ウェブ・書籍を頼りにスイーツの歴史を調べるシリーズ26
フランスのチョコレートデザート7
フランス伝統チョコレートケーキを,フランス伝統菓子図鑑(山本ゆり子)に記載のあるものを順に紹介しています.今日は:
プレジダン Président
https://www.patissieres.com/douceurs/president/
プレジダンとは,リヨンにあるショコラティエ・ベルナションの,チョコレートを使ったアントルメ(≃甘みデザート/元の意は食間の小料理).
ジェノワーズ(ジェノバ風スポンジケーキ生地)にアルコール入りのシロップを塗り,ガナッシュ(溶かしたチョコレートに生クリームを加えて作るチョコレートクリーム)とグリオット(野生サクランボ)のコンフィ(果物を砂糖と一緒に煮詰めたもの)を重ね,表面をガナッシュとチョコレートコポー(チョコレートを薄く削ったものやカールするように削った装飾用のチョコレート)で覆い,上に薄く削ったチョコレートを扇状に飾り,ココアバターをふります.
眼にも鮮やかなアントルメで,ベルナションのスペシャリテです.
大きさは4人用,6人用,8人用は店頭に置いてあり,それ以上のサイズは事前に注文が必要です.100人用の直径1メートルくらいのサイズを見たことがあります.
検索して出てくる画像は,大部分がベルナションのケーキ.他の店のものもみつかりますが,プレジダンと言えばベルナションはかなり定着しているようです.
日本では,なかなか手に入りそうもありません.同名のケーキはあっても,少なくとも見た目はかなり異なるようにみえます.
最後に,フランス語の解説記事から(DeepL翻訳) .
このケーキは「モンモランシー」と呼ばれていましたが,現在は「プレジダン」と改名されています.
ヘーゼルナッツのプラリネ・チョコレートガナッシュ,砂糖漬けのチェリー,カカオの削りカスがトッピングされています.
「当店を代表するケーキのひとつです.誰もが知っている "プレジダン "は,1975年から販売されています」
と,大統領デザートの生みの親であるモーリス・ベルナションの孫,フィリップ・ベルナションは言います.
もともとこのケーキは,砂糖漬けにしたチェリーの品種にちなんで "モンモランシー "と呼ばれていました.
1975年2月25日,ヴァレリー・ジスカール・デスタン(VGE)によるポール・ボキューズへのレジオン・ドヌール勲章授与を記念して開催された晩餐会でこのケーキが選ばれた際,「プレジダン」と改名さ れました.
VGEのスープと同様,このケーキはエリゼ宮で行われた昼食会のメニューに採用されました.
「レシピは,1つの小さな変化を除けば,ずっと変わっていません.
祖父はよくシェリー・マルニエを加えていました.でも時間が経つにつれて,そのリキュールはチェリーというよりアマレットのような味になった.
そこで私は,モン・デュ・リヨネのティジー・レ・ブルグにあるクロゼット・フレール蒸留所で,私のレシピにぴったりの蒸留酒を作ることにしました.必要なのは,風味を引き出すための少量だけだ.昔は蒸留酒はケーキを保存するために使われていたので,風味はより強かったのです.今では,風味を引き出す調味料として使われています」とフィリップ・ベルナションは説明しました.