オクラとトロロアオイ;どちらもアオイ科アオイ亜科トロロアオイ属.オクラはおなじみの野菜.トロロアオイは,別名花オクラで,オクラと違って果実は食用に適さないものの,花を食べることはできるとか.根からとった粘液“ねり”が,和紙づくりの際に繊維を水中で均一に分散させるために利用されてきました.後継者難ですが,和紙業界からの手助けもあって何とか栽培が続けられているとのこと. アオイ科の植物3

私の大好きなムクゲは,アオイ科の植物.

f:id:yachikusakusaki:20200620005720j:plain

f:id:yachikusakusaki:20200620005747j:plain

ということもあって,多くが今の季節に花咲くアオイ科の植物を取り上げています.

 

今日とりあげるのは,トロロアオイ属のオクラとトロロアオイ

オクラ Abelmoschus esculentus

トロロアオイ Abelmoschus manihot

 

トロロアオイ属には,他に種に麝香(じゃこう)の香があるトロロアオイモドキ Abelmoschus moschatus があり,

トロロアオイモドキ(とろろあおいもどき)とは - コトバンク

この植物の英語名abelmoskにあたるラテン語Abelmoschusが属名となっています.

Abelmoschus | Definition of Abelmoschus by Merriam-Webster

 

f:id:yachikusakusaki:20200625230950p:plain

 

オクラはおなじみの野菜.

http://yachikusakusaki.hatenablog.com/entry/2019/08/13/234359 http://yachikusakusaki.hatenablog.com/entry/2019/08/14/234109?_ga=2.195464751.2004440829.1590750013-847026506.1533741043

f:id:yachikusakusaki:20200625231938j:plain

オクラ - Wikipedia

日本に渡来したのは江戸時代(一説では明治初期)ですが,

 Abelmoschus esculentusはどんな植物?Weblio辞書 オクラとは - コトバンク

世界的にみると,エジプトでは紀元前に栽培されていたともいわれています.

 Abelmoschus esculentus (L.) Moench | Plants of the World Online | Kew Science

Abelmoschus esculentusはどんな植物?Weblio辞書

 

一方のトロロアオイ

私はつい最近まで聞いたこともなかったのですが----

 

日本の紙文化を支える重要な植物.渡来は室町時代とされ---

根からとった粘液“ねり”が,和紙づくりの際に繊維を水中で均一に分散させるために利用されます.

f:id:yachikusakusaki:20200625232007j:plain

トロロアオイ:武田薬品工業株式会社 京都薬用植物園

 

トロロアオイの花は,オクラと似ていますが,より美しいように見えます.

花オクラの別名を持ちます.

f:id:yachikusakusaki:20200625232044j:plain

オクラ - Wikipedia トロロアオイ - Wikipedia

オクラと違って果実は食用に適さないそうですが,花を食べることはできるとか.

f:id:yachikusakusaki:20200625232141j:plain

オクラ - Wikipedia トロロアオイ:武田薬品工業株式会社 京都薬用植物園

 

オクラは日本語のような音感ですがれっきとした英語で,その和名は,なんと“アメリカネリ”.単に“ねり”と呼ばれていたこともあるとのこと. オクラ - Wikipedia

日本では先輩のトロロアオイと同一視されていたということですね.

 

  

和紙づくりに用いられるトロロアオイ茨城県などで栽培されています.

新聞記事によれば,後継者難で,和紙業界からの手助けもあって何とか続けられているとのことです.

 

トロロアオイ、安定生産へ一歩 小美玉で収穫 

手すき和紙業界に大打撃 トロロアオイ農家が生産中止へ:朝日新聞デジタル

重政紀元

朝日新聞DIGITAL 2019年11月21日

 

 小美玉市特産で伝統的な和紙づくりに不可欠なトロロアオイが収穫時期を迎え、このほど出荷作業が行われた。農家の高齢化から一時は縮小・撤退も検討されたが、和紙産地からの支援もあり、来年以降の生産継続も決まった。

 トロロアオイの収穫は10月末から始まった。葉などをつる刈り機で切り取った後、紙の厚さを調整する決め手である「ねり」の原料となる根の部分を手作業で1本ずつ引き抜いた。

----中略

 昨年末から同市のトロロアオイ農家は大きく揺れた。5戸の生産者の中で体力的な問題などを理由に作付けをやめたいという意向が出て、地元農協が和紙生産者に「数年をめどに作付けを中止する」というファクスを送付したためだ。

 伝統産業の存続にかかわるだけに大きな反響を呼んだ。越前和紙の生産者で作る福井県和紙工業協同組合のメンバーは支援のため、農家にとって体力的な負担となっている夏場の「芽かき」や、収穫作業に駆けつけた。

----中略

 敏枝さん「一時はどうなるかと思ったが、多くの人に励まされて何とか続けられそうだ。農家の高齢化を考え、これからも栽培への協力を呼び掛けていく」