“欧米のクリスマスイブ.伝統的な祝宴のまん中には七面鳥が飾られる.”
https://americancenterjapan.com/aboutusa/monthly-topics/2063/
長い間,何となくそう思ってきましたが,これは間違いだったようです.
欧米と一言でくくるわけにはいきません.国ごとに,また,一つの国でも地方によって伝統的なクリスマス料理は異なる.少し考えれば当たり前のこと.でも,つい忘れてしまいます.
一昨年,ドイツ,フランス,イタリアのクリスマス料理を調べて改めてこのことに気づかされました.
http://yachikusakusaki.hatenablog.com/entry/2016/12/25/010813 http://yachikusakusaki.hatenablog.com/entry/2017/12/24/021906 http://yachikusakusaki.hatenablog.com/entry/2017/12/25/013833 http://yachikusakusaki.hatenablog.com/entry/2017/12/26/003002
改めて以前書いたものをまとめてみると次の通り.
まずは,ドイツ.
北部ドイツの伝統的なクリスマス用メインディッシュは, "Karpfen blau (鯉料理カルプフェン・ブラウ)"という魚料理.ドイツ大使館の情報ですから確か.
しかし,
「ドイツ南部では,ガチョウが好まれる.これは,もともと11月11日のSt. Martin's day に食べられていたもの」
German Christmas Dinner Recipes | HuffPost
そして,ドイツ伝統のクリスマス料理に七面鳥は取り上げられていません..
ではフランスは?
大使館ほど確実な情報源とは言えませんが---,
Christmas in France -- Christmas Around the World -- whychristmas?com Ten dishes that make up a French Christmas feast The Local Celebrate a French Christmas with roast goose フランスのクリスマス: クリスマスのご馳走とは?
等によれば:
フランスでは,クリスマスイブの遅い時間(次の日の早朝になることも)に家族で食事をするのが伝統だそうで,長い時間をかけて豪華な食事をとるとのこと.
鳥料理がメインディッシュの一つで,七面鳥でもよいが,「全ての鳥で置き換えることが可能」.その中で,クリスマス時期にのみお目見えするシャポンchapon(去勢雄鳥:英語ではcapon)は最高級のディッシュの一つ.
Ten dishes that make up a French Christmas feast The Local Celebrate a French Christmas with roast goose フランスのクリスマス: クリスマスのご馳走とは?
アルザス地方など,ドイツ文化の影響が強い地域ではガチョウも食べられます.
そして,鳥料理だけではなく,オイスターやロブスターも定番.どれがメインディッシュか解りません.また,ぜいたくな祝宴では,フォアグラやキャビアも添えられます.
Ten dishes that make up a French Christmas feast The Local
次にイタリア.
http://www.italianlanguageguide.com/christmas/ Christmas in Italy -- Christmas Around the World -- whychristmas?com
伝統的なカソリック信者にとって,クリスマスイブは小斎(禁欲日)にあたる“day of abstinence”.
肉のない(時には乳製品も)のがイタリアの伝統的なイブとのこと.
(ただし,イタリア系アメリカ人は魚介類中心の晩餐会「 The Feast of the Seven Fishes」をクリスマスイブを催すのが習慣になっているとか)
そして,クリスマスの正餐はランチ(il pranzo).
イタリア北部の“il pranzo”のメニューには,七面鳥がメイン料理となっている場合もあります.
しかし,フランスと同じく去勢した雄肥育鶏が鳥料理としては最高級のよう.
また,肉料理としては鳥だけではなく,子羊やソーセージ(伝統料理としては特に豚の下足部や足の皮につめたツァンポーネ/コテキーテが有名)も.
また,南部の伝統料理で有名なのが"Capitone" .日本人には,多分,あまりなじみがない?大きな雌ウナギのことらしく,オーブンや天日で焼いたり,揚げたり,シチューにして食べるようです.肉メニューとしては子羊の肉も.
http://www.italianlanguageguide.com/christmas/ Indulge in an Italian Christmas - Eat & Drink | The Star Online
http://tecnichef.it/cucinare-lo-zampone-la-guida-dello-chef/ http://mangiarebuono.it/il-protagonista-del-cenone-di-capodanno/ South Your Mouth: Italian Lentil Soup with Sausage
Anguilla (Capitone) in Umido (Stewed eel) | Recipes of Italy A Neapolitan Christmas: Capitone fritto (Fried Eel) | Memorie di Angelina
パスタは,伝統的なクリスマス料理とは言えないようですが,現在のイタリアクリスマスのランチにはほぼ必ず入っていて,現地の日本人や旅行者がたくさんのメニューと画像をアップしてくれています.
Christmas…the meal is served! | Italy Rome Tour crostini google chicken tortellini soup | Christmas Notebook
それでは,クリスマスに七面鳥をメインに食べる欧米の国は?
イギリスとアメリカですね.
christmas dinner in united states - Google 検索
七面鳥は,もともとアメリカ大陸原産ですから,アメリカで食べるようになってイギリスがそれを取り入れたのかと思うと---
そうでもないらしい.イギリス風なクリスマスディナーがアメリカにも取り入れられた結果といえそうです.
そして,よく知られているように,そもそも,アメリカでは,クリスマスより感謝祭(Thanksgiving Day)で七面鳥をより多く食べている---
その詳細は,明日.