先日出かけた国立博物館特別展「毒」.
https://yachikusakusaki.hatenablog.com/entry/2023/02/17/235453
独自に勉強したことをつけ加えながら,内容を少しずつ紹介しています.主催者も「シェアしよう」とすすめていることもあり.
(大阪展がもうすぐ始まります.実際にご覧になることをお薦めします.実物の力は偉大です)
今日は「毒の博物館」3 動物の毒のいろいろ
⑦海洋の有毒生物(3)クラゲ
私が見逃したのかもしれませんが,クラゲの毒についての解説をほとんど思い出せません.
以下は,独自に調べた内容になります.
クラゲは刺胞動物門(Cnidaria)の代表的な一群.刺胞は次のようなメカニズムで刺すと図解されています.
https://twitter.com/JELLYFISHAQ/status/1221019166414520320
英語で Jellyfish (ジェリーフィッシュ)と呼ばれるミズクラゲやエチゼンクラゲなどのいわゆるクラゲとは異なるクダクラゲの仲間(ヒドロ虫綱 Hydrozoa,クダクラゲ目 Siphonophora)
とのこと.https://jla-lifesaving.or.jp/watersafety/jellyfish/
クダクラゲ?
不思議な生きもので,なかなかイメージできないのですが---
ニッポニカでは
クダクラゲとは:「クダクラゲ:体は多数の個体が集まって一つの群体を構成している(https://kotobank.jp/word/クダクラゲ-1304901)」
群体とは:「クダクラゲ類のカツオノエボシでは、個虫が、浮き・栄養体・生殖体・触手などに形態的・機能的に分化しており、これらが集合して一つの群体を形成するが、それは高度に統合された動きによって餌(えさ)をとらえて消化し、あるいは刺激に対して逆方向に逃避することができる。-----このような群体が単一の受精卵から分裂によって生じるという点からも、それを一つの個体と考えることもできるが、海綿などでは同種の隣接した群体が合体して一つの群体となることもあり、また系統発生的にも、もともと単独生活を営んでいた個虫が集合して群体を生じたと考えるのが正しい.(
https://kotobank.jp/word/群体-58398 )」
毒成分としては,溶血作用や神経毒性を有する高分子毒素が単離されているそうです.https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/22830340/
海水浴場でその危険性が最も広く知られているクラゲといってもいいでしょう.例えば神奈川県でも次のような警告をホームページ上に掲載しています.
https://www.pref.kanagawa.jp/docs/kb2/katsuono-eboshi.html
本県(神奈川県)では,台風等で南風が強く吹くとカツオノエボシが海岸に漂着することがあります.
カツオノエボシは触手に強い毒を持つクダクラゲの一種で,刺されると電気ショックを受けたような痛みがあります.また,二度目に刺されるとアナフィラキシーを起こし,ショック死することもあります.
死んだものも危険なので,見つけても絶対に触らないでください.
刺された場合の対処法:皮膚に刺さった触手をそっとはがし(素手で触手を触らないでください),速やかに医療機関で医師の診察を受けてください.
手に非常に強い毒があるクラゲで,沖縄で被害が最も多い海の危険生物.5月から10月頃にかけて,港や海水浴場など浅い海に出現する.大きいもので,傘の高さが10cm以上になり,触手は1.5mに達する.https://churaumi.okinawa/fishbook/00000405/
毒蛇のハブが名前の由来.https://kariyushi-aquarium.com/animals/detail/?id=589
ハブクラゲは,かさが半透明のため水中で見えにくく,刺されてはじめて気付く場合が多い.6月~9月にかけて多く発生し,特に波の静かな砂浜や,入り江,人工ビーチなどで被害が多い.20~30cmと浅い砂浜でも刺症事故が発生している.ハブクラゲの触手には,刺胞と呼ばれる毒の針の入ったカプセルがたくさんあり,刺激を受けると毒針が飛び出すしくみになっている.刺されると激痛を生じ,みみずばれのような跡になるのが特徴.沖縄ではこれまでに3件の死亡事例が報告されている.
なお,日本の近海で最も多く目にするミズクラゲ.
海水浴で出会っても平気で泳いできましたが,実際には無毒ではないとのこと.
「刺胞の刺糸が短く,ヒトの表皮の角質膜を貫けないので,痛みなどを感じることが少ない」(特別展「毒」図録)
https://repun-app.fish.hokudai.ac.jp/course/view.php?id=430
なお,この特別展では,イソギンチャクについてほとんど触れていませんでした.
イソギンチャクの毒については,少し古い総説ですが,「化学と生物」の解説が参考になるかと思います.
https://www.jstage.jst.go.jp/article/kagakutoseibutsu1962/35/11/35_11_759/_pdf
以下の写真は全てウィキペディアから.