オリエンタルポピー(オニゲシ) 「光る君へ」のタイトルバックで,ゆっくり開花する花のモチーフとして使われています.美しくなまめかしい花で,麻薬成分を含むケシとは違って,栽培可能.ただし,よく似たハカマオニゲシは,栽培禁止.このオリエンタルポピーは,モルヒネと化学式は似ているテバインという物質を大量につくることで知られています.テバインをもとにして麻薬成分をつくることができる--- 出会ってみたいとは思うものの,日本であまり広まっていないようなのは正解のようにも思います.

「光る君へ」の再放送を昼食を食べながら視聴.

タイトルバックの美しさに今頃になって気づきました.特に花がゆっくり開花していく部分と指.

https://www.cinematoday.jp/page/A0009196#

普段は録画して,暇なときはゆっくり,ほとんどは駆け足/ながら見で見るので,タイトルバックはあまり気にしていませんでした.

ネット上ではとうの昔に「なまめかしく美しい」と大きな話題になっていて,制作者のフィルムディレクター市耒健太郎氏の解説も記事になっています.

花については次のような説明が:

https://www.cinematoday.jp/page/A0009196#

 甘美的なイメージの象徴として,なおかつ,まひろの創造性,波乱万丈な人生が開花することの象徴として,トップカットを花にしました.また,毎週訪れる本編との区切りを華やかにしようとしました.

花の種類は,菊,椿,薔薇などいろいろ考えたのですが,特定できるものだとつまらない気がしたので,オリエンタルポピーという花をモチーフにアレンジしています.官能的な,かぐわしい生命力のようなものも意識していて,色もホットなルビーオレンジという感じにしています.

 

オリエンタルポピー」は和名オニゲシPapaver orientale

https://ja.wikipedia.org/wiki/オニゲシ

出会ったことはありません.フラワーショップにはほとんど置かれていない?私が知らないだけなのでしょう.美しくなまめかしいケシです.

園芸用品種も多数開発されていて,フランスイギリスなどではかなりの人気のようです.「光る君へ」のタイトルバックの花は,Olympiaという品種によく似ているように思います.

https://en.wikipedia.org/wiki/Papaver_orientale

https://garden.org/plants/view/716319/Oriental-Poppy-Papaver-orientale-Maidens-Blush/

 

花が小さいケシの花はよく見かけます.大きくなるとモルヒネ(モルフィン)をつくるケシ(栽培・所持禁止植物)をイメージしてしまいますが,このオリエンタルポピーオニゲシ)は,栽培可能なケシ.

しかし,オリエンタルポピーと栽培禁止のケシの一つハカマオニゲシを見分けることは,なかなか難しそうです.

また,オリエンタルポピーモルヒネと化学式は似ているテバインという物質を大量につくることで知られています.

https://fr.wikipedia.org/wiki/Papaver_orientale

テバインはアメリカで大問題となったオピオイド系鎮痛薬

https://www.bbc.com/japanese/59397892#:~

の一つオキシコンチンをつくるための前駆物質です.また,テバインからは更に強い麻薬成分をつくることも可能.

花に出会ってみたいとは思うものの,日本であまり広まっていないようなのは正解のようにも思います.

 

厚生労働省の「大麻・けしの見分け方」から画像を転載しておきます.植えてはいけないケシは次の三種です.

1 ケシ(ソムニフェルム種)

(学名:パパヴェル・ソムニフェルム)

2 アツミゲシ(セティゲルム種)

  (学名: パパヴェル・セティゲルム)

3 ハカマオニゲシ(ブラクテアツム種)

  (学名: パパヴェル・ブラクテアツム)

https://www.mhlw.go.jp/houdou/2007/04/dl/h0427-1b.pdf