4月4日に引用・掲載した日本経済新聞の記事は誤解を生む記事です. 少なくとも,記事中に掲載された図は,東京の状況とは無関係な図です.ツイッターで西浦教授自身が解説しています.押谷氏によれば「現在の東京は人工呼吸器などの集中治療の限界を超える危険性が目前に迫っているということ.このことと医療全体の崩壊とは非常に大きな隔たりがあります」「いわゆる3蜜の環境にあるホットスポットに行きさえしなければ,東京や大阪で普通の生活をしていて感染するリスクは非常に低いのが現状」

4月4日のブログ.

http://yachikusakusaki.hatenablog.com/entry/2020/04/04/001000

引用・掲載した日本経済新聞の記事 https://www.nikkei.com/article/DGXMZO57610560T00C20A4MM0000/

はとても誤解を生む記事です!

「早急に自粛より強い外出制限をする必要がある」は「ヨーロッパなみ」を意味しません.

 

 

記事中の掲載図は東京の状況とは別のシミュレーション.

クラスター対策室のツイッターで,西浦教授自身がこのグラフの説明をしています.

https://twitter.com/ClusterJapan/status/1246314012389675009

新型コロナクラスター対策専門家 (@ClusterJapan) | Twitter

 

そのまま掲載し,内容を拡大解釈したことを反省し,4月4日のブログを読んだ方々に,心からお詫びします.申し訳ありませんでした.

書き換えました.

yachikusakusaki.hatenablog.com

 

日経に掲載の図

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これは:

基本再生算数(免疫が全くない集団で,一人の感染者が生み出す感染者数の平均人数)が2.5=ドイツなみの感染状況の時のシミュレーション.

東京ではありません.日経のウェブサイトの記事に挿入されれば東京と思い込んでしまいます.

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO57610560T00C20A4MM0000/

図のタイトルがいけません.

いくら「日本経済新聞が作成」との断り書きがあっても.

(「試算を基に作成」の意味も?

ツイッターで西浦教授が説明している図と同じです.撮った写真を図に変換して,タイトルを変えたり,書き込みを入れたりしたもの.「試算した図を一部改変」が正確)

 

西浦教授の説明している図のタイトルは

「感染者数が増え,選択的に接触の場を絶つことが出来ない場合」

接触8割減なら感染爆発を抑制」は,図のタイトルになっていません.何の図か説明しないで結果のみを記した悪い例にあたります.

 

そして,日経の記事のタイトル「欧米に近い外出規制を」も問題あり.

日本の外出規制(これから行われようとしているものも含めて)と欧米で行われている外出規制はかなり違います.

 

同じツイッターの中で,押谷教授は以下のように述べています.

新型コロナクラスター対策専門家 (@ClusterJapan) | Twitter

 

東北大学の押谷です.

-----

現在の東京の状況は低いレベルに設定されている人工呼吸器などの集中治療の限界を超える危険性が目前に迫っているということ.

この限界を超えるとこれまで日本の進んだ医療レベルであれば救えたはずの命が救えなくなります.

(しかし)集中治療の限界を超えることとアメリカやヨーロッパで見られている医療全体の崩壊とは非常に大きな隔たりがあります.日本の状況はまだそのようなレベルでは全くありません.

 

-----中略

 

感染者の急増が一定の段階を超えると,感染者が指数関数的に増えていくというのがこのウイルスの特徴です.そうなると都市封鎖をして自宅待機を徹底するしか感染拡大を止めるすべはなくなります.

しかし,現在の日本の状況はそのような状況ではありません.

 

-----中略

 

いわゆる「3蜜」の環境にあるホットスポットに行きさえしなければ,東京や大阪で普通の生活をしていて感染するリスクは非常に低いのが現在の状況です.

緊急事態宣言が出ても山手線は通常通り運行されますし,どうしても必要な職種の方は時差通勤などの工夫をした上で通勤していただくことになります.

 

----後略

 

 

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春の花1 サクラ 現在,私たちが目にする桜の多くはソメイヨシノ.オオシマザクラとエドヒガンの交配による雑種ですが,複雑な種間交雑の結果生まれた品種.吉野山を彩るヤマザクラが白い花と琥珀色〜透き通るような赤褐色の若葉で風情があるのに対し,ソメイヨシノの花は葉が開く前に枝という枝に群がって一斉に開花する華やかさが売り物.江戸期に隅田川堤に植えられ始め,明治期,国策とも相まって一気に全国に広まりました.ただし,現在はテング巣病に強いジンダイアケボノという後継品種の植樹が進んできているそうです.

おそらく,大きく育ってから,これほど人間に眺められなかった年はない(?)桜.

今年も同じように春を告げています.

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現在,私たちが目にする桜の多くはソメイヨシノ

 

ベネッセ教育情報サイトによれば

(1)幕末頃に江戸染井村(今の巣鴨近辺)の植木屋伊藤伊兵衛政武が開発した品種で,オオシマザクラエドヒガンの交配による雑種と推定されています.

(2)当初は桜の名所吉野に因んで「吉野桜」と名付けられ,あとに「染井吉野」と改名されました.

(3)十年ほどで立派な木に成長するため、明治時代に全国の学校、公園、沿道、河川沿いなどに次々と植えられ,主流となっていきました.

桜の種類を知って、もっとお花見を楽しもう|ベネッセ教育情報サイト

 

とのこと.

以下,(1)〜(3)に補足してみます.

 

(1)

・「江戸染井村(今の巣鴨近辺)の植木屋伊藤伊兵衛政武が開発した品種」という説がほぼ定着しているようですが,他に “伊豆半島自然交配説”, ”川島権兵衛創出説” も.有岡利幸 花と樹木と日本人 八坂書房

・「オオシマザクラエドヒガンの交配による雑種と推定」したのは,国立遺伝研竹中要.

竹中要(たけなか よう)とは - コトバンク

 

その後のDNA分析の結果は,これを支持しているものの,

「‘染井吉野’ が1回の種間交雑による雑種ではなく,より複雑な交雑に由来することが示唆された」

連鎖地図を利用した染色体ごとの解析による ‘染井吉野’ の起源推定の試み

そうです.

 

(2)桜の名所吉野に咲くのはヤマザクラソメイヨシノとは全く別の品種.

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ヤマザクラ - Wikipedia

「葉と一緒に花が咲く点で,ソメイヨシノと見分けられるよ」と子どもの頃教えてもらった覚えがありますが----

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ソメイヨシノ - Wikipedia

 

種々ある桜の見分け方のポイントが,桜博士として知られる勝木俊雄氏の言として次のように紹介されています.()内は分布域

「ソメイヨシノ」はどこからやって来たのか : 深読み : 読売新聞オンライン

 

ヤマザクラ(東北南部~九州)=白い花、赤い若葉

カスミザクラ(北海道~九州北部)=白い花、褐色・黄緑色の若葉

オオヤマザクラ(北海道~九州)=赤みのある花、赤い若葉

オオシマザクラ(伊豆諸島、伊豆半島など)=白い大きな花、緑の若葉

エドヒガン(本州~九州)=赤みのある小さい花、花が咲いた時には若葉は出ない

ソメイヨシノ(北海道南西部~九州)=赤みのある大きい花、若葉は出ない

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カスミザクラ - Wikipedia カスミザクラ

 

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オオヤマザクラ - Wikipedia

 

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オオシマザクラ - Wikipedia

 

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エドヒガン - Wikipedia

 

山田卓三先生の「万葉植物つれづれ(大悠社)」によると

(万葉の歌にあるサクラは)現在の桜のイメージとは異なっていたはずです.

現在桜と言えばソメイヨシノや八重に咲く里桜ですが,当時はヤマザクラなので,清楚さはありますが華やかさや豪華さはなく,少なくとも「花なら桜」といった花の代表ではなかったことは確かです.

ヤマザクラの若芽は琥珀色から透き通るような赤褐色まで変異があり,この若芽の頃開花するので品位が高く,風情もあります. 

 

万葉集

あしひきの やまさくらばな ひならべて かくさきたらば いとこひめやも

あしひきの山桜花日並べてかく咲きたらばいと恋ひめやも  山部赤人 (第8巻 1425)

 

山の桜の花が,幾日も続いて,こういう風に咲いていてくれるのなら,そんなに甚く(いたく:ひどく),桜の花に焦がれはするものか(早く散るから,焦がれるのだ.)折口信夫

 

わがせこが ふるきかきつの さくらばな いまだふふめり ひとめみにきね

我が背子が 古き垣内の 桜花 いまだ含めり 一目見に来ね  大友家持 (第18巻 4077)

 

あなたの以前の屋敷内の桜が,まだ莟んで(つぼんで)います.せめて一目,見にいらっしゃい.折口信夫

 

古今集

世の中にたえてさくらのなかりせば春の心はのどけからまし  在原業平

 

蕾にときめき,花を待ちわび,風雨に散るのを惜しみ,散りつくすのを哀しむ.桜はもっとも心を悩ます花なのです.もし桜がなかったなら,どんなにか春をのどかに過ごせるだろう,と作者は詠みますが,つまり,それほどに桜の存在は大きいという,逆説の賛辞であることは言うまでもありません.

歌の名手・在原業平が詠った桜 | NHKテキストビュー

 

(3)

有岡利幸(花と樹木と日本人 八坂書房)によれば

ソメイヨシノの植樹が盛んに行われた理由は,生長が早いことに加えて,

“花は葉が開く前に枝という枝に群がって,一斉に開花するので一段と見事な眺めになる”ため.

 

広められたのは明治期ですが,隅田川堤に植えられたのは1844年以降,江戸時代に3回も植樹されたとのこと.

また,明治期一気に広まった要因の一つは国策としての植樹;“文明開化/御一新の桜“,“戦没者慰霊”.さらには「小学国語読本」にある“サイタ サイタ サクラ ガ サイタ”の文章が一役買っている可能性も.確かに小学校には桜がつきもの.

 

なお,ソメイヨシノはテングス病に弱いこともあり,現在は代替種としてジンダイアケボノという品種(片親はソメイヨシノ)の植樹が進んでいるそうです.ジンダイアケボノとは?ソメイヨシノの後継種とされる桜の概要をご紹介!| BOTANICA

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ジンダイアケボノ - Wikipedia

「30日後の東京.新型コロナ感染者一日6千人.ヨーロッパ並みの外出規制必要??」日本経済新聞 「日本の中から絶対になくならないので,どんどんどんどん他の場所で小さなクラスターがだんだん大きくなっていく.それを淡々とつぶしていく」「“Hope for the best, Prepare for the worst”」押谷仁氏.専門家,保健所,地方衛生研究所,そして病院の医師・看護師は優秀かつ労を惜しんでいません.改めて覚悟を決め,行動を律していかなくては.愛らしいもの,美しいものに触れ,その一瞬でも心を鎮め

新型コロナ

とても身近に感染の脅威が感じられるようになった昨日.

北大・西浦博教授のシミュレーションによれば,30日後の東京.感染者は,一日6千人!

ヨーロッパ並みの外出規制をしなければ,この数は更に指数関数的に増え続けるといいます.(このわたしに受け取り方は,間違っていました.私のミス.しかし,日本経済新聞がこの図を挿入したことが,間違いの元.基本再生算数=免疫が全くない集団で,一人の感染者が生み出す感染者数の平均人数,が2.5.ドイツなみの感染状況の時のシミュレーション.東京ではありません.)

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 日本経済新聞 2020/4/3 11:07 (2020/4/3 12:12更新)

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO57610560T00C20A4MM0000/

http://yachikusakusaki.hatenablog.com/entry/2020/04/04/001000

 

今日(4月4日),夕方のニュースでは,東京の感染者は一日100人を初めて突破.

今までのような,よく分からない不安を通り越した現実.

 

しかし,幸運なことに,日本の公衆衛生学者,保健所,地方衛生研究所,そして病院の医師・看護師は優秀かつ労を惜しまない働きを見せてくれています.

(今までの働きのまとめは⇒https://www.jsph.jp/covid/files/gainen.pdf )

 

その先頭に立つ押谷仁氏の言葉.

「日本の中から絶対になくならないので,どんどんどんどん他の場所で小さなクラスターがだんだん大きくなっていく.それを淡々とつぶしていく」

「“Hope for the best, Prepare for the worst”」

http://yachikusakusaki.hatenablog.com/entry/2020/04/03/000500

http://yachikusakusaki.hatenablog.com/entry/2020/04/04/000500

 

彼らの努力を結実させる大前提は,時期に応じた我々の適切な行動.

今は大きな自己規制をせざるを得ない.

改めて覚悟を決め,行動を律していかなくては.

 

 

愛らしいもの,美しいものに触れ,その一瞬でも心を鎮めながら.

 

 

外を見れば桜.

そろそろ散り始めていますが,まだ盛り.

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我が家の庭にも,春の花がたくさん咲き誇っています.

