琴座の琴=竪琴Lyreの持ち主とされるオルペウス(オルフェウス)
6月中旬21時頃・4月下旬0時頃・3月中旬3時頃、東京近郊
「歌によって木石を動かした」とされ
Orpheus & the Beasts - Ancient Greco-Roman Mosaic
アルゴー号に乗り組んだ英雄アルゴナウタイの一人で,
"船を泊める者があると甘い歌声で魅惑して滅ぼす”セイレン(セイレーン)の歌を竪琴で圧倒し,"西風と,艫(とも;船首)から起こった高鳴る波が舟を進ませた”とされています.
yachikusakusaki.hatenablog.com
そして,オルペウスの物語で最もよく知られているのは
「オルペウスとエウリュディケ」
:日本神話・イザナキの〈黄泉国(よみのくに)訪問〉の話と酷似していることでも知られています.
世界大百科事典 オルフェウスとは - コトバンク
http://yachikusakusaki.hatenablog.com/entry/2019/02/20/021546
多くの絵画,彫刻,さらには,楽曲,戯曲,映画が「オルペウスとエウリュディケ」から生まれているとのこと.
Orpheus and Eurydice - Wikiwand
Orpheus Leading Eurydice from the Underworld, Jean-Baptiste-Camille Corot ジャン=バティスト・カミーユ・コロー Credit Line: The Museum of Fine Arts, Houston,
Orpheus and Eurydice 1893
フランソワ=オーギュスト=ルネ・ロダンAuguste Rodin
https://www.metmuseum.org/art/collection/search/191330
何事にも疎い私.
つい最近まで
「オルペウスとエウリュディケ」の物語さえ知らずにいましたが----
大好きな映画音楽が,この物語を現代化した映画のテーマ曲になっていました.
ルイス・ボンファ作曲「カーニバルの朝 Manhã de Carnaval」
多くの方が耳にしたに違いない,全身でリズムを刻みたくなる,しかし,もの悲しくも美しい,サンバ/ボサノヴァの名曲.
映画「黒いオルフェ」のテーマソング.
1960年7月7日(木)公開
リオのカーニバルを背景にギリシャ神話のオルフェとユリディス(「オルペウスとエウリュディケ」)の愛の現代化を試みたもの.監督は「濁流(1957)」のマルセル・カミュ.その第二作.ブラジルの詩人ヴィニシウス・デ・モラエスの戯曲からジャック・ヴィオが脚本を書き,カミュとビオが脚色・台詞を書いた.撮影は「ひと夏の情事」のジャン・ブルゴワン.音楽はアントニオ・カルロス・ジョビンとルイス・ボンファの作曲.出演者はほとんど一般市民から選ばれ,ブレノ・メロ,マルペッサ・ドーン,ルールディス・デ・オリヴェイラ,レア・ガルシア,アデマール・ダ・シルバら.製作サッシャ・ゴルディーヌ.五九年カンヌ映画祭グランプリ,アカデミー最優秀外国映画賞,ゴールデン・グローブ賞を受けた.
ストーリー
⇒最下欄に転載
(映画は,まだ幼いと言っていいときに,何の予備知識もなく鑑賞.
音楽はよく覚えているのに対し,突然現れる仮面の男など,ストーリー展開自体は釈然としなかった記憶があります.当時,ギリシャ神話の知識があったなら,もっと楽しめたのに.)
「カーニバルの朝 Manhã de Carnaval」は幅広いアーティストによってカバーされ,
youtubeにも沢山アップされています.
https://www.youtube.com/watch?v=nVkDfnGobmI
The Three Tenors - Manha De Carnaval (Beijing 2001)
映画のストーリー
カーニバルを明日にひかえたリオ・デ・ジャネイロにやってきた黒人娘ユリディス(マルペッサ・ドーン)は,市電の運転手である黒人青年オルフェ(ブレノ・メロ)の電車にのった.彼女は,自分を追う謎の男を避けて,田舎から従姉セラフィーナを尋ねてきたのである.
電車が終点について仕事を終ったオルフェは,婚約者ミラとともに街に行き,質屋からギターをうけ出した.オルフェの歌とギターは,村の子供たちの敬畏の的だった.丘の従姉の家についたユリディスは,隣りからきこえる美しい歌声にさそわれテラスに出た.こうして,オルフェとユリディスは再会し,愛しあった.
夜,明日のカーニバルの練習であるサンバの群舞に二人は酔った.すると,死の仮面をつけた例の男が現れ,ユリディスを追った.失神したユリディスを救ったオルフェは,彼女を自分の部屋のベッドに横たえた.
--カーニバルの当日,ユリディスは従姉の仮装を借りてオルフェの指揮する熱狂的な踊りの輪の中に入った.夜になった頃,ミラがそんなユリディスに気づいて,彼女につかみかかった.逃れるユリディスを,死の仮面の男が追っていた.必死に市電の車庫に逃げこんだが,天井においつめられた.ユリディスの手が高圧線にかかった時,かけつけたオルフェが車庫内を明るくしようと電気スイッチを押した.ユリディスは死んだ.
死んだ彼女を求めてオルフェは深夜の街を,病院から警察へとさまよった.警察の小使いに連れられて,祈祷所でオルフェはユリディスの呼び声を聞いた.その方をふりむいてしまった彼は,霊媒の老婆を見た.ユリディスの死体は死体置場にあった.
夜が明けようとしていた.オルフェは死体を抱いて丘に帰った.嫉妬に狂ったミラが小屋に放火していた.彼女の投げた石でオルフェはユリディスを抱いたまま断崖から落ちた.二人の死体は重なった.彼のギターを鳴らしながら,黒人の子供たちは日の出を迎えた.