古事記に「ひさご」(漢字では瓢)とある植物は,ヒョウタンを意味しています.
ヒョウタンは,かんぴょうを作るときに使われるユウガオと同種ですが---
一般的に
・ヒョウタンはくびれていて,ユウガオはくびれがない.
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000079844.html
・ヒョウタンは毒性が強く,ユウガオは毒性がない,もしくは毒性が劣勢(=ヒョウタンの毒性がないものを選抜したものがユウガオ)
・学名は,ヒョウタンがLagenaria siceraria var. gourda,ユウガオはLagenaria siceraria var. hispidaで,互いに変種.
このような説明が日本では当たり前に使われています.
しかし,日本以外ではヒョウタンをユウガオと区別しないのが一般的.
「日本ではくびれるのをヒョウタンとして区別するが、形は丸形や長形のユウガオまで連続してさまざまである」(日本大百科全書“ヒョウタン”).
英語では,bottle gourd
形がボトルのウリ.ボトルに用いられるウリの意味も?
または calabash.
こちらの語源も,アラビア語のdry gourd(乾かして器に用いる)かもしれないとのこと.
calabash | Origin and meaning of calabash by Online Etymology Dictionary
https://www.researchgate.net/publication/312465074_Gourds_Bitter_Bottle_Wax_Snake_Sponge_and_Ridge
ヒョウタン/ユウガオの毒性.
かんぴょうを作るなど,食用が基本のユウガオ.しかし,時に毒性をもつことがあるようです.
「苦味が強いものは食べない」が基本.
https://www.pref.okinawa.lg.jp/site/hoken/eiken/news/documents/20page4.pdf
また,ヒョウタンも「食用」をうたった品種が販売されています.
ただ,普通の毒性があるヒョウタンに「食用」という表示がつけられて販売されたことがあった!なんという初歩的なミス.
当然のことながら食中毒事件が発生.
植物自然毒による中毒事件の発生件数を厚労省がまとめていますが,ヒョウタン/ユウガオによる食中毒も10年間で数件,報告されています.
ちなみに,
事件数が圧倒的に多いのがスイセン(水仙).身近に沢山あって葉はニラ,球根はノビルなどと間違えやすいんですね.
第2位のジャガイモは,事件数はスイセンの半分以下.しかし患者数はトップ.大きな規模の集団中毒が起こっているということですね.
https://www.mhlw.go.jp/content/11120000/000664044.pdf
ヒョウタン/トウガンの毒性の話題に戻って--
「ヒョウタン/トウガンの毒性成分 はククルビタシン E ( cucurbiacin E )などのククルビタシン類」
「消化器系の中毒を起こし,唇のしびれ、吐き気、おう吐、腹痛、下痢の症状が食後すぐから数時間に現れる」
とのことです.
ヒョウタン/ユウガオは
ウリ目 Cucurbitales,ウリ科 Cucurbitaceae,
ユウガオ属 Lagenaria,
ヒョウタン/ユウガオ L. siceraria
ウリの仲間の中では,スイカと近縁です.