落花生1 最近はピーナッツと呼ばれることが多い落花生.花の根元からつる(子房柄)が下方へ伸び、地中にサヤを作ることに由来する漢名です.オーキシンの分布が下向きに伸びる指令を与えているとか.国内生産量の10倍が輸入されていますが,世界の消費と異なり落花生油はあまり使われていません.栄養成分としては,他の豆類より脂質が飛び抜けて多く,ビタミンE,ナイアシンを多量に含むのが特徴と言え,全体としては豆類よりアーモンドに近い栄養成分をもちます.

4月に小豆を取り上げてから,インゲン,エンドウ,ダイズを話題としてきました.

今日・明日は落花生を取り上げます.

 

落花生1

最近はあまり聞きませんが,南京豆とも呼ばれます.

日本には、はじめ,中国から入った

(17世紀 https://kotobank.jp/word/ラッカセイ-773771ためでしょうか.

現在は,英語由来のピーナッツと呼ばれることが最も多いように思います.

豆(pea)と実(nut)が一緒になった妙な名前です.何故このように呼ばれるようになったのかは分かりませんが,英語のサイトでは,「(多分)ナッツのように扱われる豆だから」というような解説がみつかります.

 

https://sakata-tsushin.com/oyakudachi/lesson/vegetable/post_14.html

 

落花生は漢名(日本語源大辞典/牧野新日本植物図鑑).

よく知られているように,開花後の花の根元からつる(子房柄)が下方へ伸び、地中にサヤを作ることに由来します.

https://sakata-tsushin.com/oyakudachi/lesson/vegetable/post_14.html )」

 

実際に花が下がっていく様子を目撃したことがなかったので,ピーナッツ専門店の鈴市が載せている図をお借りして掲載しました.

https://suzuichi-s.co.jp/s/2477/

子房柄が下に伸びる仕組みについての研究も行われていて,オーキシンとして知られるインドール酢酸が関与していることが分かっているとのこと.落花生の子房柄ではインドール酢酸の分布が通常の植物とは異なっていて,下向きに伸びるようにはたらいているようです.

https://jspp.org/hiroba/q_and_a/detail.html?id=4913

 

落花生といえば,お菓子やおつまみの豆を連想してしまいますが,世界的には落花生オイルとしての需要が最も高いとのこと.

あまり見かけませんが,主に業務用に使われているようです.月餅の味は,確かに落花生の味です.落花生そのものが使われていると思っていましたが,落花生油の味なんですね.

 

最新油脂事情 落花生 http://www.saiwaishobo.co.jp/yushi/?type=topics&time=20110817162849JST&&num=12

「落花生油は,8大油脂の一つであり,世界的には年間約400万トンの需要があるが、わが国では約900~1,100トンの小さな市場に留まっている.
 2010年のわが国の輸入量は565トン,生産量は344トン,合計909トンで,過去5年の平均に比べて2割ほど減少している.
 落花生油は,業務用が大部分を占めており,家庭用は,ほとんど流通していない」

「業務用では,中華料理の炒め油に使用したり,ラーメン店では,スープに入れたり,味噌に混ぜ込んで使用している.その他、中華まんや月餅の練り込み用途もあるが、以前に比べて大幅に減少している」

 

落花生油以外の消費動向については,日本落花生協会が記事を載せています.

国内生産量の10倍が輸入されています.我々が食べている落花生は,ほとんどが輸入されたものと言えそうです

https://peanuts-no-hi.jp/industry/

・バターピーナッツという名前を初めて聞いたときには,てっきりバターが使ってあると思いました.紛らわしい名前ですが,実際には「ラッカセイを煎って,渋皮を除き,食塩で味つけしたもの.」

https://kotobank.jp/word/バターピーナッツ-770845

とすると,上図の「煎り落花生」って何のことなのか分からなくなります.塩味が無い場合の呼び名でしょうか?

・輸入された「原料落花生」の半分以上は落花生油の原料として用いられているとのこと.https://www.nochuri.co.jp/report/pdf/r0601wto1.pdf

 

日本では,千葉県が一大生産県となっています.

https://peanuts-no-hi.jp/industry/

 

落花生の栄養.

落花生の栄養成分を,他の豆類とアーモンドと比べてみました.

 

全体としては,アーモンドに似た栄養成分と言えそうです.食品分類では,豆類ではなく種実類に分類されているのは,用途にそった分類ですが,栄養面でも種実に似ています.

 

三大栄養素とミネラル

タンパク質は,ダイズには及びませんが,他の豆類と同程度.脂質は飛び抜けて多く,ダイズを上回り,アーモンドと同程度.

ミネラルの構成は他の豆類と似ていますがカリウムはダイズの半分以下.カルシウムを除いてはアーモンドと近い構成とも言えそうです.

https://fooddb.mext.go.jp/result/result_top.pl?USER_ID=14751

 

ビタミン

ビタミンとして特徴的と言えるのがα-トコフェロール(ビタミンE).豆類の中では多いダイズの5倍.ただし,アーモンドでは落花生の約3倍です.

ナイアシンは他の豆類,アーモンドを大幅に上回ります.

https://fooddb.mext.go.jp/result/result_top.pl?USER_ID=14751

 

食物繊維,脂肪酸構成等

食物繊維は他の豆類の1/2程度で,アーモンドに近い数値です.

他の豆類より飽和脂肪酸を多く含みますが,特徴的なのは一価不飽和脂肪酸.豆類よりアーモンドに近い値です.

多価不飽和脂肪酸はn-6に片寄った構成で,アーモンドとほぼ同じです.

https://fooddb.mext.go.jp/result/result_top.pl?USER_ID=14751