日本で栽培されているクリの学名はCastanea crenata.
https://twitter.com/hidakacity_pr/status/945490395101663232
日本と朝鮮半島に生育する品種で,ヨーロッパや中国のものとは異なります.
▽ヨーロッパ栗(Castanea sativa):小粒でマロングラッセなどを作るのに適します.
▽中国栗(C. mollissima):小粒で渋皮がむきやすく,甘みも強いため焼き栗に適し,「天津甘栗」などに使われているのはほとんどこの中国栗です.
▽アメリカ栗(C. dentata):胴枯病という病気に弱いため現在はほとんど栽培されていません.
主要生産県は茨城,熊本,愛媛など.
https://www.maff.go.jp/j/tokei/kouhyou/sakumotu/sakkyou_kazyu/
日本の栽培栗は,同じ学名を持つ野生栗(芝栗/山栗)と同種とされていますが,
https://www.jacom.or.jp/saibai/news/2023/12/231225-71419.php
https://www.jacom.or.jp/saibai/news/2023/12/231225-71419.php
最近の遺伝子解析の結果から.野生栗には三つのグループがあり,栽培栗は,そのいずれとも遺伝的にかなり離れていて,縄文時代以前に分岐した品種であることが明らかになっています.
現在の日本栗は,ヨーロッパや中国の栗にくらべて大粒で水分も多いため,茹でて調理するのに適しています.
一方,渋皮がむきにくいため,焼き栗などには適さないとされています.
現在の主力種は「筑波」「銀寄 ギンヨセ」「丹沢」.
http://www.kasyukyo.or.jp/wp-content/uploads/2023/07/57090719a98586b10f9248b9c9e62053.pdf
国内各地に様々な品種が栽培されていましたが,1941年に岡山県で発見されたクリタマバチが急速に全国に蔓延し,多くの品種が失われました.
https://www.naro.go.jp/publicity_report/publication/files/porotan_20180919.pdf
それ以降、クリタマバチに 抵抗性のある品種の育成、普及が行われました.
「筑波」「丹沢」「石鎚」は,クリタマバチに耐性を持つように開発された品種.「銀寄」は古くからある品種で,丹波栗の代表品種ですが,年々栽培面積が減少しているとのこと.
近年では、クリタマバチの天敵「チュウゴクオナガコバチ」の導入で,クリの害虫被害が減少.品種改良は新たな段階に入り,ニホングリでも渋皮がむきやすく、大粒で甘く香りが良い「ぽろたん」という品種も開発されています.
https://item.rakuten.co.jp/wagashi-murayama/10000002
https://www.kamakurabeniya.com/products/marron-glaces
https://www.google.com/search栗スイーツ 洋風
栗・栗の実を詠んだ短歌2
(古今短歌歳時記より)
あたらしき時代(ときよ)に老いて生きむとす山に落ちたる栗の如くに 斎藤茂吉 白き山
おのづから干(か)てかち栗となりてをる野の落栗の味のよろしき 若山牧水 山桜の歌
嵐吹く朝(あした)に見れば枝揺るる栗の青いが眼に立ちそめぬ 松村英一 やますげ
寒き雨すぎたる今朝の草の中むなし栗いくつ新しく見ゆ 土屋文明 山下水
木に残る栗の毬(いが)らし五日月ほそくかたむくなかに浮くもの 谷鼎 青あらし
朝日かげいまさしそひて栗の木の老木の黄葉光りつつ落つ 阿部太 青榛原
月まつりする日ちかづく高野にて栗は未熟なる青毬いだく 生方たつゑ 青粧
丹波栗大き実照りの豊かなる古国に還り座さむか母よ 馬場あき子 南島
青毬の落ちゐるうへの栗の木は騒立(さわだ)ち空をわたる青北風(きた) 柏崎驍二 青北
栗の木の硏ぐがにあをき夏栗の毬はさやさや胸いたきかな 河野裕子 ひるがほ