シャンシャンボ.漢名「南燭」 「日本のブルーベリー」あるいは「ワイルドブルーベリー」とも.植物分類では,節の段階で一般のブルーベリーとは分かれていますが,花はブルーベリー似.実は甘酸っぱくておいしいとのこと.古名「さしぶ」 つぎねふや やましろがはを かはのぼり わがのぼれば かはのへに おびだてる さしぶを さしぶの木(古事記) 

「日本のブルーベリー」あるいは「ワイルドブルーベリー」等と称して親しまれる木があることを知りました.

 

シャンシャンボ.漢名「南燭」

 

関東地方には少ないせいあり(単に植物に疎いだけ?),見たことも,聞いたこともありませんでした.

「関西には普通に見られる」とあります.

シャシャンボ - 庭木図鑑 植木ペディア

 

久しぶりに見たNHKまんぷくメシ」でブルーベリーを取り上げていて,ブルーベリーの周辺情報をまとめてブログに.

yachikusakusaki.hatenablog.com

 

その過程で行き当たったのがこのシャンシャンボ.

 

”「小小(ささ)ん坊」の意で、実が小さくて丸いことによる”とのこと.日本国語大辞典

 

ブルーベリーはスノキ属スノキ亜属スノキ節であるのに対し,

ツツジ科 Ericaceae,スノキ亜科 Vaccinoideae,スノキ属 Vaccinium,スノキ亜属 Subgenus Vaccinium,スノキ節 Sect. Cyanococcus

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Blueberry - Wikipedia

ブルーベリー - Wikipedia

 

シャンシャンボは,節の段階で一般のブルーベリーとは分かれています.

スノキ属スノキ亜属シャンシャンボ節.

ツツジ科 Ericaceae,スノキ亜科 Vaccinoideae,スノキ属 Vaccinium,スノキ亜属 Subgenus Vaccinium,シャシャンボ節 Sect. Bracteata

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シャシャンボ - Wikipedia https://matsue-hana.com/hana/syasyanbo.html シャシャンボ - 庭木図鑑 植木ペディア

実の美しさは,ブルーベリーよりかなり劣るように思いますが,花はそっくり.

そして,実は「甘酸っぱくておいしい」!

シャシャンボ - 庭木図鑑 植木ペディア

何とかして食べなくては.

 

シャンシャンボをこのブログで取り上げたのは,たまたま名前を見つけたためだけでなく,

このシャンシャンボが古事記に記述があるため

久しぶりの「植物をたどって古事記を読む」シリーズの題材にもなるためです.

 

ただし,シャンシャンボという名前は古事記に記載されていません.

古名「さしぶ」が,オホサザキ(仁徳天皇)の太后イハノヒメによって歌われる大君(オホサザキ)を讃える歌の中で登場.

 

ただ,この時のイハノヒメ.怨み怒っています.

「大君がワタノアキイラツメをそばに置いて夜も昼もたわむれ遊んでいる」ことを聞きつけ,難波の宮に帰らず山代へ.

そして,つぎのように歌ったのでした.

 

重なり根這(ねば)う山の 山代川よ

川を上り わが上り行けば

川のほとりに 生えている

サシブよ そのサシブの木

その下に 生えて立つ

葉の広い 美しいツバキ

その花のごと 照り輝かし

その葉のごと 広がりいますは

大君様でございます

 

つぎねふや やましろがはを

かはのぼり わがのぼれば

かはのへに おびだてる

さしぶを さしぶの木

しが下に おひだてる

葉びろ ゆつまつばき

しが花の てりいまし

しが葉の ひろりいますは

おほきみろかも

 

(出典 口語訳古事記 三浦祐介 文藝春秋

 

「さらにワクチン接種が進めばしばらく感染者数は減少する可能性が高い.それは社会全体で接触も減って,なおかつワクチンで免疫を得ることとの掛け算の結果」「一時期減少していたとしても,その恩恵は期間限定のものなのです. 問題は,その時にどうするのか,です」「(3回目接種については)具体的な計画をする前から私たちのこの感染症に対する向き合い方や考え方の姿勢自体を見直した方がいい」“どんな社会を選ぶのか,経済学,人文学の専門家も交えて合意形成を” 西浦博 by 岩永直子 BuzzFeed

前回,前々回に続いて,BuzzFeed岩永さんによる西浦博さん(京都大学)へのインタビューの第3回

「ワクチンだけでは流行を抑えられない」 西浦博さんが国民的な議論を呼びかける理由 岩永直子

https://www.buzzfeed.com/jp/naokoiwanaga/covid-19-nishiura-20210831-3

からの抜粋です.

本文を是非読んでください.

 

なお,政府の新型コロナ分科会による今後の見通しを示す提言(9月3日)についてもBuzzFeedがまとめています.

www.buzzfeed.com

西浦さんの話からつながった内容とも言えます.

こちらも是非.

 

 

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https://www.buzzfeed.com/jp/naokoiwanaga/covid-19-nishiura-20210831-3

(第5波の感染者が減少に転じているが)

今後どうなるのか,そして今後どんな未来を描いたらいいのか

 

ーー今後の感染状況の見通しを教えてください.

「さらにワクチン接種が進めばしばらく感染者数は減少する可能性が高い.でもそれは社会全体で接触も減って,なおかつワクチンで免疫を得ることとの掛け算の結果であることです.」

ーーワクチンだけではダメだということですね.

「そうなんです.実効再生産数(※)が1を下回っているのは,接触が落ちた上でワクチン接種を進めているからだと思います.ワクチンは未だに20〜30歳代には十分行き渡っていないし,それだけではこうはならないと思います」

※感染者一人当たりの二次感染者数の平均値.1を切ると減少傾向に転じる.

 

ーーどれぐらいまでその「掛け算」を続けるべきですか?

「接種のスピードによって変わります.希望者の数とその方々の接種のスピードを今後どれぐらい上げられるかが重要です」

 

ーー緊急事態宣言は9月12日までですが,ワクチン接種が完了するまで延長してほしいと考えているのですか?

「宣言をどこまで続けるかは,感染者数の減少はもちろんのこと,医療提供体制の状況を改善する目的を重視して専門家も考えるのではないかと思います.それを参考に政策判断もなされるでしょう.

判断に必要な感染者数を見通す上で,接触が増えてきた時にどれぐらいの人が感染する可能性があるかという“感受性”(免疫のある人がどれだけいるか)の情報がないのは痛い(自然感染の実態がモニターされていない)」

「少なくとも,近い未来を見据えて打つべき対策は,今,一過性に落ちているこの状況をできるだけ継続させる.それが必要なのだと思います」

 

ーー先ほど,大学や専門学校でICTを利用して接触を減らしてほしいとおっしゃっていましたが,小中高は休校などは必要ないのですね.

「小中高校生のデータを分析している限りでは,ここまでの対策レベルを維持していれば伝播がそこで続く状況ではありません.大学生以上は伝播が維持・拡大し得ます.そこに相当違いがありそうです」

「小中高生の感染リスクは,大学生より上の成人の流行に大きく左右されます」

「(イギリスの例をみると)接触がコロナ以前のレベルに戻ると,おそらく小学校でも中学校でも感染拡大し得ると思います.そういうことが日本でも起こる可能性があることは頭に置いておいた方がいい.今の自粛具合での対策と,接触が以前のように戻った場合の対策は切り分けて考えた方がいいということです」

ーー(元の生活に戻るために)ワクチンだけでは難しいということがだんだんわかってきましたね.感染対策はずっと続けるべきなのでしょうか.

「予防接種を進めながら接触削減をすれば,しばらくは制御が可能かもしれません.でも,それで世界が元に戻らないレベル(感染拡大が再び起きないレベル)で変わった,というわけではありません」

「予防接種を進めた他の国がどうなったか.僕たちはそこから学ばないといけません.

イギリス,イスラエル,フランスが典型例ですが,必ずまた感染者数が増加してきます.一時期減少していたとしても,その恩恵は期間限定のものなのです.

問題は,その時にどうするのか,です.

予防接種が行われている中で,どんどん状況は変わっていきます.何がリスクであり,どう対応しなければならないのか,先回りして考えて議論しておかなければなりません」

 

ーーワクチンの効果は思っていたよりも早く落ちることが最近の研究でわかってきました.3回目のブースター接種についても議論が始まっています.

「今,僕はイスラエルのデータを分析しているのですが,7ヶ月ぐらい経つと発病を阻止する効果は50%ぐらい落ちます.

 逆算すると,日本ではまず医療従事者の免疫がなくなっていきます.次いで高齢者です.その頻度が高くなるのはこの秋が深まった頃です.それを認識することがまず必要です.」

「感染レベルを低く抑えながら,次に備えるプランをその間に構築しなければいけません.」

ーー3回目接種についてはどう考えますか?

「ブースター接種については慎重に考えた方がいいと思います.

高齢者のように死亡する可能性が高く,ハイリスクな人はもちろん接種するといいと思います.しかし,集団免疫を狙うには,6ヶ月で少なくとも効果が半減するワクチンでは厳しい可能性もあると思っています.

予防接種を半年に1回,人口全体でみんなうってこの先も生活していくかと言えば,それが明らかに正しいとは言えず,今後議論が起きると思います」

「イギリスやアメリカやイスラエルが3回目をうっているのが正しいかどうかは,それらの国からこの先,学ぶことができます.

今までの知見が示しているのは,それだけで流行を終わらせるのは厳しいということです.なので,具体的な計画をする前から私たちのこの感染症に対する向き合い方や考え方の姿勢自体を見直した方がいい」

「科学的に考えると,予防接種によって人口の相当の割合の人が常に感染から守られる免疫を保持し続けること,それが未来永劫続くように,この問題が消え去るまで,医療が逼迫しなくなるまで,何度もワクチン接種を繰り返すことは一つのアイディアではあります.むしろ有望な選択肢と言ったほうが良いのかもしれません.

しかし,それにしては効果が半減するまでの期間が短すぎるのです.人口全体が年に2回もうつことは,今までワクチン産業でも全く想定していなかったはずです.途方もないくらいの数の予防接種が世界中で行われなければならない.

だから,特定のハイリスクの人は接種を繰り返すとしても,イギリスのようにある程度の感染をコミュニティとしていずれ受け入れる,ということは一つの選択肢だと思います.

もちろん,医療が逼迫しない状態で,という条件が付きます.日本はこの条件を達成する流行レベルが他国よりも低いため,戦略とできる可能性が少ないように思われます.」

「自然感染を低いレベルで起こし,徐々に社会を開いていくことができるか,しかも,それが制御可能なレベルに留まりながら起こせるか,というと,これまでのコントロールを遥かに超える難しさがあるでしょうね.

