“植物をたどって古事記を読む” シリーズとして,
・「長さ10センチのガガイモの実でできた船(アメノカガミ船)に乗って現れたスクナビコナにまつわる話題」や
ガガイモ(かがみ)オホクニヌシ(オホナムヂ)が国を作り固めるとき,力を合わせた神がいました. 名はスクナビコナ. “植物をたどって古事記を読む” - yachikusakusaki's blog
ガガイモ(カガミ)2 “植物をたどって古事記を読む” ガガイモ - yachikusakusaki's blog
ガガイモ(かがみ)3 「 “植物をたどって古事記を読む” - yachikusakusaki's blog
・「ガガイモの名称と漢字」
ガガイモ(カガミ)4 名称と漢字 “植物をたどって古事記を読む”シリーズ - yachikusakusaki's blog
などを取り上げてきました.
昨日からは,締め括りとして,植物としてのガガイモとその仲間たちについて.幾つかの話題を集めています.
・ガガイモの毒性/可食かどうか,薬効
ガガイモ(カガミ)5 植物としてのガガイモとその仲間たち1 yachikusakusaki's blog
今日は最終回.
ガガイモ(カガミ)6 キョウチクトウ科の植物たち
新しい分類では,
ガガイモは,
リンドウ目 Gentiales,キョウチクトウ科 Apocynaceae,イケマ属 Cynanchum,
ガガイモ C. rostellatum
キョウチクトウ科の中で,最もよく知られている植物といえば,科の名称ともなっているキョウチクトウでしょうか.
「中国名の夾竹桃は、葉が竹の葉のように狭く、花がモモの花に似ている意味で、和名はその中国名に基づく」とのこと.日本大百科全書キョウチクトウ(きょうちくとう)とは - コトバンク
有毒成分として,強心ステロイド(強心配糖体)を持つことで知られています.
かつてとりあげたので,http://yachikusakusaki.hatenablog.com/entry/2017/04/25/000620
以下に一部分を再掲.
キョウチクトウはガーデニング植物として,また排気ガスに強いため高速道路の街路樹としても,人気があるものの---
ジギダリス(オオバコ科ジギタリス属)の抽出物と同様の作用
=微量では心不全の特効薬となる有毒成分(いわゆる強心ステロイド/強心配糖体),
オレアンドリンを持つ事でも有名(キョウチクトウ農研機構).
医薬品情報21 » Blog Archive » 夾竹桃(Oleandere)の毒性 には,専門家向けの記事であるにもかかわらず?「事例」としてミステリー作品の文章が----
「検死解剖の結果、カプセルの中に薬の代わりに入っていた,粉末状の夾竹桃の樹皮を摂取したための毒死と判明.
直接的に手を下した犯行ではないが,有効な殺人方法だ.夾竹桃はカリフォルニアではごくありふれた低木である.事実、ファイフ家の裏庭にも1本植えてあった.カプセルの入っていた薬瓶から、彼自身のものだけでなくニッキの指紋も検出された[スー・グラフトン(嵯峨静江・訳):アリバイのA;早川書房,1992]」“
殺人者たちにも人気の毒物?
日本でも,トウゴマがら有毒成分リシン取り出して焼酎に入れ,夫を殺そうとした女性.別にキョウチクトウ毒を入れた焼酎も用意していた!
猛毒リシン、独力で抽出 夫の焼酎に入れたとして妻起訴:朝日新聞デジタル
ジギタリス抽出物(ジゴキシン)と違って,キョウチクトウ由来のオレアンドリンは薬剤としては用いられていなかったと思いますが----
ごく近縁のストロファンツスに含まれるウアバイン(G-ストロファンチン).アフリカの矢毒としてその名が知られ,ジギタリス抽出物同様かつて薬として実際に使われていました.
キョウチクトウ - Wikipedia Strophanthus gratus - Wikipedia
G-ストロファンチン,G-ストロファンチン注射液です.
日本薬局方に掲載されていました.
ただし,第十四改正平成13年で削除.
http://tominet.jp/yakuji/webfile/t1_c70362a9b2c7aaca85cb66f33625895b.pdf
キョウチクトウ - Wikipedia ウアバイン - Wikipedia
アサギマダラとオオゴマダラ; ガガイモ近縁植物に産卵する美しい蝶たち
ガガイモ近縁の植物に卵を生む,幼虫はその葉を食べて育つ蝶がいます.
アサギマダラ
アサギマダラは,長距離移動することが発見されて,ふだん,蝶に余り関心を持たない私をもビックリさせてくれた蝶です.
現在の記録はなんと和歌山県から香港まで.2500キロメートル.
http://home.r07.itscom.net/miyazaki/zakki/asagimadara.html
そして,美しい.姿も名前も.
(あさぎ色から命名されています)
このアサギマダラ.幼虫の食草がガガイモ近縁のキジョラン、カモメヅル、イケマ、サクラランなど.
アサギマダラ - Wikipedia キジョラン - Wikipedia イケマ - Wikipedia カモメヅル属 - Wikipedia
「幼虫も成虫も体内に食草由来のアルカロイド系毒物質をもつ」アサギマダラ
とのこと.キジョラン,イケマなど,食草になるガガイモ近縁植物は,アルカロイドを持つ毒草.
姿とこの毒で,天敵から身を守ると言われています. アサギマダラ - Wikipedia
実際に鳥などが忌避するのかどうか?
そこまで調べて書かれたサイトはみつかりませんでした.
同じように,幼虫がガガイモ近縁植物を食草とする蝶に,オオゴマダラがいます.
アサギマダラとは,食草の種類は違って,「キョウチクトウ科のホウライカガミ及びホウライイケマ」とのこと.
関東に住むものにとっては残念ながら,本州にも九州にも生息していません.
「東南アジアに広く分布し、日本では喜界島、与論島以南の南西諸島に分布」とのこと.
オオゴマダラ - Wikipedia おおきくなあれ|大日本図書 ホウライカガミ・オオゴマダラ | 設計同人GAN | 沖縄の建築設計事務所