アスパラガス3
今日は,アスパラガスの栄養に焦点を当ててまとめようと思いますが---
その前に,アスパラガスが間接的に関わっている(?),アクリルアミドという食品成分について少しだけ.
アスパラギンとアクリルアミド
アスパラギンというアミノ酸が,アスパラガスから発見された(1806年)ことは,よく知られています.
このアスパラギン,
2000年に入って,思わぬことで注目されるようになりました.
「ポテトチップスに発がん性物質?」というような記事を読まれて方がおられるのではないでしょうか?
農水省のサイトによれば
「食品中のアクリルミドに発がん性や神経影響の懸念があるという結論をFAO/WHO合同食品添加物専門家会議が2005年に出しています」とのこと.
このアクリルアミドは,
「糖質(炭水化物)を多く含む原材料を高温(120℃以上)で加熱調理した食品に含まれる可能性があります。
例えば、ポテトチップス、フライドポテトなど、じゃがいもを揚げたスナックや料理、ビスケット、クッキーのように穀類を原材料とする焼き菓子などに、高濃度に含まれていることが報告されています」食品に含まれているアクリルアミド:農林水産省
上記の食品中の糖質と反応するもう一方の成分として知られているのがグルタミン.
アスパラガスジュースから発見されたグルタミンですが,アスパラガスだけではなく,多くの植物に沢山含まれていることが分かっています.
植物中では,たんぱく質としてだけではなく,たんぱく質に組み込まれていない遊離のグルタミンの形でも多量に存在し,植物中で重要な機能(種子の発芽や窒素輸送など)を果たしていると考えられています.https://onlinelibrary.wiley.com/doi/pdf/10.1111/j.1744-7348.2006.00104.x
そして,この「遊離のグルタミン」が曲者.
高温で糖と反応してアクリルアミドを生成する.
従ってポテトチップスにはアクリルアミドが含まれることになるわけですね.
業界の努力により生成量は抑えられるようになってきていることもあって,話題としては下火になってきていますが,もうしばらく動向に注意する必要がありそうです.
アスパラガスの栄養
アスパラガスは栄養価の高い野菜として知られています.しかし,実際の所はどうなのでしょうか?
高い低いは,他者と比較した時使う言葉.
実際に比べてみましょう.
比べる相手は,日本人がよく食べている野菜:日本人が沢山食べている野菜のランキングトップテン(2013年 日本人がたくさん食べている野菜は? |報道発表資料|厚生労働省)と比較してみました.
データは食品成分データベース https://fooddb.mext.go.jp/search.html から
まずはミネラルから.
アスパラガスは,
脂溶性ビタミンと食物繊維
α-トコフェロール(ビタミンE)第3位,ビタミンK・食物繊維 第4位,
水溶性ビタミン
ビタミンB1 第1位,ナイアシン・葉酸・パントテン酸 第2位,ビオチン 第3位,ビタミンB6 第4位.
結論としては
アスパラガスには飛び抜けて多く含まれるビタミン,ミネラルはないと言ってもいい.
(ビタミンB1は第1位ですが,もともと野菜にはあまり沢山含まれていないビタミンのため,強調するわけにはいきません.)
しかし,
「多種類のビタミン・ミネラルをかなりの量持っている野菜」がアスパラガスです.
その中でも鉄,亜鉛,葉酸を多く含む野菜といっていいでしょう.
上の表には,茹でたアスパラガスも掲載しましたが,茹で時間が短いせいでしょうか.アスパラガスは,茹でても,ビタミン,ミネラルの損失が少ないといっていいと思います.
食感も,味もかなり異なるホワイトアスパラガスは,ビタミン含有量では,グリーンアスパラに見劣りします.特にカロテン,葉酸は,1/10以下.
しかし,グリーンアスパラとは全く違うと言ってもよい食感.料理によっては何者にも代えがたい食材ですね.