「(オミクロン株は)最初に武漢市で見つかった新型コロナウイルスやアルファ株と同程度の病原性(忽那賢志)」「(第6波では)『目立たない死』がたくさん蓄積した.:『オミクロンは軽症だ』という情報が流れていましたが,感染者がものすごく増えて,ふたを開けてみたら死亡者数は1万人を超えていた.高齢者施設や病院の中等症や軽症を受け入れる病棟で,高齢者が『これ以上の延命治療は望まない』と言って亡くなった結果,出てきた数字です.第7波ももしかしたらそんな形になるのかもしれません.(坂本史衣)」 

とてつもなく暑い日が続きます.

でも,ハマナスの花が似合う日でもあります.

 

そして,やはり気になるのは新型コロナウイルスオミクロンBA・5の感染爆発.

感染者数は連日20万人越えが続いており,1日の最高を記録したとの報道がありました.

新型コロナ 全国感染者が過去最多 24万9830人 24道府県で最多 | NHK | 新型コロナ 国内感染者数

ただし,7日間平均で見るかぎり,増加はやや緩やかになりつつあるようにみえます(次の図ではよく分かりませんが).しかし,例え増加が緩やかになってもすぐに下がるわけではありません.第6波も立ち上がりは急でしたが,ピークを過ぎた後もだらだらと続き,感染期間は3ヶ月を超えるものでした.

 

そして気になる死亡者の増加.

すでに第3波を超え,第4波をも超えようとしています.

増加のペースは第6波のピークを上回る勢い.

第6波では死亡者が増加し始めてから,終息するまで(終息する前に第7波が始まったとする見方もありますが),少なく見積もって4ヶ月.その間に1万人以上が亡くなってしまいました.

第7波も同じように推移するのではないか,同様かそれ以上の死亡者を記録するのではないか.心配です.


今回の第7波では.「移動制限は行わない」という呪文のような言葉のもと,感染するもしないも国民の自己責任といった施策が採られています.

yachikusakusaki.hatenablog.com

そして,「オミクロンはインフルエンザと同じ」といった言説が,反コロナを信奉する人々だけではなく,神奈川県知事からも飛び出し,規制の撤廃,コロナはなかったことにするような動きが見えます.(このような動きについては,できれば,明日,稿を改めて書いてみたいと思います)

 

しかし,多くの人が忘れているように見えます.オミクロンによる第6波で最多の犠牲者を記録していることを.

忘れていなければ,「オミクロンはインフルエンザと同じ」といった言説が飛び交うはずがないのでは?

第6波の総括がなされる前に第7波が始まり,「第6波で最多の犠牲者を記録した」ことの反省が全くなされていなかった,少なくとも政府・地方自治体の長は,全く反省していなかったといえるでしょう.マスメディア,そして我々国民の多くも,「責任」の追求をほとんど行いませんでした.

 

第6波でなぜ,このようなたくさんの犠牲者を出してしまったのか?

素人の私には全く分かりません.専門家の方々,どうかキチンとした総括を,できるだけ早くしていただきたいと思います.第7波の犠牲者を少しでも減らせるように.

 

第6波の犠牲者を増やした要因として,素人の私が気になっている記事は,次の二つ.

それぞれ,「オミクロンはデルタより病原性は低いものの,オリジナルの数とは同程度の病原性」「第6波の死亡者は,人工呼吸をつけて亡くなった方はそれほど多くなく,『延命治療を望まない』とした高齢者が多かったようである」とする発言です.

 

「(オミクロン株は)最初に武漢市で見つかったオリジナルの新型コロナウイルスやアルファ株と同程度の病原性」(忽那賢志)

https://news.yahoo.co.jp/byline/kutsunasatoshi/20220205-00280734

ワクチン未接種者ではデルタ株と比較してオミクロン株の入院リスクは約25%低くなる程度にすぎない,と南アフリカ,イギリスからそれぞれ報告されており,これは最初に武漢市で見つかったオリジナルの新型コロナウイルスやアルファ株と同程度の病原性と考えられます.

 

 

「(第6波では)『目立たない死』がたくさん蓄積した.」(坂本史衣)

https://www.buzzfeed.com/jp/naokoiwanaga/covid-19-sakamoto-20220720-1

第6波の時はあの3ヶ月間で1万人以上が亡くなりました.「オミクロンは軽症だ」という情報が流れていましたが,感染者がものすごく増えて,ふたを開けてみたら死亡者数は1万人を超えていた.

決して集中治療室で人工呼吸器を着けて亡くなったケースが多いわけではありません.

高齢者施設であったり,病院の中等症や軽症を受け入れる病棟で,高齢者が「これ以上の延命治療は望まない」と言って亡くなった結果,出てきた数字です.

つまり全国各地の「目立たない死」が,たくさん蓄積したという感じです.

 

高齢者の死という現象自体は特段珍しいものではありません.ただ,第6波ではその数が徐々に積みあがって1万人以上になった.第7波では,第6波を上回る規模で感染者が増えると予想されています.

重症度が第6波と同等だとすれば,同じぐらいの割合で死亡者数が出る可能性はあります.全国各地で,よくある高齢者の死という形で,その中に多少基礎疾患のある人も入る形で報告が増えていくのだろうなと思います.

 

我々はその数が積みあがっていく様子を日々実感はしにくいでしょうが,後で振り返ると「こんなに亡くなったのだな」という数になるのでしょう.

 

高齢者の死が増えること,十分に医療を受けられずに亡くなることをどこまで許容するか?

----(中略)

 

しかし,そのなかで,コロナが関与した数は今までよりも多い.それを「高齢者だから仕方ない」「高齢者が亡くなることはあるよね」と言って,増えるに任せていいのか.どこまで増えることを我々は許容するのか.それについてはあまり議論になっていません.

なんとなく「定め」のような雰囲気で,誰も大きな声で文句を言わずに人が亡くなっていったのが第6波です.第7波ももしかしたらそんな形になるのかもしれません.でも,それでいいのかな?と思います.

病院で治療を受けて本人もご家族も納得して亡くなるならまだよいのかもしれません.医療が逼迫した結果,十分な苦痛の緩和ができずに亡くなるとか,まだやりたいことがあったのにやむを得ず亡くなるというのは,本人にとっても,残された方々にとってもつらいことです.

医療者側としては,「我々のキャパシティーが少なかったから,そういうことになってしまった」と思うのはつらい.もちろん自分たちのせいだとは思いませんが,そういう負の部分を医療者側も引き受けていかなければいけないことを考えると,気持ちが暗くなります.

 

 

関連資料

第6波「致死率」が「重症化率」上回る 医学的には重症なのに…「軽症」扱いで亡くなる高齢者相次ぐ 東京新聞 2022年2月27日 06時00分

https://www.tokyo-np.co.jp/article/162536

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