このブログで1回はとりあげたものばかりですが,明日から,改めて簡単に紹介していくことにしましょう.(写真は4月2日,4月4日に撮影したもの)

新型コロナのせいで,新しい話題を調べる気力までは湧きそうにもありません.

過去のブログの単なる写し/まとめになる予感がしています.

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この記事はとても誤解を生む記事です!掲載された図は東京の状況ではありません: 新型コロナウイルスの感染者が都市部を中心に急増するなか、「早急に欧米に近い外出制限をしなければ、爆発的な感染者の急増(オーバーシュート)を防げない」との試算を北海道大学の西浦博教授がまとめた. 東京都では感染経路不明の患者が急増しており、現状のままでは1日数千人の感染者が出るとした.人の接触を8割減にできれば減少に転じるとしている. 日本経済新聞 

訂正 この記事はとても誤解を生む記事です!少なくとも日経ウェブサイトの掲載図は東京とは無関係のシミュレーション.

私のミスでもあり,初稿を読んだ方には心からお詫びしますが----,日本経済新聞の図の使い方が責任は大!拙い言い訳になるかもしれませんが,こう指摘させて下さい.

 

基本再生算数(免疫が全くない集団で,一人の感染者が生み出す感染者数の平均人数)が2.5.ドイツなみの感染状況の時のシミュレーション.東京ではありません.

そもそも図のタイトルが半分捏造に近い.

(いくら「日本経済新聞社の作成」との断り書きがあっても)

西浦教授の説明している図のタイトルは

「感染者数が増え,選択的に接触の場を絶つことが出来ない場合」

接触8割減なら感染爆発を抑制」はいけません.図の説明をしないで,結果のみを記した悪いタイトルです.

そして,最もいけないのが,記事全体のタイトル「欧米に近い外出制限を」.

「近い」がエクスキューズになっているタイトルですが,日本で出来る外出制限は欧米とはかなり違います.

http://yachikusakusaki.hatenablog.com/entry/2020/04/07/012210

 

 

「欧米に近い外出制限を」 北大教授、感染者試算で提言

西浦博氏

日本経済新聞    2020/4/3 11:07 (2020/4/3 12:12更新)

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO57610560T00C20A4MM0000/

 

 新型コロナウイルスの感染者が都市部を中心に急増するなか、「早急に欧米に近い外出制限をしなければ、爆発的な感染者の急増(オーバーシュート)を防げない」との試算を北海道大学の西浦博教授がまとめた.

東京都では感染経路不明の患者が急増しており、現状のままでは1日数千人の感染者が出るとした.人の接触を8割減にできれば減少に転じるとしている.

 

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この図は東京の感染状況と関連がありません!!

クラスター対策室のツイッターで,西浦教授自身がこの図の説明をしています.

https://twitter.com/ClusterJapan/status/1246314012389675009

 

基本再生算数(免疫が全くない集団で,一人の感染者が生み出す感染者数の平均人数)が2.5.ドイツなみの感染状況の時のシミュレーション.東京ではありません.

初稿では以下かっこ内のようなコメントを入れましたが---

ちょっと感じた疑問をしっかり確認すべきでした.

 

(このグラフでは,縦軸の「新規感染者数」が何を意味しているのか定かではありません.

文脈からは東京都かと思います.

一方,NHKニュースウオッチ9でも西浦氏のシミュレーションのニュースを扱っていて,「30日後の一日の感染者数(人口10万人あたり)」の数字を放映していました.その数値はこのブラフの30日の値とほぼ一致しています.

しかし,人口10万人あたりだとすると,東京全体=1400万人弱ではとてつもない数字になります.

文脈から読み取った東京都の新規感染者数と考えるのが妥当と思われます. by yachikusakusaki)

 

 

 西浦教授は感染者数の予測を数理モデルで解析する専門家で、政府の専門家会議のほか、東京や大阪、兵庫などの感染者数の試算をしている.

今回の推計は東京都の状況を踏まえて今後の感染者数を試算した.

「人の接触」は鉄道の利用状況を目安にした.

 

 試算では何も流行対策をしなければ東京都の感染者数は急増し、1日あたり数千人を超えてさらに増加する恐れがあるという.

 

 西浦教授によると、JRや都営地下鉄などの利用者は、イベント自粛要請などの影響で3月上旬は2割程度減少していた.

だが試算では、2割減程度では流行を数日遅らせることができても、爆発的な患者増は抑えられないという.

 

 一方、8割程度減らすことができれば、潜伏期間などを踏まえ、10日~2週間後に1日数千人をピークに急激に減少させることができるとしている.(この文章が勘違いの文章だと思います.by yachikusakusaki)

西浦教授は「現在の東京都は爆発的で指数関数的な増殖期に入った可能性がある」とみており、「早急に自粛より強い外出制限をする必要がある」と求めている.

 

 小池百合子都知事が週末の外出自粛を要請した後、JRなどの利用者は7割弱減ったという.だが西浦教授は「感染者の急増を減らすのには不十分かもしれない」と指摘している.

 

 米ニューヨーク市では東京都より2週間早く感染が拡大し、1日100人を超えた2日後に1千人、5日後に2千人、さらに10日後に4千人を突破し、爆発的に感染者が増えている.

 

 東京都では2日に97人の感染が確認され、感染者の拡大が広がっている.

西浦教授は「東京都も週末にかけて感染者数がさらに増える恐れがある」として、遅くとも来週前半までには自粛要請より強い外出制限を出す必要性を訴えている.

 

 感染症対策に詳しい国際医療福祉大の和田耕治教授は「外出制限などで人の接触を8割減らしても、残り2割で医療やインフラなどの社会・行政機能を維持しなければならない」と指摘.

「感染爆発を防ぐため緊急事態宣言が出ても必要な企業活動や市民生活を行えるよう至急備えてほしい」と求めている.

 

「クラスターを起こさない.人が集まる機会を極力減らす.確実に減ります.それをやると,社会的,経済的な影響がある」「社会機能を止めるのを最小限にしながら,このウイルスの拡散スピードをいかに制御するか」「もう21世紀に生きているので,もう少しスマートに考えていく必要がある」「いかに致命的な間違いをしないか」押谷氏// 「新薬の開発,一方で,自然共生」五箇氏// 「想像できないものをいかに想像するか」瀬名氏 BS1スペシャル「ウイルスVS人類~未知なる敵と闘うために~」6

BS1スペシャル「ウイルスVS人類~未知なる敵と闘うために~」6

2020年3月19日(木) 午後9時00分(50分),2020年3月28日(土) 午前0時20分(50分),2020年4月1日(水) 午後9時00分(50分)

 

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出演者ほか

【出演】東北大学大学院教授…押谷仁,国立環境研究所 室長…五箇公一,作家…瀬名秀明,【解説】中村幸司

 

私たちは,こうした事態にいつまで耐えなければならないのか.

大規模なイベントも続々と中止に追い込まれている.

高校野球監督「残念ながら中止や」(映像:泣く代表選手)

株価は歴史的な暴落を見せ,乱高下が続く.

一方で,感染爆発が深刻なヨーロッパ.

イタリアでは,医療キャパシティーの限界を超え,手当が間に合わずに亡くなる人が増加.

 

人命を守る対策と,経済への影響のバランスをどうとるのか.

人類は難しい闘いを迫られている.

 

押谷「これは,非常に制御しにくいウイルスですけど,中国等の経験からですね,一方で非常に積極的な対応をすれば,確実に制御できます.

クラスターを起こさないような,人が集まる機会を極力減らすような対策をすれば,確実に減ります.

ただ,それをやると,非常に社会的,経済的な影響があると.

ただし,日本でどこかの地域が,恐らく厳しい状況になることは,十分,予想されます.そうなったときに,人工呼吸器が足りない,ICU(集中治療室)のベッドが足りない.そういうことで人が救えなくなる.そういう状況になったときに,日本人の国民性,日本人のメンタリティーからいうと,どうしてもそれを受け入れることが出来ないと思います.

そうすると,当然,そういう状況になった場合に,かなり積極的な対応をせざるを得ない.

その準備を,みんなで真剣に考えなきゃいけない,というところに来ているんだというふうには思います」

五箇「経済が,このままだと破綻してしまうと議論されている,要は,小売店も含めてそういった飲食店も含めて,商売されてる方が,もう商売にならなくなって.まあ,そういった形で経営破綻し,まさに,そこから自殺者も含めて,いろんな犠牲者も出るんじゃないかということが,一つのジレンマというか,天秤にかけられてて,だから,本当に封じ込めを本気でやる,経済が破綻すると.

天秤にかけられちゃったけど,ここで必要なのは,もう痛み分けという----まあ,きれい事になってしまいますけど,みんなでそれをシェアしていくかっていう精神に立ち返らなきゃいけなくて」

押谷「今,我々が考えている戦略はですね.全ての社会機能を止めるとうような考え方ではなくて,いかに社会機能を止めるのを最小限にしながら,このウイルスの拡散スピードをいかに制御するか.

だから,全ての人が家から出てくるな,というようなことは,我々は全然考えてないです.

例えば,ライブハウスが主催してウェブコンサートをすると.

そこにお金がつくようなシステム.それも,もう,考えてます.

そういういろんな社会機能を落とさない.経済的な損失を出来るだけ少なくするようにして,いかにこのウイルスを制御していくか.

そういうことを,我々は,もう21世紀に生きているので,もう少しスマートに考えていく必要がある.

ただ,それには,もう少し,やっぱり科学的なエビデンスを積み重ねていく必要がある.

それは,毎日のようにいろんな情報が入ってきているので,そういう中で,何を本当に制限しなきゃいけないのか.何を制限することが一番有効なのか,で,何はしていいのか.

これから,暖かくなってきますので,野外での活動は,リスクは非常に低い.ただし,ランニングは,そういう意味ではリスクはないかもしれないけれども,ランニングステーションの着替えの場所は,リスクはあるかもしれない.

だから,そういう--,その

合理的にどこが危なくてどこが安全なのか.そういう整理をすることによって,そういう不安を一つ一つ取り除いていく.

だけれども,どうしても駄目なところ,どうしても制限しないとこのウイルスの拡散を絶対に防げないというふうに判断されたところは,残念ながら,かなり制限をしないといけない.

その部分に対しては,国が十分な保障をする.あるいはその代替手段を考える.というようなことが必要なんだと思います」

 

瀬名「情報を少しでも共有して,なんとか,そこで,うまい判断力で,人類の知恵で乗り越えていくしかない」

押谷「何がベストなのか.で,これ,専門家も間違えるので,分からないことがたくさんあって,未知のウイルスで,どうしていいか分からない部分っていうのはかなりあります.

そういう中で,ベストな方向,いかに致命的な間違いをしないか.

そういう方向に日本も世界もどうしたら向かわせることが出来るのか.

これは非常に難しい.一日一日,状況は変わっているし.一日一日,新しい情報が入ってきて,で,昨日正しかったことは,今日,正しくなくなるっていう状況の中で,我々はこのウイルスと闘っているんだと」

 

五箇「こういったウイルスのような喫緊のクライシスに対しては,当然,科学技術で立ち向かわざるを得ないと.やっぱり,新薬の開発ですよね.そういったとこに期待していかなきゃいけない.

一方で,長期的に見ると,もう,こういったクライシスを繰り返さないためには,まさに自然共生という,もう究極的な,まあ,ライフスタイルの変換といったものを,これから,本当に考えていかなきゃいけない.

要は,我々は,手を出してはいけないところまで,自然というものに対して,浸食を果たしてしまったがために,こういった問題が起きてる.

そこの中から,そういったウイルスや,そういった汚染といった問題が人間社会にリスクといって降ってくるという,その悪循環を絶つためには,そもそもが,やっぱりそういうもの,自然の摂理に準じた自然共生っていう生き方は何かっていう議論を,今から始めないと,持続性が保てないだろうと.ということですよね.

このままいくと,本当に人間社会は,もう,崩壊しか道筋がなくなってしまうと.それぐらい深刻に受け止めなきゃいけないっていうことが,ようやく,この今回のコロナウイルスが教えてくれてる気がしてるんですね」

押谷「我々が,忘れちゃいけないことというのは,我々のチームの中の今のモットーはですね.“Hope for the best, Prepare for the worst” 最善を望み,最悪に備える.

だから,いろんな希望はあってですね.

今,我々は,中世の天然痘とかペストと闘ってるわけではなくて,21世紀に闘ってるわけです.薬の希望も出てきているし,日本できちんと集中治療ができる範囲内で患者の発生を抑えていけば,かなりの人たちは救命できる.

で,一方で,ある局面では,かなり厳しい状況になるかもしれない.

そこを,やっぱり同時に考えていかなきゃいけない」

 

最後に作家の瀬名さんに,私たち一人一人がウイルスと闘っていくためのキーワードを書いてもらった.

 

想像できないものをいかに想像するか.“人間らしさ”の時代

 

瀬名「今の新型コロナウイルス感染症でも,想像できないことが起こっています.

過去に学ぶことは大切なんですけども,今現在の地球が,どんどんどんどん発達して,新しくなっていく時代で,想像できないことも,たくさん増えてきている.

