ウェブ・書籍を頼りにスイーツの歴史を調べるシリーズ12
パウンドケーキ
世界で食べられている,シンプルなケーキです.日本でも菓子作りがお好きな方々は,ご自分で作っておられるのでは?
https://en.wikipedia.org/wiki/Pound_cake
https://column.enakawakamiya.co.jp/western/pound-cake-about.html
なぜパウンドケート呼ばれるのか?については,ウェブ検索をすれば直ぐにみつかります.私は全く知りませんでしたが--
パウンドケーキの歴史について,いくつかのサイトを当たってみました.以下は,そのまとめになります.
https://en.wikipedia.org/wiki/Pound_cake
https://whatscookingamerica.net/recipeindex.htm
https://windycitybaker.com/history-of-pound-cake/
https://www.allrecipes.com/article/why-is-pound-cake-called-pound-cake/
https://column.enakawakamiya.co.jp/western/pound-cake-about.html
パウンドケーキという名前は,オリジナルのパウンドケーキがバター,砂糖,卵,小麦粉をそれぞれ1ポンドずつ使っていたことに由来します.
多くの人が文字を読めなかった時代,このシンプルな慣習はレシピを覚えやすかったと思われます.
バター,砂糖,卵,小麦粉をそれぞれ1ポンドずつ使ったケーキはとても大きく,複数の家族で食べたと予想されます.ウェディングケーキだったという説もあります.
年月が経つにつれ,使用する材料の分量が調整され,より小さくて軽いケーキが作られるようになりましたが,このケーキの名前は定着していきました.
パウンドケーキは18世紀初頭にさかのぼるイギリスの創作といわれています.(北欧由来とする記述もありますが)
1747年に出版されたハンナ・グラッセ(Hannah Glasse)の『The Art of Cookery Made Plain and Easy』にパウンドケーキのレシピが掲載されているとのこと.
アメリカでは1796年に出版された料理本『American Cookery』 (アメリア・シモンズ著)の記述に
POUND CAKE – One pound sugar, one pound butter, one pound flour, ten eggs, rofe water one gill, spices to our tafte; watch it well, it will bake in a flow oven in 15 minutes.
(シュガー1ポンド,バター1ポンド,小麦粉1ポンド,卵10個,ローフウォーター1ギル,スパイス適宜)
とあり.これがパウンドケーキの名前の由来となりました.
19世紀,パウンドケーキのレシピは,より軽いケーキを作るために,オリジナルの配合か逸脱し始め,20世紀になると様々ものが加えられるようになります.
例:
・バニラエッセンスやアーモンドエッセンスなどの香味料,レモンヤオレンジ,ドライフルーツ
・ベーキングパウダー
・バターの一部または全部を食用油(一般的には植物油)で代用
・バターの一部に代えてサワークリームを使用
これらのバリエーションの中には,パウンドケーキの食感や風味を大きく変えてしまうものもありますが,パウンドケーキという名前は今でも使われています.
なお,アメリカでは,3月4日が「ナショナル・パウンドケーキ・デー」.
https://www.google.com/search?q=Pound cake sold in the USA.
https://www.google.com/search? Pound cake sold in the UK
パウンドケーキは,ヨーロッパ各国やメキシコなどでもよく食べられているようで,バリエーションも豊富.
・フランス風 カトルカールquatre-quarts
フランスで食べられるパウンドケーキの名前は,quatre-quarts.4分の4という意味で,四分の一ずつ(バター,砂糖,卵,小麦粉)の重さはそれぞれ同じということを意味しています.(パウンドケーキはフランス発祥という説もあります)
フランスのブルターニュ地方のポピュラーなケーキは,その名の通り,4つの材料を同じ量使いますが,フルーツは一切加えません.
quatre-quartsのレシピ
https://www.europe1.fr/emissions/delice-in-extremiste/le-quatre-quarts-4031022
材料
250 g 卵(5個分)
小麦粉 250g
バター 250g
250 g 砂糖
作り方
- 卵黄と卵白を分ける.
- 砂糖と卵黄を混ぜる.
- バターを溶かし,加える.
- 小麦粉と卵白を混ぜる.
- 型に流し込む.
- 30分間冷やす.
- 180度で10分間焼く.
- チョコレート,レモンの皮,バニラなどで味付けしてもよい.
「このデザートには,例えばチョコレートをベースにしたレシピも数多くある.
しかし,プレーンなパウンドケーキはフランス人の心に特別な位置を占めており,フランス全土の老若男女の食卓に並ぶ!」とのこと.
https://www.france-hotel-guide.com/en/blog/french-pastries/
・ドイツ風 リュールクーヘンRührkuchen (stirred cake)
ドイツ語のリュールクーヘン(攪拌ケーキ)は,小麦粉,バター,卵,砂糖,そしてしばしば牛乳を混ぜて生地を作るケーキのことを指します.
パウンドケーキと言うより,スポンジケーキと呼んだ方が良いかもしれません.ドイツ語⇒英語の翻訳例は,Pound cakeとSponge cakeが半々です.
https://context.reverso.net/translation/german-english/R%C3%BChrkuchen
4つの材料が同じ割合にすることにこだわりはなく,一般的ではありません.
このスタイルのケーキ生地は,ドイツの多くの人気ケーキ・レシピの基礎となっています.ナッツ,ココア,ドライフルーツ,アルコールなどを加え,さまざまな形や大きさの缶を使うだけで,多種多様なドイツの伝統的なケーキが作られます.
・イタリア プルームケーク plumcake
プラムケーキの意味ですが,イタリアでは,プラムが入っているいないにかかわらず,パウンドケーキをプルームケーキと呼ぶとのこと.
・チェリーケーキ
https://en.wikipedia.org/wiki/Pound_cake
チェリーケーキはイギリスの伝統的なケーキです.このケーキは,マデイラ・スポンジの中にグラッセ・チェリーを均等に吊り下げたもので,パウンドケーキのバリエーションとも考えられます.
https://www.google.com/search?q=日本で売られているパウンドケーキ