柿(植物名としての正式な名前はカキノキ);
実は,特に色づくと,目立ちますが---
柿の開花に気づいた記憶があまりありません.
花は----,よく見ると,それなりに美しいのですが,地味.
しかし,恥ずかしいことに,雄花をよく見た記憶がありません.
来年しっかり観察するつもり.
https://matsue-hana.com/hana/kakinoki.html
https://matsue-hana.com/hana/kakinoki.html
地味な花が,緑の葉に隠れて,ほとんど目立ちませんから,若い実がついてはじめて開花した事実を知るのみ.
しかし,この時に到っても,花に思いをはせることはほとんどありません.
若い実がそのまま大きくなることを願うのみ.
日本国語大辞典「柿」の項には,こんな注釈がつけられています.
精選版 日本国語大辞典の解説
“「語誌 用途の多い木のわりには卑俗な木または実と考えられていたからか,和歌に詠まれることは少ない.
「万葉集」に例がなく,八代集ほか平安時代の私家集では物名歌の題に見えるだけである.
鎌倉時代では,柿の紅葉を詠んだ歌が見えるが,数は少ない。庶民生活を歌う江戸時代の俳諧になって,多く詠まれるようになる.”
柿が和歌には詠まれることは少ない.近世はともかく,古代・中世では.
確かにその通りのようで, “鳥居正博編 古今和歌歳時記”でも,
古歌にほとんど読まれていないとして上で,“どうやら,王朝人はには,僅かに柿紅葉に関心があるものの,柿の実などは詠歌の対象とならず,雅び心に訴えなかったものとみえる.”
と記しています.
ただ,“卑俗な木または実と考えられていたから”という日本国語大辞典の語誌解説はやや「?」.
単に
“花がほとんど目立たない.加えて紅葉もそれほど美しいわけではないため”,
古歌でほとんど取り上げられないのでは?
柿同様,古来から食べられていた桃.実の形も優雅に思えますが,万葉集で桃を詠んだ歌七首のうち,実を詠んだと考えられるのは一首のみ(古今和歌歳時記).
花が目立たない柿.「万葉に例がない」のは仕方ないように思われます.
近世・近代になるとカキは和歌に詠まれるようになります.
楢山の窪みくぼみの村落に柿の実しるく色づきにけり 島木赤彦
ただ柿といえば俳句.次の二句はとりわけ有名.
里古(ふ)りて柿の木持たぬ家もなし 松尾芭蕉
カキノキは
カキノキ属 Diospyros
カキノキ D. kaki
カキノキ属には多くの種が属しますが,現在栽培されているカキノキの原種はまだ特定されていないそうです.
近縁とされているのが,
マメガキDiospyros lotus
アブラガキ Diospyros oleifera
そしてD. glandulosa
https://www.jstage.jst.go.jp/article/nskkk/63/7/63_328/_pdf/-char/en
マメガキ - Wikipedia Diospyros oleifera - Google 検索
また,コクタンもカキノキ属.
セイロンエボニー Diospyros ebenum,マカッサル・エボニー Diospyros celebica 等の総称がコクタンとのこと.
コクタン - Wikipedia Diospyros ebenum - Ceylon Ebony - Seeds