ウェブ・書籍を頼りにスイーツの歴史を調べるシリーズ13
20年以上前に流行って,日本の洋菓子店でもよく見かけるようになっています.以前はほとんど見かけませんでした.再びブームとの記事も散見します.
https://www.google.com/search?q=東京の洋菓子店で売られているカヌレ
ボルドーが発祥の地とされ,カヌレ・ド・ボルドーとも呼ばれます.ボルドーのボルドー・カヌレ協会(confrérie du canelé de Bordeaux)が,カヌレの復活と普及に大きな力を発揮したようです.
材料は,小麦粉、卵黄、牛乳、砂糖、バニラ、ラム酒.
型に入れて作られ,高さ5センチほどの小さな円筒形で,上部がくぼんでいます.中心は柔らかくトロトロのカスタード、皮は黒く厚くキャラメリゼされています.
ボルドーと言えばワインを思い浮かべますが---
すなわち,砂糖,バニラ,ラムは,西インド諸島からもたらされました.
また,カヌレに欠かせないもうひとつの原料である卵黄は,ワイン産業からもたらされました.ボルドーのシャトー(ワイン造りの大規模製造設備)は,ワインの清澄化工程の一環として,熟成前に卵白を使い,ワインを濁らせる物質を結合させていました.余った卵黄が,カヌレを作るために使われたということです.
https://www.baillardran.com/fr/content/7-l-histoire-du-canele
ボルドーにおけるカヌレの起源には,様々な説がありますが---
https://www.france-hotel-guide.com/en/blog/french-pastries/
https://www.chamvermeil.com/fr-fr/blog/gastronomie-bordelaise/petite-histoire-du-canele.htm
最も広く伝わっているのは,16世紀に修道女たちが作った小さなケーキに関係しているというものです.揚げる前にサトウキビの茎を巻いていたため,カヌレの名がついたとのこと.
カヌレ(canelé/cannelé)という言葉は,「溝,すなわちリブと溝が交互に刻まれたもの」という意味で,現在は溝付きの型を使うこの小さなケーキに特有のものになります.