トマト(2)
アンデス地方などに生育していたものが,紀元前500年頃メキシコで栽培されるようになり(https://en.wikipedia.org/wiki/Tomato),いわゆる「コロンブス交換(The Columbian exchange https://en.wikipedia.org/wiki/Columbian_exchange )」で,16世紀にヨーロッパにもたらされ,その後全世界に広まりました.
https://www.slideshare.net/vlnreddy/tomato-breeding-250715332
すぐには食べられなかったトマト
欧米で食べられるようになったのは17世紀以降.
ヨーロッパに広まり,イタリアでは pomi d'oro, or "golden apples 黄金の林檎"と名付けられましたが,渡来後,すぐに食べられたわけではなく,毒性が疑われ
(実際,茎・葉・未熟の実には毒性物質トマチンが含まれていますがhttps://yachikusakusaki.hatenablog.com/entry/2018/04/15/035702),
初めは鑑賞用だったことがわかっています.
なお,トマトは,はじめ黄色かったものが,赤い品種が選別されてと言われています,
食用に用いられるようになったのは,スペインで17世紀前半,イタリアでは17世紀後半,その他のヨーロッパの国々やアメリカ合衆国で,食用となったのは18世紀半ば以降とのこと.https://en.wikipedia.org/wiki/Tomato
なお,tomatoの語源は,tomate<スペイン語<ナワトル語 tomatl. (ランダムハウス英語辞典).
日本でも,導入後すぐに食べられたわけではなく,第二次大戦後,現在のように食べられるようになりました.
日本へは寛文(かんぶん)年間,1670年ころに長崎に伝来し,『大和本草(やまとほんぞう)』(1709)に記載されている.その後,明治初年に開拓使によって欧米から品種が導入され、赤茄子(あかなす)の名で試作された.しかし当時は独特の臭みのため普及せず,大正時代に入って,北海道と愛知県を中心として栽培が増加したが,現在のように普及をみたのは第二次世界大戦後である.https://kotobank.jp/word/トマト-105797
トマトの栄養
現在では沢山食べられているトマト.
日本人がたくさん食べている野菜は? |報道発表資料|厚生労働省 https://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-10904750-Kenkoukyoku-Gantaisakukenkouzoushinka/0000096137.pdf
健康によい食品とされていますが---
必須栄養素
「食べなくてはいけない栄養素(必須栄養素)」に限ると,確かにビタミン豊富な野菜といえますが,飛び抜けて栄養豊富な野菜とは言えないでしょう.
どの栄養素を見ても,どちらかと言えば平均的な値.
上の表にはありませんが,トマトには,遊離アミノ酸(タンパク質に組み込まれていないアミノ酸)として,うま味のもと,グルタミン酸を多く含むことがわかっています.
トマトで93.6mg/100g,トマトジュース136.2mg/100g.(https://www.jstage.jst.go.jp/article/jhej/63/11/63_745/_pdf)
昆布の2,240mg/100gには遠く及ばない数値ですが,調べられた野菜の中では最も高いとされ,調理で沢山使われたときのうま味のもととして,トマトのグルタミン酸は重要な役割をもつと考えられます.
現在,トマトの栄養で,強調されているのは「リコピン」.
トマトには,100グラムあたり,4〜9ミリグラムと,βカロテンの10倍前後含まれています.http://www.syouhisya.or.jp/test/kitakura503tomatojuicerikopin.pdf
https://www.suntory-kenko.com/column2/article/4418/
リコピンは,日本だけではなく,世界中で注目されていて,抗酸化活性,脂質代謝調節作用,抗悪性腫瘍活性などが報告され,高コレステロール血症,脳血管障害,癌 ,皮膚障害等を防ぐ効果が期待されています.https://oa.upm.es/36267/1/INVE_MEM_2014_156632.pdf
しかし,
リコピンの役割をはっきりさせるためには,更なる研究が必要とされています.
「生体内におけるリコピンの役割をよりよく理解するためには,慢性疾患のさまざまな段階におけるリコピンの役割を調べる,十分に管理された臨床研究および食事介入研究を,各特定疾患に関する具体的かつ標準化された結果指標に焦点を当てて実施する必要がある」
https://oa.upm.es/36267/1/INVE_MEM_2014_156632.pdf
To have a better understanding of the role of lycopene in vivo, well- controlled clinical and dietary intervention studies investigating its role in the different phases of chronic diseases should be conducted, focused on spe- cific and standardized outcome measures of each specific disease.