先日出かけた国立博物館特別展「毒」.
https://yachikusakusaki.hatenablog.com/entry/2023/02/17/235453
独自に勉強したことをつけ加えながら,内容を少しずつ紹介しています.主催者も「シェアしよう」とすすめていることもあり.
(大阪展がもうすぐ始まります.実際にご覧になることをお薦めします.実物の力は偉大です)
今日は「毒の博物館」4 菌類の毒のいろいろより
毒きのこ2
特殊な中毒症状
ドクササコを食べると,手先の先端部が激しく痛み,赤く腫れあがるという症状が一ヶ月以上続きます.
カエンタケは食べると致命的な症状が出るだけでなく,世界的にもまれな「触ってもいけない」という毒きのこです.
ドクササコ
手足の先端が激しく痛む症状から「やけどきん」とも呼ばれています.
毒成分はトリコテセン類で,触ると皮膚の炎症を起こす可能性があります.
ドクササコ
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000142713.html
症状:
末端紅痛症を起こす.
早い場合は食後6時間程度,遅い場合は1週間程経過してから,手足の先端が赤く腫れ,激痛を伴いこの症状が1ヶ月以上続く.
冷やすと症状は軽減する.
毒成分:
アクロメリン酸,クリチジン,スチゾロビン酸,スチゾロビニン酸,異常アミノ酸など
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000143427.html
症状:
食後30分から,発熱,悪寒,嘔吐,下痢,腹痛,手足のしびれなどの症状を起こす・
2日後に,消化器不全,小脳萎縮による運動障害など脳神経障害により死に至ることもある.
毒性成分:
トリコテセン類: 毒性は強く,食べても,触っても毒である。死亡例あり.( 注意)見た目は気味が悪く,食用に見えないが,薬用と勘違いして酒に浸して飲んで中毒が起き,死亡した例がある.
間違えやすいきのこ
国内で特に中毒例が多いのはツキヨタケ,クサウラベニタケ,カキシメジの3種ですが,最近はオオシロカラカサタケの中毒も増えています.
どのきのこによるものか,中毒の原因が特定できない場合も多くあります.
食用のイタケやムキタケと間違われる毒きのこ.
(シイタケと間違われることもhttps://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000142114.html)
暗闇で緑色に光る発光きのこでもある.
(暗闇で月が十分であれば,かすかに青白く見えることもある.カメラで一定の露出時間30分〜1時間程度で撮影すれば,蛍光を確認できる
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000142114.html)
▽ツキヨタケの切断面
柄の断面に特有の黒いしみがあれば,ツキヨタケである可能性は非常に強い.
(黒いしみがないものもあるので注意が必要 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000142114.html)
▽ツキヨタケのヒダと柄
シイタケとは異なり,柄(の付け根)にはつばのような突起がある.
ツキヨタケ毒性
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000142114.html
症状: 食後30分~1時間程で嘔吐,下痢,腹痛などの消化器系の中毒症状が現れる.幻覚痙攣を伴う場合もあるが,翌日から10日程度で回復する.
毒性成: イルジンS , イルジンM ,ネオイルジン
中毒例がとても多く,ウラベニホテイシメジやホンシメジなどと間違われます.
(カクミノシメジ,ハタケシメジ,シメジモドキと間違われることも https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000142692.html)
ウラベニホテイシメジ:やや苦みがありますが,人気のある食用きのこです.
(ウラベニホテイシメジ は傘に親指で押したような跡があるが,幼菌で傘が開く前のものなどではそのような跡は見られない。傘に白いかすり模様が見えるものも。柄はクサウラベニタケ比較すると太くしっかりしている
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000142692.html)
クサウラベニタケの毒性
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000142692.htm
症状: 嘔吐,下痢,腹痛などの胃腸などの消化器系中毒を起こす.発汗などムスカリン中毒の症状も現れる.
毒性成分 : 溶血性タンパク,コリン,ムスカリン,ムスカリジンなど
ニガクリタケ
典型的にはレモンイエローで,生でかじると苦い猛毒きのこです.
(ナメコ,クリタケ, ナラタケ , ナラタケモドキ と間違われることがある https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000142698.html
クリタケ:典型的には栗のような赤茶色を帯びた美味しいきのこです.
ニガクリタケの毒性
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000142698.html
症状: 食後3時間程度で強い腹痛,激しい嘔吐,下痢,悪寒などの症状が現れる.重症の場合は脱水症状,アシドーシス,痙攣,ショックなどの症状が現れて死亡する場合がある.
毒性成分: カルモジュリン阻害活性を持つファシキュロ-ル,ファシキュリン酸の他, ムスカリン類.
カキシメジ
マツタケに似た外見ですが,ヒダに茶色いシミができるなどの違いがあります.
(ニセアブラシメジ,チャナメツムタケ, シイタケ と間違われることもある.https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000142705.html)
マツタケ:日本を代表する食用きのこといえますが,よく似たきのこは意外と多く存在します.
カキシメジの毒性
症状: 食後30分~3時間後にあらわれ,頭痛を伴い,嘔吐,下痢,腹痛などの症状を起こす.
毒成分: ウスタリン酸.水溶性であるため,何本食べたかより,毒成分が溶出した汁をどのくらい摂取したかによって潜伏時間や症状の現れ方に差がみられる.
オオシロカラカサタケ
以前は沖縄など亜熱帯地方で多く見られたきのこですが,最近は関東地方にも発生するようになりました.
(カラカサタケやマントカラカサタケに似ている
https://www.fsc.go.jp/sonota/hazard/kinoko_10.pdf)
カラカサタケ:昔から知られる食用きのこですが,最近はオオシロカラカサタケと同じ場所に生えることもあります.
オオシロカラカサタケの毒性
https://www.fsc.go.jp/sonota/hazard/kinoko_10.pd
毒成分はモリブドフィリシン(マウス致死性毒),ステロイド類(細胞毒) が同定されている.中毒症状は,悪寒,発熱,下痢,腹痛,嘔吐など.
https://www.mhlw.go.jp/content/11130500/000829507.pdf