えんどう(豌豆)2  「豌豆」と「pea」& エンドウ豆のレシピ/イギリス編 「豌豆」は中国語.「豌」は「えんどうまめ」. Peaの第一義は植物としてのエンドウで,二番目がその豆. エンドウは地中海沿岸〜中近東が原産地とされ,新石器時代の遺跡からみつかっています. マザーグースの歌にあるエンドウ豆がゆ(Pease porridge)は,伝統的なイギリス料理.’british & pea & recipe’ で検索すると,得られる画像のほぼ全てがPease Porridgeに似たMushy peasとな

昨日から引き続きエンドウマメの話題.

今日は,エンドウマメの呼称,簡単な歴史とイギリスのレシピを取り上げます.

えんどう(豌豆)2

▽「豌豆」と「pea」

「えんどう」という日本の呼び名の由来は,ほとんど分かっていないようです.候補としては”葛の異名「宛童」を充てた”というものがあるそうです(日本語源大辞典)が.

 「倭名類聚抄(わみょうるいじゅしょう)」にある「乃良末女(のらまめ)」がもとの名ではないかといわれています(日本豆類協会).https://www.mame.or.jp/syurui/feature/syurui_11.html

えんどうという呼び名については,平安末期に,「えんどうの花」の記載があるとのこと(日本国語大辞典

 

「豌豆」という漢字は,中国語から来た漢字そのままです.

「豌」だけで「えんどうまめ」の意味があり,なりたちは,「豆」に音符「夗エン」(角川字源).

 しかし---

「豌豆」と書くと豆が一つ余計なようにも思いますが? さらに,日本語のエンドウマメとなると,「豌豆豆」になって,豆が三つ重なっている??

 

英語ではpeaですね.Peaは「豆」と和訳しがちですが,第一義は植物としてのエンドウで,二番目がその豆.

エンドウに似た丸い豆(ひよこ豆など)も意味することがあるとのことですが.

 

pea  ランダムハウス英語辞典

1 エンドウ Pisum sativum.

2 エンドウ豆.

3 ⦅peas⦆ 1の莢さや.

4  1に近縁の植物,エンドウ豆に似た実(ヒヨコマメ(chickpea)など).

 

・beanは,豆全体をさすこともありますが,特にインゲンマメ属の実/植物を指します.

・一方,エンドウマメを特定したい場合には,English pea,garden pea,  green peaとするとのこと.

・peaは,中期英語のPEASE からの逆成したとされています.PEASEはラテン語から.(ランダムハウス英語辞典)

 

▽エンドウ豆の原産地

ダイズの原産地が中国北部,インゲンマメがメソアメリカ(メキシコ中部〜中央アメリカ)なのに対し,

エンドウは地中海沿岸〜中近東が原産地とされています.

メソポタミア・エジプト・ギリシャ新石器時代の遺跡,インドなどの古代遺跡からエンドウ豆がみつかっていて,非常に古くから食用にされていたことはあきらかです.

 

英語版ウィキペディアによれば,

https://en.wikipedia.org/wiki/Pea (DeepL翻訳)

野生のエンドウ豆は,地中海盆地と中近東に限定されています.
エンドウ豆の最古の考古学的発見は,現在のシリア,アナトリアイスラエルイラク,ヨルダン,ギリシャ新石器時代後期から.エジプトでは,ナイルデルタ地帯で紀元前48004400年,上エジプトで紀元前38003600年のものが見つかっています.また,紀元前5千年紀のジョージアではエンドウ豆が存在していました.
さらに東に行くと(ハラッパ遺跡,インド),発見された年代は遅れます(紀元前2千年頃〜).
 
 
▽エンドウ豆のレシピ イギリス編
エンドウ豆はpeaですが,さらに特定した呼び名はEnglish pea.イギリス人は古くからエンドウ豆に親しんできたようです.
 
イギリス人なら誰でも知っているとされるマザーグースの歌にエンドウ豆がゆPease porridge)が出てきます.
(Pease porridge: peaseはpeaの中期英語で, porridgeはおかゆ
 

Pease porridge hot, Pease porridge cold, Pease porridge in the pot,Nine days old.

Some like it hot, Some like it cold, Some like it in the pot,Nine days old.

 

谷川修太郎訳(草思社)では:

あつあつのまめのおかゆ さめたまめのおかゆ ここのかたった おなべのなかのまめのおかゆ

あつあつのがすきなひと さめたのがすきなひと ここのかたった おなべのなかのがすきなひと

 

Pease Porridgeをグーグル検索すると沢山の画像を見ることができます.

例えば,

https://www.google.com/search?q=peas+porridge

 

このエンドウ豆粥(Pease Porridge)について,Liz Posmyk という方が書いた料理記事ではつぎのように解説しています.

 

http://www.bizzylizzysgoodthings.com/blog/on-pease-porridge-and-mushy-peas

A Dictionary of Food and Nutrition (Oxford University Press) は,Pease porridge(エンドウ豆がゆ)を次のように説明しています: 「乾燥したエンドウ豆を浸し,煮て,つぶして,ふるいにかけたもので,伝統的に焼いたハムと一緒に食べる料理」

実際,Pease porridge(エンドウ豆がゆ)はイギリス料理のレパートリーの中で最も古くから知られている料理の1つです.私たちが訪れた英国内のカフェやパブでは,Mushy peas(粥に似たインゲンマメ)はもちろん,一般的なエンドウ豆料理もメニューにありました.

現代のレシピでは乾燥させたスプリットピーを使いますが,Pease porridge(エンドウ豆がゆ)はもともと皮付きの乾燥ピーズで作られていました.

セオドラ・フィッツギボンによると,「19世紀には(この料理は)『ピーズ・プディング』として知られ,露天商が保温のために厚い布で包んだ重いブリキの鍋で熱々のまま売っていた」.

ピーズ粥やプディングのレシピは数多くあり,豆をつぶしただけのものから,じっくりと煮込んだプディングのようなものまで,さまざまなバリエーションがあります.

この童謡にあるように,残ったピーズプディングは揚げて冷やして食べることができます.

 
 
そして,’british &  pea &  recipe’ で検索すると,ほぼ全てが British Mushy Peas(ブリティッシュ・マッシー・ピーズ)
イギリスの伝統的なエンドウ豆料理といえば,マザーグースに歌われているPease porridgeとほぼ同様なMushy peas(粥に似たインゲンマメ)として間違いがないような気がします.イギリス人に聞かなければ本当のところは分かりませんが.