医療を逼迫させずに少しずつ,少しずつ出口へ近づくことが必要とされますが,その願いはなかなかハードルが高い要求になりかけているところです.」

 

どんな社会を選ぶのか,経済学,人文学の専門家も交えて合意形成を

 

ーーワクチンパスポートの話も出ていますが,今の話と相まって計画を練り直さないといけないですね.

「ワクチンパスポートはワクチン接種のインセンティブ(動機付け)の一つですね.

呼称はともかく,インセンティブが必要であることは明白な事実です.」

「一方でデルタ株によって予防接種の効果が少し下がることや,ブレイクスルー感染が予防接種から時間が経つとどんどん起こることは,最近得られた科学的エビデンスです.

これらのエビデンスインセンティブに伴う行動の緩和と対立してしまいます.今後も最新の科学的エビデンスを集め続け,ワクチンに伴う緩和に関しては一度仕切り直して考えなくてはならないのでしょう.

その上で,今後の戦略に関する選択肢を複数,社会に提示するべきだと思います.

例えば,ワクチン接種を全国民で年に2回繰り返し,接触の制限をしながら暮らすのか.一定の感染リスクを低いレベルで受け入れた上で,ハイリスク者のみブースター接種を行い,一定の行動の緩和を強弱をつけつつ行うのか.あるいは,その中間くらいで時間をかけて実施するのか」

「まだまだ,接種後の社会を具体的に考えられるほど,人口内の免疫保持者は多くありません.ですから,今後の選択は目の前ではなく,少なくとも半年から1年以上後に迫られる話になると思います.でも,いまから熟議してやれないものかと強く感じています.

医学の専門家だけでなく,経済学や人文学の専門家も交えて議論していただきたいところです」

「サイエンスはサイエンスとして実施するけれども,経済活動もそうですし,かけがえのない人生の時間をどう過ごすのかにも関わる議論です.

国民に各々の専門家の考えを伝えて,みんなで合意形成する.それが一番正常なプロセスだと思います」

 

 

第5波の感染拡大が,減少の様子を見せ始めています.西浦京大教授によれば 「総合的にみると、今の状態が続けば、感染者の減少はさらに続くと判断していいと思います」とのこと.なぜ感染者は減った?西浦さんが最もありそうだと考えているのは”仮説1:リスク認識による自粛と緊急事態宣言での接触減+ 仮説2:ワクチンの普及.「私権が制限され、経済的な影響も甚大である対策を打たずに済む可能性が出てきたのは、本当に良い兆候だと思います」

第5波の感染拡大が,減少の様子を見せ始めています.

 

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西浦京大教授によれば

「総合的にみると、今の状態が続けば、感染者の減少はさらに続くと判断していいと思います。もちろん,接触が増えると感染者数は増加します。」

https://www.buzzfeed.com/jp/naokoiwanaga/covid-19-nishiura-20210831-1 

yachikusakusaki.hatenablog.com

 

朗報です.

 

buzzfeedの続報では,西村教授がこの減少の要因について考察しています.

 

デルタ株にオリンピック、お盆や連休......それでもなぜ感染者は減った?西浦博さんが4つの仮説を検証

https://www.buzzfeed.com/jp/naokoiwanaga/covid-19-nishiura-20210831-2?bfsource=relatedmanual

 

四つの仮説とは次の通り.

仮説1:リスク認識による自粛と緊急事態宣言での接触

仮説2:ワクチンの普及

仮説3:若年世代の行動の変化と自然感染による免疫

仮説4:気温の影響

 

西浦さんが最もありそうだと考えているのは“仮説1+仮説2”.

「一番あり得るのは1+2です。リスクを認識してハイリスクの接触を避けたことと、予防接種が進んでいることが合わさって減っているのだろうと思います。」

一番あり得るのは1+2です。リスクを認識してハイリスクの接触を避けたことと、予防接種が進んでいることが合わさって減っているのだろうと思います。
一番あり得るのは1+2です。リスクを認識してハイリスクの接触を避けたことと、予防接種が進んでいることが合わさって減っているのだろうと思います。
一番あり得るのは1+2です。リスクを認識してハイリスクの接触を避けたことと、予防接種が進んでいることが合わさって減っているのだろうと思います。
一番あり得るのは1+2です。リスクを認識してハイリスクの接触を避けたことと、予防接種が進んでいることが合わさって減っているのだろうと思います。
一番あり得るのは1+2です。リスクを認識してハイリスクの接触を避けたことと、予防接種が進んでいることが合わさって減っているのだろうと思います。

 

仮説1に関しては

第4波時,緊急事態宣言を打つと再生産数が相対的に何%低下するのか,緊急報告をだしていますが

( まん延防止等重点措置と緊急事態宣言が新型コロナウイルス感染症の流行動態に及ぼした効果に関する定量的評価(暫定版) ) 

緊急事態宣言を打つと再生産数が相対的に何%低下するのか), )実は、次の緊急事態宣言で同じことをやれば同じ効果が期待できるかと言えば、必ずしもその保証なく,「それぞれの宣言でどれだけ減るかは、その要請がどれだけ皆さんの心に響いて、皆さんがどれだけ従ってくれるかにかかっています。だから科学的に措置内容で制御することは難しいのです」)「それぞれの宣言でどれだけ減るかは、その要請がどれだけ皆さんの心に響いて、皆さんがどれだけ従ってくれるかにかかっています。だから科学的に措置内容で制御することは難しいのです」 ) )

「それぞれの宣言でどれだけ減るかは、その要請がどれだけ皆さんの心に響いて、皆さんがどれだけ従ってくれるかにかかっています。だから科学的に措置内容で制御することは難しいのです」

とのこと.

そうですよね.

 

また,仮説2に関しては,

科学的アプローチが可能なのですが----

「今、人口のそれぞれの年齢群や社会リスク層の中で何%がまだ感受性(感染する可能性)を持っていて、今後感染する可能性があるかを定量的に(数値として)把握できていません。これが結構大きな問題です」

とのこと.

そんなことだろうとは思っていましたが,国レベルで現状を科学的にキッチリと把握する精神がないことの証しですね.

例えば,香港,オーストラリアなどは,血清中の抗体レベルをしっかりモニターしているそうです.

 

西浦さん「リアルタイムでその状況が把握できれば、感受性を持った人口サイズがわかりますので、結果としてデルタ株の基本再生産数もわかります。

いま何%の人が免疫を持っていて、自粛がこれぐらい行われているから、流行対策がなかった場合は血清データからすると再生産数はいくつだな、とわかる。そうすると、対策がもう少し客観化される。

 日本ではそれを知ることができない現状は問題です。僕もとても興味のある学術課題ではあるのですが、毎日のリスク評価に必死になって手が回らず、このリアルタイム調査に手が付けられていないことを残念に思っています」

 

関連して

オリンピックの影響については

接触とか夜間の繁華街でハイリスクの行動を取ることに関して言えば、オリンピックの影響はほぼなかった、つまり、明らかな増加も減少もなかった、と思います」

「主な影響として疑いなく言えるのは、心理的インパクトだと思います。心理的インパクトは数値化するのが困難ですが」

とのことでした.

 

要請レベルの「緊急事態宣言」.これからもその効果が発揮できるかどうかの保障はありませんが,感染力が従来株の2倍と言われる今回のデルタ株に対しても,その感染拡大を抑える効果を発揮しているようです.

前回の第1回目の記事には西浦さんは本当に嬉しそうな笑顔で語っていたと書かれています.

前回の繰り返しになりますが,改めて,西浦さんの喜びの言葉を今回も以下に引用します.

 

西浦さん

「基本再生産数(※何も対策しない場合の一人当たりの二次感染者数の平均値)で言うと5を超えるような感染症を、人の行動を制限することで食い止める経験は、過去に一切なかったことだと思います。

しかも、社会経済活動はそれなりに続いています。すごく制御にとって後ろ向きな条件下なのです。緊急事態宣言が長引いて、声が届いているとは言い難い。中でも、オリンピック開催の心理的な影響は相当大きかったと思います。

宣言に効果がなく、ますます医療が厳しくなったらさらに厳しい措置をしなければなりません。どうしても仕方なければ、立法でロックダウンを考えてほしいという議論もこれまでになされてきました。

そんな中、私権が制限され、経済的な影響も甚大である対策を打たずに済む可能性が出てきたのは、本当に良い兆候だと思います。

ですから、ここで再上昇が起きないように、さらなる対策が必要ならやる。確実に減らすことが必要です。学校再開がある9月に、社会全体で接触が増えて感染が再び増えてしまうことは何としてでも避けたいです。

ニュースでご覧の通り、政府はロックダウンをしようとしませんでしたよね。

専門家としては、その条件下でどんな措置ならできるのか、水面下で必死に検討していました。措置の中身によっては社会に大きな影響を与えるだろうし、かと言って自粛が限界を迎える頃です。どうすればいいんだと頭を抱えていました。

その中で、今のような対策を何重かに重ねてしっかり実行していれば減少傾向に転じたということは、まずみんなで自信を持つべきことです。自信を持ってそのままもう少し継続したい。しっかり頑張れば9月中に、安定的に減っているように見えてくるはずです。

近未来をどんどん皆さんの力で明るくしていけたらと思います。」

 

ロックダウンなしに感染を抑え込むことができれば,本当に嬉しいことです.

 

 

なお,ワクチン接種も,第5波の感染拡大を抑え込むには力を発揮していると考えられています.

接種開始が遅れたことは悔やまれますが,日本も,ようやく,先行国に近づきつつあり,接種が停滞気味のアメリカにはもうすぐ追いつくでしょう.

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しかし,接種先行国イスラエル,イギリス,アメリカに見るように,ワクチンだけで感染拡大を抑えることはできません.

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ワクチンの最大の効力は重症化を防ぐ働きですが,これとても感染が拡大してしまうと,非接種者の感染⇒死亡を抑えることは難しくなります.イスラエルアメリカ,イギリスの人口当たり死亡者は,日本の何倍にもなっています.

逆に,素早いロックダウンと感染者の割り出しに力を注いでいる台湾,ニュージーランド,オーストラリアなどは,ワクチン接種が遅れていても死亡者をずっと少なくすることに成功しています.

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実は、次の緊急事態宣言で同じことをやれば同じ効果が期待できるかと言えば、必ずしもその保証はありま

防災の日の9月1日.感染者は150万人を超え,死者は,東日本大震災に迫る1万6141人.大災害です.そして,今も「未経験規模の感染続いている」ことは疑いない.「自分や家族の命を守るために必要な行動」がこれからも必要.とはいえ,朗報も.日本全体の感染者数にはピークアウトの様相がみえ,西浦京大教授も,この減少は見かけのものではなく,本当に減ってきているとしています.今後の予断は許せませんが.

9月1日は防災の日

 

関東大震災から98年,東日本大震災から10年の今年,

日本は新型コロナウイルス災害のまっただ中.

感染者は150万人を超えました.