でも,想像するんだという,それができるのが人間なんだ.その人間らしさを発揮する勇気っていうものが,さらに,求められる時代になってきているんじゃないかな」

 

命を守り,パンデミックを乗り越えていくために,闘いは続いている.

「外国人の労働者.我々が何が出来るのか.そのことによって,自分たちも守られる.そういう発想をすることが必要」「アジア,アフリカの大都市に次々起きてくる.我々は,何が出来るのか.日本でどうコントロールするということに非常に大きく関わってきている」「日本の中から絶対になくならないので,どんどんどんどん他の場所で小さなクラスターがだんだん大きくなっていく.それを淡々とつぶしていく」押谷氏 BS1スペシャル「ウイルスVS人類~未知なる敵と闘うために~」5

BS1スペシャル「ウイルスVS人類~未知なる敵と闘うために~」5

2020年3月19日(木) 午後9時00分(50分),2020年3月28日(土) 午前0時20分(50分),2020年4月1日(水) 午後9時00分(50分)

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https://www.nhk.or.jp/docudocu/program/2443/2416283/index.html

出演者ほか

【出演】東北大学大学院教授…押谷仁,国立環境研究所 室長…五箇公一,作家…瀬名秀明,【解説】中村幸司

 

 

対策として重要視されているのは,感染を広げてしまうクラスターと呼ばれる集団をいかに作らないか.換気の悪い密閉空間,大くに人が密集,近距離での会話や発生,というクラスターの連鎖が起きやすい場所が懸念されている.

更に,免疫力が落ちている高齢者が多い施設や,医療保険制度の狭間にある外国人労働者,生活困窮のため病院に行きにくい環境にいるなど,弱い立場にある人々に感染が広がることは,何としても食い止めなければならない.

アジアやアフリカなど,医療体制が脆弱な途上国での感染爆発も気がかりだ.

人類が免疫を持たないウイルスとの闘いに勝つためには,これから起きるであろうことについても最大限の想像力を働かせるとともに,痛みを分かち合う力を発揮しなければならないのだ.

 

押谷「今,多くの外国人労働者が,日本に住んでいて,この人たちは必ずしも医療のアクセスがよくない人たち.

こういう人たちの間で,このウイルスが広がるとですね,これは,更に見えにくくなる可能性があるので」

五箇「例えば,農業なんて,もう技能実習生が,むしろ労働力になっている現実があって,そういう,もう,全く社会構造が違ってきていると.しかも,多くの日本人は全く,それも意識しないまま,気がつけばコンビニの店員さんが,みんな外国に人になってたりとか」

押谷「これから,外国人の労働者の問題とかが出てきたときに,そこを分断するのではなくて,その人たちに,我々が何が出来るのか.そのことによって,自分たちも守られるんだと.そういう発想をすることが必要なんだと思います」

瀬名「そうですね」

押谷「このウイルスで,おそらく数週間以内に見えてくることは,南北問題です.

まず,アジアだと思います.アジアの大都市は,このウイルスを,おそらく制御できない.そうすると,次はアフリカ.アフリカも非常に経済発展をして,都市に多くの人口が,若い人口が集まっています.あのアフリカとかアジアのスラムの中では,このウイルスを制御することは絶対に出来ない.

中国の武漢状態のところが,アジア,アフリカの大都市に次々起きてくることを考えた時に,それに対して,我々は,一体,何が出来るのかと.

それは,その国,アジア,アフリカの国の人たちをどうして救うかということもありますけど,日本でこのウイルスをどうコントロールするということに非常に大きく関わってきているので」

五箇「医療といった,技術や体制といったものは,当然,北からもどんどんサポートして,南の国の爆発も抑えなきゃいけないでしょうし.だから,そこの部分の経済的な負担というものを北がどれだけ背負えるかっていうところなんですけどね」

いよいよ,感染症というパンドラの箱が,今,開き始めちゃってるという状況ですから,逆に言うと,このパンドラを閉じるためにも,今までじゃ駄目だというパラダイムのシフトに行けるかどうかが,これからの人類としての生き残り戦略にかかってくるんじゃないかと僕は思いますね」

押谷「世界は,自分の国さえよければいいという方向ずーっと向かってきたわけですね.この,こういったウイルスに対しては,そういう考え方が全く通用しないっていう,そういうことが突きつけられているんだというふうには思います.

今,日本政府は,入国制限を始めています.だけど,これを突き詰めていくと鎖国をするしかなくなる.

今回のやつは,もう,最初の頃から言ってるんですが,そういう形での封じ込めが絶対にできないウイルスです.

今,考えている,もし,日本で大きな流行が起きそうになった時,社会活動をかなり止めるような形でやるっていうのは,これも完全に封じ込められるわけではないです.

一旦,医療の限界を超えそうになったら,もう徹底的に社会活動をある程度制限して,ウイルスの拡散を止める.だけれども,そこでウイルスは完全にはなくなりません.日本の中から絶対になくならないので,また,どんどんどんどん他の場所で小さなクラスターがだんだん大きくなっていくっていうことが出てくる.

で,それを淡々とつぶしていく.

長期戦を覚悟でやっていかないと,このウイルスに対しては,全く対応ができない(⇒*)」

五箇外来種対策も同じで,地方自治体の現場の人たちに,よく尋ねられるのは,これはいつまでやればいいんですか,って聞かれちゃうんです.いや,僕はいつも『終わらないです』って言うしかない.

それは,何故なら入り続けるから.

とにかく,この日本っていうのがインポートとインバウンドで頼り続ける限り,これは終わらないんですと.

特に感染症の場合は,感染者=重症者っていう形で出れば,すぐに芽は摘めるんですが,このケースに関しては,完全に潜伏型っていう形で来る以上は終わらないんですよね.常に.それが,しかも日本一国じゃなくて,世界中で起きてるとなれば,いくら日本で潰しても,世界からまた入ってくる.っていう繰り返しになりますから」

 

続く

 

⇒*

NHKクローズアップ現代+ 2020年3月31日(火) 感染爆発の重大局面① “首都封鎖”は避けられるか」より

 感染爆発の重大局面① “首都封鎖”は避けられるか - NHK クローズアップ現代+

武田キャスター:日本はこれまで自粛要請などの対策をとっています.それによって患者数を抑えて,病院が受け入れられる上限を超えないことを目指してきたわけなんですが,では果たして,この先の見通しはどうなるのか.

大曲さんがイメージしているのは,こういうグラフになります.いくつかの山が繰り返しやってくるということなんですが,これはどういうことでしょうか.

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感染爆発の重大局面① “首都封鎖”は避けられるか - NHK クローズアップ現代+

大曲さん (国立国際医療研究センター 国際感染症センター長):対策をすれば,やがて患者さんの数は減ってきます.これが最初の山です.

ただ,この段階では住民の中に,あるいは,この国に住んでいる中で感染していない方がまだたくさん残っています.そこに例えば海外から患者さんが入ってくると,また流行が起こるということは起こり得ます.そして,私たちはまた封じ込めをします.

そして,また収まっていくと.それでもまだかかっていない方がたくさんいらっしゃれば,また,この感染症が入ってきたときには流行は起こり得るんですね.恐らく,これを繰り返すことによって多くの方が感染をして,やがて流行はおさまっていくのではないかと私自身は考えています.

 

武田:そうしますと,今行っているような自粛・対策を繰り返し行っていく必要があると.

 

大曲さん:そういうイメージを持っています.

 

武田:各国で経済活動や市民生活を制限しているという事態が続いているわけですけれども,日本では都市封鎖は起こり得るんでしょうか.

 

藤原記者:日本で目指しているのは,そういう負担をできるだけ減らして,社会活動や経済活動を完全に止めるのではなくて,集団感染,クラスター対策にポイントを絞ることで流行が大きくなるのを防ごうという方法です.これがうまく行くかどうかというのが瀬戸際なんですが,仮に感染の拡大というのが止まらないということになりますと,都市封鎖ということも想定しておく必要があります.ただ,そういった事態になりましても,日本では基本的に罰則が伴うわけではありませんので,今と同様に,私たち一人一人が感染を広げないという意識を徹底できるかというところにかかってくるといえます.

 

武田:都市封鎖のように上から制限をかけられるのか.あるいは,私たちでこの状況をまだ何とかできる可能性があるのか.大曲さんは,どういうふうにお考えになっていますか.

 

大曲さん:これは私たちの選択なのかなと思います.強烈な都市封鎖をすれば感染がおさまるのは,確かに中国の事例でも分かっています.ただ,厳しいですよね.一方で,私たちが自分たちの行動を変える.例えば,狭いスペースを避けるといったことを意識的にやれば感染が減っていく,抑えられるということも分かっています.ということで,私たちがどちらをとるのかということが大事なのかと思います.何もしなければ厳しい状況になりますし.そういう意味で,私たちが適切な行動をとれば,私は,この感染の危機はこの国であれば乗り切れるんじゃないかと,まだ日本はやれるんじゃないかと思っています.

 

武田:適切な行動というのは,いわゆる3つの密を避ける.そして,手洗い,せきエチケット.そういった細かい一人一人の意識の積み重ねでどうでしょう,先生はまだ諦めていない?

 

大曲さん:私たちは全然諦めていないです.まだ日本はやれると思います.

 

武田:ありがとうございました.

「情報共有と情報発信という体制が一番求められる」五箇氏//「見えないので非常に不安.一方で拡散を止めないといけない.危機感を伝えると不安感がまた増大.バランスをいかにとっていくのか」押谷氏//「社会を守るために自分たちも闘っている.という気持ちをしっかり持って頂いて.不安になる前に,みんなが同じ気持ちで,今,この恐怖に立ち向かっているんだという気持ちを,まず共有して頂く」五箇氏 BS1スペシャル「ウイルスVS人類~未知なる敵と闘うために~」4

BS1スペシャル「ウイルスVS人類~未知なる敵と闘うために~」4

2020年3月19日(木) 午後9時00分(50分),2020年3月28日(土) 午前0時20分(50分),2020年4月1日(水) 午後9時00分(50分)

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https://www.nhk.or.jp/docudocu/program/2443/2416283/index.html

出演者ほか

【出演】東北大学大学院教授…押谷仁,国立環境研究所 室長…五箇公一,作家…瀬名秀明,【解説】中村幸司

 

五箇エビデンスを常に順次集めながら対応していくという,そういうまさに情報共有と情報発信という体制をですね,これが,(感染防御のための組織に)まず一番求められるかな」

押谷「今,我々もですね,本当に全速力で走りながら,考えながらやってるというところで,きちんと,我々が今考えている戦略を説明しきれていないところがあって,ここは,早急に改善しなきゃいけないところだと思うんですけれど.

今起きているとこと,これから起きること,それに対して何が出来るのかということを,正しく知ること.

それによって,みんながそういう情報を共有する.

そのためには,我々ももっと情報発信をしなきゃいけない」

中村「これまでの伝え方を見ていると,やっぱり,国民に納得感の得られるような形で伝えられていない部分もある.

急に,新たな,かなりきついことをお願いするとかですね.あるいは,国民が『おや?』と思っていることに対して,いや,うまくいってない面もあるということを,ちゃんと認めた上で,だから,次の,こういう手を打とうとしてるんだという説明があれば,国民も,なるほどと言って,腹に落ちて,その対策をやっていく気分にもなるし,その必要性も,腹に落ちて,やっていける.

そこら辺が,まだ,うまく伝わっていない.伝えていないというところがある」

押谷「今は,戦略を考えている段階で,ある一定の地域がどういう状況になったらなにをしなきゃいけないのかっていう,そういうメニューは考えていますけども(⇒*),残念ながら,もう少し時間がかかります,それには」

中村「それをやるのは国民ですので,国民が納得できる形で説明して,提示するということが,重要になりますね」

押谷「それは,本来は,政治家の役割です」

瀬名政府の決断が,どうしてそのタイミングでこうなってるのかが,分からず不安である.例えば,会社に勤めてる人なんかは,会社の上層部がマスクをしてこいと言うから,マスクをしてるんだけど,自分でもこれが本当に役に立ってることなのか,自分でもよく分からないけどマスクをしてる.

そういうような,つまり,僕らは,人間っていうのは,多分,安心して暮らしたいっていうのが,非常に,その,行動原理としてあって,安心すればあんまり考えずに済んで行動できるからだと思うんですね.

だけど,不安だと,一つ一つ決断しないといけない.つまり人間らしさを発揮しないといけないから,非常にストレスがかかる」

五箇「今,皆さんコロナ疲れと言われているのは,見えない恐怖と不安感.

それでいて自分は,自分にしてみれば,何かあんまり死ぬ気がしないんだけど,というような安心感.

それ,もう入り混じっちゃってストレスがたまってるわけですよね.

これが一歩外出たらみんな死にますよって言ったら,みんあ,もう震え上がって家にいることは,だれも,そこはもう,何か文句は言わないっていう中で.実際の所,何かいまひとつ不安だけど見えない.その部分っていうのがストレスになってるというところが大きいと思うんですよね」

押谷我々が,今,一番苦慮しているのはですね.

