「うしかい座」という名前がひっかかり,
http://yachikusakusaki.hatenablog.com/entry/2019/10/28/233527
調べ始めると,知らないことが次々に.
今日は,うしかい座という名前に対する私のささやかな疑問は横に置いて,
おおぐま座とうしかい座が,古代メソポタミア(バビロニア)では,一つの星座だった可能性があるという話題.
(専門家の方々の間では「可能性」ではなく,どちらかに決着がついているはずですが,そこまでは調べきれませんでした)
the Theoi projectのサイト(Star Myths | Theoi Greek Mythology)には,このふたつの星座のラテン語名,ギリシャ語名,アッカド語名,シュメール語名が次のように記されています.
URSA MAJOR
Latinラテン語 : Ursa Major (the Great Bear大熊)
Greekギリシャ語 : Arktos Megale (the Great Bear大熊) or Amaza (the Wagonワゴン) or Helikê
Akkadianアッカド語 : Eriqqu (the Wagonワゴン)
Sumerianシュメール語 : MAR.GÍD.DA (the Wagonワゴン)
BOOTES (Boötes)
Latinラテン語 : Bootes (Boötes)
Greekギリシャ語 : Boôtes (the Wagon-Driver馭者) or Arktophylax (the Bear-Watcher熊を見守る人)
Akkadianアッカド語: Niru (the Yoke軛くびき / または,軛で連結された1対の牛[荷車用動物])
Sumerianシュメール語 : SHUDUN (the Yoke軛くびき / または,軛で連結された1対の牛[荷車用動物])
まず,
おおぐま座とうしかい座には,アッカド語・シュメール語の星座名があり,古代メソポタミアから星座として認められていたことがわかります.
また,
その名前の意味から:
“おおぐま座とうしかい座は古代メソポタミア(バビロニア)では,関係の深い星座,もしくは,一つの星座と考えられていた.”
と想像できます.
改めて整理してみましょう.
おおぐま座に相当するアッカド語,シュメール語の名称は,英語でWagon.
現代ならワゴンといえば,自動車の名称になりますが,ランダムハウス英語辞典によれば,もともとは,広く四輪車を指す言葉.
Wagon 【1】(各種の)四輪車;⦅米⦆(通例,2頭以上の馬の引く)荷馬車. ▶馬やエンジンを動力とした四輪車で,おもちゃから商業用の輸送[配達]車までの総称: a horse and wagon 馬で引く荷馬車.」(ランダムハウス英語辞典 小学館)
うしかい座に相当する名称の意味は,英語でthe Yoke.
日本語に翻訳すると軛(くびき).
ランダムハウス英語辞典Yokeには「1対の牛などを首の所で連結する弓なりの器具」と説明がつけられ,挿絵も添えられています.
この古代メソポタミアの名称から,おおぐま座とうしかい座は,非常に近い関係にあったことが分かります.
「牛に引かれた四輪の荷車を形成していた」と考えるのが妥当.
実際に,別のサイトには,次のような一文が!
(拙訳)
バビロニアでは星座ワゴン(現在のおおぐま座を基本として他の星も含んでいる)は三つのパート; Yoke(軛(くびき)), Pole(轅(ながえ)), Side-pieces(側面部),に分けられる.そのうちのYokeは,おおよそ,現代のうしかい座の星々に相当している.
http://members.westnet.com.au/gary-david-thompson/page9t.html
In Babylonia the constellation of the Wagon (basically our Ursa Major (Big Bear) but also other stars) was divided into 3 parts, the Yoke, the Pole, the Side-pieces. The Babylonian Yoke (of the Wagon) was a constellation approximately equivalent to the stars of our modern Boötes.