ウェブ・書籍を頼りにスイーツの歴史を調べるシリーズ22
イギリスのプッディング2 クリスマスプディング
クリスマスプディングという名前を初めて知ったのは,アガサ・クリスティーの短編小説の題名を見た時でした.
「英国の楽しい古風なクリスマス。そんな時でもポアロは推理にあけくれていた。外国の王子がある女性によって由緒あるルビーを奪われたので、それを見つけ出してほしいというのだ。女性が潜む屋敷へと赴いたポアロは探偵活動を開始する」
「一同は盛大なクリスマス・ディナーを行うが、クリスマスプディングを食べた時、大佐は自分のプディング入っていた赤いガラスのかけらを喉に詰まらせそうになり、ポアロはそのかけらを預かる」
https://ja.wikipedia.org/wiki/
https://www.amazon.co.jp/クリスマス・プディングの冒険-ハヤカワ文庫―クリスティー文庫-アガサ・クリスティー/dp/4151300635
https://www.kosho.or.jp/products/detail.php?product_id=4682233
National Geographic の解説は,次のような一文から始まっています.
「イギリスらしいクリスマスの象徴といえば,プラムプディングだろう.クリスマス・プディングとしてよく知られ,ヒイラギで飾られることも多い.
イギリス人はこのクリスマス・プディングにセンチメンタルな愛着を持っている.」
クリスマスプディングの起源は14世紀にまでさかのぼることができるそうです.
fygeyと呼ばれるレシピが残っていて,これは,アーモンド,ワイン,イチジク,レーズン,ショウガ,ハチミツを粥状にしたもの.現代人の目にはおいしそうに思えませんが,実際には現代のクリスマス・プディングのような味.
英語版ウィキペディアによれば,
https://en.wikipedia.org/wiki/Christmas_pudding
初期のレシピにはドライフルーツ,スエット,パン粉,小麦粉,卵,スパイスが使われ,牛乳や酒精強化ワインなどの液体も加えられていました.
スエット:(牛·羊などの腰や腎臓じんぞうのあたりの堅い)脂肪
その後,レシピはより手の込んだものになり,1845年,料理研究家のイライザ・アクトンが,実際に「クリスマス・プディング」と呼ばれる料理のレシピを初めて書いたそうです.
この料理はプラム・プディングと呼ばれることもありますが---
「プラム」という言葉は,18世紀以降「レーズン」と呼ばれるものに対して使われたもので,このプディングには実際には現代的な意味でのプラムは入っていません.
https://en.wikipedia.org/wiki/Christmas_pudding
伝統的に高価で豪華な材料,特に独特の芳醇な香りを出すのに重要な甘いスパイスを使い,通常はスエット(羊脂)を使って作られます.
クリスチー「クリスマス・プディングの冒険」では,中からガラスの欠片が出てきましたが.クリスマスプディングには銀貨を入れるという楽しい伝統があります.英語版ウィキペディアでは,廃れたとしていますが,実際にはどうなのでしょうか.
https://www.pudforallseasons.com.au/blog/christmas-pudding-history-and-traditions
「銀貨を入れるのは,コインを見つけた人は幸運に恵まれるという考え方です.この伝統は1300年代まで遡ることができ,乾燥エンドウ豆や鶏のささみなど、いくつかの小物をプディングに混ぜたのが始まりとされています」
なお,ほとんどのレシピで黒砂糖と黒い糖蜜を使い,長い時間をかけて調理するため,プディングの色は非常に濃く,ほとんど黒に近くなります.https://en.wikipedia.org/wiki/Christmas_pudding
柑橘類の果汁,ブランデー,その他のアルコール(マイルド,スタウト,ポーターなどの濃い色のビールを使うレシピもある)で湿らせることも.
水盤から出されたプディングは,ヒイラギで飾られ,ブランデー(時にはラム酒)に浸され,火にかけられ(または「焼かれ」),伝統的に儀式的に食卓に運ばれ,拍手で迎えられます.
https://en.wikipedia.org/wiki/Christmas_pudding
https://www.google.com/search? Christmas Pudding in UK
「まだら模様の大砲の玉のような,とても硬くてしっかりした,半分の4分の1のブランデーに火をつけて燃やした」
「---半刻もすると,クラチット夫人が,顔を赤らめながらも,誇らしげに微笑みながら,まだら模様の大砲の弾のようなプディングを持って入ってきた.」
https://victorianweb.org/art/illustration/brockce/9.html