やっぱり,これ,ウイルスが見えない,日常に見えないので,皆さんが非常に不安に思っているということは,よく分かっていて.

ただ,一方でこのウイルスの拡散を止めないといけない.

で,札幌は-----っていうか北海道は一時期かなり厳しい状況になりかけていたので,そうすると,やはり,この危機感を伝えないといけない.で,危機感を伝えると不安感がまた増大する.そのバランスをいかにとっていくのか.

危機感を緩めてしまうと一気に皆さんの行動が危険な方向に向かっていってしまうので,そのバランスをいかにとるのかっていうことが難しくって.

我々が今,日本に住む人たちに考えてもらいたいことっていうのは,それぞれが,この問題を,もっと真剣に考えてほしい.

どうしたら,自分は危険な感染するようなところに,感染する危険が明らかにあるところがあるので,そういうところに行かない.

で,若い人たちは,自分たちが感染しても,おそらく大半の場合には重症化しません.

だけれども,その先には,その人たちがクラスター(感染者集団)連鎖を作ってしまうと,その先には必ず重篤化する中高年の人がいて,高齢者を中心に,たくさんの人が亡くなる可能性がある.

そのことを,やっぱり若い人たちには考えてもらいたいし,で,そういう,一人一人の,何がいけない・ここは大丈夫,っていうところを,一人一人が考えてくれないと,政府が全てを止めるという選択をせざるを得なくなるので.

そうじゃなくて,もう少しスマートに,このウイルスを制御する方法があるはずなので.

だから,世代間の分断をするんではなくて.

若者が広げて,高齢者が亡くなってっていう,そういう対立構造にするんではなくて,若者が高齢者を守るために,どういう行動が出来るのか」

五箇「社会を守るために自分たちも闘っている.という気持ちをしっかり持って頂いて.

まず不安になる前に,今,みんなが同じ気持ちで,今,この恐怖に立ち向かっているんだという気持ちを,まず一つ共有して頂くという.

まず,そういった姿勢をとって頂きたいなと思いますね」

 

続く

 

⇒*

医療現場が機能不全に陥ることも 崩壊防ぐ対策を 専門家会議

NHK NEW SWEB 2020年4月1日 19時28分 より

 

流行状況などから地域を3区分

「感染拡大警戒地域」

判断の指標

爆発的な患者の急増まではいかないものの,

▽直近の1週間に新たな患者の数,感染経路が分からない患者の数,帰国者・接触者外来を受診した人の数が前の週から大幅に増加していること

▽医療体制が限界に近づいていること など

 

対応

密閉,密集,密接の3つの「密」を避ける行動をより強く徹底すること

期間を明確にしたうえでの外出の自粛要請

10人以上が集まる集会やイベントの参加を避けること など

地域内の学校では一斉臨時休業も検討すべき

 

「感染確認地域」

判断の指標

直近1週間の新たな患者の数などが前の週から一定程度の増加幅に収まっていること,帰国者・接触者外来を受診した人があまり増加していない状況 など

 

想定される対策

「3つの密」を徹底的に避ける対策をしたうえで,感染拡大のリスクの低い活動については,実施.

屋内で50人以上が集まる集会やイベントへの参加は控えること

 

「感染未確認地域」

判断の指標

直近の1週間に海外から帰国した感染者を除いて感染者が確認されていない地域

 

想定される対策

屋外でのスポーツやスポーツ観戦,それに文化,芸術施設など参加者が特定された地域イベントのうち,感染拡大のリスクの低い活動は注意しながら実施する

 

「CDCっていうのは,半分軍隊のような組織」「CDCと同じものを作ることが日本の解決策とは思っていません」「必要な専門家を対策本部に動員し,一体化して対応できる体制が日本の将来の解決策なのではないか」「全ての危機は違う.感染症の流行も違う.必要な専門家も違う」「“政治家/自治体の長が専門家の意見を聞いて判断できるような体制”を今日からでも作る必要」押谷仁氏  BS1スペシャル「ウイルスVS人類~未知なる敵と闘うために~」3

BS1スペシャル「ウイルスVS人類~未知なる敵と闘うために~」3

2020年3月19日(木) 午後9時00分(50分),2020年3月28日(土) 午前0時20分(50分),2020年4月1日(水) 午後9時00分(50分)

 

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https://www.nhk.or.jp/docudocu/program/2443/2416283/index.html

出演者ほか

【出演】東北大学大学院教授…押谷仁,国立環境研究所 室長…五箇公一,作家…瀬名秀明,【解説】中村幸司

 

 

人類は,どうやってパンデミックの危機と闘っていけばいいのか?

 

アメリカでは,一つの機関に権限を集中させることで,感染拡大を防ぐ対策をとっている.

CDC(Centers for Disease Control and Prevention,アメリ疾病対策センター

保険福祉省の傘下にあり,本部だけで7000人.世界62カ国に支部を持ち,一万人が働く巨大組織だ.

日本の国立感染症研究所の100倍にもなる7000億円という予算が投じられ,新たなワクチンの研究はもちろん,緊急時には司令塔として軍とも協力し,情報収集から国民への説明,検疫作業までを行う.

 

中国もCDCを持ち,トップダウン型の対策を徹底している.

人口1100万人の武漢市を完全に封鎖.人民解放軍を投入して,僅か10日間で感染症専門病院を建設.発生確認から3ヶ月.中国が報告する感染者数は激減している.

 

2003年にSARSへの対応を求められた香港やシンガポールは,感染症への対策が進んでいる.PCR検査など,ウイルスの検査態勢も整い,早期発見,早期治療が今のところ功を奏している.

 

台湾でもITを使って,マスクの在庫を見える化するなど,人々の不安を取り除く対策をとっている.

 

一方,日本にはCDCのような専門の司令塔は現在ない.

学校の休校やイベントの自粛が要請されたが,今後,誰が,どんな根拠に基づき,どういう決断を下していくのか.そのプロセスが問われている.

 

 

▽本当は,もう少しきちんとした準備をしておけば---

瀬名「日本では,今回ですね.僕なんかすごく驚いたのは,途中まで,ほとんど専門家の意見が,まあ,行政・政府の決断に反映されていなかったという,僕なんかは驚愕したわけですけども---」

押谷SARSの経験があるシンガポール,台湾,香港は,ここまでは非常にうまくやっていて,それは,やっぱり,きちんとした対応する体制ができている.

病院も,シンガポールは全ての病院でPCRができる.

日本の地方衛生研究所のネットワークというのは,非常にすぐれたネットワークなんですけれども,残念ながら,そのPCRをするキャパシティーは限られていたと.今,急速によくなっていますけれど.

日本は人口規模も違うし,難しい面が色々ありますけれども,本当は,もう少しきちんとした準備をしていれば,もう少しちゃんとこのウイルスに対処できてきた可能性はあります」

 

▽「CDCと同じものを作ることが日本の解決策とは思っていません」「必要な専門家を対策本部に動員し,一体化して対応できる体制が日本の将来の解決策なのではないか」

瀬名「一部では,日本でもアメリカのCDCのような司令塔をつく他方がいいんじゃないか,という議論も出ているようですけれども」

押谷「CDCっていうのは,半分軍隊のような組織で,CDCを作る,CDCと同じもの作ることが,日本の解決策だと,私は思っていません.

CDCのミッションというのは,アメリカを守ることです.世界を守ることではなくて,アメリカを守ることです.

そういうものを,日本は作るのか.

それを作るとすると,自衛隊に作るしかない.

だから,感染症研究所の機能というのは強化されなきゃいけないですけれども,恐らく日本がこういう問題に,将来,立ち向かっていくためにはですね,今,少しずつ出来ている,かなりの数の専門家が,今,対策本部の中に入って,感染症研究所とも協力しながらやっています.

こういう形が,感染症研究所がリーダーシップをとって,政府がリーダーシップをとって,必要な専門家をそこに動員できる,そこが一体化して対応にあたるっていうようなことが,おそらく,日本の将来の解決策なんじゃないかと」

 

▽「全ての危機は違う.感染症の流行も違う.必要な専門家も違う」「“政治家/自治体の長が専門家の意見を聞いて判断できるような体制”を今日からでも作る必要」

瀬名リスクマネージメントというものの考え方は,国によってもいろいろ違うと思うんですが,日本ならではのですね,今後の未来のあり方っていうことを,やっぱり,そろそろ真剣にちゃんと考えていかなければいけない--」

押谷感染症だけではないと思いますけど,全ての危機は違うんですね.全ての感染症の流行も違うんです.必要な専門家というのも違うんですよね.全てを感染症研究所が担うというのは,多分,難しいので,この部分ではITとかが非常に有効なところもあってですね,そういう所は ITの人たちに入ってもらう---」

五箇「分野横断というのは,よく言われるんですけど,残念ながら,日本はそういった部分に関して,歴史的にそういった体制を作るのが下手な国なんで--」

押谷「これから,恐らく日本でも非常に厳しい局面を迎えることは十分に予想されて,その時に最終判断をするのは政治家であったり,自治体の長であったりするんだと思います.

ただ,そこに,きちんと専門家の意見が反映されて,で,専門家の意見--,まあいろんな専門家の意見の中でも意見が割れています,割れることもあります.で,そういうことも含めて,きちんと判断した上で,そういう人たちが決断をできる,そういう体制を,今,今日からも作らないと,これからも誤った方向に向かってしまう可能性があるので--」

五箇「あの,ちょっと,例えもおかしいですけど,『シン・ゴジラ』なんて映画の中では,あそこで,巨災対巨大不明生物特設災害対策本部)というグループを作ったときには,鼻つまみののばっかり集めたっていうんですね.

要は,最先端いってて,ちょっとアナーキーな連中の方が,いいアイデアが出るからって,各省庁と研究者からも,もう何か,何ていうか,荒くれ者を集めてやるっていう体制をとった.それぐらいの意気込みがないと,そういったもう本当に喫緊に迫る大きなリスクには立ち向かえないだろうと」

14世紀ペスト(死者約1億人),欧州からの感染症(南北アメリカ先住民死者5600万人),スペイン風邪(死者4000万人/第一次大戦戦死者1000万人)--.しかし「過去の経験とは全く違った想像力が必要とされる事態」瀬名氏 // 「2009年のパンデミックで死亡例が少なかったこともあって,“自然からの警告”をきちんと受け止められなかった.(新型コロナウイルスに対する)準備ができていなかった」押谷氏 // 「しっぺ返し」五箇氏 BS1スペシャル「ウイルスVS人類~未知なる敵と闘うために~」2

BS1スペシャル「ウイルスVS人類~未知なる敵と闘うために~」2

2020年3月19日(木) 午後9時00分(50分),2020年3月28日(土) 午前0時20分(50分),2020年4月1日(水) 午後9時00分(50分)

 

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https://www.nhk.or.jp/docudocu/program/2443/2416283/index.html

出演者ほか

【出演】東北大学大学院教授…押谷仁,国立環境研究所 室長…五箇公一,作家…瀬名秀明,【解説】中村幸司

 

人類の命を最も奪ってきたもの.

それは,戦争でも自然災害でもなく,ウイルスや細菌の感染爆発,パンデミックだ.

 

14世紀,ヨーロッパで大流行したペスト.およそ一億人を死に至らしめた.

 

ウイルスが一つの文明を滅ぼしたこともある.

科学ジャーナリスト/ローリー・ギャレット「コロンブスアメリカ大陸に上陸した頃,アラスカからチリまで広範囲に暮らしていたアメリカ・インディアンたちには,梅毒やはしか,インフルエンザに対する免疫能力が全くありませんでした.

私たちは,アメリカ・インディアンたちを征服したのはスペイン人でありポルトガル人だと思っていますが,抹殺したのは病原体だったのです」

16世紀,スペインのピサロやコルテスが南米大陸に上陸し,インカやアステカの国々を征服した.

僅かな兵力で勝利を収めた理由は,銃や鉄製の武器に加え,スペイン人が感染症を持ち込んだからだ.この時代,免疫がなかった南北アメリカの先住民,およそ5600万人が死亡した.

 

1918年に全世界で8億人が感染したのが,スペイン風邪と呼ばれるインフルエンザのパンデミックだ.

第一次世界大戦の末期,戦死者1000万人をはるかに超える4000万人以上の死者を出した.

 

1957年のアジア風邪というインフルエンザでは,世界で200万人が亡くなった.

 

新しい感染症が登場するたびに,人類はワクチンを開発.ウイルスに対抗してきた.

しかし,常に未知のウイルスが襲いかかる.

 

1997年には強い毒性を持つ鳥インフルエンザウイルスH5N1が,香港で初めて人に感染.6人の死者を出した.科学者たちは,鳥インフルエンザウイルスが変異を起こすことを懸念している.

