街の此処かしこに紫陽花の花が咲き,わが家では梅の実が黄色く色づいています.
今日の鎌倉は午後から雨.明日の朝まで降るとの予報です.
もう梅雨に入っている気分ですが,気象庁はまだ梅雨とは言っていませんね.
梅雨は日本人ならほぼ全員が気にする気象状況です.しかし梅雨入りの定義はシンプルですが,同時にかなりあいまい.
「『平年の梅雨入り前後に週間天気予報で雨や曇りの日が続くと予想される』と『梅雨入りしたとみられる』」と発表しているそうです.
(梅雨は特定の天気図に紐付けされているわけではありません.そして,気象庁は梅雨入り「宣言」をしているわけでもありません.)
ウェザーニュースの記事は次の通り.
https://weathernews.jp/s/topics/201806/050265/
梅雨入りをどのように決めているのか,気象庁の天気相談所に聞いてみたところ,答えは以下のようなものでした.
「気象庁では梅雨入りの定義は決めていませんが,
平年の梅雨入り前後に,晴れが続いた後,週間天気予報で雨や曇りの日が続くと予想されるときに
『梅雨入りしたとみられる』と発表します.
『梅雨入り宣言』と呼ぶ人もいますが,梅雨入り発表は暫定的なので,後で変更する,あるいは梅雨入り発表を取り消すこともあります」
他の記事も,ほぼ同様の内容(例えば https://tenkijuku.com/qa_baiu_2.html ).
実際には,上記のような典型的な梅雨でない場合も多く,気象庁も悩ましいですね.
そのような場合には,
「現状ではかなりの主観や任意性が入っている」とし,「日照時間等の『気象要素』,広い範囲での気圧や気流の状態などの『総観パターン』を考慮して決定している」
とする記事(やや古い記事かもしれません)もありました.https://www.metsoc.jp/tenki/pdf/1975/1975_05_0244.pdf
今日の雨も,明日の朝にはあがり,明日・明後日は晴れる予報です.
梅雨入りしていれば「梅雨の晴れ間」と言うことになるのでしょうが,梅雨と言われていない関東地方では何と言ったらいいのでしょうか?
梅雨が主に期間を指す言葉として使われているのに対し,五月雨は降る雨そのものを指す言葉として主に用いられています.
https://yachikusakusaki.hatenablog.com/entry/2023/05/30/235735
「五月雨の晴れ間」ならば使える? しかし,こちらは「五月雨のおりにわずかに見せる晴れ間」とのこと(古今短歌歳時記).明日・明後日と二日間も晴れると,この言葉も使えないようです.
そして,ご存じの方も多いかと思いますが---
「五月晴れ」は,本来,「五月雨の晴れ間」とほぼ同義.
しかし,現在いう「五月晴れ」は五月の晴れ渡った空のこと.「陰暦の五月(さつき)を陽暦五月に転用したもので,誤用のまま一般化している」(古今短歌歳時記)
「五月雨の晴れ間」「五月晴れ」を詠った短歌
(古今短歌歳時記より)
五月雨の小休(をや)む晴れ間のなからめや水の嵩(かさ)ほせ真菰刈る舟 西行 山家集
いつしかとそともの楝(あふち)花散りて五月雨晴るる程もみえけり 塙保己一 松山集
坂になるみちのかたへの桐の花見あぐるそらは皐月ばれかも 岡麓 庭苔
五月晴れの海のやうなる多摩川や酒屋の旗や黍(もろこし)のかぜ 与謝野晶子 恋衣ー曙染
冬の日の疾風(はやて)するにも似て赤きさみだれ晴の海の夕雲 与謝野晶子 舞姫
さつき空 はるゝあしたや 門たゝく 幼まれびとのよぶこゑ きこゆ 釈迢空 釈迢空短歌綜集
昏々とたましひの奥さしのぞく五月晴れたる鏡の真昼 辺見じゅん 水祭りの桟橋