 

「新型コロナ 国内感染150万人超える “第5波”で加速度的に拡大」 

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https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210901/k10013237121000.html

 

死亡者は,1万6141人.

感染拡大から遅れてピークになる死亡者.ジワリと増え始めています.

ワクチンが死亡者を減らしてくれることを祈りますが,一定の数は覚悟しておかなくてはいけないでしょう.

昨年秋のGOTO Travelに続き,今回も政府の間違ったメッセージが感染拡大を倍加させたと思うと---

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新型コロナウイルス 日本国内の感染者数・死者数・重症者数データ|NHK特設サイト

 

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COVID-19 Data Explorer - Our World in Data

 

震災や津波と違って,短時間での集中した被害が認識できないせいか「災害」というイメージが湧きにくいのですが---

東日本大震災の死者1万5900人,行方不明者2525人

行方不明、なお2525人 東日本大震災10年―警察庁:時事ドットコム

と比べてもいかに大きな災害かが分かります.

 

そして,今回の第5波.

日本全体の感染者数はピークアウトの様相も見えてきています.

(朗報:西浦京大教授も,この減少は見かけのものではなく,本当に減ってきているとしています.今後の予断は許せませんが ⇒*)

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(地域別の感染者については,東京をはじめ首都圏は減少が見られていますが,大阪・愛知は増加.沖縄の逼迫度はハンパない ⇒**)

 

 

厚労省の専門家会合は,いまだ「未経験規模の感染続いている」ことは疑いないとし,

「自分や家族の命を守るために必要な行動を」と呼びかけています.

具体的には

 ▽すでにワクチンを接種した人も含めて外出を最低でもこれまでの半分以下の頻度に

 ▽混雑した場所など感染リスクが高い場所を避けるように

厚生労働省の専門家会合)

厚生労働省の専門家会合 「未経験規模の感染続いている」 | 新型コロナ 国内感染者数 | NHKニュース

 

 

 

https://www.buzzfeed.com/jp/naokoiwanaga/covid-19-nishiura-20210831-1 

www.buzzfeed.com

西浦博京大教授

 ”総合的にみると、今の状態が続けば、感染者の減少はさらに続くと判断していいと思います。もちろん、接触が増えると感染者数は増加します。

 

 ”この3〜4週間、あれこれ本当はどうなのかずっと考え続けていました。研究室の中で、研究員らとデータをこねくり回して「ああでもない」「こうでもない」と毎日ずっと思考を巡らします。

分析で得られた考えを含めて、感染研の鈴木基先生や東北大の押谷先生含め疫学メンバーらと議論をして擦り合わせをします。

結果として時間がかかって恥ずかしい限りではあるのですが、「うん。これなら減っているね」と自信を持って言えるところまでやっとたどり着きました。”

 

 ”感染者数の実数が減ると、主に高齢者が中心となって重症化していた頃の流行よりもはやいスピードで重症患者数も減り始めると思います。”

 

 ”ものすごくいいニュースだと思っています。デルタ株に関して、これまでもお話してきた通り、減るのかどうか怖いところがありました。

 

基本再生産数(※何も対策しない場合の一人当たりの二次感染者数の平均値)で言うと5を超えるような感染症を、人の行動を制限することで食い止める経験は、過去に一切なかったことだと思います。

しかも、社会経済活動はそれなりに続いています。すごく制御にとって後ろ向きな条件下なのです。緊急事態宣言が長引いて、声が届いているとは言い難い。中でも、オリンピック開催の心理的な影響は相当大きかったと思います。

宣言に効果がなく、ますます医療が厳しくなったらさらに厳しい措置をしなければなりません。どうしても仕方なければ、立法でロックダウンを考えてほしいという議論もこれまでになされてきました。

そんな中、私権が制限され、経済的な影響も甚大である対策を打たずに済む可能性が出てきたのは、本当に良い兆候だと思います。

ですから、ここで再上昇が起きないように、さらなる対策が必要ならやる。確実に減らすことが必要です。学校再開がある9月に、社会全体で接触が増えて感染が再び増えてしまうことは何としてでも避けたいです。

 

 ”ニュースでご覧の通り、政府はロックダウンをしようとしませんでしたよね。

専門家としては、その条件下でどんな措置ならできるのか、水面下で必死に検討していました。措置の中身によっては社会に大きな影響を与えるだろうし、かと言って自粛が限界を迎える頃です。どうすればいいんだと頭を抱えていました。

その中で、今のような対策を何重かに重ねてしっかり実行していれば減少傾向に転じたということは、まずみんなで自信を持つべきことです。自信を持ってそのままもう少し継続したい。しっかり頑張れば9月中に、安定的に減っているように見えてくるはずです。

近未来をどんどん皆さんの力で明るくしていけたらと思います。”

 

**

厚生労働省の専門家会合 「未経験規模の感染続いている」 | 新型コロナ 国内感染者数 | NHKニュース

東京都

 感染者数:減少

(東京都と千葉県ではお盆明けから繁華街などでの夜間の人出が増加に転じていることから、首都圏では再び感染拡大に転じることが危惧)

 入院者数:20代から50代を中心に増加

 重症者数:40代から60代を中心として高止まりの状態(過去最多の水準)

 新たな入院の受け入れや救急搬送が困難なケースや、一般医療を制限も起きている.

 

沖縄県

 感染者数:減少の動きが見られる

(夜間の人出は増加に転じていて、今後の感染者数の動きに注意が必要)

 病床使用率:9割前後

 

大阪府・愛知県

 感染者数:増加の動き/急速な増加

 重症者数:多くなってきている

 

オミナエシは昆虫たちを呼び寄せる花でもあります.昨日今日は,沢山のハチがやって来ていました.スズメバチの仲間,ドロバチの仲間---.チョウは色,ハチは匂いを主に見分けてやってくるとか.人間にはあまり心地よくないオミナエシの匂いをハチが好んでいるのでしょうか?咲き始めたばかりのフジバカマにいたのはヤマトシジミ.シジミチョウは育ち盛りのクモの絶好の獲物.キアゲハもやって来ました.我が家のパセリの幼虫は可哀相ですが今年は駆除させてもらいましたが.

7月から咲いているオミナエシ

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大好きな花です.そして,昆虫たちを呼び寄せる花でもあります.

昨日今日,沢山のハチがやって来ていました.

(花アブが混じっていたかもしれません)

ハチの種類は私にはよく分かりませんが---

多分スズメバチの仲間.キイロスズメバチ

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ドロバチの仲間?エントツドロバチ?

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ツチバチの仲間? 

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蝶もやって来るのですが,ハチの方が多い気がします.

チョウは色,ハチは匂いを主に見分けるとか..

https://ocw.kyoto-u.ac.jp/wp-content/uploads/2021/04/2010_seibutsukikaikeisokugaku_08.pdf

人間にはあまり心地よくないオミナエシの匂いをハチが好んでいるのでしょうか?

オミナエシにはハチやチョウ以外にも小さな虫たちがやって来ます.今日いたのはつがいの小さな甲虫.テントウムシ(?).

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オミナエシ以上に虫を引きつけることで有名なのがフジバカマ.アサギマダラは有名ですが我が家には来たことがありません.

咲き始めたばかりの花にいたのはヤマトシジミ

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クフェアには別の種類のシジミチョウも来ていましたが名前が分かりません.一方はヤマトシジミでしょう.

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今はシジミチョウが多いように思います.そしてシジミチョウは育ち盛りのクモの絶好の獲物.

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 アゲハチョウはいつ見ても立派.

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このキアゲハ君.今年はどこで育ったのでしょうか.我が家のパセリに産み落とされた幼虫は,可哀相ですけれど,今年は駆除させてもらいました.

 

シソに花が咲き始め,今年も秋がやって来ました.

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死亡率2%で重症化率も高い新型コロナウイルス.同時に忘れてはいけないのが,いわゆる遅延症.小規模な研究は,かなり集まってきていますが,実態は不明な部分が多く残されていました.しかし,最近,中国のかなり大規模な研究報告が医学雑誌Lancetに発表されました.遷延する症状として挙げられているのは,疲労感,筋力低下,睡眠障害,味覚や嗅覚の変化,めまい,頭痛,息切れ/呼吸困難,不安,抑うつ. 入院歴のある人では「1年後でも49%が何らかの症状が続いている」というのは驚きです.

世界で2億1641万人が感染し,450万人の死亡者が報告されている新型コロナウイルス

多くの感染者が無症状〜軽い症状で済むため抑え込むことが困難な一方,死亡率2%で重症化率も高いという手強いウイルス.

 

同時に忘れてはいけないのが,いわゆる遅延症(症状の遷延).

小規模な報告は,日本のものも含め各国から集まってきていますが,実態は不明な部分が多く残されていました.

しかし,最近,中国からのかなり大規模な研究報告が医学雑誌Lancetに発表され,話題になっています.

https://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736(21)01755-4/fulltext

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新型コロナウイルス感染で入院した1276人を対象とした研究で,対照群もしっかり設定した信頼できる報告です.

 

この報文は専門的なもので,わたしのような素人では分からないところも多いのですが,その概要をTIME誌が分かりやすくまとめています.

time.com

以下,DeepL翻訳で記録させてもらいます.

遷延する症状として挙げられているのは,疲労感,筋力低下,睡眠障害,味覚や嗅覚の変化,めまい,頭痛,息切れ/呼吸困難,不安,抑うつ

入院歴のある人では「1年後でも49%が何らかの症状が続いている」というのは驚きです.

 

 

COVID-19の影響が残っているという最大規模の研究で,問題の深刻さが示唆される

ALICE PARK

TIME

2021年8月26日

 

Lancet誌に発表したCOVID-19患者を対象とした最大規模の長期研究で,中国の研究者らは,この病気が人々の健康に影響を及ぼし続けているという心配な結果を報告しました.

 

北京の中日友好病院のBin Cao医師を中心とする研究者らは,COVID-19で入院した後,武漢のJin Yin-Tan病院を2020年1月から5月にかけて退院した1,276人を対象に調査を行いました.

患者は全員,症状が出てから6カ月後と12カ月後の健康診断に同意し,それぞれの時点で,研究参加者の健康状態を,COVID-19の感染を経験していない武漢地域の同程度の人々と比較しました.

 

COVID-19で入院した患者のうちの68%が,最初の症状が現れてから6カ月後に,COVID-19に関連する症状が少なくとも1つ続いていました.

この割合は,12ヵ月後には減少したものの,49%と比較的高い割合を維持していました.

また,COVID-19で入院したことのある患者は,対照群と比較して健康状態が悪く,運動能力の問題を含むQOL(生活の質)が低下していると自己申告していました.

 

12ヵ月後に患者が報告した症状で最も多かったのは疲労感や筋力低下で,その他にも睡眠障害,味覚や嗅覚の変化,めまい,頭痛,息切れなどがありました.