例えば,ヒトのインフルエンザウイルスかかった人がトリのインフルエンザウイルスにも同時に感染した場合,一つの細胞の中で,両方のウイルスの遺伝子が組み変わり新たなウイルスが生まれる可能性があるのだ.

このほか,ヒトとトリのインフルエンザウイルスにブタの体内で混ざり合うケースや,遺伝子そのものが突然変異するケースもある.

こうした新型のウイルスが,ヒトからヒトへと感染する事態が,怖れられている.

もし,強い毒性と感染力をあわせ持つ新型のインフルエンザが登場し,パンデミックを起こせば,その被害はすさまじいものになる.

国立感染症研究所の想定では,東京の一人の感染者から,わずか2週間で35万人に拡大していくおそれもあるという.

 

実は世界は,強い毒性を持つタイプには警戒を強めていた.

ところが,想定通りにはいかないのが,人類とウイルスとの闘いだ.

 

WHO事務局長(当時)「世界で,今,新型インフルエンザのパンデミックが始まろうとしています」

2009年にメキシコで発生し,パンデミックを起こした新型インフルエンザ(H1N1)はブタ由来のもの.

だが,毒性はそれほど強いものではなかった(死者約1万9000人うち日本人203人).

いつのまにか,季節性のインフルエンザと同じ程度になっていった.

次第に人類は警戒を弱めてしまった.

 

そして今回,11年ぶりに世界的なパンデミックを起こしたのは,インフルエンザではなく,対策の準備を全くしてこなかった新型のコロナウイルスだったのだ.

 

瀬名「今まで,我々はいろいろなパンデミック感染症の脅威というものを,人類の歴史の中で体験してきたわけですよね.ところが,今回は過去に学んでいたはずなのに,過去の経験とは全く違った想像力が必要とされる事態になってしまった」

 

押谷「21世紀に入ってSARSから,いろんな高病原性鳥インフルエンザとか,いろんな流行があって,それは,本当は自然からの警告で,人類がもっと真摯にその警告を受け止めなきゃいけなかったんですけれども,2009年のパンデミックが,それほどでもなかった,重症例が少なかった,死亡例が少なかった,というふうなこともあって,その警告をきちんとうけとめられなかったということで,準備ができてこなかったと」

 

五箇「僕自身は,外来生物対策してますけど,外来生物一つとっても,例えばヒアリなんていうのは,アメリカではこういうパターンで巣を作って広がるとか,中国ではこういうパターンで巣を作って広がる.その共通項をもって,日本でもこうなるだろうと想定をして,マニュアル作ってたら,ところが,今回,品川の大井埠頭で出てきた巣は,全く違った形で巣を作ってたと.要は,土がない,砂もないというコンクリートの中で,彼らはちゃんと巣を作れたと,これは全く我々が想定してなかった状態だったですね.

要は生き物,ウイルスは生き物ではないんですが,そういった野生において生存しているものたちは,常に進化するし,順応的であるし.だから,我々の人知を超えたところで,彼らはどんどんどんどん,新しい住みかを探していくわけですよね.

だから,ウイルスの場合も同じで,前はこうだったからという想定でやってたんでは,とても追いつかない

 

未知のウイルスと戦う人類.

そのリスクを更に高めているのが,人類が排出する二酸化炭素の増加による地球温暖化だ.

シベリアの永久凍土で,フランス国立科学研究所などのチームが,3万年前の地層から,モリウイルスという新種のウイルスを発見した.

温暖化によって永久凍土が解けた場所で見つけたこのウイルス.極めて増殖能力が高い,全く未知のものだった.

フランス国立科学研究所シャンタル・アベルジェル「無数のウイルスが,海や大地のあらゆる場所に存在します.永久凍土が掘り起こされ,人類がウイルスに感染する機会が増えます.リスクは必ずあります」

 

リスクは森林にも広がっている.

1998年,マレーシアでニパウイルスと呼ばれる,それまで全く知られていなかった病原体が人に感染.100人以上の死者が出た.

ニパウイルスはオオコウモリから発見された.

マレーシアでは,養豚業が盛んになるにつれて,森林が切り開かれ,大規模な養豚場が作られるようになった.その結果,今までジャングルに潜んでいたウイルスが,ブタを介してヒトへと感染していったと見られる.

 

温暖化はウイルスの拡散も加速させる.

その一つが,蚊が媒介するジカウイルスの感染症,ジカ熱だ.

妊婦に感染すると,胎児の発育に影響し,脳が未発達のまま生まれることもある危険なウイルスだ.

ブラジルの感染者「ジカ熱がこんなにも残酷だなんて」

従来,ジカウイルスの感染は赤道付近の熱帯地域に限られていた.しかし,温暖化の影響で,媒介する蚊の生息域が拡大.今や,日本での感染も危惧されている.

昭和大学小林睦生「温暖化が進めば,広範に,こういうジカ熱のような蚊が媒介する感染症が流行するリスクが明らかに高まるだろうというふうに私たちは考えています」

 

瀬名「もう,この10年をとっただけでも,社会の環境が大きく変わっていると.そうすると,ぼくらも人間ですから,自然界の一部ですよね.我々が自然界を大きく変えてしまったところもある」

五箇「気候変動ですね.それを引き起こしているのは,結局は,巨視的に見ればやっぱり南北格差から始まる経済格差を埋めようとする中での工業発展という,そういったものが途上国でものすごい勢いで,その速度がかつての先進国以上に速い速度で起きている.

そうすると巨視的に見ると,生物多様性ホットスポット保全の重要地域)といわれるエリアのまん中でそういうことが起こる.だから,開発と破壊,森林伐採.そういったものが急速に進む中では,そこに閉じ込められていたウイルスたちが,今,まさに,新たなる住みかとして人間という住みかを得て,それが,今,北と南がつながることで,今,北の人口密集地に入り込むという図式が,もう1980年代以降から,ずーっと続いているわけですよね.気候変動を起こしている,その開発,それとそういったグロ−バル化というものに,実は,このウイルスがすごい勢いで便乗しているという状況にある.

南の人たちが森を切らなくてもいいようにするにはどうしたらいいかっていうのが,大きな,やっぱり課題なんだけど,いまだそこのゴールには,到底たどりつかない.

そのしっぺ返しとして,今,感染症の問題も起こってる」

「わかりにくいし,見えにくい.数週間前には,恐らくパンデミックの状態」「スピードを与えたのは人類.全てこのウイルスのスピードに人類がついていけてない.武漢を閉鎖した1月23日には,もう既に中国各地,世界各地に広がってしまった」「限られた感染者;喉に非常に多くのウイルスを持って必ずしも明確な症状がない人たち,が広げてしまうので,見えにくい」「今まで考えられてきたような感染経路ではない形で感染が進んでいる」押谷仁氏 BS1スペシャル「ウイルスVS人類~未知なる敵と闘うために~」1

BS1スペシャル「ウイルスVS人類~未知なる敵と闘うために~」1

2020年3月19日(木) 午後9時00分(50分),2020年3月28日(土) 午前0時20分(50分),2020年4月1日(水) 午後9時00分(50分),

 

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https://www.nhk.or.jp/docudocu/program/2443/2416283/index.html

 

出演者ほか

【出演】東北大学大学院教授…押谷仁,国立環境研究所 室長…五箇公一,作家…瀬名秀明,【解説】中村幸司

 

中国・武漢市から広がった新型コロナウィルス感染症

発生確認からおよそ3ヶ月.世界中を震撼させている.

 

トランプ大統領「国家非常事態を宣言する」

 

WHOは,世界的な大流行パンデミックを宣言.

経済にも大きな影響が出ている.

いつまで,こうした状況が続くのか,人々は不安の中で暮らしている.

 

人類はこれまで様々な感染症と闘い,膨大な数の命が失われてきた.

そして,今,グローバル化が加速する中で,未知のウィルスが人類を襲う.

果たして,この危機を乗り越えることはできるのか?

 

今回,3人の専門家が徹底的に語り合った.

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東北大学大学院教授 押谷 仁

「非常に早いスピードで世界に広がってしまった.そのスピードを与えたのは人類だ」

 

国立環境研究所 五箇 公一(ごか こういち)

「これは闘い.まさにウイルスと戦争している状況になりますから」

 

作家 瀬名秀明

「過去の経験とは,全く違った想像力が必要とされる事態になってしまった」

 

 

ウィルスと人類との闘い.

今,私たちに求められているものは何なのか.歴史から学び,未来を見つめる.

 

瀬名「今日は専門の先生やNHK解説委員の中村さんと一緒に,お話ができればと思っています.

この一ヶ月二ヶ月で,急速に社会の状況も,変わっていってしまったなと.だから,気がついたら何か感染症が広まっていて,私たちもちょっとどういうふうに対応したらいいのか,分からなくなってしまった」

 

押谷「非常にこの感染症はわかりにくいし,見えにくい.

おそらく,11月には始まっていたと思われるので,11月下旬ぐらいから,4ヶ月位かけて広がっていて,中低開発国ではですね.検査が十分にできない国がたくさんありますので,もうすでに,中東はかなりの国で広がっていますし,アジアの相当な国で広がっています.

もう,すでに,数週間前には,恐らくパンデミックの状態だったと思います」

 

瀬名「五箇先生は,外来種の生物から,日本にもたらされるいろいろな感染症,そういったものに関してお詳しい

 

五箇「最近話題になったヒアリ.2017年になって初めてコンテナから発見されて,このタイミングでなぜヒアリが急に来だしたかというと,中国の経済がすごく発展して,荷物のやりとり,それから人のやりとりがすごく増えるという中で,ヒアリも必然的に入ってきた.

今回のコロナも,ウイルスそのものの力よりも,人の動く速度と距離,そういったものがものすごく縮んでいるというのが,一番大きな原因だと思いますね

 

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年間に航空機で移動する人は35億人.この15年余りで倍増した.

中国の経済成長も,地球規模の人の交流を更に加速させている.

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グローバル化が急速に進む中で発生したのが新型コロナウイルスだった.

表面の突起がコロナ=王冠に似ていることから名づけられたコロナウィルス.

これまでに6種類が発見され,その内4種は一般的な風邪の原因で,症状は軽い.

残りの2種は 

▽2003年にアジアで感染が広がったSARS(サーズ).野生のコウモリが由来

 2002〜2003年 SARS(severe acute respiratory syndrome重症急性呼吸器症候群) 

 感染者数 約8000人 致死率 約10%

 

▽2012年に中東で発生したMERS(マーズ).ラクダから人へ感染.

 2012〜 MERS(Middle East Respiratory Syndrome Coronavirus 中東呼吸器症候群)

 致死率 約34%

 

今回の新型コロナウィルスは未知のもの.

SARSやMERSほどの強毒性はないが,致死率はインフルエンザよりもはるかに高いとみられている.

 

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(ウイルス一般の解説 略)

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押谷「高齢者にとっては,季節性インフルエンザよりはるかに危ないウイルスで,このウイルスは,肺の中で増殖をして,ウイルスそのものが人を殺すので,これは,全く季節性インフルエンザとは違う.

亡くなる人は,20代30代はかなり少なくて,40代50代60代と上がっていって,80代,90代になると,非常に高くなる.ウイルスの増速を制御できる人にとっては,それほどひどいウイルス性肺炎を起こさない.ただ,年齢が上がるに従って,それが制御できない人たちが出てくる.そのことによって,重症化していく」

 

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https://www.mhlw.go.jp/content/000609467.pdf

 

瀬名「今回も,動物からおそらく入ってきたウイルスだろうと思われています」

 

五箇「中国南部に住んでいるいろんな種類のコウモリを調べると,コウモリ種ごとに特異的なウイルスが寄生しているわけですね.

ウイルスというのはそういう形で自然宿主(ウイルスと共生している生物)というものの中で,ある意味共生というか,閉じ込められているんですが,常に変異しているんです.それで,その変異がたまたま新しい宿主に出会ったときに,マッチングして一気にそこに中で広がるということを繰り返している.

今回も,おそらく野生生物の中に閉じ込められていたウイルスが,まさに人間がどんどん自然の中に入り込むという形で活動域を拡大していく中で,そういったウイルスが,人間に限らず,たまたまそこにいる家畜などに寄生すると,そこを介して,また変異を起こして人間に感染するタイプに変化する」

 

押谷「今回のウイルスは----,

もう,中国が世界にダイレクトに飛行機でつながってしまっている.武漢にも日本からフライトは,何便も飛んでいる.そういう中で,このウイルスは非常に見えにくいウイルスであると同時に,非常に速いスピードで,世界に広まってしまった.そのスピードを与えたのは人類なんです.グローバル化の名のもとに,これだけ人が移動している.もう,ここまでやってきたことは全て,このウイルスのスピードに人類がついていけてない.

武漢を閉鎖した1月23日には,もう既に非常に多くの中国各地,世界各地にウイルスは広がってしまった」

 

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新型ウイルスはなぜ見えにくいのか

▽感染してから確認まで時間がかかる:

潜伏期間(平均5〜6日)⇒風邪の症状(1週間程度)⇒重症化

感染から,感染確認まで2週間,あるいはそれ以上かかることもある.

