ギリシャ神話に数多く登場するニンフ(ニムフ,ニュンペー).
山,水,森,木,場所,地方,都市,国などに固有な神的力を擬人化した精で,若い乙女の形をとって現れます.
名が通ったニンフを取り上げていくシリーズとして,
今までとりあげたニンフは
エコー
http://yachikusakusaki.hatenablog.com/entry/2019/11/19/224809 〜 http://yachikusakusaki.hatenablog.com/entry/2019/11/21/234542
ガラテイア
http://yachikusakusaki.hatenablog.com/entry/2019/12/16/235000 〜 http://yachikusakusaki.hatenablog.com/entry/2019/12/19/235000
http://yachikusakusaki.hatenablog.com/entry/2020/01/28/234613
http://yachikusakusaki.hatenablog.com/entry/2020/01/29/235000
http://yachikusakusaki.hatenablog.com/entry/2020/01/30/235000
今日からはエウリュディケー.
エコーと同じく,森と木のニンフとされています.
しかし,彼女を描いた物語にこのニンフとしての役割はほとんど出てきません.
何といっても竪琴の名手オルペウス(オルフェウス)の妻としてその名が広く知られ,幾多の絵画,彫刻にもその名が取り上げられてもいます.
https://www.metmuseum.org/toah/works-of-art/10.63.2/ Eurydice - Wikipedia
Eurydice - Wikipedia File:Anselm Feuerbach - Orpheus und Eurydike - 1719 - Österreichische Galerie Belvedere.jpg - Wikimedia Commons
ブリタニカ国際大百科事典小項目解説では次の通り.
エウリュディケ(英語表記 Eurydikē)
美貌のニンフだったエウリュディケは天才的楽人として名高いオルペウス(オルフェウス)と結婚してまもなく,アリスタイオスに凌辱を加えられそうになり,逃げる間に毒ヘビにかまれ頓死した.
オルフェウスはエウリュディケを生き返らせようとして,竪琴を持って冥府に下り,音楽の力で死者の国を支配する非情な神々の心を動かし,いったんは地上に連れ帰る許可を与えられた.しかし,途中で後ろを振り返ってエウリュディケの姿を見てはならないという禁止に違反したために,地上に着く直前にエウリュディケは冥府に連れ戻されてしまったという.
ブリタニカのこの解説は,
オウィディウス「転身物語(変身物語)」に描かれたもの.
ただし,転身物語には,アリスタイオスの名前は登場しません.
転身物語では,エウリュディケの婚姻から始まります.
婚姻の神ヒュメナイオスが婚礼に立ち会いますが,めでたさのない婚礼でした.ヒュメナイオスがともす炬火もくすぶるだけで明るい焔になりません.
そして,その前兆より更に悲しい出来事が続きます.
エウリュディケは毒ヘビに噛まれて死に,オルペウスは妻を悼んで泣き尽くすと,亡霊の国へ行こうと思い立ちます.
この続きは後日オルペウス(オルフェウス)と共に
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なお,英雄アリスタイオスがエウリュディケを追いかけ,その時毒ヘビに噛まれるという逸話は,ウェルギリウ「農耕詩」に描かれているとのことです.
ARISTAEUS (Aristaios) - Greek God of Cheesemaking, Beekeeping & Olive-Growing