症状によっては,12ヵ月後の方が初期よりも悪化しているものもありました.呼吸困難を訴える患者の割合は,最初の症状が出てから6ヵ月後から1年後にかけて,26%から30%へとわずかに増加していました.

また,患者は精神的な面についてもアンケートに答えており,最初の症状が現れてから6カ月後には23%が不安や抑うつを感じていたのに対し,1年後には30%が不安や抑うつを感じていました.

 

今回の調査結果は,COVID-19が人々の健康に及ぼす影響の複雑さと,一部の専門家が「Long COVID」と呼んでいる長期的な影響の範囲を浮き彫りにしています.

重篤なCOVID-19に感染した患者の約半数が症状から回復する一方で,残りの半数,特に入院中に症状が悪化した患者は,1年以上にわたってウイルスの精神的・肉体的影響と戦い続ける可能性があることが示唆されています.

 

マウントサイナイヘルスシステムのリハビリテーションイノベーションディレクターで,同ネットワークのロングCOVIDリハビリテーションプログラムを監督しているデビッド・プトリーノ氏は,「これはglass-half-full storyではありません」と言います.「例えば,歩行性肺炎などで入院した後,12ヵ月後にまだ症状を訴えている患者がいるとは思いませんでした」.

 

著者らは,不安や抑うつを経験する患者の割合が増加していることが特に「心配」であり,これらの症状を助長している可能性のある孤立,失業,身体的健康の喪失に加えて,ウイルス自体が異常な免疫反応を引き起こし,人々の精神状態に寄与する脳内化学物質の繊細な働きに影響を与えているのではないかと推測しています.

 

「COVID-19の症状が持続している人は,回復に長い時間を要することが示唆されています」とプトリーノは言います.

マウントサイナイ大学のLong COVIDプログラムでは,腎臓,心臓,肺の問題から全身の疲労感や筋力低下まで,患者の多様な症状に合わせたアプローチを行っています.後者の場合,リハビリテーションには,慎重に監督されたエクササイズによって自律神経を徐々に刺激し,正常な神経の活性化を促すという退屈なプロセスが含まれることもあり,患者が元気になるまでには3〜4カ月もかかることもあります.

 

「初期の急性症状を乗り越えて退院しても,このウイルスは終わりません」とプトリーノは言います.「このウイルスは持続します」.

Lancet誌の研究では,入院中のCOVID-19患者のみを対象としていますが,規模は小さいものの他の研究では,感染しても病院に行くほどではない人の約20%にCOVID-19の症状が残る可能性があることを指摘しています.

何とかおさまってほしい!願いが通じたのか--- 拡大のスピードは鈍化しはじめ,9月初めにはピークアウトとの予想も.感染者がたとえ減少に転じたとしても,高レベルで推移すれば,病院の逼迫度は増し,「在宅療養」の厳しい状況も易々とは解消されない.死亡者の数もしばらく増え続けるのでしょうが.とはいえ,この先,この第5波がおさまり,ワクチン接種が更に進めば,「新型コロナとの共存」の新たな局面に.近未来は「極端に変わることがない」ものの,予防接種率が高い社会ではより早く抜け出せるとのこと.

今までにない,感染拡大の危機的な状況が連日伝えられています.

 

「先月12日から始まった4回目の緊急事態宣言。しかし、人出は思うように減らず、感染は拡大、首都圏を中心に医療体制は危機的な状態になっている」

WEB特集 なぜ言葉は響かないのか | NHKニュース

ルポ記事,ツイッターなどで伝えられる感染病棟の逼迫.

 

10万人を超える自宅療養者.7月以降の在宅療養中の死者,少なくとも45人.

https://www.youtube.com/watch?v=qfrza5_LhE0

自宅療養中の死者45人 半数40~50代、無症状も:東京新聞 TOKYO Web

 

何とかおさまってほしい!

 

という多くの方の願いが通じたのか,報道される以上に多くの方が行動を抑制したのか,多数の飲食店の協力があったのか---

拡大のスピードは鈍化しはじめ,9月初めにはピークアウトとの予想も.

https://twitter.com/TC_Rheum/status/1430770759538905092

 

 

素人が軽々しく判断するのは危険ですが,全国,そして東京の感染状況には,確かに好転の兆しが見えるように思います(*).

感染者がたとえ減少に転じたとしても,高レベルで推移していけば,病院の逼迫度は増し,「在宅療養」の厳しい状況(**)も易々とは解消されない.死亡者の数もしばらく増え続け,「100年に一度の危機」(***)は簡単には収まらないのでしょうが.

 

とはいえ,この先,この第5波がおさまり,ワクチン接種が更に進めば,「新型コロナとの共存」の新たな局面に.

イスラエル,イギリスの「実験」が失敗に帰したように,ワクチンがあっても,いきなりコロナ以前に戻ることは難しそうです.西村教授の予想の最終章を転載しておきます(****).

新しい局面でも,病院を逼迫しかねない感染拡大は再び起こりうるようです.しばらくは.

ワクチンの普及がどれほど進むかによって,その程度の大小はあるようですが,覚悟はしておく必要がありそうですね.

 

なお,

感染の初期段階での押谷・西村先生の分析から得られた「三密回避」という対策のポイント指摘に,今までとても助けられてきました.

しかし,これからもしばらく続く新型コロナウイルスとの共存社会には,更なる情報があれば助かります.一年以上続いた感染の拡大・収束の繰り返しの中から,何が日本での感染拡大の最大要因なのか,そして拡大を収束させるポイントは何なのかについての新しい発見はなかったのでしょうか?

専門家の皆さん,分析よろしく.

 

https://toyokeizai.net/sp/visual/tko/covid19/

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例えば,

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***

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gendai.ismedia.jp

西浦 博

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極端に変わることがない近未来

https://gendai.ismedia.jp/articles/-/86584?page=4

以上の議論から想像いただけるかもしれないが,本感染症のリスクに対峙し続けてきた私から言えることは,接種完了時のイスラエルなどで一時的に見られていたような「ぱっと夜が明ける」ような未来社会が,日本で希望者の予防接種が完了しただけで来ることはなさそうである,ということである.

マスクを外した暮らしができて,普段会わない方と飲食が楽しめて,元の世界に近い接触が返ってくる,というイメージを抱く方も多いと思う.しかし,そのようにリスク認識が一気に社会全体で変わり得る,というような景色をすぐ先の未来に想像することは困難である.特に,現時点で見込まれる接種希望者がほぼ接種済みになるだろう今年11月後半の日本でそのようなリスク状態になることは,残念ながらほぼ期待できない.

それどころか,その後もしばらくは大規模流行が起こり得る状態が続き,医療が逼迫し得る状況(積極的治療が出来ない方が生じたり,自宅療養者が溢れかえったりするような,これまでの逼迫状況)が起こり得ると考えている.予防接種だけでは実効再生産数の値が1を上回るからだ.

もちろん,予防接種が進むにつれ,高齢者が最初に防がれ,その次に50歳代,その次に40歳代と次第に接種で防がれていく.だから,本格的な流行拡大が起こるまでの間は,重症患者数は過去と比較して明確に増加し難くなる.

しかし,接種を希望しない者の人口サイズは未だに大規模な流行サイズを引き起こすのに十分であり,そうすると高齢者を含むハイリスク者の間で未接種のままであった者を巻き込みつつ社会全体で感染が拡大し得る状態となる.それは,現状の接種希望者の見立て程度であれば,そのような中で大規模流行が起こると季節性インフルエンザ相当では到底及ばない流行規模・被害規模になり得る状態が継続する,ということである.

もちろん,そういった流行は接種率が高ければ高いほど被害規模を極端に小さくできる.また,すぐにマスクを外して接触を許すのではなく,まだしばらくの間はマスク着用を続けて不要不急の接触を避ける行動制限が緩徐に続くことで流行リスクが下がることに繋がるだろう.

その中で医療従事者や高齢者のようなハイリスク者のブースター接種が十分に行われるのはもちろんのこと,人口内で免疫を持つ者がほとんどの状況に達することができれば, 医療が崩壊するような流行も次第に回避可能となっていく.

ただし,おそらく年単位の時間をかけてそれが起こっていくのだ.

そこに至るまでの道のりにおいても,できるだけ医療逼迫の程度がひどすぎるような状況を回避しながら進み,直接的・間接的に生じる被害者が少なく済む状況を保っていく.繰り返すが,その間,日常生活でマスクは着用しつつ,ソーシャルディスタンスは確保しながらだが,少しずつ,少しずつ,私たちの文化的な社会活動を元の活力あるものに戻していく.

 

未来を切り開くために

https://gendai.ismedia.jp/articles/-/86584?page=5

私は,そういった流行対策を続けていけば,数年から(長くて)5年くらいの時間をかけて次第に未来が切り開かれていくものと見込んでいる.どこかで頓挫して流行が大きくなるリスクもあるかもしれない.どこかで新しい展開が生じるかもしれない.それでも,大枠は変わらないものと考えている.

その中で,ずっと「パンデミック」の状態が持続するわけではない.この感染症の流行で問題であったのは(1)感染者が出すぎると医療が逼迫してしまうこと(救える命が救えないこと),(2)他の疾病と比較すると死亡リスクが十分に高いこと,であった.

予防接種と自然感染が進んで,一定の対策下であれば(1)の医療逼迫が起こらない状態,になり,また,ハイリスク者が十分に免疫を保持し続けるか周囲に防御されることによって(2)の死亡リスクが他の疾病と変わらない,ということになれば,パンデミックは移行期(transition phase)へと進むことになる.そうなれば世界保健機関パンデミックが終了したことをアナウンスするはずである.

ただし,このウイルスがヒト集団から消え去ることはしばらくなさそうである.そのため,少なくとも医療従事者や高齢者を中心とした接種は続いていくのだろう.また,一部の進化生物学者は既に本感染症は数年から5年程度のタイムスパンで,子どもの病気へと変わっていくものと予測している.

このように流行対策のハードルと流行の社会的重大度を少しずつ下げていくことを「テーパリング」と呼ぶことができるだろう.日本語では「先細り」と訳されるが,医療業界では,一部の病気の患者さんの投薬量を時間をかけて少なくしていく際にこの用語が用いられている.そのテーパリングを人口レベルでどのように形作るのか,という命題は,コロナ後の明るい未来をどのように作っていくのか,というものでもある.

ご覧になっていただければわかる通り,その明るい未来は私たち社会構成員が参加しつつ切り開くものである.というのも,予防接種率が高い社会ではテーパリングをより近い未来にすることができるのである.心理学や経済学の専門的知見を動員して接種が特別に強く勧奨される仕組みを必死に考えていくべきだろう.政治が責任を持ってパンデミックのリスクと向かい合えない状態が続くのなら,皆さんと専門家で一緒にこのリスクに対峙して未来を明るく照らしていきたいと思うのだ.