▽症状が軽い

・およそ80%は軽症(無症状の人も.感染していることに気づかずに広げてしまっている人がいる)

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瀬名「こういう性質を持つウイルスっていうのは,今まで,僕,あまり知らなかったように思うんですけど----」

押谷「ピラミッドでいうと,下の方が無症候感染で,その上に計症例があって,重症例があって,亡くなる方がいる,死亡例がある.

ピラミッドを考えると,非常に裾野の広い感染症で,そのことが全てのことを見えにくくしてます.

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今回のウイルスは,一部の人が,全員ではないんですが,本当に限られた感染者が,上気道=喉(のど)に非常に高いウイルス量をもつ,多くのウイルスを持っている.その人たちは,必ずしも明確な症状がなくて,そういう人たちが,このウイルスを広げている.

症状がない人たちが広げてしまうので,非常に見えにくいし,今回の大阪のライブハウスのあの流行のきっかけになった人も,ライブハウスに行った時には,喉が痛いっていうことしかなかった.というふうに記録されています」

 

中村「肺の奧ではなくて,喉のあたりにウイルスがあるので,くしゃみとか咳とか,あるいは飛沫に感染が---」

押谷「くしゃみとか咳をしてない人たちが感染させているので,今まで考えられてきたような感染経路ではない形(⇒*)で,おそらく感染が進んでいるんだろう」

 

続く

 

⇒* 

NHKスペシャル 「“パンデミック”との闘い〜感染拡大は封じ込められるのか〜」より

今,専門家は,感染拡大を防ぐカギとして,新たな感染の仕組みに,注目しています.

日本感染医学会舘田一博理事長「ただの会話の中で,感染が広がっている.とか,ある程度距離があっても,それが広がっているような,そういった事例を見ると,通常の飛沫感染だけでは,説明できない.非常に小さな粒子ということで,マイクロメーター(1000分の1mm)の粒子,マイクロ飛沫感染と呼べるような,そういった状況が起きたんじゃないかと考えられます」

くしゃみなどでできる飛沫はすぐに落下.100分の1ミリ以下の小さな粒子は,小さく軽いため漂い続ける.このマイクロ飛沫は,大きな声の会話でも発生し,漂い続ける.

舘田理事長「マイクロ飛沫の中にもたくさんの生きたウイルスがいて,大きな声での会話,激しい息づかい,そういった中で,このマイクロ飛沫ができて,それを近くの人が吸い込むことによって,感染が広がる.そういったリスクが見えてきた」

換気の悪い密閉空間では,マイクロ飛沫が,より感染リスクを高める可能性も,浮かび上がってきました.

教室程度の大きさの密閉空間に10人ほどがいるケース.一人が一度咳をすると,およそ10万個の大小様々な飛沫ができる.

大きな飛沫は一分以内にほとんど落下するが,マイクロ飛沫は空中を漂い続ける.

少なくとも20分,マイクロ飛沫は空気のよどみで漂い続ける可能性が,シミュレーションで明らかになった.

このよどみを防ぐ方法:窓を開けて部屋の茎を入れ替える!

マイクロ飛沫は小さく軽いため,空気の流れを作れば,排出できる.

舘田理事長「2カ所開けて風邪の流れを作る事が大事.1時間1回でもよいから,そうすることでリスクをかなりさげることができる」

 

パンデミックの中,「東京重大局面」で外出自粛が要請された2020年3月29日.

関東地方は何と雪!

チューリップのつぼみに積もった雪を初めて見ました.

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今後,診断されていない輸入感染者が続々と次の流行を生み出すものと思われます.それは1月から2月上旬に中国および中国帰りの渡航者を端緒として始まった流行の比ではありません. 1月から2月上旬は短距離ミサイルが5~10発命中した程度ですが,この3月のパンデミックの状況というのは空から次々と焼夷弾が降ってきているような状態です.そこで「火事を一つ一つ止めないといけない」というようなのが今の状態です.「助けてください」西浦博・北大教授

土記 do-ki 「首都封鎖は現実か」 青野由利

  毎日新聞 毎日新聞2020年3月28日 東京朝刊

https://mainichi.jp/articles/20200321/ddm/002/070/027000c

 

 「大変なことになりました」.英国の友人たちから連絡がきた.

 

 ジョンソン英首相は23日,全国民に向け緊急声明を発表.「非常にシンプルな指示」として「家にとどまってください」と訴えた.

 

 外出してもいいのは食料など限られた必需品の買い物.ランニングや散歩など1日1回の運動.医療のため.どうしても自宅でできない仕事のため.それ以外はすべて禁止.友だちにも,同居していない家族にも会ってはならない.

 

 人との接触を避ける「社会的距離」対策を徹底しないと,新型コロナウイルスの感染者がどんどん増え,医療が崩壊し,大量の犠牲者が出ると危機感をあらわにした.

 

 他の欧州諸国に続く措置ではあるが,私ががくぜんとしたのはあっという間の方針転換だ.

 

 これより10日ほど前,ジョンソン首相はずっと楽観的だった.「症状がある人は7日間家にいて」といった程度で,学校閉鎖もイベント自粛もなし.「対策が早過ぎると疲れが出るのでタイミングをはかる」だった.

 

 それがあれよあれよという間に学校は休校,パブや劇場は閉鎖,高齢者は12週間外出するな,となり,それでも追いつかず,事実上の全土封鎖となり,警察の出動まで対策に入った.

 

 当初の見通しが甘かった? 確かに英専門家チームが「このままだと国内で25万人死亡」との推計を出したことも影響しただろう.

 

 だが,突然,様相が変わるのがこの感染症の特徴であることは間違いない.

 

 先週のこの欄で懸念を述べた東京都(⇒**)では小池百合子知事がようやく今週,対応策を公表.25日には緊急記者会見で週末の外出自粛などを要請した.オリンピック延期で頭が切り替わった? 出遅れ感はあるが,今からでも的確に手を打ち続けなければ.

 

 欧米からの帰国者が流行の第2波を招き,経路不明の感染者の増加は見えないクラスター(感染者集団)の広がりを示唆する.状況は予断を許さない.

 

 そんな中,目にとまったのが北大の西浦博さんがウェブに寄稿した「助けてください」メッセージだ(⇒*).国のクラスター対策を担う理論疫学専門家の心配は,大規模イベントや密閉・密集空間での接触回避で大規模流行が防げるのに,市民の間で「解禁ムード」が広がってしまったこと.加えて中国からの比ではない大量の輸入感染者がこれから生み出す流行だ.

 

 西浦さんに限らず最前線で力を尽くす専門家を助けるには市民が行動を変えること.それが首都封鎖も防ぐはずだ.(専門編集委員

 

 

 

⇒*

西浦・北大教授「助けてほしい」解禁ムードを危惧

YAHOO!JAPAN ニュース 3/24(火) 10:30配信

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200324-00010000-mthree-soci&p=2

 

※政府の「新型コロナウイルス感染症対策専門家会議」でクラスター対策の分析等を担当している,北海道大学大学院医学研究院教授の西浦博氏から「保健医療従事者向けのメッセージ」としてご寄稿いただいた記事を転載します.YAHOO!JAPAN ニュース

 

……………………………………

 今は2月よりも厳しく,今からこそイベント自粛とハイリスク空間を避ける声を保健医療の皆さんから届けていただけるよう,助けてください.

 

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行対策のメインストリームは「屋内の接触を断つこと」です.これまで,安倍首相から大規模イベントの自粛が要請され,新型コロナウイルス感染症対策専門家会議からは3条件(密閉空間,密集場所,密接場面)が揃う場所での屋内接触を自粛するように求めてきました.

 

 大規模イベントの中止は当初,科学的エビデンスや専門家会議の提言に基づくものではありませんでしたが,海外での宗教法人での伝播が知られており,また,日本では「さっぽろ雪まつり」での2次感染が疑われています.ある時,突然に2次感染者数が一気に増えたメガクラスターの形成,ひいては大規模流行の原因となることが危惧されます.フィットネスジム,ライブハウス,大人数での接待飲食など,屋内で3条件を満たすような場所での2次感染は実例として知見が蓄積されています.中国の都市封鎖と外出禁止令が湖北省を中心に著効したことが知られています.

 

 また,私も分析に協力させていただいている(座長指定の者である)3月19日の厚生労働省新型コロナウイルス感染症対策専門家会議で方針を示しましたが,日本における国内感染は上記の大規模イベント自粛と行動自粛の実施中に,新規感染者の発生が減少に転じたことが知られています.この感染症は行動変容を伴う努力をもってすれば「制御できる」のです.

 

「解禁ムード」の広がりを大変危惧している

 

 しかし,3月19日に少しでも良いニュースが伝わり,小中学校などの休校が解除される方針が伝わったことで,市民の間で「解禁ムード」が広がってしまっていることを大変危惧しています.行動がいつも通りに戻ってしまうと,アメリカや欧州各国で見られるような爆発的な感染者数の増大が懸念されるためです.特に大規模イベントを流行地域で再開してひとたび大規模流行が発生すると,流行が制御不能になります.

 

 大きな流行が起こると,都市の封鎖を伴うことに加えて,皆さまの近しい方々も感染や命の危険にさらされてしまうのです.加えて,COVID-19は感染から発症まで平均5日程度,発症から診断されるまで平均7日程度とされており,無症候性の感染者も少なくないことから,感染者数の急激な増大にリアルタイムで気づくことができないのがこの感染症の難しさです.

 

空から次々と焼夷弾が降ってきているような状態

 

 今,海外で流行が増大しているため,状況は1月以降,これまでの2カ月半よりも厳しい状態にあります.ヨーロッパ,米国,東南アジア,中東などから,続々と感染者が訪れています.上記のように国内伝播を一旦制御に近くできたために,最近報告される感染者数の結構な割合を輸入感染者が占めるようになってきました.外国籍の方の入国は一部止まりつつありますが,米国は続いていますし,邦人の帰国には備えなければなりません.報告された輸入感染者は氷山の一角であり,今後,診断されていない輸入感染者が続々と次の流行を生み出すものと思われます.

 

 それは1月から2月上旬に中国および中国帰りの渡航者を端緒として始まった流行の比ではありません.非常識を承知で分かりやすいようにミサイルで例えると,1月から2月上旬は短距離ミサイルが5~10発命中した程度ですが,この3月のパンデミックの状況というのは空から次々と焼夷弾が降ってきているような状態です.そこで「火事を一つ一つ止めないといけない」というようなのが今の状態です.

 

 このことを少なくとも全国の保健医療関係者にご理解いただけないままでは,今後,大規模流行が起こるリスクが高いことを,私は危惧しています.現状では,市民の皆さまがそこまでの危機意識をもってこの流行に対峙したり,一人一人の行動を考えていないものと思います.過度の行動制限や都市封鎖などで見込まれる経済的ダメージが起こらないように,50人以上の大規模イベントへの参加をやめ,2次感染が何度か発生した3条件の重なる場所(例えばスポーツジム,ライブハウス,展示商談会,接待飲食など)およびその他の機会(懇親会など)の接触を控えることができないといけません.

 

全国の保健医療従事者へ「助けてください」

 

 ぜひとも全国の保健医療従事者の皆さまにまずこのことを知っていただき,皆さんが知識の伝道者となっていただかなければなりません.

 

 今,頑張って皆で行動を変えることができれば切り抜けられる可能性が高いです.皆さんの力が必要です.お願いします,助けてください.

 

 

 

⇒**

土記 do-ki

東京の感染,見えている?=青野由利

毎日新聞2020年3月21日 東京朝刊 <do-ki>

 

 新型コロナウイルスの今後の感染拡大がもっとも気になるのはどこか.この3連休は大阪と兵庫が注目かもしれないが,個人的にはやっぱり東京だ.

 

 これだけの人口密集地で,これだけの巨大な経済活動が営まれている.ひとたび感染爆発が起きたら手がつけられないだろう.

 

 ところが,その割に危機感が薄く感じられるのはなぜだろう.

 

 東京都の発表によると3月20日朝の時点で感染者の累計は,チャーター便やクルーズ船関係を除いて118人.検査実施人数は1848人.検査した人の約6%が感染者だったことになるが,これでは実態はよくわからない.

 

 気になるデータは他にある.

 

 ひとつは新たな感染者の数だ.グラフを見ると,増減のでこぼこはあるものの,感染者は増加傾向にある.

 

 もうひとつ重要なのは,誰から感染したかわからない人が増加していることだ.

 

 今週,政府の専門家会議がまとめた新たな分析・提言によると,こうしたリンクの追えない感染者が増えている地域が都市部を中心に散発している.中でも東京は,そうした感染者の数も増加も目立っている.

 

 リンクが追えない感染者の増加は,その背景に見えない感染クラスターがある可能性を示している.感染爆発のリスク因子だ.

