ユキノシタ(雪下.虎耳草)を詠んだ短歌  ホザキナナカマドが咲きました.ご近所にも小さな白い花が咲いています. 集めてみました.シロツメクサ,クリ,ネズミモチ,アワモリショウマ,ノリウツギ,ユキノシタ. 雪のした花咲きたりと風ありて揺らぐに見出づそのかそけきを 窪田空穂  朽ちそめし軒の下端(したは)のゆきのした濡れそぼち咲く五月雨のころ 原阿佐緒  ほの紅き虎耳草の葉は水雪(みづゆき)を透してぞ冴ゆ日の照るときに 木俣修  虎耳草しろき花もつ蔵かげに子を抱ききて嘆きたりしか 岡野弘彦

夕方近く,庭に出てみると,ホザキナナカマドが咲き始めていました.

あまり見かけませんが,このような花が咲くとは知らず,ナナカマドと間違えて購入した株.小さな白い花が集まって咲くさまは,かなり見応えがあります.

シモツケに近縁といえば近縁の花.(わが家のシモツケは,昨年,突然枯れてしまって,載せられません.残念)

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今の季節,ご近所にも小さな白い花が咲いています.

集めてみました.

「ご近所で見た」以外,雑草とされるものから庭木まで,共通点はありません.しかし,白く小さな花たちは,落ち着いたそれぞれのかわいらしさを見せてくれています.

ノリウツギとアワモリショウマは,おんめ様(大巧寺)に植えられているものです.

ノリウツギの「糊」が意味するのは,接着剤でも,洗濯糊でも,防染糊でも無く,和紙を漉くときに使う「のり=植物性粘液(抄紙用粘剤)」を指しています.https://www.hro.or.jp/list/forest/research/fri/kanko/kiho/pdf/202-4.pdf

アワモリショウマは,ユキノシタ科チダケグサ属Astilbe.園芸種アスチルベの仲間になります.

ユキノシタは,かつてどこのお宅にもあったように思います.わが家にもありました.日本的な趣があるような気がするのは,私だけでしょうか?

ユキノシタ(雪下)の漢名は虎耳草.花弁が虎の耳のように垂れ下がつているからとか.中国らしい見方ですね.



ユキノシタ(雪下.虎耳草)を詠んだ短歌

(古今短歌歳時記より)

 

雪のした花咲きたりと風ありて揺らぐに見出づそのかそけきを  窪田空穂 茜雲

 

枯れ伏しし蕗にまぢかき虎耳草(ゆきのした)ひかりを浴(あ)みて冬越えんとす  斎藤茂吉 寒雲

 

朽ちそめし軒の下端(したは)のゆきのした濡れそぼち咲く五月雨のころ  原阿佐緒 白木槿

 

虎耳草(ゆきのした)真白に咲きてわが家の筒井の水に影をうつせり  峯村国一 耕余集

 

虎耳草(ゆきのした)きほいて赤く這う蔓(つる)は花のごとくも楽しみて見つ  谷鼎 伏流

 

虎耳草(ゆきのした)の鉢に夜ごとに蟇(がま)上がり平たく居りぬ朝明くるまで  山口茂吉 赤土

 

ほの紅き虎耳草(ゆきのした)の葉は水雪(みづゆき)を透してぞ冴ゆ日の照るときに  木俣修 高志

 

春すでに逝かむとするか虎耳草(ゆきのした)の群生の先の土乾きつつ 宮柊二 晩夏

 

虎耳草(ゆきのした)しろき花もつ蔵かげに子を抱ききて嘆きたりしか  岡野弘彦 滄浪歌