ベーコンは,日本でもおなじみ.どこのスーパーにも沢山並んでいます.
https://www.google.com/searchベーコン
クラシックなアメリカ式の朝食にはなくてはならない食材.現在はよりヘルシーとされる朝食が好まれているのかもしれませんが.
(Classical American-style breakfastで検索するとパンよりパンケーキの画像が圧倒的に多い)
ブリタニカ(英語版)
によれば「ベーコンは何世紀もの間、ヨーロッパの農民の主食であった」とのこと
「だとすれば,欧米のベーコンは皆同じかな」と思ってしまいますが---
どうも違うようです.
ベーコンは,豚バラ肉を塩味・スパイスで味付けをして燻蒸したものといったイメージをもっていました.
日本の,そしてアメリカのベーコンに関しては,概ねこれで合っているようです.
ベーコン 日本国語大辞典
豚ばら肉。また、それを塩、胡椒、肉桂、硝石などの溶液に漬けたあと、燻製にしたもの。
日本農林規格では,豚バラ肉を原材料としたものだけがベーコンと呼ぶことを許され,他の部位を使ったものは,例えば「ロースベーコン」「ショルダーベーコン」と呼ぶという規定になっています.
https://www.maff.go.jp/j/jas/kaigi/pdf/140529_sokai_e.pdf
アメリカ農務省のFood Standardでも同様で,日本農林規格はこれを倣ったものと思われます.
https://www.fsis.usda.gov/sites/default/files/import/Labeling-Policy-Book.pdf
しかし,世界に目を広げれば,ベーコンにバラ肉を使わなければいけないと言うことは全くありません.
実際,英国やカナダのベーコンは,ロース肉からつくられ,英国風ベーコンはラッシャーとも呼ばれています.日本の規格から言えば「ロースベーコン」になりますね.
https://www.tinastraditional.com/post/bacon-sausage-usa-vs-uk
そして,驚いたことに,燻製にすることも,どうも必須ではないようです.
確かに,日本でもアメリカでもベーコンの規格に燻製とすることとは書き記してありません.
多くの場合,燻製にする工程がはいるとの記載はありますが.
https://www.maff.go.jp/j/jas/kaigi/pdf/140529_sokai_e.pdf
「燻製にしなかったらハムになってしまう」と思いますが,ハムとベーコンの違いを記したサイトでは,ベーコンとハムでは,乾燥・味付けの度合いが異なり,ベーコンの乾燥の仕方の一つが燻製といった書き方になっています.
そして,ベーコンとハムにはそれぞれ国によって異なる製法があって,名称も様々.各国のベーコンについては,明日,またとりあげます.
Bacon vs. Ham
https://www.diffen.com/difference/Bacon_vs_Ham
ベーコンは豚の背肉,ロース肉,バラ肉から作られます.冷風や燻製で乾燥熟成させるか,大量の塩でパックするか,液体の塩水に浸して湿式熟成(ウェット・キュアード)させます.
ハムは豚のもも肉またはランプ肉から切り出します.生ハム,ウェット・キュアード,ドライ・キュアードがあり,通常は塩分と糖分が控えめです.
ベーコンは,厚さや豚のどの部位から切り出すかによって,多くの種類があります.
バックベーコンは脂身が少なく,肉が多いのが特徴で,豚のロースから取り,熟成させます.
ストリーキー・ベーコン(Streaky bacon)は豚のバラ肉から作られます.
イタリアでは,未調理の脂肪の付いた角切りベーコンをパンチェッタ(pancetta)と呼びます.
コッテージ・ベーコン(Cottage bacon)は,豚肩ロースを薄くスライスし,肉厚の楕円形にカットしたもの.ジョウル・ベーコン(Jowl bacon)は,豚の頬肉を燻製にして熟成させたもの.
イギリスとアイルランドでよく食べられているギャモン(Gammon)は,豚の後ろ足から作られ,伝統的に「ウィルトシャー・キュアード(Wiltshire cured)」(イギリスのウィルトシャーで生まれた塩水を使った伝統的な熟成方法)と呼ばれています.
ハムの種類も国によって異なります.
イタリアの生ハムはプロシュート,フランスの湿式熟成したボンレスハムはジャンボン・ド・パリと呼ばれます.
イタリアのパルマ産の生ハムは塩をほとんど使わず,砂糖とガーリックソルトを使い,乾燥を遅らせるために豚の脂肪で密封したもの.