等、感染リスクの高い行動を控えること

帰省等で高齢者や基礎疾患を有する者と接する場合の事前の検査

高齢者施設等の利用者のお盆等の節目での検査

飲食店での大声や長時間の回避、会話する際のマスク着用

症状が軽く重症化リスクが低いと考えられる者は、発熱外来の受診に代えて、都道府県が行う抗原定性検査キットの配布事業の活用も検討すること

無症状の者は、都道府県が行う無料検査事業を活用すること

救急外来及び救急車の利用は、真に必要な場合に限ること

 

 

現在の感染状況,死亡者の状況

(データは全て COVID-19 Data Explorer - Our World in Data )

 

新規感染者(7日間平均)第Ⅰ波〜第Ⅶ波 28-Jan-20〜29-Jul-22

 

現時点での新規感染者総数:日本は世界一

 

人口当たりの新規感染者数は,OECD加盟国第の中で2位

 

死亡者も急激に増加しはじめ,すでに第5波のピークを上回り,第6波をも上回る速度で上昇中.2週間で3.96倍.

8月第1週に新規感染者がピークアウトすると仮定すると,死亡者のピークはお盆過ぎか?(第6波では,新規感染者のピークと死亡者のピークは18日の差が見られた)



 

新型コロナウイルス新規感染者数で世界一の日本.低く抑えられていると喧伝されていた新規死亡者が急激に増えつつあります. 一番恐れていたことです. ここ2週間でなんと4倍!第五波の死亡者のピークを既に上回ってしまいました.第3,第4波のピークを上回るのは時間の問題. それどころか,今までで最多の死亡者を出した第6波をも上回るような勢いに見えます.死亡者のピークはお盆以降になる?日本の今後がとても心配です.より強い対策が必要なのでは?

新型コロナの新規感染者は,驚くべき早さで増え続けています.

7日間平均のデータは,既に第6波の2倍を超えています.

(以下,データは全て  COVID-19 Data Explorer - Our World in Data より)

 

7月22日に世界一になった日本の新規感染者数は,2位以下を大きく離しつつあります.

ただ,少し光明があるとすれば,増加の割合はやや鈍りつつあるように見えること.

希望的観測をあげさせていただけば,8月第1週にはピークアウトという予想は当たるのかもしれません.

しかし,それまでにどれだけの感染者が出るのか.

 

人口当たりの新規感染者数でも,よく名前を聞く国々の中でトップをうかがう勢い.ピークアウトしそうでできていないオーストラリア,そして日本と同様な増加傾向を見せている韓国と,暫くつばぜり合いが続くのでしょうか?


そして,

低く抑えられていると喧伝されていた新規死亡者が急激に増えつつあります.

一番恐れていたことです.

ここ2週間でなんと4倍!

第五波の死亡者のピークを既に上回ってしまいました.第3,第4波のピークを上回るのは時間の問題.

それどころか,今までで最多の死亡者を出した第6波をも上回るような勢いに見えます.

第6波の時には新規感染者のピークと新規死亡者のピークは18日ずれていました.仮に8月第1週にピークアウトしたとしても,死亡者のピークはお盆以降になる?

大きな数字になりませんように心から祈ります.

 

 

現在の新規死亡者の数は,先の感染者のグラフに登場した国々の中ではまだ低いレベルにあります.



しかし--

より上位の国々の多くは,すでに新規感染者数ではピークアウトしているにもかかわらず,死亡者が減っていない.依然増え続けている国もある!

特に目立つのがオーストラリア,イタリア,そしてイギリス(UK).

例え新規感染者がピークアウトしても,いったん死亡者が増え始めてしまうと,長く増え続ける可能性を示しています.

日本の今後がとても心配です.

7月4日の新型コロナウイルス感染症対策分科会は

「様々な対策を行っても医療のひっ迫が深刻になった場合には、 行動制限を含めた強い対策が必要となることもある。」

としています.

https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/ful/taisakusuisin/bunkakai/dai17/7thwave_teigen.pdf

今,より強い対策が必要なのでは?

