日本人とクルミ
縄文時代には,クルミやクリ,ドングリが多く食べられていたことが,様々な調査から知られています.https://jomon-japan.jp/kids/study/outline/
クルミのウェートはかなり高く,「可食植物遺存体」の調査では,(https://hp.brs.nihon-u.ac.jp/~imozuru/img/file4561.pdf)
オニグルミ・ヒメグルミが発見された遺跡数(136)は,クリ(59),ドングリ(68)を上回っています.
https://www.okamura-shop.com/kurumi.html
クルミは奈良時代になっても食べられていて,例えば,長屋王家木簡には,クルミを意味する「呉桃子」の記載があります.
https://www.jstage.jst.go.jp/article/oojc/29/0/29_KJ00000733537/_pdf
同志社女子大の吉海先生のコラムによれば
https://www.dwc.doshisha.ac.jp/research/faculty_column/930
あぢきなし嘆きなつめそ憂きことにあひくる身をば捨てぬものから(455番)
『枕草子』148段「見るにことなる事なきものの,文字に書きてことごとしきもの」(漢字で書いたら大げさなもの)の中にも胡桃の記載があります.
また,クルミを,小正月の行事の材料にする地方があり,アイヌ民族ではクルミの神性を示唆する言い伝えがあるとのこと.
遠野物語には,「小正月の年占(としうら)に、クルミの実を月の数だけ炉に並べ、その焼けぐあいで1年間の各月の天候を占った」ことの記載があります(ニッポニカ).
https://www.koten.net/tono/gen/104/
小正月の晩には行事甚だ多し.月見と云ふは六つの胡桃の実を十二に割り一時に炉の火にくべて一時に之を引上げ、一列にして右より正月二月と数ふるに、満月の夜晴なるべき月にはいつまでも赤く、曇るべき月には直に黒くなり、風ある月にはフーフーと音をたてて火が振ふなり.
一方,現在食品として流通しているクルミの大部分を占めるペルシャグルミ系の品種が,いつ頃日本に入ってきたのかについての信頼度の高いサイトの記述が見当たりません.
食品会社のサイトの記載では,江戸時代中頃,もしくは秀吉の朝鮮出兵時に,日本に持ち込まれたとされています.
http://kurumi.99ing.net/Entry/11/ https://sunnuts.co.jp/walnuts/
縄文時代には,栽培されていたことも示唆されているクルミですが,現在,日本で栽培収穫されているクルミに関して,農水省が直接報告した最近のデータがなかなか探し出せません.
10年前のデータですが:
地域の入れ物では,2014年のデータで,182.7トン(長野県が142トン,青森県が38.4トン)(https://urahyoji.com/crops-walnut/).
一方岩手県立大の記載では,2016年のデータで,175トン(長野137トン,青森38.4トン)(https://region-case.com/rank-h26-product-walnut/#google_vignette)
輸入グルミと比較すると,国産グルミは微々たるものであることがわかります.
クルミの輸入量は,1万8,796トン(2018年).
https://www.customs.go.jp/tokyo/content/toku0111.pdf
輸入元は,96.2%がアメリカ.
特別に買い求めないかぎり,日本人はアメリカのクルミを食べていることになります.
なお,クルミの輸入量は増加傾向にあります.これはクルミに限らず,ナッツ類の輸入全てに言えることですが,ナッツ全体の増加率よりも,クルミの輸入増加率が上回っています.
https://www.customs.go.jp/tokyo/content/toku0111.pdf
日本人は,クルミが更に好きになりつつあると言うことでしょうか?
クルミの輸入量はアーモンドには及びませんが,カシューナッツ等を抑えて第2位にランクされます(2018年).
https://www.customs.go.jp/tokyo/content/toku0111.pdf
クルミには,様々な食べ方があるかとは思いますが,私が思い浮かべるのは,クルミを使った銘菓.
近くに,鎌倉紅谷のクルミッ子があるためかもしれません.
https://ippin.gnavi.co.jp/article-11074/