 

 このままいくと,大都市圏で突然,爆発的な患者の急増が起きてしまうと,専門家会議は危機感を抱いている.イタリアやスペイン,フランスなどの感染爆発の仕方をみると,杞憂(きゆう)とは思えない.

 

 では東京都の対応は? 都の感染症対策課に聞くと拍子抜けする.たとえばリンクの追えない感染者数は独自に集計していないので即答できないという.

 

 どういう場所で感染したか,どの感染者同士がつながっているかといった,感染リスクを知るのに重要な情報も,屋形船の集団感染以降,積極的に公開していない.

 

 大阪府新潟市などがライブハウスや卓球スクール,スポーツジムなどでの集団感染を早くから公開し,感染拡大を防ごうとしているのと対照的だ.

 

 専門家会議は感染者が増えた時に検査が陽性でも軽症なら自宅療養といった医療体制についても提言している.都は協議会で検討するというが,協議会そのものがまだ設置されていないというから,間に合うの?と不安になる.

 

 世界の都市が新型コロナに屈する中で,東京が持ちこたえるために今すべきことは何か.まさに瀬戸際だと思う.(専門編集委員

 

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銀座や六本木,高級クラブで「夜の街クラスター」発生か

読売新聞オンライン 2020/03/27 17:30

https://www.yomiuri.co.jp/national/20200327-OYT1T50153/

 専門家で組織する厚生労働省クラスター(感染集団)対策班は,新型コロナウイルスの感染者が急増している東京都で,夜間を中心に営業する飲食店などで感染が広がっている可能性が高いとの見方を強めている.

 

 都は,人混みへの不要不急の外出自粛を要請し,飲食店などに行くことを念頭に,夜間外出を控えるよう呼びかけた.関係者によると,複数の感染者が銀座や六本木の高級クラブなどを利用していたことが調査で判明した.クラスター対策班は,こうした場でクラスターが形成された可能性があるとみて分析を進めている.都内にはこのほか,新宿や渋谷といった繁華街が多くある.

 

 政府の専門家会議は19日に公表した提言の中で,「密閉空間」「人の密集」「近距離の会話」の3条件がそろう場を避けるよう求めた.近距離の会話を伴う接客業の店について,専門家会議メンバーの押谷仁・東北大教授は「人が密集していなくても,1人の従業員が近距離で多数の客に次々に接客するような場合は,クラスターが発生しやすい」と指摘する.

 

 

東京都内で新たに63人感染 過去最多

毎日新聞2020年3月28日 16時30分(最終更新 3月28日 16時58分)

https://mainichi.jp/articles/20200328/k00/00m/040/095000c

 東京都内で28日,新型コロナウイルスの感染者が新たに63人確認されたことが関係者への取材で明らかになった.都内で1日に確認された感染者数としては最多となる.これまでに患者ら40人の感染が確認されている「永寿総合病院(台東区)」の感染者が半数程度を占めるという.

 

 都内の感染者数は25日からの3日間は40人台で推移し,最多は26日の47人だった.

「東京五輪予定通りの開催の断念に到ったきっかけは?」「水面下で動き出したのは,今月の12日からだったんです.きっかけは二つ. 一つは,トランプ大統領の発言.もう一つは,ギリシャの聖火の採火式.予定通り開催と考えていました日本政府にとっては,これ(トランプ発言は),当初,驚きだったんですけど,ここにアメリカの本音が実はあって,注目すべきではないかと」「何故,一年程度?」「何といっても,12日のトランプ大統領の発言」NHK国際報道2020

東京五輪“1年程度延期”

NHKBS1 国際報道2020 2020年3月27日

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国際報道2020[番組紹介] |NHK BS1 ワールドウオッチング

池端キャスター「日本の外交ここに注目 岩田解説委員です」

岩田明子解説委員「よろしくお願いします」

酒井美帆キャスター「今回は,オリンピックの延期に到った内幕を掘りさげます.

新型コロナウィルスの世界的な感染感染拡大を受けて,IOC国際オリンピック委員会は,24日,バッハ会長と安倍総理大臣とで合意した,東京オリンピックパラリンピックの一年程度の延期を承認しました.

これまで安倍総理は,今月6日の国会答弁などで,延期や中止を前提とした影響などについての検討は行っていないと発言していました」

 

池端「岩田さん,今,あったように,安倍総理大臣は,予定通りの開催の趣旨の発言を繰り返していました.開催国のトップとしては理解できるんですけど,それが一転して一年程度の延期となりました.

予定通りの開催の断念に到ったきっかけはあったんですかね

岩田「水面下で動き出したのは,今月の12日からだったんです.きっかけは二つの出来事があったんです.

一つは,トランプ大統領の発言です.もう一つは,ギリシャの聖火の採火式だったんですね」

池端「同じ日だったんですね」

岩田「はい.この12日ですけど,トランプ大統領ホワイトハウスで記者団に対して,『一年間,延期した方がよいかもしれない』と発言しましたよね.

予定通り開催と考えていました日本政府にとっては,これ,当初,驚きだったんですけど,ここにアメリカの本音が実はあって,注目すべきではないかというふうに考え始めたんですね.

というますのも,スポンサーや放映権を持つアメリカというのは,IOCに大きな影響力を持っているからなんです.さらに,2021年の夏というのは,アメリカで陸上の世界選手権が予定されています.

トランプ大統領自身は,この一年延期に言及したということでありますと,こうした難しい日程変更というものにも,協力が得やすいのではないかと,こんな見方もあるわけですね」

池端世界陸上をずらしてくれるんじゃないか,ということですね」

岩田「はい.もう一つはギリシャの聖火の採火式ですけれども,これ,ギリシャで行われましたけど,行われたということは,日本に聖火が来るということが確実になったわけですよね.で,この聖火リレーが日本全国で本格的に始まる前に,IOC側と延期という話をつけないと,中止の可能性も否定できないのではという日本政府の思いもあったようですね」

池端「いざ,走り始めてしまうと,逆に悪いシナリオになるかもしれないと」

酒井「だからこそ,政府としては,一気に舵を切ったとですね.それから,IOCに延期を提案する際は,何か根回しがあったんでしょか?」

岩田「はい,そうなんですね.IOCにこの延期の提案をするため,日本政府は,万全の環境作りを急いだんですね」

 

以下項目略記

○13日 安倍首相 トランプ大統領と電話会談「完全な形での開催」に米大統領の100%同意

○16日 G7首脳会談 「完全な形での開催」各国の支持

○22日 森会長・バッハ会長電話会談 「中止はない」

○24日 安倍首相・バッハ会長会談 「1年程度延期を軸に検討」

 

○何故,一年程度?

岩田解説委員

「2年延期となりますと,夏の東京大会の前に中国で,北京冬季五輪開催のスケジュールもありうる.中国から感染が世界に広まったのに,中国で開かれるオリンピックでコロナウィルスに打ち勝った証だろいうアピールをするとなりますと,なかなか国際社会の理解が得られにくい,こんな側面もありそうなんです」

「何といっても,12日のトランプ大統領の発言ですね.これが大きなヒントになったんではないでしょうか」

新型コロナ買い占め騒動 人々に他者の信頼性を見極める能力を磨くよりも,「消費する大衆」であることを推奨してきたこの社会で,生活物資の不足は大きな社会不安を招く. 根底にある不信を解消しなければ,危機のたびにまた同じ風景が繰り返されるのではないか.水無田気流 東京新聞 // 安田洋祐・大阪大准教授は,「多めに買おうとするのは,一消費者としては理にかなった行為」といいます.朝日新聞デジタル // アメリカでも買いだめでスーパーは品薄に トイレットペーパーなど一部商品の販売制限も ニューズウィーク日本語版

新型コロナ買い占め騒動 

他者への不信感 顕著な日本 水無田気流

東京新聞夕刊 社会時評 2020年(令和2年)3月25日

 

 本欄での私の執筆も,おかげさまで最終回を迎えることができた.

だが今の世情は,例の新型コロナウィルスのせいで,穏やかなお別れとはならなさそうなのが残念である.

 

 三月の騒乱,といえば東日本大震災を思い出す.

毎日のように報じられる,原発事故報道.政府からは安全や健康に関し「ただちには影響はない」という言葉が連呼されたが,庶民生活には直ちに影響があった.

 

 スーパーマーケットには長蛇の列ができ,ミネラルウォーター,缶詰,乾電池の類が商品棚から消えた.

今回もまた,最初はマスクが消え,アルコール除菌剤類が消え,そして今度は,トイレットペーパーにティッシュペーパー類が消えた.

 

 どれほど政府が「紙供給は十分」「マスクはウィルス予防に効果的ではない」と発表しても,庶民の不安はぬぐえないのである.

 

 あえていえば,買い占め行動(そしてそれにつけ込む転売の横行)は,この国の「不信経済」とでもいうべき特製が露わになった結果かもしれない.

平素は「集団主義」といわれ,互いに空気を読み合い,突飛(とっぴ)な行動を避けるように見える日本人だが,生活の安寧を脅かされる事態には,途端に「個人主義」になるように見えるのはなぜか.

 

 そもそも,統計的に見ても日本人は他の先進諸国の人々に比べ他者への不信感が強い点が指摘できる.

たとえば,総務省『情報通信白書』(二〇一八年版)では,「SNSで知り合う人はほとんど信頼できる」との項目に,「そう思う・ややそう思う」と答えた人は日本人は1割しかおらず,ドイツ人五割,アメリカ人六割,イギリス七割と比べて極めて低い.

ネット上で知り合う人が信頼できるかどうか見分ける自信があると答えた人も,日本人が二割程度であったのに対し,英米独の人たちは六〜七割が自信ありと回答している.

 

 同調査では,ネットにおける判断のみならず,そもそも他人を信頼できるかどうかも調査しているが,「ほとんどの人は信頼できる」に肯定的に回答したのは,ドイツ人だった.

 

 ただしこれは,欧米人が日本人に比べて「お人好し」なのではなく,相手が信頼に足りる人物かどうか自分で判断できるという自負が背景にあるようだ.

事実,見分ける自信があると回答した人は,アメリカ人七割,ドイツ人・イギリス人は八割だが,日本人は四割を切る.

 

 社会心理学者の山岸俊男は,『日本の「安心」はなぜ,消えたのか—社会心理学から見た現代日本の問題点』(集英社)で,日本の伝統社会では,村社会のような集団への「所属」が個人の善行を強制するシステムであったため,当該個人が信頼に足るかどうかを問う必要はなかったと指摘する.それゆえ日本人は,「所属」さえ確認できれば,相手が個人として信頼できた,と.

 

 他方,欧米諸国は近代化当初,産業化と伝統コミュニティー解体の波の中,個々人が信頼に足る相手を見極め,共同化を築く必要に駆られてきたのだろう.

 

 戦後の日本社会を俯瞰(ふかん)すれば,高度成長期に故郷の伝統的コミュニティーを離れた人々が都市部に流入し,新たな各家族を作っていった.

同時に大衆消費社会化が進み,人々は他者を信頼するスキルを磨かずとも,必要な物資を消費することで生活の安寧を得てきたともいえる.

 

 極論すれば,人々に他者の信頼性を見極める能力を磨くよりも,「消費する大衆」であることを推奨してきたこの社会で,生活物資の不足は大きな社会不安を招く.

根底にある不信を解消しなければ,危機のたびにまた同じ風景が繰り返されるのではないか.

杞憂であってほしいと,切に願う.

 

(みなした・きりう=社会学者,詩人,国学院大経済学部教授)

 

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トイレ紙買いだめ理にかなった行為か ゲーム理論だと…

朝日新聞デジタル 2020年3月17日

トイレ紙買いだめ理にかなった行為か ゲーム理論だと… [新型肺炎・コロナウイルス]:朝日新聞デジタル

 

 新型コロナウイルスの流行で,トイレットペーパーはいつも売り切れ.買いだめが批判されていますが,安田洋祐・大阪大准教授は,「多めに買おうとするのは,一消費者としては理にかなった行為」といいます.

紙を買いたい消費者をゲームのプレーヤーに見立てて,経済学の「ゲーム理論」を使って解決のヒントを考えました.

 

 

違うゲーム,ありえた

 

 ――店頭にトイレットペーパーがないのを見ると,買える時は多めに買っておきたくなります.よくないことなのでしょうか.

 

 「一消費者としては理にかなっている行動です.他の人も多めに買って店頭の在庫がすぐになくなる状況で,自分だけゆっくり構えていると,買えずに困ってしまうでしょう.そのやむにやまれぬ行為を,『協調性がない』などと道徳的に批判しても,ギスギスするばかりです.しかし,一人一人が『合理的』にふるまった結果,早朝から列に並ばないと買えなくなるなど,みんなが損をすることになってしまいます.個人にとって望ましい行動と社会としての利益は,必ずしも一致しないのです」

 

 ――自分だけが買うのをやめても,他の人が買いだめを続けるならば,問題は解消しません.

