ノリウツギとカシワバアジサイ アジサイの季節.紫陽花以外にも,アジサイ属の花々に出会えました.ノリウツギとカシワバアジサイはともに穂咲きのごく近縁植物.原産地は東アジアとアメリカと遠く離れていますが.ノリウツギは糊空木で,手漉き和紙をつくる時の粘剤として,トロロアオイとともに現在も用いられているとのこと.貴重な和紙文化を支える重要な植物がノリウツギ.知りませんでした.

アジサイの季節.

先日鎌倉の街の花を見ながらの散歩でも,最も多く出会った花は,ドクダミと並んでアジサイでした.

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種類が増えました.そして華やか.一昔前に比べると,隔世の感.

 

アジサイ属にまで広げると,

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ただ,この「ノリウツギ」.PictureThisは,「ノリウツギ」と判定していますが,アジサイかもしれません.

ノリウツギカシワバアジサイと同じく“穂咲き”のはずですが,花によってはガクアジサイと同じような咲き方.

 

また,ノリウツギが咲くのはもう少し遅いはずですが---

ただし,今日花屋さんを覗いて見ると,ノリウツギの苗を販売していて,こちらもしっかり花開いていました.

今の時期から咲いてもおかしくはないのかもしれません.

でも花の付き方は違いますね.

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カシワバアジサイの原産地はアメリカ合衆国南部.(そのため,最近アメリカで庭木として見直されてきているとのことです)

一方のノリウツギの原産地は東アジア.

そのように言われれば,「なるほど,カシワバアジサイは西洋っぽい」「ノリウツギはいかにもアジア」という気もしてきます.

 

原産地は離れていても,この二種,系統樹の上では,きわめて近いことがわかっているとのこと.

https://www.researchgate.net/publication/232273406_Unraveling_Extensive_Paraphyly_in_the_Genus_Hydrangea_s_l_with_Implications_for_the_Systematics_of_Tribe_Hydrangeeae

双方ともに”穂咲き”アジサイというのが近縁を物語っているように思います.

 

カシワバアジサイは,葉が柏に似ているからでしょう

外国人からみても葉が目立つのは同じこと.英米人はオークの葉に見えるようで,”oakleaf hydrangea (or oak-leaved hydrangea)”と呼んでいます.

 

一方のノリウツギ.ウツギは空木で木の中に空洞があるからでしょうが,

ノリ?

ノリは「糊」!

 

レファレンス協同データベースによれば

https://crd.ndl.go.jp/reference/modules/d3ndlcrdentry/index.php?page=ref_view&id=1000150779

ノリウツギ(糊空木)

その樹皮を製紙用の粘剤として使う.

手漉き和紙をつくる時には粘剤として植物性のネリを入れる.

「黄蜀葵」(トロロアオイ)がよく使われるが,ノリウツギは温度の影響を受けないので,夏季にも安定して用いられるとされる.

 

これは過去の話ではありません.

昨年の農水省「和紙原料の生産状況等について」によれば,

https://www.maff.go.jp/j/seisan/tokusan/attach/pdf/tokusan-2.pdf

「現在では群生状に生育している箇所は極めて少ない状況」ではあるものの,

「福井、奈良、兵庫、愛媛で製造される手すき和紙については,補助原料としてノリウツギの樹皮を使用.

近辺にあるものよりも糊の品質が良いことから,一部の地域においては北海道の森林組合に依頼し,リウツギを調達している事例がある」

とのこと.

貴重な和紙文化を支える重要な植物がノリウツギ

知りませんでした.

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カシワバアジサイとは - 育て方図鑑 | みんなの趣味の園芸 NHK出版

ノリウツギ(糊空木) – 神戸市立森林植物園あじさい情報センター