新型コロナウイルス 世界の感染者数は2億人を突破して,まだまだ増え続けています.上昇が顕著なのはアジア.デルタ株の猛威に曝されています.一旦上昇が止まってきたかに見えたヨーロッパ・北アメリカが再び上昇する気配 。一方, 世界の死亡者は400万人を優に超え,こちらも減少の気配がありません. 一筋の光明は,ヨーロッパ,北アメリカの死亡者が抑制されてきたこと.ワクチンの力でしょう.国・地域別では,日本の新規感染者は世界第6位!ただし,人口当たりでは54位.

朝の水やり.

休憩中のトカゲ君発見.全く動く気配なし.朝から休憩中?

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とても暑い日が続きます.

水やり以外は,食事の支度.他に何もする気にならない1日でした.

ブログをまとめる気力も湧かず.

 

日々覗いているOur World in Dataから,世界の新型コロナ感染状況を掲載しておきます.

 

新型コロナウイルス 世界の感染者数

2億人を突破して,まだまだ増え続けています.

波打って見えるのは,変異株に対応?

 

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上昇が顕著なのはアジア.デルタ株の猛威に曝されています.

増加がやや抑えられてきたかに見えるのは,南アメリカ

一旦上昇が止まってきたかに見えたヨーロッパ・北アメリカが再び上昇する気配.デルタ株に加え,ワクチンへの過信が招いた結果でしょう.



新型コロナウイルスによる死亡者

世界の死亡者は400万人を優に超え,こちらも減少の気配がありません.

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 一筋の光明は,ヨーロッパ,北アメリカの死亡者が抑制されてきたこと.ワクチンの力でしょう.

ただし,よ〜く見ると,抑制にブレーキがかかったようにも---.規制を一気に解いた国々が再び感染拡大に見舞われ,遅れて死亡者も少しずつ増え始めています.ブースター接種の必要性が議論され,一部の国では実施/実施予定.

一方,デルタ株の猛威をもろに蒙り,ワクチンの接種が遅れているアジア.直近の死亡者上昇を一手に引き受けているようにさえ見えます.新たな変異株が生まれなければいいのですが.

アフリカも,これからどうなるのか?情報不足で何も言えませんが.

 

 

以下は国・地域別のデータ

日本の新規感染者は世界第6位!

ただし,人口当たりでは54位.

死者は何とか今のところ抑えられていますが----,

 

驚きなのは,アメリカ,イギリス,イスラエル

ワクチン接種先行国にもかかわらず,この感染者の多さ.アメリカは1日感染者数でダントツの1位.イスラエルは人口当たりの感染者数で世界4位.

この3カ国の死者も,じわりと増えてきています.

アメリカは1日の総死亡者数世界一.ただし,人口当たりでは世界22位とそれほど上位ではありません.といっても現在の日本の約10倍.

 

1日の新規感染者数

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1日の死者数

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「結局のところ,問題は,重症化,入院,死亡に対する免疫力が低下しているのか,それとも軽症化に対する免疫力が低下しているのかということです」「まだ答えは出ていません」 “もともと重症化を防ぐという目的で開発されたワクチンが,感染自体も防ぐことがわかり,ワクチンに対して求める期待値が上がってしまった.” “期待に反し,デルタ株に対する感染抑制の効果が弱まっているように見える.” “重症化予防の効果も弱まるかもしれない.” 3回目のブースター接種はこのような流れの中で決定されたようです.

新型コロナウイルスに対するワクチンの効果が,時間が経つと弱まってくるのではないか?という疑問が高まっています.

昨日はイギリスの大規模研究の結果を報告したNatureのニュース記事を掲載しました.

 

今日は,ボストングローブ紙の姉妹雑誌STATの記事を掲載します.

主にイスラエルの報告について多くの専門家にインタビューした結果をまとめています.一時「画期的なワクチン」としてもてはやされたmRNAワクチンが,現在どのように考えられているかを知るための絶好の読み物になっています.

 

私が読んで感じたポイントは,

「結局のところ,問題は,重症化,入院,死亡に対する免疫力が低下しているのか,それとも軽症化に対する免疫力が低下しているのかということです」「まだ答えは出ていません」「これは正しい設問だと思います.... 問題は,まだその答えが出ていないということです」

答えは出ていないんですね!

 

また,アメリカが3回目の接種をはじめることに踏み切った理由は

「重度の感染症,入院,死亡に対する現在の強力な防御力が,今後数ヶ月の間に,特にリスクの高い人や,ワクチン接種の段階で早く接種した人の間で低下する可能性がある」ことを懸念したため.

言い換えれば,現在のところ「重度の感染症,入院,死亡に対する現在の強力な防御力は失われていない」と考えられているということ.

 

“もともと重症化を防ぐという目的で開発されたワクチンが.感染自体も防ぐことがわかり,ワクチンに対して求める期待値が上がってしまった.”

“そのような期待に反し,デルタ株に対する感染抑制の効果が弱まっているように見える.”

“重症化予防の効果も弱まるかもしれない.”

“3回目を接種しよう.”

現在の3回目のブースター接種はこのような流れの中で決定されたようです.

 

STATのインタビューに答えている専門家たちは,総じて3回目接種に懐疑的なように見えます.

「ワクチンの効果,特に重症化の防御作用は保たれている.デルタ株に対しても」「 ブースターを投与しても,デルタを抑制することはできない」のですから,当然ですね.

 

3回目の接種は,専門家と言うより,政治判断が先行したもので,もう少し慎重に判断しても良い?

 

 

Covid-19 vaccines flirted with perfection at first. Reality is more complicated

最初は完璧を目指していたCovid-19ワクチン.現実はもっと複雑

By Helen Branswell 

STAT  2021年8月25日

Covid-19 vaccines flirted with perfection. Reality is more complicated

 

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昨年の秋,Covid-19ワクチンが症状のあるCovid-19感染を防ぐのにおよそ95%の効果があると報告されたとき,世界中が喜びました.そして,ベテランの科学者でさえも驚愕しました.

このような効果を持つワクチンはほとんどありません.SARS-CoV-2のようなウイルス,つまりインフルエンザのように鼻や喉に侵入するウイルスを防ぐために作られたワクチンは,一般的に有効性尺度で高い方にはありません.

これは良いニュースでした.しかし,Covid-19ワクチンへの期待は急上昇していましたが,今,それが裏切られつつあります.

SARS-2のより感染性の高いデルタ型が流行し,ファイザー社やモデナ社のようなmRNAワクチンは重症のCovid感染症に対する素晴らしい予防効果を発揮しているものの,ワクチンを接種した人の一定の割合は,上気道での感染を防ぐことができないことが明らかになってきています.

 

ワクチンは素晴らしい武器ではありますが,侵入できない鎧ではありません.

「私たちは皆,このような状況がなくなることを願っています」.ヴァンダービルト大学のワクチン専門家であるキャサリンエドワーズ氏は,STATに次のように語っています.「しかし,振り返ってみると,それは必ずしも現実的ではなかったのではないでしょうか」.

 

mRNAワクチンの防御力がどの程度低下しているかについては,まだ未解決の問題があります.効力が低下しているというエビデンスの一部は,高齢者にワクチンを接種した最初の国の一つであるイスラエルの未発表のデータをもとにしています. 

 

イスラエルのクラリット研究所の所長で,今回の研究に参加した科学者の1人であるラン・バリサー氏によると,イスラエルでデルタバリアントが流行し始めてから,ワクチンの効果が低下していることがわかったといいます.

しかし,免疫力の低下?それとも,デルタ型の感染力の増大?最初にワクチンを接種したイスラエル人の年齢が高かったこと?これらの要因が重なっているのか?背景にあるものを明らかにすることは非常に困難であると言います.

バリサーは,自分たちのチームが「さまざまなタイプの交絡(因子)について気付いている」と述べ,ワクチン接種者と非接種者のデータを比較する良い方法を見つけることの難しさを指摘しました.このことが,「評価結果や出版物の発表に通常よりも時間がかかっている理由 です」と述べています.

イスラエルのデータの背景に何があるのか,また,mRNAワクチンについて他の国にどの程度伝えることができるのか,研究者にとっては複雑な要素がもう一つあります.イスラエルではファイザー社のワクチンのみを使用しており,その結果はModerna社のワクチンには当てはまらないかもしれません.

イスラエルのデータはファイザー社のワクチンに関するヒントにしかならない.それ以外はすべて,他の国からの推論する必要があります」とバリサーは述べています.

 

マイケル・オスターホルムは,ワクチンを接種した人たちの間で感染者が増えている背景に何があるのか,そしてそれがどれほど大きな脅威なのかについては,まだ審査が終わっていないといいます.

ミネソタ大学の感染症研究・政策センターのディレクターであるオスターホルム氏は言います.「結局のところ,問題は,重症化,入院,死亡に対する免疫力が低下しているのか,それとも軽症化に対する免疫力が低下しているのかということです」「まだ答えは出ていません」「これは正しい設問だと思います.... 問題は,まだその答えが出ていないということです」.

 

イスラエルのデータはまだ発表されていませんが,トップラインの知見は得られています.

先週,バイデン政権の公衆衛生担当者は,これらのデータと米国の予備的なデータに基づいて,9月20日の週から米国人にmRNAワクチンの3回目の接種を行うことを発表しました.これは,ブレークスルー感染が重篤な疾患に対するワクチンの効果の低下を予兆している可能性があるためです.mRNAワクチンの3回目の接種は,2回目の接種から8ヶ月後に行われるべきであるとのことです.

米国疾病予防管理センターのロシェル・ワレンスキー所長は,今回の決定について,「重度の感染症,入院,死亡に対する現在の強力な防御力が,今後数ヶ月の間に,特にリスクの高い人や,ワクチン接種の段階で早く接種した人の間で低下する可能性があることを懸念しています」と述べています.

 

ブースターの決定に批判的なAnna Durbin氏は,ファイザー社とModerna社のワクチンの第3相臨床試験の結果によって設定された高いハードルが,米国のワクチン接種政策に悪影響を及ぼしていると考えています.

ジョンズ・ホプキンス大学ブルームバーグ公衆衛生大学院のワクチン研究者であるDurbinは,「これらのワクチンは,自らの成功の犠牲になっていると思います」と述べています.「今,私たちは完璧なものを求めています.そして,もし完璧でなければ,私たちはブースターを求めます」

科学者の中には,これらのワクチンの第3相試験が初めて行われた1年前には,ワクチンを接種した人のほとんどが重度の新型コロナウイルス疾病を防ぐことができるという見通しに,世界中が有頂天になっていただろうと指摘する人もいます.しかし,軽度の感染症に対しても90%台のワクチン効果が得られたことで,これらのワクチンが我々にもたらしてくれると考えていたものがリセットされたのです.

