今日は朝から雨.予報では,最高気温10℃以下という真冬並みの1日.
しかし時は春.
桜も散り始め,二十四節気では:
「清明(せいめい)」.
清浄明潔の略で,万物がけがれなく清らかで生き生きしているという意味です.花が咲き,鳥は歌い,空は青く澄み,爽やかな風が吹き,すべてのものが春の息吹を謳歌する頃.
とのこと.
七十二項では清明の次候:
鴻雁北(こうがんかえる).
雁が北へ帰っていく頃.
このブログでは季節の星座を取り上げてきました.
春の星座としては
既に,かに座,しし座にまつわる,ギリシャ神話を既に紹介.
どちらもいわゆる黄道12星.
春の星座で残るのはおとめ座.Virgo.
しかし,おとめ座に関わるギリシャ神話は,六回にわたって既に紹介.
http://yachikusakusaki.hatenablog.com/entry/2018/06/16/033535
〜 http://yachikusakusaki.hatenablog.com/entry/2018/06/21/010834
今読むと,乱雑極まりないブログになっているので,
今回は,六回シリーズのまとめを載せる予定にしていましたが---
その前に.
星座の起源,そしておとめ座の起源.
前半は以前のものの再掲.後半はやや堅い話になりますが.
星座の起源
星座の起源については,,国際天文学連合(IAU)のサイトでは,
https://www.iau.org/public/themes/constellations
次のように記載しています.(再掲です)
国際天文学連合(IAU)が認めている88の星座のうち,半数以上は,古代ギリシャに起因し,これらは,それ以前の古代バビロニア人,古代エジプト人,アッシリア人の働きをまとめたものです.
私たちが知っている48の星座は,クラウディオス・プトレマイオスのアルマゲスト第7巻,第8巻に記録されています.しかし,これらの星座の正確な起源は,依然としてはっきりしていません.(https://www.iau.org/public/themes/constellations 英語本文の拙訳)
ギリシャ神話が有名なので,星座自体もギリシャ起源かと思っていましたが,むしろ,古代バビロニア人,古代エジプト人,アッシリア人が描いた星座が多いんですね.
日本語版ウィキペディアによれば,
“黄道12星もシュメール起源にさかのぼれる.”
ただし,“現在の12星と同じではない.”
とのこと.
メソポタミア起源で,てんびん座を除けばすべてシュメール時代までさかのぼることができる.
その後,惑星(太陽や月も含む)の通り道にあたるこの場所は重要視され,天体観測もこの黄道十二星座がある黄道帯を中心に行われるようになった.シュメール→バビロニア→アッシリア→ペルシア→ギリシアと伝来するたびに,いろいろな変化を経てきたものの,遅くともバビロニア時代には現在の12サインに該当する12星座(現在の12星座と同じではないが)が成立していた.黄道十二星座 - Wikipedia
the Theoi prodectのstar myth のサイトには,
Star Myths | Theoi Greek Mythology
アッカド語,シュメール語の星座名を記載しており,確かに黄道12星のほぼ全てに,古代メソポタミアのアッカド語,シュメール語の名前があります.(最下欄にまとめを記載)
ただ,ウィキペディアの記載で,“てんびん座を除けば”とあるの間違い?
「天秤座」に相当するアッカド語,シュメール語星座名があります.
もう一つ.
英語版wikipedia Virgo (constellation) - Wikipedia 等によると,
古代メソポタミアでは,おとめ座が別の二つの星座だったようです.
黄道12星は13星だった!?
そして,別の見方をすれば,おとめ座自体は,古代ギリシャに由来する「かなり珍しい」星座と考えても良いようですね.
おとめ座の起源
the Theoi project のサイトに,おとめ座に相当するアッカド語,シュメール語の記載はありません.
tar Myths | Theoi Greek Mythology
ラテン語の名前Virgo(the Virgin), ギリシャ語のParthenos (the Virgin)のみ.
そして,日本語版ウィキペディア,英語版wikipedia等によると,
東側がthe "Furrow".
Furrowは,英語では畝(うね)や畑の意味ですが---
描かれるのは古代シュメールの女神Shala(豊穣の女神)とear of grain(穀物の穂).
西側がthe "Frond of Erua".
Frondは葉(シダ,シュロなどの大形で,細かく分かれているもの)の意味ですが,描かれるのは手のひらに葉を持った女神.
http://www.skyscript.co.uk/babylonian_virgo.pdf
黄道12星のラテン語名,アッカド語名,シュメール語名.Star Myths | Theoi Greek Mythology
・アッカド語またはシュメール語の意味と同じ星座は7星座.(◎)
・異なる(または意味は不明)のもの4星座.(▽異なる3,△不明1)
・おとめ座には,アッカド語・シュメール語の記載がありません(▲).ウィキペディア(英語版・日本語版)等では,上記のようにFurrowとFond 二つの星座に相当.
▽おひつじ座(牡羊座,Aries)
Latin : Aries (the Ram)
Greek : Krios (the Ram)
Akkadian : Argu (the Hired Man)
Sumerian : LÚ.HUN.GÁ (the Hired Man)
◎おうし座(牡牛座,Taurus)
Latin : Taurus (the Bull)
Greek : Tauros (the Bull)
Sumerian : GU.AN.NA (the Bull of Heaven)
◎ふたご座(双子座,Gemini)
Latin : Gemini (the Twins)
Greek : Didymoi (the Twins)
Akkadian : Tu'amu rabûtu (the Great Twins)
Sumerian : MASH.TAB.BA.GAL.GAL (the Great Twins)
[& MASH.TAB.BA.TUR.TUR (the Little Twins), the 4 main stars of Gemini]
◎かに座(蟹座,Cancer)
Latin : Cancer (the Crab)
Greek : Karkinos (the Crab)
Akkadian : Alluttu (the Crab)
Sumerian : AL.LUL (the Crab)
◎しし座(獅子座,Leo)
Latin : Leo (the Lion)
Greek : Leon (the Lion)
Sumerian : UR.GU.LA (the Lion)
▲おとめ座(乙女座,Virgo)
Latin : Virgo (the Virgin)
Greek : Parthenos (the Virgin)
Latin : Vindemiator (the Vintager)
Greek : Protrugêtêr (the Vintager)
(the "Furrow" in the eastern sector of Virgo and the "Frond of Erua" in the western sector.
英語版ウィキペディア)
◎てんびん座(天秤座,Libra)
Latin : Libra (the Scales)
Greek : Zyygos (the Scales) or Khêlai (the Claws)
Akkadian : Zibanitu (the Scales)
Sumerian : ZI.BA.AN.NA (the Scales)
◎さそり座(蠍座,Scorpius)
Latin : Scorpio (the Scorpion)
Greek : Skorpios (the Scorpion)
Akkadian : Zuqaqipu (the Scorpion)
Sumerian : GÍR.TAB (the Scorpion)
△いて座(射手座,Sagittarius)
Latin : Sagittarius (the Archer)
Greek : Toxeutês (the Archer)
◎やぎ座(山羊座,Capricornus)
Latin : Capricorn (the Goat Horn)
Greek : Aigokerôs (the Goat Horn)
Akkadian : Suhurmashû (the Goat-Fish)
Sumerian : SUHUR.MÁSH (the Goat-Fish)
Latin : Aquarius (Water Bearer)
Greek : Hydrokhoos (Water-Bearer)
Sumerian : GU.LA (the Great)
Latin : Pisces (the Fishes)
Greek : Ikhthyes (the Fishes)
Akkadian : Nunu (the Fish) & Shinunutu (the Swallow)
Sumerian : KU (the Fish) & SIM.MAH (the Swallow)