“クリスマスと言えば七面鳥が欧米の食習慣” と思って調べてみると-----ヨーロッパ大陸の各国ではあまり食べられていないことが判明.
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では,アメリカやイギリスでは?
“七面鳥はアメリカ人のHolidaysに欠かせない一品”ですが,
Turkey Facts - Turkey for Holidays - University of Illinois Extension
“クリスマスになくてはならない” わけではありません.
クリスマスの習慣を集めたサイトでは,七面鳥に触れていない,もしくは,ちょこっと述べているだけ.
クリスマス 12月25日|About THE USA|アメリカンセンターJAPAN
https://www.history.com/news/christmas-traditions-history Americans Celebrate Christmas with Many Traditions | U.S. Embassy & Consulates in the United Kingdom
ただし,七面鳥は,クリスマスに限らず,ハレの日(Holidays)の食卓を飾るのにふさわしい鳥料理とみなされているようで,
クリスマスの他,感謝祭(Thanksgiving day)やイースターでも食べられています.
その中では,特に感謝祭に欠かせない一品.
感謝祭では,4600万羽の七面鳥が食べられるのに対し,
クリスマスでは,2200万羽,
イースターでは,1900万羽.
Turky for the Holydays:
46 million turkeys are eaten each Thanksgiving, 22 million on Christmas and 19 million turkeys on Easter.
Turkey Facts - Turkey for Holidays - University of Illinois Extension
クリスマスのメインディッシュとしては,ハム(country ham or Christmas ham)を選択する場合も多いとのこと.
クリスマス 12月25日|About THE USA|アメリカンセンターJAPAN
http://www.mortonwilliams.com/post/traditional-christmas-dinners-in-america Christmas dinner - Wikipedia
また,多民族国家アメリカですから,先祖がどこから来たかによってクリスマス料理も異なる場合があっておかしくありません.
例えば,イタリア系アメリカ人(アメリカ人の5%)の間では,今でも魚介類中心の晩餐会「 The Feast of the Seven Fishes」をクリスマスイブを催すのが習慣になっているそうです.
https://www.eataly.com/us_en/magazine/culture/origin-feast-seven-fishes/ Feast of the Seven Fishes - Wikipedia
アメリカで七面鳥がHolidaysに食べられるようになったのは,それほど昔のことではありません.
以下は,主に,
Encyclopædia Britannica “Why Do We Eat Turkey on Thanksgiving?”
Why Do We Eat Turkey on Thanksgiving? | Britannica
から.
七面鳥は,感謝祭で多く食べられているため,1621年の“最初のサンクスギビング(first Thanksgiving)”のメニューに七面鳥があったように思うかもしれません.
実際,アメリカでは,ピルグリムファーザーズPilgrim Fathers,感謝祭Thanksgiving,七面鳥turkeysはワンセットとみなされるようになっています.
first Thanksgiving:
イギリスから移住したPílgrim Fáthersが,その前の年に食糧を分け与えてくれたワンパノアグ族を招待し、神の恵みに感謝して共にご馳走をいただいたことが,感謝祭の始まりとされています. 感謝祭 - Wikipedia
(事実としては,この話とは別に収穫祭は行われていたと考えられていますが)
Pílgrim Fáthers ランダムハウス英語辞典
⦅the Pilgrim Fathers⦆ピルグリムファーザーズ:宗教的迫害を逃れ,英国から1620年 Mayflower 号で現在の米国 Massachusetts 州 Plymouth に渡って植民地を開いた清教徒の一団(102名).
しかし,first Thanksgivingで七面鳥がメニューにあったことを示すものは何もありません.
肉料理としては,ワンパノアグ族は鹿を,ピルグリムは野生の“fowl;家禽(かきん)類”を提供しました.
“fowl”は,この地域原産の七面鳥であった可能性はありますが,歴史学者は,多分アヒルか鵞鳥だったと考えています.
しかし,19世紀に入る頃までに,七面鳥は祭日の席でポピュラーな料理になっていました.その要因として考えられるのは次の三つ;
・七面鳥はかなりたくさん供給できた.
・農場では,牛やニワトリのように他の用途(ミルクや卵)を考える必要がない食肉用のみであったので,肉として食べやすい.
・七面鳥は一家族で食べるのに十分な大きさがある.
しかし,まだ感謝祭の定番にまではなっていませんでした.
祭日の肉料理としての七面鳥を後押ししたのは,一説では,ディケンズのクリスマスキャロル(1843年).
ヴィクトリア朝(1837〜1901年)労働階級のクリスマス・ディナーは,まだ,七面鳥より安めのガチョウだったと言われています.
しかし,この頃書かれたディケンズのクリスマスキャロルでは;
主人公のスクルージは,3人のクリスマスの精霊たちに,自分の過去,現在,未来を見せられ,すっかり改心し,クリスマス精神に溢れた善人に生まれ変わります.そして,さっそく肉屋に,店で一番大きな七面鳥を注文し,クラッチット家にプレゼントしました.
http://mini-post-uk.blogspot.com/2009/12/blog-post_22.html クリスマスキャロル 物語の結末
七面鳥を祝宴で食べる習慣は,まず,イギリスのクリスマスで広まり,ディケンズを通してアメリカにまで広がったということですね.
七面鳥を感謝祭のメインディッシュ定番としたという点では,ディケンズより,更に重要な働きをした作家がいました.
サラ・ジョセファ・ヘイル.
アメリカ合衆国ニューハンプシャー州生まれの詩人,小説家,編集者で,童謡『メリーさんのひつじ』の作詞者として知られています.感謝祭をアメリカ合衆国の祝日とする運動を行ったこと,バンカーヒル記念塔の完成に向けた運動を行ったことでも有名.
小説ノースウッド Northwood(1827年)では,ニューイングランドの感謝祭をとりあげ,テーブルの最上席に置かれたローストターキーを描きました.