 

モンタナ州にある米国国立アレルギー感染症研究所ロッキーマウンテン研究所のウイルス生態セクションのチーフであるヴィンセント・ミュンスター氏も,我々の期待は非現実的であると考えています.

ミュンスター氏のチームは,ヒトでの臨床試験が行われる前の開発初期の段階で,いくつかのコビット・ワクチンをテストしました.動物実験では,上気道での感染は阻止できませんでしたが,肺は保護されました.もし,この動物実験がヒトでの結果を予測するものであれば,ワクチンを接種した人が新型コロナウイルスに感染した場合,風邪をひいたり,インフルエンザのような症状が出たりする可能性があるものの,ほとんどの場合,重症化したり,生命を脅かすような病気になることはないということになります.

「私たちは重症のCovidに対するワクチンを作っていたのですが,突然,感染を阻止するという期待がワクチンに寄せられるようになりました」と彼は言います.

 

例えば,ワレンスキー氏は,3回目の接種を行うことを発表する際に,ニューヨーク州で行われた研究を引用し,mRNAワクチンのあらゆる感染症に対する有効性は79.8%に低下したと述べました.しかし,同じ研究では,重篤な病気に対する予防効果は90%以上であったとしています.多くの専門家にとって,これは問題ではなく,成功の証拠なのです.

 

また,この研究をもとに,あまりにも多くの結論を出すことには疑問がありました.著者たちも,防御力の低下がすべてではないかもしれないと注意を促しています.2020年の夏から秋にかけて,人々はコヴィドをより恐れており,多くの人が社会的距離を置く手段に従うことをより厳格にしていました.

 

臨床試験結果との差異は,臨床試験が新しい亜種が出現する前の時期に実施されたことや,医薬品を使用しない介入戦略(マスクの着用や物理的に距離を置くことなど)がより厳格に実施され,人が曝露されるウイルスの量が減少する可能性があるためである」と,彼らは書いています.

 

ミュンスター氏やダービン氏をはじめとする多くの専門家は,「ワクチンは困難な課題に直面してもなお,最大限の力を発揮している」と強調しています.「多くの州ではワクチン接種率がまだ低く,米国での流行が始まって1年半以上が経過した現時点でも,新型コロナウイルスの感染者は驚くほど多くいます.対策を進めるためには,国内外でより多くの人がワクチンを接種し,感染や新種の発生を防ぐことが必要です」と主張しています.

 

「ワクチンを接種した人にブースターを投与しても,デルタを抑制することはできません」「それこそが重要なのです」.

 

バンダービルト大学のエドワーズ氏は,「私たちは期待を抑えなければならないと考えており,時間が経てば,免疫不全ではないワクチン接種者でも重症化する人が出てくるだろうし,中には死亡する人も出てくるだろう」と警告しています.

「多くはないと思いますが,必ずあると思いますし,私たちを不安にさせます」「私たちは現実的に何が起こるかを考えなければなりません」

 

COVIDワクチンはDelta型を防御するが,その効果は弱まる Nature  2021年8月19日 COVID-19の症例を対象とした英国での大規模な研究によると,ワクチンを種した人は最初は良好な免疫を持っているが,急速に広がるDeltaバリアントに対してすぐに脆弱になることが分かった.この研究を主導したオックスフォード大学の医療統計学者であるサラ・ウォーカー氏は,効果の低下を心配する必要はないと言います.「どちらのワクチンも,2回の接種でもデルタに対する効果は非常に良好です」

新型コロナウイルスパンデミック収束の決め手となる考えられているワクチン.

素早く優秀なワクチンが開発され,接種が進められてきました.感染を抑える効果,重篤化を防ぐ効果は共に十分.

コロナ以前の生活に戻ることができる--と希望がふくらんだのも束の間,ワクチン接種先行国で,規制を早く解除した国々(イスラエル,イギリス,アメリカなど)では,感染が再拡大してしまいました.

デルタ型変異株の出現.そしてもう一つがワクチンの効果が時間と共に弱まるという可能性.この二つが感染再拡大の要因と考えられ,イスラエルでは3回目のワクチン接種を開始.アメリカもそれに追随することを決定しています.

デルタ株がどのような性質を持っているか,そして3回目のワクチン接種には,どのような科学的背景があるかについては,阪大の忽那先生の優れた解説があります.

興味のある方は必読.

news.yahoo.co.jp

news.yahoo.co.jp

 

 

今日は,忽那先生の解説の後に科学誌ネイチャーの掲載されたニュース「COVID vaccines protect against Delta, but their effectiveness wanes COVIDワクチンはDeltaを防御するが、その効果は弱まる」をDeepL翻訳で.

忽那先生の解説を補強する内容になっています.

 

 

COVIDワクチンはDelta型を防御するが,その効果は弱まる

Nature  2021年8月19日

https://www.nature.com/articles/d41586-021-02261-8

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COVID-19の症例を対象とした英国での大規模な研究によると,ワクチンを種した人は最初は良好な免疫を持っているが,急速に広がるDeltaバリアントに対してすぐに脆弱になることが分かった.

キャサリン・サンダーソン

 

ファイザー・バイオンテック社とオックスフォード・アストラゼネカ社のCOVID-19ワクチンは,感染力の強いSARS-CoV-2のデルタ型に対して有効ですが,その防御力は時間とともに低下することが,英国で行われた感染症の研究で明らかになりました.

 

英国オックスフォード大学と英国国家統計局の研究者らは,アルファ型が優勢だった2020年12月1日から2021年5月16日の間に英国の成人384,543人が受けたSARS-CoV-2の有無を確認するPCR検査の結果2,580,021件と,デルタ型が優勢だった2021年5月17日から8月1日の間に358,983人が受けた検査結果811,624件からなる膨大なデータを分析しました.

 

ワクチンを接種した人はどのようにしてデルタ型を広めるのか?科学的根拠は?

8月19日にプレプリントで発表された結果によると,どちらのワクチンも2回接種すればデルタ型に効果がありますが,時間の経過とともに保護効果が薄れていくことが示唆されました.

ニューヨークのファイザー社とドイツ・マインツのバイオンテック社が製造したワクチンは,2回目の接種から14日後に高ウイルス量(検査試料中のウイルス濃度が高いこと)になるのを防ぐ効果が92%ありました.しかし,このワクチンの効果は,30日後,60日後,90日後には,それぞれ90%,85%,78%に低下しました.

オックスフォード大学と製薬会社のアストラゼネカ社(英国ケンブリッジ)が開発したワクチンは,2回目の投与から14日後の高濃度のウイルスに対して69%の効果がありましたが,90日後には61%に低下しました.

この研究を主導したオックスフォード大学の医療統計学者であるサラ・ウォーカー氏は,効果の低下を心配する必要はないと言います.「どちらのワクチンも,2回の接種でもデルタに対する効果は非常に良好です」

 

ピーク時のウイルス量

今回の研究では,ワクチンを接種した人がデルタ型に感染すると,ウイルスのピーク時のウイルス量が高くなっていることがわかりました.イギリスでアルファ型が流行したときには,ワクチンを接種した人が感染した場合,ピーク時のウイルス量ははるかに低かったのです.

ウォーカー氏は,このことの意味は明確ではないと言います.「私たちが行っている検査はほとんどが月1回のもので,感染者がどのくらいの期間感染しているのか,特にデルタの場合は違うのかどうかについては全くと言っていいほどわかりません.「ワクチンを接種していれば感染しても,人に感染させないと思っているでしょう,でもそうではないようです」.

 

デルタは,以前のCOVIDの波を逃れた農村地域を脅かす

また,今回のデータでは,ワクチン接種の間隔はワクチンの効果に影響せず,過去にCOVID-19の陽性反応が出たことがあり,かつ2回のワクチン接種を受けた人が,将来の感染を最も防ぐことができることが示唆されています.

ハイファにあるテクニオン(イスラエル工科大学)の生物医学データサイエンティストであるDvir Aran氏は,「今回の分析は18~64歳の年齢層に焦点を当てており,入院や死亡については調べていない」と指摘します.

「この研究は感染に関するもので,重篤な疾患に関するものではありません」

「この結果は,パンデミックのかなり早い段階で国民にワクチンを接種したイスラエルの観察結果を裏付けるものです.早期にワクチンを接種した集団では,高レベルのブレイクスルー感染が見られ,一方,最近になってワクチンを接種した集団,特に12歳から15歳の集団では,強固な防御効果が見られました」

今回の結果は,特に3回目のブースター接種を考慮しているなら,同じワクチンを複数回接種するよりも,異なるワクチンを接種した方が効果的なのではないかという疑問を投げかけています.

ドイツのハノーバー医科大学の免疫学者であるGeorg Behrens氏は,ワクチンを混合することで効果が高まる可能性があり,免疫系はワクチンの種類によって反応が異なるため,これを利用して全体的な反応を高めることができると述べています.「ベクターを使ったもの(アストラゼナカ社製等)を最初に使い,次にベクターを使用していない同じ抗原を使うというのは,非常に理にかなっています」とベーレンス氏は言います.

 

www.DeepL.com/Translator(無料版)で翻訳しました.

 

関連文献

Sustained Effectiveness of Pfizer-BioNTech and Moderna Vaccines Against COVID-19 Associated Hospitalizations Among Adults — United States, March–July 2021 | MMWR

 

Here's How Well COVID-19 Vaccines Work Against the Delta Variant

 

As Delta spread, Covid vaccine effectiveness against infection fell to 66%

 

Effectiveness of COVID-19 Vaccines in Preventing SARS-CoV-2 Infection Among Frontline Workers Before and During B.1.617.2 (Delta) Variant Predominance — Eight U.S. Locations, December 2020–August 2021 | MMWR

 

https://www.ndm.ox.ac.uk/files/coronavirus/covid-19-infection-survey/finalfinalcombinedve20210816.pdf

 

Pfizer and BioNTech Press Ahead on Booster Shots - The New York Times

緊急事態宣言 の対象地域に8道県が追加されました.現在の1日新規感染者数(1週間移動平均)は,23007人(8月24日).重症者数は,連日過去最多を更新.2000人に迫っています.重症者の中心は40-50代になってきていると報道されています. 高齢者に続いて,この年齢層へのワクチンがあと1ヶ月早く進められていたら.思うように接種が進まないアメリカ並みの接種率なら,手が届くところに来ています.きちんとした方針の下に接種順序を決めていれば---残念なことです.

新型コロナウイルスの感染に歯止めがかかりません.

25日には緊急事態宣言 の対象地域に8道県が追加されました.

 

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https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210825/k10013221991000.html

 

現在の1日新規感染者数(1週間移動平均)は,23007人(8月24日).

 

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国内の発生状況など|厚生労働省

 

重症者数は,連日過去最多を更新.2000人に迫っています.

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国内の発生状況など|厚生労働省 

 

高齢者へのワクチン投与が進み,重症者の中心は40-50代になってきていると報道されています.