 

 「他人の行動によって自分の行動も左右される状況の分析には,社会・経済現象をゲームとしてとらえる経済学の『ゲーム理論』が有効です.今回の場合,トイレ紙を買いたい消費者がゲームの『プレーヤー』,買うか否かの選択がゲームの『戦略』,結果に応じた各人の損得がゲームの『利得』です」

 

 「人は『自分一人だけが戦略を変えても得をしない』状態があれば戦略を変えず,プレーヤーみながそうした状態にあると状況は安定して動きにくくなる.ゲーム理論にはこんな法則があり,発見者の名前をとって『ナッシュ均衡』と呼びます.現状は,消費者が互いに,買いだめをするという戦略をとった状態で均衡しています.だから店頭のトイレ紙は入荷してもすぐなくなります」

 

 ――社会としては望ましくない状態で均衡してしまっているのですね.

 

 「このゲームには,実はもう一つナッシュ均衡になる戦略の組み合わせがあります.誰も買いだめをしない,という状況です.他の人は買いだめをしていないのに,自分だけ買いだめをしても意味はありませんから,誰もしなくなります」

 

 ――どうすれば良い均衡に移れるのでしょうか.

 

 「みなが一斉に買いだめをやめるのがポイントで,『他の人も買いだめをしない』と確信できないといけません.鍵になるのは,マスメディアが,視聴者が『この情報を見た他の視聴者は買いだめをやめそうだ』と感じるような情報を流すことでしょう.マスメディアだと,SNSよりも『みんなも同じ情報を見ているはずだ』と感じやすいものです」

 

 ――個人でできることはありますか.

 

 「普段から日用品のストックを多めに持てば,非常時に買いだめに走らなくても『損』をしません.先ほどのゲームは,ストックを持たずトイレ紙を買いたい消費者をプレーヤーに想定していましたが,ストックしている人が増えれば,違うゲームになるでしょう」

 

 ――トイレ紙の買いだめは,銀行の「取り付け騒ぎ」に似ているように見えます.根拠のない倒産情報で金融機関から預金を引き出す人が現れ,その様子を見て慌てて引き出す人が増えるという状況です.

 

 「そうですね.違うのは,銀行の場合は,倒産しても預金を保護する制度があることです.いずれにしろ保護されるならば,他の人がどう動こうと,慌てて引き出しても得はしません.預金の場合は,実際に現金を刷らずとも口座に残高が記号として表示されていればよいので,こうした対処が可能です.一方商品の場合は,需要が増えた分をすぐに生産・輸送できないから,この手を打てません.ただ,一定期間後に必ず商品を入手できると確約できれば,慌てて買う人を減らすことはできるでしょう」

 

 ――市場経済では,入手を確約するのは難しそうです.台湾では緊急対応として,1人あたりのマスク購入枚数を制限する代わりに,確実に購入できるという施策をとりました.

 

 「マスクがどれくらい必要かというニーズは人それぞれ異なり,通常時なら市場の中で需給が効率的にコントロールされています.市場の効率性を犠牲にしててでも,社会的安定性のために平等に配ることを優先したのだと思います」

 

 ――市場に任せるならば,ドラッグストアが需要の大きいマスクの値段をつり上げてもおかしくないのに,そうした動きはそれほどありません.

 

 「ネットでマスクを高値で転売をしている人たちは,高くても買いたい,という需要があるから売っています.転売屋には将来の商売はないから,それができるのです.ドラッグストアが同じことをしたら,短期的には利益を上げられても,社会的批判を浴びて長期的にお客が離れてしまいます.一方で,一人でいくつも買いだめすることを防ぐために,2個目以降の購入に限って値段を高くして売るという店もあります.一案として,値上げの差額分を寄付などに回せば,企業の評判を落とすことなく買いだめを抑制できるかもしれません」

 

《やすだ・ようすけ》1980年生まれ.専門はミクロ経済理論,ゲーム理論.編著に『学校選択制のデザイン』ほか.

 

 

 

アメリカでも買いだめでスーパーは品薄に トイレットペーパーなど一部商品の販売制限も | ビジネス | 最新記事 | ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト

アメリカでも買いだめでスーパーは品薄に トイレットペーパーなど一部商品の販売制限も

ニューズウィーク日本語版 2020年3月16日(月)

 

米国でも新型コロナウイルスの感染拡大が加速するなか,消費者の買いだめの動きが広がり,スーパーマーケットなどで食品や生活必需品が品薄になりつつある.こうした状況に対処するため,消費財メーカーは需要が急増している基礎的な売れ筋商品に焦点を絞って生産を拡大している.

 

小売各社はトイレットペーパーや洗浄剤,食料品の買いだめによって商品が品薄になり,さらなる不安をあおっていると警告している.オンライン小売最大手のアマゾン・ドット・コムは,注文の急増によって多くの生活必需品が売り切れたと明らかにした.

 

こうしたなか,トランプ大統領は15日,アマゾンやターゲット,コストコ・ホールセールウォルマートなど小売り大手の幹部30人と電話で会談した.

 

カドロー国家経済会議(NEC)委員長はテレビを通じて米国の供給ラインは「かなりうまく機能している」と明言した.

 

食品マーケティング協会(FMI)で危機管理の責任者を務めるダグ・ベイカー氏は「食品の供給網が遮断されることはない」と述べた.

 

工場が24時間態勢で稼働するなか,需要が急増している商品に焦点を絞って生産していると同氏は説明した.たとえば漂白剤なら従来のように様々なサイズや香料の商品を取りそろえるのではなく,最も売れ筋の商品に限定して量産する方針に切り替えた.食品でも,売れ行きがよくないフレーバーは生産を停止し,生産ラインをその他の食品に振り向ける可能性があるという.

 

同氏によると,メーカーも全米に公平に商品が行きわたるような措置を導入し始めている.

 

ウォルマート,パブリックス,クローガ―などの小売大手は,トイレットペーパーや消毒用ウェットティッシュなど,特に需要が高まっている商品の1人当たりの購入量を制限している.

 

ウォルマートの広報担当者によると,同社は各店舗のマネジャーに,特に需要が急増している商品に関しては裁量で販売量を制限するなど,在庫を管理する権限を与えた.

 

小売各社にとっては,商品の配送が滞らないよう,人手の確保も重要だ.FMIのベーカー氏によると,一連の緊急対応策には,飲食業界の人材を活用する計画も含まれている.小売業界は,劇場やカフェ,レストランの閉鎖によって一時解雇された労働者の雇用に期待しているという.

 

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https://www.newsweekjapan.jp/stories/business/2020/03/post-92752.php

[ニューヨーク/ロサンゼルス 15日 ロイター]

 

https://www.135east.com/entry/usa-today-fighting-against-corona-virus-

 

鎌倉海蔵寺では,ハナカイドウに先立って,ユキヤナギが満開でした.「暖地では渓流の岩上などに野生していて,本来は自生とみる説もある」.野生のユキヤナギ.ぜひ出会ってみたいもの.公園・家庭庭園で栽培され,レンギョウ,サクラとともに咲く姿は,各地の公園からのお便りで紹介されています. 連翹の たちまち褪せし 雨ののち 銀の気泡を噴く 雪やなぎ 三国玲子 //バラ科シモツケ属 です.シモツケ属の花は,小さくかわいらしくて私の好きな花々.

鎌倉海蔵寺では,ハナカイドウに先立って,ユキヤナギが満開でした.

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「雪が積もったように小白花を開き,葉の形がヤナギに似ている」ことからユキヤナギと呼ばれるようになったとのこと.日本大百科全書 ユキヤナギとは - コトバンク 

 

別名,コゴメバナ(小米花) は他の植物の別名でもあるようですね.

コゴメバナ(小米花) 日本国語大辞典

① 植物「しじみばな(蜆花)」の異名.〔俳諧・毛吹草(1638)〕

② 植物「ゆきやなぎ(雪柳)」の異名.《季・春》 〔日本植物名彙(1884)〕

③ 植物「みぞそば(溝蕎麦)」の異名.〔重訂本草綱目啓蒙(1847)〕

④ 植物「いぼたのき(水蝋樹)」の異名.〔重訂本草綱目啓蒙(1847)〕

 

中国原産で,観賞用に植栽されるが,しばしば暖地では渓流の岩上などに野生していて,本来は自生とみる説もある.日本国語大辞典雪柳(ユキヤナギ)とは - コトバンク

野生のユキヤナギは,関東地方以西に分布し,増水時に完全に水没するような川岸の岸壁や大岩の割れ目に自生する.白くしだれ咲く細身の体は,濁流に耐える,しなやかさと強さが秘められているという.  (森と水の郷あきた 

樹木シリーズ⑬ ユキヤナギ | あきた森づくり活動サポートセンター )

 

野生のユキヤナギ.ぜひ出会ってみたいもの.長瀞保津川では見ることが出来るそうです.

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岩畳_ユキヤナギ – 長瀞町観光協会公式サイト

 

出会うのは,ほとんど庭木として栽培されているもので,園芸種も開発されています.

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ユキヤナギとは - 育て方図鑑 | みんなの趣味の園芸 NHK出版

 

春の花 ユキヤナギ

レンギョウ,サクラとともに咲く姿は,各地の公園からのお便りで紹介されています.

ただ,レンギョウ,サクラ,ユキヤナギの開花時期は微妙にずれていて---

ネットで調べた範囲では,一カ所を除いて「ユキヤナギレンギョウが先行し,その後にソメイヨシノ」としていました.

例えば ソメイヨシノと園内の様子|3月の園内の様子|はままつフラワーパーク

 

これは,今年の鎌倉と同じ.

海蔵寺に向かう途中の民家の庭のレンギョウは満開.

そして,英勝寺の塀越しのサクラは3分咲きでした.

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連翹(れんぎょう)の たちまち褪せし 雨ののち 銀の気泡を噴く雪やなぎ 三国玲子

 

ユキヤナギ

バラ目 Rosales,バラ科 Rosaceae,サクラ亜科(モモ亜科)Amygdaloideae,シモツケ連 Spiraeeae,

シモツケ属 Spiraea,

ユキヤナギ S. thunbergii

 

シモツケ連は,リンゴ連とモモ連の間に位置する連(tribe).

 

シモツケ属の花は,小さくかわいらしいシモツケコデマリ----

並べてみると,ユキヤナギの花の付き方は,他と少し異なった感じに見えます.

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ホザキシモツケ - Wikipedia マルバシモツケ - Wikipedia

 

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シモツケ - Wikipedia シジミバナ - Wikipedia

 

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イワシモツケ - Wikipedia コデマリ - Wikipedia

 

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https://nph.onlinelibrary.wiley.com/doi/full/10.1111/nph.14461

 

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Spiraeeae – Wikipedia https://www.scirp.org/html/1-2600291_19473.htm

海蔵寺のカイドウ 今朝(3月25日)訪れてみると---- 三分咲きといったところ? つぼみは全て大きく膨らんで,今週末には見頃でしょう.ハナカイドウはリンゴの仲間です:バラ科・リンゴ属 Malus ハナカイドウ M. halliana .リンゴ属の木々.実には大小の違いがあっても,いずれも美しい花を咲かせるようですね.なお,バラ科の分類は,中身(亜科,連)が大きく変わってきています. リンゴ属の仲間の系統樹も明らかになってきました.

鎌倉海蔵寺は,カイドウ(ハナカイドウ)で知られる花のお寺.

先週土曜日3月21日には開花宣言直後と行った趣.

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今朝(3月25日)訪れてみると----

三分咲きといったところ?

つぼみは全て大きく膨らんで,今週末には見頃でしょう.

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ハナカイドウは,リンゴの仲間(リンゴ属)です.

 

バラ目 Rosales,バラ科 Rosaceae,モモ亜科(サクラ亜科)Amygdaloideae,リンゴ連 Maleae

リンゴ属 Malus

ハナカイドウ M. halliana

 

リンゴ属の木々.実には大小の違いがあっても,いずれも美しい花を咲かせるようですね.

 

りんご M. domestica

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エゾノコリンゴ Malus baccata var. mandshurica — Siberian crabapple 

Malus baccata - Wikipedia

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カイドウズミ Malus floribunda — Japanese flowering crabapple

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イヌリンゴ M. prunifolia イヌリンゴ - Wikipedia

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ノカイドウ M. spontanea ノカイドウ - Wikipedia

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オオウラジロノキ M. tschonoskii オオウラジロノキ - Wikipedia

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ワリンゴ M. asiatica ワリンゴ - Wikipedia 四季の山野草(リンキ)

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なお,バラ科の分類は,中身(亜科,連)が大きく変わってきています.

リンゴ属の仲間の系統樹も明らかになってきました.

 

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 Shu‐Dong Zhang et al. 2017  

https://nph.onlinelibrary.wiley.com/doi/full/10.1111/nph.14461

 

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https://www.researchgate.net/figure/The-phylogenetic-relationships-based-on-the-ML-tree-within-Maleae-resolved-by-whole_fig1_335817651

 

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http://www.zelkova.ch/sites/default/files/Yousefzadeh%20et%20al.%202019%20Malus.pdf