 

 

テレ朝 ニュースステーション 2022/07/27

「“BA.5は重症者少ない”期待は裏切られ…」20万人感染…現場医師に医療の現状を聞く

コロナ患者の治療にあたっている

埼玉医科大学総合医療センター感染症専門医・岡秀昭教授に聞きます。

----中略

 

(Q.2週間前に出演していただいた際に『重症化予防効果があるワクチンが広く打たれ、治療薬も投与している。“重症者が増えない”淡い期待をしている。ただ、感染者数が増えれば持ちこたえられない可能性も』と話していました。淡い期待は裏切られている状況ですか?)

現実としては裏切られている可能性が高くなってきました。

何よりもこれから先、今までで一番最悪の被害を生むかもしれないという心配を持っています。

BA.5は、感染力が強くなることは2週間前にも分かっていましたが、入院リスクについてはよく分かっていませんでした。

入院リスク、つまり重症化リスクが高くなるのであれば、大変なことになると心配していました。

 

ここ数日の間に複数の論文が発表されました。

デンマーク国立血清学研究所の論文では、BA.5の入院リスクは、ワクチン3回接種済みの場合、BA.2と比べて1.78倍になると。

( Hansen et al   https://papers.ssrn.com/sol3/papers.cfm?abstract_id=4165630 )

ポルトガルからも、死亡率が上がるのではないかという報告が出ています。

BA.5はBA.2に比べて、感染力が強くなっているだけではなく、重症化しやすい恐れがあります。

今後、次第に重症者が増え、医療がひっ迫し、最後には亡くなる方も増えるのではないかと心配しています。

センダン(栴檀) 日朝様(鎌倉本覚寺)に,センダン(栴檀)のかなり大きな木があります.葉が美しいと眺めていますが,今の季節は青い実をつけています.栴檀の花は清少納言も「いとをかし」とし,楝(あふち/おうち:センダンの古名)色という色前としても残っています.中国語(漢字本来の意味)では,楝がセンダンを表し,栴檀はビャクシンの意味.  妹(いも)が見し 楝(あふち)の花は 散りぬべし 我が泣く涙 いまだ干(ひ)なくにも  山上憶良

いつもの散歩コースでよく通る日朝様(鎌倉本覚寺)に,センダン(栴檀)のかなり大きな木があります.

 

葉がとても美しいと思って眺めていますが,今の季節は青い実をつけています.

 

この栴檀

花が,奈良・平安の時代から「楝」あふち /  おうち(古名)の花として愛され,楝色(おうちいろ)という色の名前としても残っています.

https://matsue-hana.com/hana/sendan.html

楝色(おうちいろ)とは?:伝統色のいろは

 

「楝」(あふち/おうち)は万葉集には四首詠まれ,また,清少納言は,「木の花は」で次のように表しています.

 

清少納言枕草子』四四段

 木の花は、濃きも薄きも紅梅。 桜は、花びら大きに、葉の色濃きが、枝細くて咲きたる。 藤の花は、しなひ長く、色濃く咲きたる、いとめでたし

[ 木の花といえば、色が濃くても薄くても紅梅(がよい)。 桜は、花びらが大きくて葉の色が濃いところが、また枝が細くて咲いている(のがよい)。 藤の花は、しなやかで長く色が濃く咲いているのが、とても見事だ。]

------

 木のさまにくげなれど、楝(あふち)の花いとをかし。かれがれに様異(さまこと)に咲きて、必ず五月五日にあふもをかし。

[ 木の形は不格好だけれど、楝あうちの花はとてもおもしろい。乾いた感じでいっぷう変わって咲いて、必ず五月五日に咲き合わせるというのもおもしろい。]

『枕草子』 木の花は | 二階の窓から

 

センダンは

ムクロジ目 Sapindales,センダン科 Meliaceae,センダン属 Melia,

センダン M. azedarach

 

栴檀を辞書やウェブ上で調べると必ず記載があるのが,“「栴檀(せんだん)は双葉より芳し」”の栴檀はビャクシン科のビャクシンのことでセンダン科の本種とは異なる”

というただし書き.

漢字,栴檀は,本来(=中国語で),日本語のビャクシンを意味する言葉なんですね.