高齢者に続いて,この年齢層へのワクチンがあと1ヶ月早く進められていたら,現在の状況はかなり異なっていたに違いありません.

 

この状況をワクチンだけで乗り切ることはできません.まず人と人との接触を極力減らしたうえで,マスク・三密回避など基本的な感染対策を徹底すること.

 

その上で,ワクチン.ということになりますね.

 

今のところ,まだ,接種開始の出遅れが解消できていません.

ただし,思うように接種が進まないアメリカ並みの接種率なら,手が届くところに来ています.きちんとした方針の下に接種順序を決めていれば---残念なことです.

 

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COVID-19 Data Explorer - Our World in Data

 

接種開始の出遅れ & 接種順序を考えずに闇雲に接種を急がせた.二重の失政.

今のところは死亡者の急激な増加は見えてきていません.死亡者は感染の増大からかなり遅れて増加しはじめます.

しかし,日本の医療は重症者の多くを助けてきました.どうか,死亡者が最小限に抑えられますように.

 

付録

今回の第5波の感染拡大を乗り切っても,コロナ以前の生活に戻れるわけではありません.

ワクチン接種が進んでも,イスラエル,イギリスを見れば分かるように,規制を撤廃すれば,感染者も死亡者も増加してしまいます.しかし,ワクチン接種が進めば今までとは異なった世界が待っていることは確かです.

政府の力が試される局面が続きます.
 

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 COVID-19 Data Explorer - Our World in Data

ブルーベリー  梅沢富美男と東野幸治のまんぷくメシ! 「ブルーベリー 〜東京都 国分寺市・立川市〜」を視聴.今日は番組の中で,気になった点を2つとりあげ,ちょっとだけ調べてみました. 1. 日本での収穫量日本一は東京  2. ピンクでもブルーベリー?

久しぶりにNHkまんぷくメシ」を視聴.

 

梅沢富美男東野幸治まんぷくメシ!

「ブルーベリー 〜東京都 国分寺市立川市〜」

 

後ほど内容をお伝えしようかと思っていますが---

今日は番組の中で,気になった点を2つとりあげ,ちょっとだけ調べてみました..

 

1. 日本での収穫量日本一は東京

知る人ぞ知るで,日経新聞などでも取り上げられてことがあるそうです.

 

日経新聞 2020年6月20日

ブルーベリー 生産量トップは東京: 日本経済新聞

国産ブルーベリーの収穫が本格化してきた。

生産量のトップは意外にも東京都。商業生産は50年ほど前に小平市で始まったとされ、現在は八王子市や町田市などでも盛んだ。

ブルーベリーは目に良いとされる成分「アントシアニン」を含むことで有名だ。そこに目をつけた農家が生産を始めたとされる。

小平市によると「ブルーベリーの父」と呼ばれる東京農工大学の故岩垣駛夫教授が日本の気候に適したブルーベリーを米国から取り寄せたのがきっかけとなったという。西武新宿線花小金井駅前には「ブルーベリー栽培発祥の地こだいら」と書かれた標柱が立つ。

 

統計値としては2017年のものが見つかりました.

特産果樹生産動態等調査 確報特産果樹生産出荷実績調査 2-1 種類別栽培状況 かんきつ類・かんきつ類以外の果樹 | 統計表・グラフ表示 | 政府統計の総合窓口

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 なるほど.東京は,かなり他を引き離して収穫量が日本一.

早く目をつけた農工大岩垣先生の力が大きかったのでしょうが,手間,根気がいる栽培収穫法を確立していった農家さんの力も大したもの.

ただ,出荷量は長野県がトップなんですね.こちらはイメージ通りという感じがします.

 

2. ピンクでもブルーベリー?

番組中に「ラビットアイブルーベリー」という品種がちょこっとだけ登場.

ピンク色と紫色の混色.

 

ただ,調べてみると,「果実が成熟する前にウサギの目のようにきれいなピンク色になる」ということのようです.

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ブルーベリーの品種 - 一般社団法人 日本ブルーベリー協会

 

ブルーベリーの苗木はホームセンターなどでよく見かけます.沢山の種類があるようで,ラビットアイはその一つ.

栽培種としては,ピンクばかりのものも.

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ブルーベリーの苗木一覧 果樹苗専門店の通販 苗木部 By 花ひろばオンライン本店

 

ブルーベリーと呼ばれているのは,

ツツジ科スノキ属スノキ節

ツツジ科 Ericaceae,スノキ亜科 Vaccinoideae,スノキ属 Vaccinium,スノキ亜属 Subgenus Vaccinium,スノキ節 Sect. Cyanococcus

に分類される低木の実( Blueberry - Wikipedia ).

英語版ウィキペディア" Blueberry"には,北アメリカの典型的な種として,実に12種も挙げられていますが,

ラビットアイは,独立した一つの種Vaccinium virgatumとしています.

 

Vaccinium angustifolium - ローブッシュ・ブルーベリー (Vaccinium stenophyllumとしても知られる)

Vaccinium boreale - ノーザンブルーベリー

Vaccinium caesariense - ニュージャージーブルーベリー

Vaccinium caespitosum - ドワーフブルーベリー

Vaccinium corymbosum - ハイブッシュブルーベリー

Vaccinium darrowii - エバーグリーンブルーベリー

Vaccinium elliottii - Elliott's blueberryエリオットブルーベリー

Vaccinium fuscatum - ブラックハイブッシュブルーベリー(同義語:V. atrococcum)

Vaccinium myrsinites - エバーグリーンブルーベリー

Vaccinium myrtilloides - カナディアンブルーベリー

Vaccinium pallidum Ait. - ドライランドブルーベリー(同義語: V. vacillans Torr.)

Vaccinium virgatum - ラビットアイブルーベリー(同義語:V. ashei)

 

実際に我々が食べているのは,これらから育種された栽培種.

日本ブルーベリー協会の記事では,栽培種を5つに分けて紹介しています.

ブルーベリーの品種 - 一般社団法人 日本ブルーベリー協会

 

ハイブッシュブルーベリー(原産地アメリカ北部)

南部ハイブッシュブルーベリー

半樹高ハイブッシュブルーベリー

ラビットアイブルーベリー

ローブッシュ・ブルーベリー

夏,恒例の霊園.この時期咲いている花は,アベリアとサルスベリ.写真に写り込んでくる木々が立派なことに改めて気付きました.片っ端から写真を撮って,PictureThisで同定.知っている植物はほんの少し. 半分ほどは,名前も初めて.ヤマモモ,ヨーロッパブナ,アメリカハリグワ,クスノキ,リギダマツ--- お墓の背景の斜面だけで12種の木々が植えられていました.まるで植物園.管理者の熱意を感じます.

毎年8月,恒例の霊園へ.

やや涼しかったので,思い切って母親連れで.

 

この時期咲いている花は,アベリアとサルスベリ

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マツムシソウ目 Dipsacales,スイカズラ科 Caprifoliaceae,ツクバネウツギ属 Abelia,アベリア

 

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フトモモ目 Myrtales,ミソハギ科 Lythraceae,サルスベリ属 Lagerstroemia,サルスベリ L. indica


どちらも好きな花ですが,

むしろ,写真に写り込んでくる木々が立派なことに改めて気付きました.この霊園が造成されてもう随分月日が経っていて,木々が立派に成長しています.

 

アベリアの後の木は?サルスベリに写り込んできた大木は?

PictureThisでチェック.

 

------ヤマモモとヨーロッパブナ.

ヤマモモは以前の職場にもあったのでわかります.実は美しいのですが,味はイマイチで---

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ブナ目 Fagales,ヤマモモ科 Myricaceae,ヤマモモ属 Morella,ヤマモモ M. rubra

 

ヨーロッパブナはなかなか美しい枝ぶり.

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ブナ目 Fagales,ブナ科 Fagaceae,ブナ属 Fagus,ヨーロッパブナ F. sylvatica

 

 

ガーデニングに目覚めて?10年以上,花の咲く植物は少しずつ見分けられるようになって来ましたが,花が目立たない木々の名前はさっぱり.

本当の植物好きの方々は,小さな草花から大きな木々まで愛していて,名前も性質も本当によく知っている.羨ましいかぎりですが--.私は花が目立たない木本植物はそれほど興味が持てないまま---.

 

 お墓の背景になっている斜面には,沢山の植栽が.

まずは,片っ端から写真を撮って,PictureThisで同定してみることにしました.

 

知っている植物はほんの少し.

半分ほどは,名前も初めて

(PictureThisが間違えていなければ ----時々,私でも分かる間違いをしでかすことがあるので全幅の信頼を寄せる事はできません)

 

 揃えた写真は,冒頭のものも加えて12枚.お墓の背景の斜面だけでこんなに沢山の植物が植えられていました.まるで植物園.管理者の熱意を感じます.

 

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バラ目 Rosales,クワ科 Moraceae,ハリグワ属Maclura,アメリカハリグワ M. pomifera

 

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クスノキ目 Laurales,クスノキ科 Lauraceae,ニッケイ属 Cinnamomum,クスノキ C. camphora

 

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マツ目 Pinales,マツ科 Pinaceae,マツ属 Pinus,リギダマツ P. rigida

 

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バラ目 Rosales,バラ科 Rosaceae,シモツケ亜科 Spiraeoideae,シモツケ属 Spiraea,ユキヤナギ S. thunbergii

 

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ツツジ目 Erical,モッコク科 Pentaphylacaceae,モッコク属 Ternstroemia,モッコク T. gymnanthera,

 

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マツ目 Coniferae,ヒノキ科 Cupressaceae,ビャクシン属 Juniperus,エンピツビャクシン J. virginiana

 

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モチノキ目 Aquifoliales,モチノキ科 Aquifoliaceae,モチノキ属 Ilex,イヌツゲ I. crenata

 

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ツツジ目 Ericales,ツツジ科 Ericaceae,ツツジ属 Rhododendron

ワクチンの75%を10カ国が占有している. 裕福な国が追加接種を進めれば,ワクチン格差はさらに広がる.世界で感染拡大が続けば,デルタ株より手ごわい変異株が出現する確率も上がる.「現時点で追加接種が必要というデータはない」.では日本は?2回接種さえ行き渡っていない.40代,50代で基礎疾患がある人たちがワクチン未接種のまま死亡するケースが出てきた. 本来,接種の優先順位が高い人たちである.別枠の大規模接種や職域接種が死亡者を減らすという本来の目的にかなっていたか.青野由利

土記

溺れかけている人に

青野由利

 

朝刊2面

毎日新聞 2021/8/21 東京朝刊

(1〜3の脚注はyachikusakusakiによる)

 

 新型コロナウイルスに対する3回目の追加ワクチン,「ブースター接種」の話題が増えている.

