カンナを詠んだ短歌 今年も楽しませてくれた線路横のカンナ.今日見たところ,残つている花はわずかでした.終わろうとしてる夏を感じます. カンナの花黄なる洋燈(ランプ)の如くなり子供出で来よ背戸の月夜に 北原白秋  カンナ刈り鶏頭刈らるる芝の上にはかに広き曇天となる 葛原妙子  崖際に朱のカンナ燃ゆぎらぎらと危ふきものは炎の色に 武川忠一  赤々とカンナは咲けり打たれなば打ち返すべしと思い至りぬ 高橋幸子   灌木も老婆もつひに挽かざりし古鋸が挽く花カンナ 寺山修司

夏,毎年,楽しませてくれる横須賀線横のカンナ.

 

今日見たところ,残っている花はわずか.

(一回刈り取られた後,また咲く花もありますが)

 

夏の終わりを感じます.あんな酷暑はもうごめんと思いつつ,ちょっぴりさみしさも感じてしまう--.

 

カンナは不思議な花のつくりをしていて,花びらに見えるのは雄しべだそうです.

「花は小さく目立たず,小さく目立たず,豪華な雄しべの下に隠れている.花弁のように見えるのは,高度に変化した雄しべまたは雄蕊 https://en.wikipedia.org/wiki/Canna_(plant)

みんなの趣味の園芸

https://www.shuminoengei.jp/?m=pc&a=page_mo_diary_detail&target_c_diary_id=751200

 

カンナ属の多くの種はアメリカの熱帯地方に自生していて,初めにヨーロッパ,さらには日本へも渡来したのは,和名ダンドク(檀特)という種.

「現在では南西諸島に野生化した株が自生する.沖縄方言ではマーランバショウhttps://ja.wikipedia.org/wiki/ダンドク

カンナの根は食用にされるものがあり,ショクヨウカンナ  C. edulisと呼ばれる種もありますが,このダンドクも食べられることがあるとのこと.

https://ja.wikipedia.org/wiki/カンナ科

私たちが普段見かけるのは,ハナカンナと呼ばれる園芸種.

 

ハナカンナは,多くの種の交配が行われた結果生まれたもので,1000種に及ぶ品種が作出されているそうです(ニッポニカ 

https://kotobank.jp/word/カンナ-49405 )

https://www.shuminoengei.jp/m-pc/a-page_p_detail/target_plant_code-436

https://en.wikipedia.org/wiki/Canna_(plant)

 

カンナを詠んだ短歌

(古今短歌歳時記より)

カンナの花黄なる洋燈(ランプ)の如くなり子供出で来よ背戸の月夜に  北原白秋 雀の卵

 

雲動けば朝の日かげる雨はれを澄みてつめたきカンナの花叢  藤沢古実 国原

 

赤々と炎立つカンナの花群に灸ををへたる眼こらしぬ  木俣修 呼べば谺

 

カンナ刈り鶏頭刈らるる芝の上にはかに広き曇天となる  葛原妙子 薔薇窓

 

朝の霜おきて終りしカンナなど黒く乾きて午後の日は照る  佐藤佐太郎 帰朝

 

カンナ一本感情移入の入口でもえてしまった心庭晩夏  加藤克巳 心庭晩夏

 

崖際に朱のカンナ燃ゆぎらぎらと危ふきものは炎の色に  武川忠一 青釉

 

赤々とカンナは咲けり打たれなば打ち返すべしと思い至りぬ  高橋幸子 砂時計

 

灌木も老婆もつひに挽かざりし古鋸が挽く花カンナ 寺山修司 田園に死す