ウェブ・書籍を頼りにスイーツの歴史を調べるシリーズ5
小麦粉やバターでつくった生地の器に、クリームやフルーツなどを入れたタルト.
タルトは生地を練って型に入れて焼き上げます.その上にフルーツやカスタードクリームなどを乗せるので,パイに比べるとしっとりした食感になります.
簡単に言うと,パイは「折りこみ生地」でタルトは「練りこみ生地」です.”
しかし---
フランス語では,なんと,パイもタルトもTarte.
英語のPieの語源はあまり確かではなく,
"中世ラテン語の pia "pie, pastry"(パイ、菓子)に関連していると思われ、また、鳥が雑多なものを集める習性から pica "magpie"(カササギ パイ (n.2)を参照 )に関連している可能性もある" https://www.etymonline.com/word/pie
とのこと.
英語のTartは,もちろんフランス語のTarte由来.
"古フランス語の tarte "平らで上部が開いたペストリー"(13世紀)から派生したもので,おそらく torte, の変形であり,後期ラテン語の torta "丸いパンの塊"(中世ラテン語では"ケーキ,タルト")から派生したもので,おそらく torquere "ねじる"の過去分詞(PIE ルート *terkw- "ねじる"から)から派生したもの."https://www.etymonline.com/jp/word/tart
パイとタルトは,どちらも歴史の古い菓子で.ヨーロッパでは,日本語での解説ほどには,はっきりとは区別されていないのかもしれません.
タルトの歴史についての解説(仏語)は,「最初のタルト(英語ではセイヴォリー・タルトsavory tart/ 仏語tarte salée)はパイから派生したもの」と記載されています.
タルトの歴史
タルトという言葉は12世紀に発明された.最初のタルト(料理としてのsavory tart/ tarte salée)はパイから派生したもので,中世に大流行した.
その数世紀後,パティシエたちが甘いお菓子に興味を持ち始めてから,甘いタルトが登場した.スイート・タルトはセイヴォリー・タルトの派生形である.
そして,それぞれのタルトには,異なる歴史と起源があるとのこと.
ブルーベリータルトはヨーロッパと北米の山岳地帯が原産地.
ルバーブのタルトはアングロサクソンの国々が発祥で,とても人気がある.
プラムのタルトはアルザス地方とロレーヌ地方が発祥で,フランス北部で人気がある.
フランス菓子としても多数のタルトの名前が挙がります.
(山本ゆり子 フランス伝統菓子図鑑 誠文堂新光社)
いくつか例を挙げれば:
Tarte Bourdaloue タルト・ブルダルー (タルト)
:洋梨とアーモンドのタルト
Tarte au citron タルト・オン・シトロン(タルト)
:レモンタルト.甘酸っぱいフィリングが人気のタルト
Tarte au chocolat タルト・オ・ショコラ(タルト)
:濃厚なチョコレートのシンプルタルト