そして,古名の「あふち」にあてた漢字「楝」は,中国でセンダンを意味する漢字です.

 

字源は次のように記載しています.「国」とあるのは国訓(日本だけでおこなわれている訓)を示しています.

字源(角川)

栴檀せんだん」
㋐ 香木の名。インド・インドネシア原産のビャクダン科の常緑樹。同旃檀せんだん
㋑国 センダン科の落葉高木。楝おうちの別称。樹皮や根を薬用とする。

 

「楝レン」

意味 おうち(あふち)。せんだん。とうせんだん。センダン科の落葉高木。春、うすむらさきの花をつけ、実は薬用となる。建築材などに用いられる。

 

ビャクシンをうたった万葉集山上憶良の歌はとても有名で,このブログでも以前取りあげました.

yachikusakusaki.hatenablog.com

その時の文章をそのまま以下に掲載します.長くなりますが---

山田卓三・斎藤茂吉の評を写したものです.

 

楝(あふち)/ 栴檀せんだん

妹(いも)が見し 楝(あふち)の花は 散りぬべし 我が泣く涙 いまだ干(ひ)なくにも 

山上憶良 万葉集 巻五・798(802)

 

妹が見し楝の花は散りぬべし我が泣く涙いまだ干なくにも

▽山田卓三「万葉植物つれづれ(大悠社)」

 あふちは,センダンの古名ですが,香木の栴檀(せんだん)ではなく,「栴檀は双葉より芳し」の栴檀はびゃくだん科の白檀です.

センダンの花は小型の薄紫,派手さはありませんが,落ち着いた上品な感じの花です.

ここでは旅人の妻,大友郎女(いらつめ)の象徴として,また旅人の心中の思いにこれを重ねています.

樹皮は駆除剤,果実はひび・あかぎれなど薬用として利用されていました.

ところが江戸時代になって刑場の周りに植えるなどしたため,万葉時代とは違ったイメージとなってしまいました.

 

 

斎藤茂吉 「万葉秀歌」

 前の歌

: 悔(くや)しかも かく知らませば あをによし 国内(くぬち)ことごと 見せましものを  巻五(七九七)

の続で,憶良が旅人の心に同化して旅人の妻を悼んだものである.

楝(あふち)は即ち栴檀で,初夏のころ薄紫の花が咲く.

 一首の意は,

妻の死を悲しんで,わが涙の未だ乾かぬうちに,妻が生前喜んで見た庭前の楝の花も散ることであろう,

というので,逝く歳月の迅きを歎じ,亡妻をおもう情の切なことを懐うのである.

 この楝の花は,太宰府の家にある楝であろう.そして,作者の憶良も太宰府にいて,旅人の心になって詠んだからこういう表現となるのである.

この歌は,意味もとおり言葉も素直に運ばれて,調べも感動相応の重みを持っているが,飛鳥・藤原あたりの歌調に比して,切実の響を伝え得ないのはなぜであるか.

恐らく憶良は伝統的な日本語の響に真に合体し得なかったのではあるまいか.

後に発達した第三句切が既にここに実行せられているのを見ても分かるし,

「朝日照る 佐太の岡辺に 群れゐつつ 吾が哭く涙 止む時もなし」(巻二・一七七),

「御立(みたて)せし 島を見るとき 行潦(にはたづみ)ながるる涙 止めぞかねつる」(巻二・一七八)

ぐらいに行くのが寧ろ歌調としての本格であるのに,此歌は其処までも行っていない.

この歌は,従来万葉集中の秀歌として評価せられたが,それは,分かり易い,無理のない,感情の自然を保つ,挽歌らしいというような点があるためで,実は此歌よりも優れた挽歌が幾つも前行しているのである.

 天平十一年夏六月,大伴家持は亡妾を悲しんで,

「妹が見し屋前に花咲き時は経ぬわが泣く涙いまだ干なくに」(巻三・四六九)

という歌を作っている.これは明かに憶良の模倣であるから,家持もまた憶良の此一首を尊敬していたということが分かるのである.

恐らく家持は此歌のいいところを味い得たのであっただろう.(もっとも家持は此時人麿の歌をも多く模倣して居る.)