 狙いは,2回接種完了後に低下しているかもしれない免疫の再強化.イスラエルはすでに開始,米国や英仏独も計画中だ.

 自国民を守ろうとするのは当然? そうだとしても,「ちょっと待って」の声が気がかりだ.

 

 「追加接種は当面控え,ワクチンを途上国に回してほしい」.今月,世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長が呼びかけた.

 WHOによればワクチンの75%を10カ国が占有している.低所得国の接種率はわずか2%.今週の記者会見でも「医療従事者にさえ打てていない国がある」と訴えた.

 

 裕福な国が追加接種を進めれば,ワクチン格差はさらに広がる.世界で感染拡大が続けば,デルタ株より手ごわい変異株が出現する確率も上がる(1).

 

 さらに吟味すべきは,追加接種の科学的根拠だ.

 専門家会合を開いたWHOによると,感染防御効果の低下を示す情報はあっても,重症化や死亡を減らす効果は2回接種で保たれている.「現時点で追加接種が必要というデータはない」という(2).

 

 それなのに,先進国が競って3回接種を進めるのは「溺れている人がいるのに,すでに救命胴衣を着けている人にもう一つ渡すようなもの」とさえ言っている.

 こうした専門家の見方はWHOに限らず,論争になってきた.

 

 では日本は? 将来の追加接種への備えは必要だとしても,まず向き合うべきは,2回接種さえ行き渡っていない現実だ.

 65歳以上の接種率は確かに高い.だが,それより下の世代はがくっと落ちる.今,医療は災害モードとなり,40代,50代で基礎疾患がある人たちがワクチン未接種のまま死亡するケースが出てきた.

 本来,接種の優先順位が高い人たちであり,大変残念だ.(3)

 

 そもそもワクチンの目的は重症化や死亡の抑制だったはず.感染防御効果による集団免疫への期待も2次的にはあったが,デルタ株の出現で急速にしぼんでいる.

 とすれば,優先順位とは別枠の大規模接種や職域接種が死亡者を減らすという本来の目的にかなっていたか,検証がいるはずだ.

 そのためにも,40代,50代など年代別のワクチン接種率を知りたいところだが,なぜか政府はデータは公表していない,という.

 

 追加接種の時期や対象者の検討でも,根拠に基づき,目的を明確にしなくては.もちろん,溺れかけている人たちのことを忘れてはいけない.

 

(専門編集委員

 

 

 

(1)

 例えば,次のScienceの論文は「デルタ株より手ごわい変異株が出現する」可能性を論証している

論文は読んでいません.済みません.

なお,偏りをなくすことが「総症例数を最小化する」ために必要なことは既によく知られています.  yachikusakusaki)

 

https://science.sciencemag.org/content/early/2021/08/16/science.abj7364

ワクチンのナショナリズムSARS-CoV-2の動態と制御

Vaccine nationalism and the dynamics and control of SARS-CoV-2

Caroline E. Wagner et al.

Science 17 Aug 2021  DOI: 10.1126/science.abj7364

要約

SARS-CoV-2のパンデミックが世界的に続いているが、ワクチンは公衆衛生上および経済上の莫大なコストを軽減する強力な手段であるにもかかわらず、国によってワクチンの流通が不平等である。

本研究では、「ワクチン・ナショナリズム」が疫学的および進化論的にどのような影響を及ぼすかを検討するために、これまでのモデルを拡張し、2つの地域間で備蓄を行うという単純なシナリオを加えた。

一般に、ワクチンが広く入手可能であり、それによってもたらされる免疫が強固である場合、投与量を共有することで地域間の総症例数を最小化することができる。

しかし、各地域の人口や感染率が異なる場合には、進化の仮定やワクチンの入手可能性に応じて、いくつかの微妙な問題が生じる。

自然免疫の衰退が進化の可能性に最も寄与する場合、アクセスの少ない地域で感染が持続すると、抗原の進化の可能性が高まり、その結果、世界的な疫学的特徴に影響を与える新しい亜種が出現する可能性がある。

今回の結果は、パンデミックを世界的に抑制するためには、ワクチンを迅速かつ公平に配布することが重要であることを示している。

(www.DeepL.com/Translator(無料版)で翻訳しました。)

 

 

(2)ファイザーやモデルナのワクチンは,6ヶ月後も強い効力を保っていると両社は発表しています.

Pfizer Vaccine’s Protection Against Covid-19 Declines After Six Months but Remains High - WSJ

Moderna Says Its Vaccine's Protection Holds After 6 Months - The New York Times

一方,誤った統計値の取り扱いで,「ワクチンをうっても重症化する率が高い」という結論にいたることがあり,改めてイスラエル等の先行国のデータを見直す必要がある.

Israeli data: How can efficacy vs. severe disease be strong when 60% of hospitalized are vaccinated?

 

(3)

管首相の発言を聞いていると,首相自身が「集団免疫」を理解しているかどうかは別として,ワクチンで集団免疫の獲得を目指したように思われます.ワクチンだけでは無理と尾身会長も国会証言しているのに.

日本のワクチン接種は「死亡者を減らす」というワクチン本来の目的にかなっていないという点については英国在住の医師小野昌弘さんが同様の問題提起をしています.

https://news.yahoo.co.jp/byline/onomasahiro/20210814-00253177

news.yahoo.co.jp

この投稿については,このブログで取り上げました.

https://yachikusakusaki.hatenablog.com/entry/2021/08/16/235811?_ga=2.240678278.467482069.1629210835-153458183.1581404399

 

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新型コロナウイルス感染をほぼ抑え込んできた国々があります.その代表的な国の1つがニュージーランド.新型コロナウイルスをゼロにする戦略(elimination strategy)をとってきました.しかし,デルタ株の感染者が発生し,短期間のロックダウンに続き,全国的なロックダウンの24日までの延長を決定.アーダーン首相「感染者が増え,それから減る.ゼロになるまで続きます.トライしてきた真実です.私たちはただそれを続けていくだけです」

欧米各国から中南米,インド,アフリカ---世界中が新型コロナの感染爆発に見舞われ,多数の死者を出している中,感染をほぼ抑え込んできた国々があります.

その代表的な国の1つがニュージーランド

 

新型コロナウイルスをゼロにする戦略(elimination strategy)をとってきました.

 

今のところ,この戦略が成功し,感染者を押さえ込み,同時に市民生活の自由も享受できてきました.

しかし,デルタ株の感染者が発生し,3日間の全国的なロックダウンと,オークランドの7日間のロックダウンを決定.

そして今回,全国的なロックダウンの24日までの延長を決定し,この戦略は正念場を迎えていると,ロイター通信が報告しています.

感動的ともいえる国民へのよびかけをしてきたアーダーン首相率いるニュージーランド

 

至る所に掲げられているというニュージーランド政府のメッセージ; “Be kind. Stay calm.  親切に,落ち着いて”

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そして,

アーダーン首相が演説の締め括りにいつも使う言葉は,「強く,優しく」'Be strong, be kind' .

https://yachikusakusaki.hatenablog.com/entry/2020/04/28/155623

 

何とか抑え込みに成功してほしいものです.

 

なお,ニューヨークタイムズによれば,ほぼ同様な政策をとったオーストラリアも,最大都市シドニーのロックダウンを宣言,

感染爆発を経験していないこれらの国は,思うようにワクチン接種が進まないという問題も抱えているようです.国民の恐怖感が薄いためでしょうか.

 

 

 

 

以下ロイターの記事をDeepL翻訳で.

また,ニュージーランド,オーストラリアに中国,台湾,ヴェトナムを加えて,ワクチン接種状況,感染者・死亡者の動向のグラフを最下欄に.

(ここでは,感染者総数-積算のみ提示)

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COVID-19 Data Explorer - Our World in Data

これらの国々の感染状況は欧米とは随分異なっていること,

また,日本は昨年秋口までは,これら優等生の国々の仲間と言える状況だった(その後の管政権の政策の誤り!)ことをご確認ください.

 

(補足:感染・死者ともほぼ抑え込んできた国のうち,ヴェトナムはデルタ株の感染を抑えられず,感染急上昇中.東南アジア全体がデルタ株の猛威に曝されています.

一方,台湾は一時感染が拡大しましたが,押さえ込みに何とか成功したようです.)

 

ニュージーランドのアーダーン首相,感染拡大中のDeltaを撲滅すると宣言

ロイター

August 20, 2021

by プラビーン・メノン

New Zealand's Ardern vows to stamp out Delta as outbreak widens | Reuters

 

まとめ

全国的なロックダウンを8月24日午前0時まで延長

アーダーン首相は,Delta感染の全容はまだ不明であると言及.

アーダーン首相は,人々が排除戦略を貫く通すならば,有効に働くと呼びかけ.

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ジャシンダ・アーダーン首相は20日,感染者が急増する中,厳重な監禁体制を敷くとともに,急速に拡大するデルタ型を排除する戦略を遵守するようニュージーランド国民に呼びかけました.

アーダーン首相に批判的な人たちは,彼女の政府が,より感染力の強いデルタ型に直面し,また,国民にワクチンを接種させようと苦戦しているので,COVID-19をほぼ撲滅した昨年の偉業を再現できるかどうかを疑問視しています.

「我々は以前にもこのような経験をしており,この戦略が有効であることを知っています」とアーダーン首相は記者会見で語りました.「感染者が増え,それから減る.ゼロになるまで続きます.トライしてきた真実です.私たちはただそれを続けていくだけです」

アーダーン首相は,最大都市オークランドから首都ウェリントンへと感染が拡大したため,510万人の人口に対するロックダウンを火曜日の深夜まで延長しました.

金曜日にはウェリントンでの3人を含む11人が新たに感染し,ニュージーランドの感染者数は31人になりました.

ウェリントンの患者は,最近オークランドに旅行し,感染が発生しただろうと特定された場所を訪れています.

「このデルタ型アウトブレークの全容はまだよく分かっていません」とアーダーンは付け加えました.「国中がすぐに厳戒態勢に入ることを望みます.」

ニュージーランドは,2月以来ウイルスが存在していない状態で生活していましたが,火曜日に初めて感染者が出たことを受けて,3日間の全国的な封鎖措置がとられ,オークランドでは7日間の封鎖措置がとられました.

保健省のアシュリー・ブルームフィールド長官は,流行の中心地であるオークランドでのロックダウンをさらに拡大する可能性があると警告しました.

2020年3月にアーダーン首相が行った厳しい閉鎖と国際的な国境封鎖により,COVID-19は抑制されましたが,政府は現在,ワクチン展開の遅れや,移民の労働力に大きく依存している国でのコスト上昇などの問題に直面しています.

完全にワクチンを接種した人は,人口のわずか19%程度.これは,OECDグループの富裕国の中で最も遅いペースです.

 

取材:Praveen Menon,編集:Gerry Doyle,Clarence Fernandez

 

COVID-19 Data Explorer - Our World in Data

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